我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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第二十節:新人戦 モノリス・コード 後編

 昼食を挟み、決勝トーナメントが行われる。

 立華と達也、幹比古は三校の試合を見に来ていた。

 

 その結果は……。

 

「……」

 

 幹比古が何も言えなくなっていた。

 なぜなら……一条1人で相手を片付けたからだ。

 

 〈干渉装甲〉で相手の攻撃を寄せ付けず、レイナが得意とする〈偏倚解放〉で相手選手をあっという間に片付けた。

 

「流石……何だっけ?……マロングラッセ?」

「誰の事!?」

「……クリムゾン・プリンスだ。遠ざかり過ぎて面影が無くなっているぞ」

 

 立華の言い間違えに幹比古がツッコミを入れ、達也が訂正する。

 

「でも、残り2人の戦術を見れなかったのが痛いな」

「一応1人なら予想は付くぞ?」

「確か……カ、カ、カーレーサージョジョだっけ?」

「だから誰!?」

「カーディナル・ジョージだ」

「え!?」

 

 どうやら幹比古は知っていたらしい。

 そんな彼に達也は吉祥寺が使ってくる魔法を説明する。

 それに不安そうになる彼だったが。

 

「心配するな。インビジブル・ブリットはその性質上、情報強化は効果が薄いが、作用点を視認しないといけない欠点がある。遮蔽物で視線を外すか、視界に入らなければ問題ない」

「……なるほど。それなら」

 

 どうやら対抗策を幹比古は持っているらしい。

 そんな2人に立華は告げる。

 

「ま、その前に進めるかどうかだけどね」

「ああ」

「そうだね」

 

 その時立華の脳裏にある考えが浮かぶ。

 

「……そうだ。達也、幹比古。もし、三校との決勝でさ……」

「「?」」

 

 立華がある事を提案する。

 それに別に反対することもなく了承する2人だった。

 

 そして、一校はといえば勝利した。

 しかも結構楽勝で圧勝だった。

 ステージが渓谷だったので、幹比古が水場を利用して霧を作り出し、そこを立華が1人ずつ剣や電撃、折紙で仕留めていった。

 

 その後、決勝ステージのエリアが決まる。

 それは……。

 

「障害物が無い草原ステージですか……。厳しい戦いになりましたね、お兄様」

 

 深雪の言葉は、本部に居る面々の顔が曇る。

 だが、それに達也が明るく言う。

 

「いや、水を利用されるかもしれない渓谷ステージや市街地ステージに比べればマシだ。一条家お得意の発散系魔法で水蒸気爆発をされる危険性が低いだけでも御の字だ」

「市街地で?水?」

「ええ。一応水道通っていますし。……まあ草原ステージも地下水汲み上げられたら不味いですけど」

 

 そんな達也に服部が尋ねる。

 

「司波、勝算はあるのか?」

「はい。立華の作戦で行こうと思います」

「……どういう事だ?」

「言っていたんです。草原か岩場のステージだったら”アレ”が使える。準備に時間がかかるけど、モノリス・コードでも十分に使えるからと」

「アレ?何をする気なの?」

「さあ?ただ時間を稼げとだけ言われていて。何が起こるかは本人と……多分彼の相棒位しか知りません。聞いても教えてくれないと思いますよ」

「「「「「「……」」」」」」

 

 その後、達也が頼んでいたローブやマントが渡され、試合前のインターバル。

 達也はストレッチ、幹比古は富士の息吹を浴びにいった。

 立華は自室で軽く眠っていた。

 いつものようにレイナが膝枕をしている。

 軽く頭を撫でていた。

 

「立華。勝ってね」

 

 彼女が呟くと。

 

「ああ」

 

 返す声が聞こえた。

 

「起きてたの?」

「今起きた」

 

 そう言って立華は伸びをする。

 

「じゃあ行ってくる」

「うん」

 

 そして、2人は抱擁して、軽く唇を重ね合わせた。

 

「ここから」

「先は」

「「また今度」」

 

 ◆◆◆

 

 遂に始まった「モノリス・コード」決勝。

 新人戦の一校の勝利は決まったが、三校はやる気があった。

 

 選手が入場すると騒めきが広がる。

 その理由は立華と幹比古が付けている物だった。

 立華がマント、幹比古がローブである。

 恥ずかしそうな幹比古だが、立華は気にしていない。

 

「立華。君は恥ずかしくないのかい?」

「平気。知り合いに全裸でも恥ずかしくないって人いるし」

「「それはおかしい!?」」

 

 達也までツッコミを入れる。

 

「脱ぎたがる奴がいてね。しょっちゅう全裸になる」

「「……」」

「まあ、会う機会は……あるかも?」

「会いたくないよ!?」

「深雪には絶対に会わせたくないな……」

「アハハハ」

 

 2人のコメントに笑う立華。

 

 そんな一校に対して、三校はと言えば。

 

「アレはジョージ対策か?」

「わからない……まだ隠し玉があったなんて……」

「気にしても仕方ない。ステージ的には俺達の有利だ。作戦通りいくぞ!」

 

 そして、来賓席では。

 

「御爺様は立華さんがどういう風に行くと思いますか?」

「フム……。やはり使い魔系統で行くのではないかね?」

「それしかないですものね」

 

 祖父と孫……烈と光宣が立華がどういう風に戦うか談義していた。

 

「候補としては……やはり骸骨兵や竜牙兵、兵馬俑では?」

「少し目立ちすぎるだろう。やはり殺人鬼のアレかもしれんぞ?」

「その可能性も捨てきれませんね」

 

 ああでもないこうでもないと話し合っていた。

 とても楽しそうに会話していた。

 

 観覧席では。

 

「楽しみ♪」

「そうじゃのう」

 

 レイナの言葉に四十九院が同意する。

 

「「「「「「「「……」」」」」」」」

 

 奇妙な面々が一か所に集まっていた。

 一校の女子6人……深雪、雫、ほのか、エイミィ、里美、レイナと三校の女子3人……一色、十七夜、四十九院。

 若干気まずくなっているが、気にした様子のないのもいる。

 

「それにしても勝つのはどちr」

「こっち」

 

 即答するレイナ。

 

「一条くんは実戦経験者ですk」

「実戦?」

 

 十七夜の言葉にレイナの雰囲気が少し変わった。

 

「アレ位、立華、経験、比べ物、ならない」

「「「「「「……」」」」」」

 

 レイナの凄みのある笑みに全員何も言えなくなった。

 

「栗きんとん、知らない。真、絶望。窮地」

 

 そう言ってレイナは立華に目を移した。




・全裸

多分分かる人は分かる。EXTELLA LINKで宝具だけ来た人。バーサーカーは絶対コイツだと思ったのに……。



・殺人鬼のアレ

Fakeの偽バーサーカーの宝具。
状況的にかなり強力になるので、候補には上がっていたが、若干派手なのでやめた。

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