我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者 作:亜亜亜 無常也 (d16)
そして、サイレンが試合開始を告げた。
その途端。
「任せるぞ!2人共!」
その言葉と同時に立華の姿が揺らめいて消えた。
気配すら感じ取れなくなる。
「「「!?」」」
それに驚く三校陣営。
「「「「「「!?」」」」」」
観客一同。
だが、達也と幹比古、そして、レイナには驚きはなかった。
事前に聞かされているのと、彼が何をするかなど予測不能なので、何が起きても驚かない。
「ジョージ!」
「……!ああ、わかった」
だが、直ぐ冷静さを取り戻し、作戦通りに行くことにする三校チーム。
観客席では唯一平然としていたレイナに対して。
「何をするのかわかるのですか?」
「準備」
「「「「「「?」」」」」」
一色の疑問にレイナは一言告げる。
それに一校三校女子一同の疑問符が浮かぶ。
一方、試合フィールドでは激戦が始まった。
立華が消えた後、始まったのは射撃戦。
一条将輝vs司波達也である。
一条は空気弾を発射し、達也は〈術式解体(グラム・デモリッション)〉で防御、振動魔法で攻撃を行う。
有利なのは一条、不利なのは達也だった。
一条の空気弾は達也に届くが、達也の攻撃は全て防がれていた。
だが、会場からは称賛の声も聞こえていた。
中には本当に達也が二科生なのか疑う声も聞こえる。
「大丈夫かしら……」
「このままだと潰されるぞ」
それでも一校幹部の顔も冴えない。
距離が近づくたび、不利になるのは達也だった。
段々撃ち落とせ無くなってきている。
一方、吉祥寺は一条が達也と戦っている間に遊撃の幹比古を倒す為に動く。
〈不可視の弾丸(インビジブル・ブリット)〉の射程範囲に捉えるも。
「な!?」
幹比古の姿が増える。
そのため、対象を視認しなければ効果を発揮できない不可視の弾丸(インビジブル・ブリット)〉が使えない。
そんな吉祥寺へ〈乱れ髪〉が発動し、草が吉祥寺に巻き付こうとする。
「!?」
未知の魔法に吉祥寺に隙が生まれる。
そこへCADを操作して魔法を撃ち込もうとした幹比古だったが。
「く!?」
一条からの援護……空気弾が飛んできて、吹き飛ぶ幹比古。
「助かった!」
そのまま幹比古へ加重魔法を掛け、動きを封じる吉祥寺。
近づけない達也、動けない幹比古。
これで三校の勝利かとほとんど誰もが思ったその時だった。
「!?」
「!」
一条と吉祥寺に目がけ、大量の折紙が降り注ぐ。
鶴や馬、手裏剣、飛行機に折られている。
それらを避け、撃ち落とす彼ら。
その隙に幹比古はなんとか脱出。
そして、達也は今まで向かって来ていたのだが、後退し始める。
「任せるぞ」
「ここまでさせたんだ。勝てよ」
達也と幹比古がもう1人のメンバーに呼びかける。
すると。
「ああ。了解した」
立華が突如ステージ中央に出現。
そして。
「さあさあ。では始めよう」
そう言って指を弾く。
「
言葉が紡がれる。
そして。
地面が揺れる。
幾つも盛り上がっていき、そこから現れたのは土で出来た人形……ゴーレムだった。
数は10体。
「「「「「「!?」」」」」」
「「「な!?」」」
驚く会場。
驚く三校選手。
それに構わず立華は手を向ける。
「動け、ゴーレム」
その言葉と同時に一斉に動き出すゴーレム達。
10体が3手に分かれる。
それぞれが選手の元へ向かう。
「く!」
「な!?」
「来るな!来るな!」
三校選手は迎撃する。
だが。
「一方的な展開になりましたね」
「ああ」
来賓席でその様子を見ていた光宣の言葉に烈が答える。
彼らの目の前でゴーレムに攻撃する選手が眼に入る。
だが、その攻撃をものともせずにゴーレムは進む。
攻撃のせいで、体表に傷がついたり、腕や脚がもげるも、選手目がけて進む。
そして、三校選手に近づくと、選手を押さえつける。
そして、立華の合図で砕け、選手の全身に絡みつき、行動不能にしていく。
押さえつけるのに1体が砕けるので、残りは他の選手に向かう。
「それにしてもゴーレムか……。だからこそ準備がかかったと見える」
「まあ、本来は素材や時間をかけて作るものですからね。おそらくアレらは長時間使用には持たないでしょうね」
2人の分析は正解だった。
立華はゴーレム準備のために身を隠していた。
そして、このゴーレムはあくまで急造品。
長時間の戦闘には持たない。
だが、「モノリス・コード」の間位なら十分に耐える。
「これはもう三校は……」
「ああ。ゴーレムには爆裂が効かんしな」
その通りだった。
一条は魔法をゴーレムに放つが、それらはほとんど効かず、動きを止めるには至らなかった。
因みに吉祥寺の加重魔法や〈不可視の弾丸(インビジブル・ブリット)〉も効いていなかった。
「彼らが勝つには速攻で立華君を仕留めなければならなかったわけだが」
「それは不可能ですね。……まあモノリスならワンチャンあるでしょうけど」
「実戦だったらまずないな。そもそも彼を殺すのはかなりの骨だからな」
立華は常時解放型の宝具を常に幾つか展開している。
ある裁定者の奇跡を起こす両腕もそうだが、それ以外に命のストック宝具もセットしている。
だからこそ、彼を殺すには問答無用で殺す物(例:箱)か、ストックを封じる物(例:大英雄の槍)を使うしかない。
「試合は……決まりましたね」
「ああ」
三校選手は次々ゴーレムによって行動不能にされていった。
一条は最後まで粘ったが、最後は8体のゴーレムに囲まれ、小高い山となった。
因みにちゃんと生きている。
そして、「モノリス・コード」は一校の勝利となった。
命のストック
大英雄の試練そのものではない。どこぞの後輩の真似をして改造をしており、ダメージカットと耐性を失くした代わりに、命のストックを増やした。
つまり藤丸立華はそう簡単には死なない。