我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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第二十三節:勘と覚悟と怒り

 九校戦9日目。

 新人戦は終わったので、本戦に戻る。

 長いようで短かった九校戦も明日で終了。

 一校は今まで選手が頑張って来たので、今日で総合優勝が決まる可能性もある。

 今日は「ミラージ・バット」と「モノリス・コード」。

 前者は本戦、後者は予選が行われる。

 

 もう立華とレイナの競技はないので後は応援するだけである。

 

「達也遅くまで頑張っていたな」

「ナナ、ナベ、追い出さなかったら、絶対徹夜」

「まあ、妹の晴れ舞台だしな」

 

 昨日競技終了後、幹比古と立華は休むためにすぐ自室に引っ込んだ。

 ……新人戦優勝パーティーをやろうと言う意見もあったが、選手に疲労があったので却下となった。

 だが、達也はエンジニアとしての仕事があったので、夜遅くまで頑張っていたのだ。

 最終的には一校の幹部面々に追い出されたそうだ。

 

「まあ、警戒しておくに越したことはないな。何か暗躍してる奴らがいるし」

「うん」

 

 という訳でこのコンビがやって来たのは。

 

「やあ。遅かったじゃないか2人共」

 

 「ミラージ・バット」の選手であり、先輩の小早川景子のところだった。

 実はレイナの知り合いで、立華とも交流がある。

 

「どうも」

「ケーコ先輩、緊張?」

「大丈夫」

 

 因みに彼女はなぜかレイナが珍しく変な呼び名で呼ばないのだ。

 

「これで優勝が決まるかもしれないからね。頑張らないと」

 

 そう言って気合十分の小早川を微笑ましく見ている2人だったが。

 

(「うん?」)

 

 嫌な予感がする。

 この感じは何かが起こる。

 なのでその発生源を探る。

 

「リッカ?」

 

 立華の様子がおかしい事に相棒のレイナが気づく。

 それに構わず立華は辺りをキョロキョロして見つけた。

 その発信源を。

 

「先輩」

「?どうしたの?」

「そのCADは?」

「え?ちゃんと調整したけど……」

「何か嫌な感じがします。なので使わない方がいいかも……」

「え!?」

 

 立華の言葉に小早川が固まる。

 それに反応したのはエンジニアの生徒……平河小春だった。

 

「そ、そんな訳ないわよ!私と景子で調整したんだから……」

「リッカ、勘、良く当たる」

「所詮勘でしょ!?」

「じゃあ、賭ける?わたし、何かある、命、賭ける」

「「!」」

 

 その言葉に小早川と平河が固まる。

 

「あなた、命賭けれる?何か、あったら、手遅れ」

「そ、それは……」

 

 雰囲気が加速度的に悪くなっていく。

 こういう時は……。

 

「……藤丸君!どうにかならない?」

「呼びましょう!」

「誰を!?」

 

 そんな訳でやって来たのは……。

 

「何か用か?立華」

 

 達也である。

 

「実はかくかくしかじか」

「まるまるうまうま。なるほど……。失礼します」

 

 立華の説明を聞いて小早川のCADを見る達也。

 そして。

 

「確かに何かいる」

「「え!?」」

「だが、何かがわからない。先輩、予備は?」

「あるにはあるけど……時間がない」

「リッカ。どうにかならない?」

 

 レイナの問いに立華は笑う。

 

「まあ異物取り除くぐらいならなんとか……。先輩CADを」

「う、うん」

 

 小早川から渡されたCADを受け取る立華。

 そのCADを左手で持ち、右手で何かを引っ張る動作をする。

 立華以外の4人は見た。「何か」が引きずり出されるのを。

 そして、その「何か」を握りつぶす立華。

 

「これでよし。これなんだろう?わかる?先輩方?達也?」

「ごめんなさい。まったく」

「私も」

「SB(Spiritual Being)魔法の一種である事はわかるが……」

「そっか。まあこれで一安心」

 

 そして、達也の方を見る。

 

「達也」

「何だ?」

「どうやら相手はなりふり構わなくなってきたみたいだ。だから……」

「深雪が狙われるという事か?」

「確実に。多分現行犯でやってくる可能性大。だから警戒して」

「わかった」

 

 そう言って出ていこうとする達也。

 

「待って」

 

 それを呼び止めるレイナ。

 

「?どうした?」

「犯人、生け捕り。タッツン、殺さないように」

「……酷いな。俺が相手を殺すように見えるのか?」

「ミユキチ、敵、容赦なし」

「……」

「わたし、拷問得意」

「「はい!?」」

「ふーやちゃん、ミラさん、副長直伝」

「「誰!?」」

 

 ツッコミを入れる先輩方だった。

 

 その後、第一試合は小早川は頑張ったが予選落ちしてしまった。

 というか他の選手の気合の入りようが凄まじかった。

 これ以上花を持たせて堪るかといったところである。

 ……まあ本来の結果に比べればマシだが。

 

 因みに本戦に1位で進んだのは。

 

「エクレア、本戦、出てた」

「まあ二十八家だしな」

「今二十七」

 

 一色愛梨だった。

 さすがエクレールである。

 

 そして第二試合。

 とは言っても順調に始まらなかった。

 なぜなら……。

 

「エンジニアが大会スタッフに暴行!?」

 

 CADチェックの会場で事件は起こった。

 何でもデバイスチェックの現場で達也がスタッフに暴行したという知らせが届いたのだ。

 大会スタッフが深雪のCADに何かを仕込もうとしていたそうだ。

 それに達也が激怒。

 そして、尋問(兼殺害)しようとしたらしい。

 そこへ偶然(?)烈が通りかかり、その場を収めたそうだ。

 

 そんな訳で戻って来た達也を迎えた天幕内の空気は警戒と畏怖だらけだった。

 が、そこへ。

 

「タッツン」

「レイナ」

 

 レイナがいつも通りの態度で達也を迎える。

 

「生け捕り、した?」

「ああ。でも連れて行かれたぞ?」

「残念。試したかった」

「「「「「「何を!?」」」」」」

 

 不吉な言葉に一同ツッコミを入れる。

 それにニコリと微笑み答える。

 

「新しい、拷問」

「「「「「「笑顔で言うな!?」」」」」」

 

 レイナの答えに一同更にツッコミを入れた。

 いつの間にか達也への警戒と畏怖は吹っ飛んでしまった。




ふーやちゃん、ミラさん、副長

レイナに拷問を教えた3人。ふーやちゃんとは仲良しなレイナである。
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