我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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第二十五節:試合、その裏で 後編

 そして、試合会場。

 その中でサングラスを掛けた男が突如ピクンと動く。

 そして、通りがかった男性を襲おうとした。

 だが。

 

「!」

 

 次の瞬間、ぶん投げられ、宙を舞っていた。

 そして、重力に従い、地面に落ちる。

 そのまま落ちれば墜落死。

 だが、感情のないジェネレーターは冷静に地面に着地。

 そこへ先程ジェネレーターをぶん投げた男性も降りてきた。

 

 彼は柳連。

 独立魔装大隊の幹部である。

 因みに達也と響子の同僚でもあり、昔達也の天狗の鼻をへし折った人物でもある(達也談)。

 

「さて、動くなよ。とは言ってもわからないか」

「そうだろうねえ」

 

 柳の声に答えたのはジェネレーターの退路を塞ぐように現れた男性。

 

 彼は真田繁留。

 柳と同じ所属である。

 腹黒である(達也談)。

 

 前門の虎後門の狼になってしまったジェネレーター。

 それに構わず正面の柳に襲いかかる。

 だが、柳の〈転〉によって元の場所へ戻される。

 そこへ。

 

「本当にお2人は仲が良いですね」

 

 現れた響子が、髪の毛のように細い高導電性の針を移動系魔法で飛ばして相手に突き刺し、放出系魔法で周囲の物体から自由電子を取り出して針に電流を流し込む魔法である〈被雷針(ひらいしん)〉でジェネレーターを捉えた。

 

「中々の手際だねえ」

「それはどうも」

 

 真田の称賛にそっけなく答える響子。

 彼女はもっとすさまじい電気の使い手やハッキングする人を知っている。

 だからこそこんな反応である。

 

 柳と真田がジェネレーター捕縛している中、彼女は思考していた。

 

(「他のジェネレーターは幹部の守りと……立華君が捕まえたようね」)

 

 彼女に連絡がいっていた。

 ジェネレーター数体貰いますとあったのだ。

 

(「でも、一体何に使う気なのかしら?」)

 

 内心首を捻る響子。

 そしてふと「モノリス・コード」の試合を思い出す。

 

(「ゴーレムの素材にするとか?」)

 

 そう考えたが。

 

(「まあ、そんなわけないか」)

 

 すぐにその考えを打ち消す。

 

 実は響子のその考えは正解だった。

 ……100点や花丸ではないが。

 それを彼女はまだ知らない。

 

 ◆◆◆

 

「会場の”じぇねれえたあ”は捕まったようでござりまするね」

「そのようでござるな」

「今の時代にしては中々の腕前ですね」

 

 ジェネレーター捕縛を見ていた者達が会話をしていた。

 

 1人目は露出度高い忍び装束を纏い、手足の関節部が人形のようになっている長い黒髪の少女。

 2人目は全身に黒い包帯のような物を巻き付けた黒髪の少女……アサシン・パライソと呼ばれている者。

 3人目は忍び装束の赤毛の少年。

 

 この3人は立華の契約サーヴァントであった。

 クラスは全員アサシン。そして忍者である。

 

 立華の命を受け、ここ数日ジェネレーターの捕獲に動いていたのは彼らだった。

 この3人は全員忍者。

 聞かれれば色々な人が知っている結構有名な忍者である3人。

 人の捕縛など朝飯前だった。

 

「それにしてもマスターは一体何に使うのでござりましょうか?」

 

 絡繰少女の疑問にパライソが答える。

 

「あのゴーレム使い殿の宝具に使うようでござる」

「なるほど……」

 

 赤毛の少年も納得する。

 

「だからこそ“ぱらけるすす殿”に預けられたのですね」

「使う前に微調整するようでござる」

 

 実はそのジェネレーターはここにはもういない。

 全員パラケルスス……専ら「P」と呼ばれるキャスターに預けられた。

 彼は錬金術師としての腕前は凄まじいのである。

 

「ではマスターの仕事は終わりましたので、私達は戻ります」

「御免!」

 

 そう言って絡繰少女と赤毛の少年は消えた。

 後に残されたのはパライソのみ。

 

「では拙者も仕事を果たしましょう」

 

 そう言ってパライソも消えた。

 その場に人のいた痕跡はなくなった。

 

 そして、時間は立って、達也の部屋。

 彼の1人部屋である。

 色々配慮してそうなった。

 そこに来た達也は。

 

「いるのか?」

 

 声を掛ける。

 すると。

 

「ここに」

 

 そう言って現れたのはパライソだった。

 それに驚く事も無くその少女に尋ねる達也。

 

「お前が立華が言っていた“アサシン・パライソ”か?」

「そうでござる。真名は伏せさせてもらうでござりまする」

「ああ。わかってる」

 

 実は達也は立華から「無頭龍」の情報を貰う事になっていたのだ。

 なので情報の受け渡し役としてパライソが選ばれたのであった。

 

 パライソが情報の紙媒体を達也に渡す。

 

「では拙者はこれで」

 

 そう言ってパライソは消えた。

 それを見送った達也は情報に目を通す。

 そして。

 

「そうか」

 

 それだけ言った。

 そしてその紙媒体の情報を一瞬で分解する。

 その表情は怒りに染まっていた。

 

 ◆◆◆

 

 同日夜。

 「ミラージ・バット」の本戦決勝が行われた。

 他校の選手も飛行魔法を使って来たのだが、全員サイオン切れで次々落ちていく。

 最後まで残ったのは深雪と一色だけ。

 一色も結局落ちていき、深雪の独壇場となった。

 そして、総合優勝は一校に決まった。

 

 その後、お茶会が催されていた。

 新人戦優勝と総合優勝が決まったからである。

 立華やレイナは勿論、深雪、ほのか、雫と言った一年だけでなく、レオやエリカ、幹比古、美月までいた。

 ……森崎も行こうとしたが、医者から止められた(笑)。

 

 その中で達也だけはいなかった。

 

「寝てるという訳ですか?」

「ええ流石に疲れたそうです」

「大活躍だったしねえ」

 

 そういう彼女達。

 

 だが立華は知っていた。

 達也がどこに行ったのかを。

 

(「今頃黒幕が消えた頃かな?」)

 

 そう思っていた。

 

 そして、達也はと言えば。

 

「お前達には消えて貰う」

 

 無頭龍の幹部を文字通り消し去っていた。

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