我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者 作:亜亜亜 無常也 (d16)
「さて、ええと……」
そう言って拳銃と警棒から手を放し、足を元の態勢に戻す。
まず拳銃型CADを向けている相手に向く。
「……確か」
生徒の名前が名前が出てこないらしい。
そこへレイナが。
「モブ何とか」
「そう!それだ!」
「違う!僕の名前は森崎だ!森崎駿だ!」
あまりに酷い名称を出す。
それを否定するモブ何とか…改め、森崎。
そのあんまりな名称に二科生達や深雪は笑いを堪えている。
……それに気づかなかったのは森崎にとって救いだろうか。
「そうか。わかった」
「じゃあ気を取り直して。森崎」
「言いたい事が二つ程ある」
真剣な表情に戻る。
「まずCADを相手に向けるのはやめた方がいい」
「武器を向けたと言う事は」
「向けられる覚悟をしなければならない」
「撃っていいのは、撃たれる覚悟がある奴だけって奴さ」
そう言って赤毛の少女とゲルマン風の少年に目を向け。
「この2人には覚悟があった。お前にはあったのか?」
ギロリと睨め付ける。
「そ、それは……」
「ないだろう?少なくとも今はない。あるとかほざいたらその時は……まあいい」
一拍置き、話を切り替える。
表情が少し穏やかになる。
「そして。これが本題」
「自分と他人を比べない方がいい」
「!?」
立華の言葉に目を見開く森崎。
「人は皆得意分野がそれぞれある」
「例えば毒殺が得意、射殺が得意、呪殺が得意。こんな風に人には得意分野がある」
「リッカ、リッカ。例え、悪すぎ。偏り、酷すぎ」
「……そう?」
レイナの注意に首を捻る。
言われてみると暗殺系しか上げてない。
なので赤毛の少女とゲルマン風の少年の方を向き、尋ねる。
すると2人共揃って首を縦に振る。
……その後、意見が一致したのが気に食わないのか睨み合う2人。
それに構う事なく、森崎の方を向き直し。
「だから、自分より成績が劣っている者を見下すことで」
「自分のプライドを支えようとするのはやめた方がいい」
「もし何かで抜かれた時にそのプライドは砕け散るよ?」
「そして。……それをやめれば色々変わると思う」
そう言って彼は後ろの方に視線を向けた。
「と騒ぎはこれで終幕。と言いたいところですけど……、無理ですかね?」
「その通りだ」
立華の言葉に答える者がいた。
その方向に全員が視線を向けるとそこには2人の女生徒がいた。
少し背の高めの短髪の少女と背が低めの長髪の少女。
背が低めの方は入学式で見かけた生徒会長の七草真由美だった。
「風紀委員長の渡辺摩利だ。校門前で騒ぎがあると報告があり、駆けつけた」
その言葉に数人が固まる。
何らかのペナルティがあると思ったのだろう。
だが。
「未遂で終わったのは間違えないが、話を聞k」
「摩利。今回は魔法発動もなかったし、これでいいんじゃないかしら?」
「真由美……」
七草が渡辺を嗜める。
「説教をしてくれたみたいですね。……ええと名前は?」
「藤丸立華です」
「そう。貴方が……」
「……そうか。覚えておこう」
「結構です」
「!?」
名乗りに対して上級生2人はそれぞれ反応を取る。
何か知っている風の七草。
そして渡辺はそれに対するあんまりな返答に絶句する。
一方七草は。
「……アハハハハハハ!」
笑い始める。
「ああ可笑しい……。本当に貴方変わってるわね」
「……おい、どういうことだ」
「彼……藤丸君はね、筆記・実技共に総代になった司波さんとほぼ同等だったのよ。正確に言えば、筆記は深雪さんが僅かに上、実技は藤丸君が上だったけど」
「「「「「「!?」」」」」」
七草の言葉に驚く一同。
驚いていないのはレイナ位である。
「だからどちらが総代にするか、迷ってたのだけど、彼は断ったの。何でも……」
『面倒』
「ですって。その一言で断ったそうよ」
「「「「「「……」」」」」」
あんまりな言葉に一同絶句する。
していないのはレイナ位だった。
彼女が口を開く。
「しょうがない。リッカ、本質、面倒くさがり」
「あら、あなたは確か……鷹山レイナさん?」
「そう。わたし、知っている?」
「ええ。貴方も司波さんや藤丸君に匹敵する成績だったから」
「恐縮」
レイナの言葉に軽く微笑み七草は続ける。
「じゃあ、これで解散しましょう」
「でも」
「次はありませんからね?」
「……はあ。言いたい事はまだあるが、真由美が言うならしょうがない。次はないからな」
そう言って去っていく上級生2人。
暫くして森崎が起動する。
立華の方を向き。
「認めないぞ!藤丸!次は負かしてやる!」
「まあ頑張れ。応援してる」
「……フン!」
そう言って去っていく森崎。
すると残りの一科生もバラバラと去っていく。
……レイナと雫、ほのか、深雪を除き。
そして立華は残った面々に声を掛ける。
「アイツも悪い奴じゃないんだよ。ただ、人格がちょっと駄目人間で、おまけに自分より成績が下の人間に対して調子ぶっこいているだけで」
「悪い奴じゃない、そう言ったって、何もかも、フォロー、できない」
「そだね。じゃあ前言撤回。アイツは良い奴じゃないんだよ。足りない魔法力をテクニックで補っているけど、そこまでじゃなくて、プライドだけは持ってる」
「……言いすぎな気がするんだが」
立華とレイナのあんまりな言葉に思わずツッコミを入れる司波達也。
「うん?そうか?どう思う?」
その言葉に相棒以外の人達……雫、ほのか、深雪の方を向き聞くと。
「指摘は的確ではあると思う」
「はい!私もそう思います!」
「……はい」
三者三様で肯定した。