我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者 作:亜亜亜 無常也 (d16)
とりあえず学校に連絡し、氷を融かして(結構苦労した。4人がかりでどうにか融かせた)、監視者を救出。
その監視者を改めて観察。
制服は一校の物であり、エンブレムがない。
二科生の女生徒だった。
「で?誰?」
「俺は知らん」
「あたしも」
立華の疑問。
その疑問に達也も千代田も答えられない。
だが、それに答えられる人がいた。
「彼女は平河千秋さんだよ」
五十里だった。
「知り合いですか?」
「……直接の面識はないんだけどね」
立華の疑問に少し苦い顔をしながら答える五十里。
「もしや平河小春先輩の?」
「うん妹さん」
達也の出した名前に千代田の頭上には疑問符が浮かぶが、立華は聞き覚えのある名前にう~んとなる。
「誰だっけ?」
「小早川先輩のエンジニアだった人だ」
「ああ!」
思い出す立華。
細工された時現場にいた人である。
「あの時、平河先輩は小早川先輩のCADの不正工作を見抜けなかった。まああの時は藤丸君や司波君のおかげで大事には至らなかった。でも彼女は一時期体調を崩していたんだ」
「「「……」」」
もし立華や達也が気づかなければ、小早川は魔法師としては終わっていたかもしれない。
「だからこそ……」
「俺か達也を狙った……というわけか?」
「なにそれ!完全な逆恨みじゃないの!」
立華の言葉にプリプリ怒る千代田。
「まあ人ってそう言う物ですよ。何かを恨まなきゃ、誰かのせいにしなきゃ、やっていられない時がありますし」
「「「……」」」
立華の言葉に全員が黙り込む。
そして。
「とりあえず専門家に見て貰いましょう。もしかしたら精神干渉されているかもですし」
そういう立華に千代田が尋ねる。
「ねえ藤丸君」
「はいー?」
「君さ、年齢誤魔化して学校通ってない?20歳位」
「アッハッハッハ」
そんな事ないと言う風に笑う立華。
因みに千代田の指摘は半分正解である。
立華の実年齢はもう少し上である。
(「でも10は行き過ぎ。もうちょっと下ですよ」)
そんな事を内心思っている立華だったが。
「……まあ司波君もそうだけど……」
「「確かに」」
「……」
千代田のコメントには五十里と共に頷いた。
何も言えなくなった達也だった。
◆◆◆
その後、連絡を受けた学校側から迎えが来た。
その人達に平河千秋の事と、氷漬けのスクーターを任せ、学校に戻る。
するとそこには……。
「おや、皆さん御揃いで」
論文コンペの主要人物や七草達幹部が勢ぞろいしていた。
平河小春もいた。
暫く誰も何も言わなかったが。
「ごめんなさい。ウチの妹が迷惑かけて」
小春が頭を下げる。
「あの時、私はCADの不正工作を見抜けなかった」
「アレは仕方ないですよ。昔日本の魔法師を散々苦しめたSB魔法らしいですし」
あの時仕込まれていたのは「電子金蚕」。
有線回線を通して、電子機器に侵入し、ソフトウエア自体を改ざんするのではなく、電気信号に干渉し、これを改ざんする性質を持つ。
そのため、OSの種類を問わず、またアンチウイルスプログラムの有無に関わらず、電子機器の動作を狂わせるのだ。
烈から色々聞いている彼である。
「でもそれに貴方達は気づいたじゃない?」
「あくまで勘ですよ?俺は」
「……ええ。でも司波君」
「はい?」
「貴方はしっかりと気づいた。そして、何かもわかってたじゃない?」
「あくまでSB魔法という事がわかっただけです。アレの詳しい事までは知りませんでしたから」
「それでも私にはわからなかった」
落ち込む小春に対して、五十里が発言する。
「それは僕達も同罪だ。全く気付かなかったんだから」
「啓。気にしちゃダメだよ。司波君がおかしいだけなんだから」
「千代田先輩?」
千代田の失礼な発言に深雪の声が据わる。
室内の気温が下がる。
「ミユキチ、冷静に」
「……」
「キャノン、恋人、フォローした、だけ」
「そうですね……。すいません。取り乱しました」
レイナの言葉に深雪の怒りも収まる。
「それで?下手人は?」
「げ、下手人……」
「ま、間違っていないけど、もう少しオブラートに包みましょう」
レイナの余りの言いように、呆れる渡辺と七草。
「今は保健室にいます。眠っていますね」
市原の答えにレイナは部屋を出ようとする。
「そ。じゃあ、いってくる」
「「「「「「どこへ!?」」」」」」
どこかへ行こうとするレイナを止める一同。
「尋m……、拷問」
「「「「「「余計に酷くなってる!?」」」」」」
「大丈夫。ちゃんと、持ってる」
そう言ってレイナが懐から出したのは奇妙な道具だった。
洋梨型の金属製の道具。
それの正体を知っている立華が呆れる。
「……何で持ってんだ」
「ふーやちゃん、くれた」
『丁度余っておる。お前にやろう』
そんな感じでとあるアサシンのサーヴァント……ふーやちゃんと呼ばれている凄惨な拷問大好き少女から貰ったそうだ。
「やめてやれ」
「……なにそれ?」
「……苦悩の梨です」
立華の答えにほとんどの人の頭上には疑問符が浮かぶ。
だが数人の顔が歪む。
どうやら正体を知っていたらしい。
その後、立華の説明に全員顔が引きつったのは余談だろう。
「大丈夫、死にはしない」
「「「「「「やめろー!?」」」」」」
そのまま部屋から出ていこうとしたレイナを全員で止めた。
(・▽・)分からない人はググってください。