我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者   作:亜亜亜 無常也 (d16)

70 / 85
第十一節:報告、その後

「ただいま~」

 

 喫茶店に戻る。

 すると全員戻っていた。

 

「遅かったな」

「何か、あった?」

 

 達也の言葉とレイナの疑問。

 全員視線を向けており、気になっているようだ。

 それに立華はどう言うか迷い。

 

「虎と戦った」

 

 そう言う事にする。

 ガオーを入れるのも忘れない。

 

「「「「「「虎?」」」」」」

 

 その言葉に雫、ほのか、美月、深雪、レオ、幹比古には疑問符が浮かぶ。

 一方、エリカの顔は驚愕が浮かぶ。

 そして、立華に尋ねる。

 

「ねえ立華君」

「うん?」

「もしかしてその虎って人を食う?」

「よくわかるな!そうだよ」

 

 その答えにエリカの口元に笑みが浮かぶ。

 

「へえ……」

 

 そう言って黙り込んでしまう。

 その言葉で達也も正体を察したのか。

 

「……よく生きてたな」

「状況が状況だったからね」

 

 感心したように言う達也に答える立華。

 

「誰?」

 

 レイナの言葉に。

 

「呂剛虎。人食い虎とも呼ばれている魔法師よ」

 

 エリカが説明する。

 やっぱり知っていたらしい。

 

「もしかして修次さんばりに強い?」

「ええ。次兄上……じゃなかった二番目の兄貴とは3m以内の間合いでの戦闘ならどっちが強いか話題になるほどよ」

「道理で……」

 

 実は立華は夏休みにエリカの自宅にお邪魔したのである。

 その際に偶然彼女の2人の兄が揃っていたのだ。

 因みにその時、立華にはあるサーヴァントが同行しており、剣術勝負が勃発したが、それはいずれ語ろう。

 

「というか立華君戦ったの?」

「まあ、多少殴り合って位」

「!だ、大丈夫なんですか?」

「平気。お互いそんなにダメージなし」

 

 ほのかの心配そうな声にひらひら手を振って答える。

 

「でもさ」

 

 そんな中で雫が発言する。

 

「これ、本格的に不味くなってない?」

「「「「「「……」」」」」」

 

 全員黙り込んでしまう。

 そんな大物が動いているとは、かなり大きな事態になっているようだ。

 

「何か、起こる?」

 

 レイナの言葉に立華は。

 

「まあ起こるだろうさ。規模はわからんけど」

 

 肩を竦めて見せる。

 それに何人か不安そうな顔をする。

 なので立華が軽く笑い。

 

「でも、この場の面々守る位なら余裕さ」

 

 そう言ってカードを数枚出す。

 それを見て不安そうな空気は霧散する。

 

「とは言っても色々注意しないとね。……達也」

「うん?」

「油断しないように」

「……ああ」

 

 ついこの間狙撃を喰らった達也に忠告する立華だった。

 

 ◆◆◆

 

 その後、解散となる。

 そんな中。

 

「レオ」

「うん?」

 

 エリカがレオを呼び止める。

 

「ちょっと付き合いなさい」

「……おう」

 

 ふざけた雰囲気がないので、素直に頷く。

 そして、2人の帰り道、キャビネットの中。

 

「これで終わりじゃない」

「?」

「コンペの妨害工作に、正体不明の外国人にスパイが潜入してるという忠告、最強格の魔法師の暗躍」

「……始まりに過ぎないと?」

「ええ。もっと大きな事が起こるかもしれない」

「……それで?俺への用事は何だ?探偵の真似か?」

「頭脳労働は達也君や立華君に任せておけばいいのよ。アタシ達には出来ることがあるでしょう?」

 

 不敵に笑うエリカに察するレオ。

 

「用心棒か……」

「守るよりも反撃がメインだけどね……」

「怖い女だな……達也や立華を囮にしようってのか?」

「達也君なら殺しても死にゃしないわよ。立華君なら殺しても蘇るでしょうし」

「確かにな」

 

 失礼な2人である。

 でもその通り。

 最低34回違うやり方で殺さないと駄目である。

 一通り明るく話した後、エリカの表情が引き締まる。 

 

「でもそのためには足りないものがある」

「……足りないもの?」

「アンタの歩兵としての潜在能力は一級品よ。普通の戦闘なら服部先輩や桐原先輩よりも素質は上だと思う」

「素質ってことは、今の能力に問題ありって事か?」

 

 自分の戦い方を考えてみるレオ。

 主に硬化魔法を使った白兵戦を自分は使う。

 

(「う~ん……」)

 

 だが、思いつかない。

 

「アンタには決め手が無い。相手を確実に仕留める技が。必殺技が」

 

 そう言われてレオは思い至る。

 確かに自分にはそういう技はないと。

 その時ふと思う。 

 

「オメェにはあるのか?」

「専用のホウキが必要だけどね。立華君や達也君も多分持っているでしょうね。……立華君は腐る程ありそうだけど」

「ああ。でも俺にはあの剣があるぜ?アレは?」

「確かにね。でも達也君の作った”オレイカルコス”は殺傷力が足りないでしょう?」

「……」

 

 無言になるレオ。

 その通りだった。

 そんな彼を真正面から見つめるエリカ。

 

「だからこれからアンタに相手を斬り殺せる技を教えるけど、身に付ける覚悟はある?」

「愚問だぜ」

 

 即答するレオ。

 

「だったらアタシが教えてあげる。〈秘剣・薄羽蜻蛉〉。アンタにピッタリの技をね」

 

 エリカが笑った。

 

「だから暫く予定空けときなさい」

「ああ」




『十二の試練・改(ゴッド・ハンド・オルターレーション)』
ランク:B
種別:対人宝具
レンジ:-
最大捕捉:1人
由来:ヘラクレスの十二の偉業。
生前の偉業で得た祝福であり呪い。Bランク以下の攻撃を無効化し、蘇生魔術を重ね掛けすることで代替生命を十一個保有している。
更に既知のダメージに対して耐性を持たせる効果があり、一度受けた攻撃に対してよりダメージを減少させる……物であったのだが……。
藤丸立華が自分用に改造。Bランク以下の攻撃の無効化をD~E-ランクに落とし、その分のリソースを代替生命に当て、ストックを増やし33個の命のストックにした。
これ以外は特に変わりなし。

(・▽・)<「夏休み編+」の中で
(・▽・)<ある鯖とエリカと兄達と会って戦った話は語られます。
(・▽・)<とは言ってもかなり先になるでしょうし
(・▽・)<いつかはわかりません。
(・▽・)<なのでサブタイトルだけ
(・▽・)<「新・剣豪七番勝負」です♪

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。