我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者 作:亜亜亜 無常也 (d16)
「ただいま~」
喫茶店に戻る。
すると全員戻っていた。
「遅かったな」
「何か、あった?」
達也の言葉とレイナの疑問。
全員視線を向けており、気になっているようだ。
それに立華はどう言うか迷い。
「虎と戦った」
そう言う事にする。
ガオーを入れるのも忘れない。
「「「「「「虎?」」」」」」
その言葉に雫、ほのか、美月、深雪、レオ、幹比古には疑問符が浮かぶ。
一方、エリカの顔は驚愕が浮かぶ。
そして、立華に尋ねる。
「ねえ立華君」
「うん?」
「もしかしてその虎って人を食う?」
「よくわかるな!そうだよ」
その答えにエリカの口元に笑みが浮かぶ。
「へえ……」
そう言って黙り込んでしまう。
その言葉で達也も正体を察したのか。
「……よく生きてたな」
「状況が状況だったからね」
感心したように言う達也に答える立華。
「誰?」
レイナの言葉に。
「呂剛虎。人食い虎とも呼ばれている魔法師よ」
エリカが説明する。
やっぱり知っていたらしい。
「もしかして修次さんばりに強い?」
「ええ。次兄上……じゃなかった二番目の兄貴とは3m以内の間合いでの戦闘ならどっちが強いか話題になるほどよ」
「道理で……」
実は立華は夏休みにエリカの自宅にお邪魔したのである。
その際に偶然彼女の2人の兄が揃っていたのだ。
因みにその時、立華にはあるサーヴァントが同行しており、剣術勝負が勃発したが、それはいずれ語ろう。
「というか立華君戦ったの?」
「まあ、多少殴り合って位」
「!だ、大丈夫なんですか?」
「平気。お互いそんなにダメージなし」
ほのかの心配そうな声にひらひら手を振って答える。
「でもさ」
そんな中で雫が発言する。
「これ、本格的に不味くなってない?」
「「「「「「……」」」」」」
全員黙り込んでしまう。
そんな大物が動いているとは、かなり大きな事態になっているようだ。
「何か、起こる?」
レイナの言葉に立華は。
「まあ起こるだろうさ。規模はわからんけど」
肩を竦めて見せる。
それに何人か不安そうな顔をする。
なので立華が軽く笑い。
「でも、この場の面々守る位なら余裕さ」
そう言ってカードを数枚出す。
それを見て不安そうな空気は霧散する。
「とは言っても色々注意しないとね。……達也」
「うん?」
「油断しないように」
「……ああ」
ついこの間狙撃を喰らった達也に忠告する立華だった。
◆◆◆
その後、解散となる。
そんな中。
「レオ」
「うん?」
エリカがレオを呼び止める。
「ちょっと付き合いなさい」
「……おう」
ふざけた雰囲気がないので、素直に頷く。
そして、2人の帰り道、キャビネットの中。
「これで終わりじゃない」
「?」
「コンペの妨害工作に、正体不明の外国人にスパイが潜入してるという忠告、最強格の魔法師の暗躍」
「……始まりに過ぎないと?」
「ええ。もっと大きな事が起こるかもしれない」
「……それで?俺への用事は何だ?探偵の真似か?」
「頭脳労働は達也君や立華君に任せておけばいいのよ。アタシ達には出来ることがあるでしょう?」
不敵に笑うエリカに察するレオ。
「用心棒か……」
「守るよりも反撃がメインだけどね……」
「怖い女だな……達也や立華を囮にしようってのか?」
「達也君なら殺しても死にゃしないわよ。立華君なら殺しても蘇るでしょうし」
「確かにな」
失礼な2人である。
でもその通り。
最低34回違うやり方で殺さないと駄目である。
一通り明るく話した後、エリカの表情が引き締まる。
「でもそのためには足りないものがある」
「……足りないもの?」
「アンタの歩兵としての潜在能力は一級品よ。普通の戦闘なら服部先輩や桐原先輩よりも素質は上だと思う」
「素質ってことは、今の能力に問題ありって事か?」
自分の戦い方を考えてみるレオ。
主に硬化魔法を使った白兵戦を自分は使う。
(「う~ん……」)
だが、思いつかない。
「アンタには決め手が無い。相手を確実に仕留める技が。必殺技が」
そう言われてレオは思い至る。
確かに自分にはそういう技はないと。
その時ふと思う。
「オメェにはあるのか?」
「専用のホウキが必要だけどね。立華君や達也君も多分持っているでしょうね。……立華君は腐る程ありそうだけど」
「ああ。でも俺にはあの剣があるぜ?アレは?」
「確かにね。でも達也君の作った”オレイカルコス”は殺傷力が足りないでしょう?」
「……」
無言になるレオ。
その通りだった。
そんな彼を真正面から見つめるエリカ。
「だからこれからアンタに相手を斬り殺せる技を教えるけど、身に付ける覚悟はある?」
「愚問だぜ」
即答するレオ。
「だったらアタシが教えてあげる。〈秘剣・薄羽蜻蛉〉。アンタにピッタリの技をね」
エリカが笑った。
「だから暫く予定空けときなさい」
「ああ」
『十二の試練・改(ゴッド・ハンド・オルターレーション)』
ランク:B
種別:対人宝具
レンジ:-
最大捕捉:1人
由来:ヘラクレスの十二の偉業。
生前の偉業で得た祝福であり呪い。Bランク以下の攻撃を無効化し、蘇生魔術を重ね掛けすることで代替生命を十一個保有している。
更に既知のダメージに対して耐性を持たせる効果があり、一度受けた攻撃に対してよりダメージを減少させる……物であったのだが……。
藤丸立華が自分用に改造。Bランク以下の攻撃の無効化をD~E-ランクに落とし、その分のリソースを代替生命に当て、ストックを増やし33個の命のストックにした。
これ以外は特に変わりなし。
(・▽・)<「夏休み編+」の中で
(・▽・)<ある鯖とエリカと兄達と会って戦った話は語られます。
(・▽・)<とは言ってもかなり先になるでしょうし
(・▽・)<いつかはわかりません。
(・▽・)<なのでサブタイトルだけ
(・▽・)<「新・剣豪七番勝負」です♪