我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者 作:亜亜亜 無常也 (d16)
(・▽・)<……まあわかりますね。
品川のとある料亭の個室。
2人の男性と1人の青年が向き合い、話し合っていた。
1人目は40歳程度で、中肉中背の中年体型。
もみあげから口元を覆う髭が特徴的だった。
2人目のその隣の男は、立華と戦った呂剛虎である。
そして、3人目の青年。
髪の毛は長髪で、見目麗しい貴公子然として涼やかな容貌の青年だった。
「例の少女が何もせぬまま捕らえられたようですな?」
「陳閣下のご懸念は理解しているつもりです。しかし、彼女にはこちらの素性を一切伝えていませんので、情報漏洩の危険性はないと思われます」
「……周先生がそういうのであれば大丈夫なのでしょう。しかし……」
陳閣下と呼ばれた男……陳祥山の言葉に相槌を返す周先生と呼ばれた青年……周公瑾。
「ええ、心得ています。近日中に様子を見て参りましょう」
周公瑾は丁寧に一礼するのを、陳祥山は満足そうに眺めている。
その隣の呂剛虎は鋭い視線を送っていた。
呂剛虎はこの前、工作員を1人消し損ねた。
だが、その責任は問われていなかった。
それよりも厄介な相手が向こうにいる事がわかったからである。
そして、今は優先するべき事があるからだ。
周公瑾がいなくなり、料亭の個室には2人が残っていた。
「呂上尉」
陳祥山は隣にいる呂剛虎に対して命令を下した。
「小娘を消せ」
「
◆◆◆
そして、ある日曜日。
千秋の入院している国立魔法大学付属立川病院の面会時間は12:00~19:00である。
現時刻は午後の四時過ぎ。
なので、花束を抱えたスーツ姿の青年……周公瑾が歩いていても不思議は無い。
だがその貴公子然とした青年が歩いているのにも関わらず、黄色い声や歓声が聞かれそうなのに、見舞い客や看護師が反応を示さないというのは、奇妙だった。
まるでその周公瑾の存在を気にしていないかのようだった。
その青年は案内板に目を遣ることも無く迷いの無い足取りで歩いて行く。
エレベーターを使わずに徒歩で階段で四階まで上がり、廊下に出た時点で彼の足は止まっていた。
自分が訪れようとしている病室の前に、見覚えのある大柄の青年……呂剛虎が立ち止まっていたのだ。
「おや……?」
自分がここを訪ねるのは彼の上司にも伝えてある。
ここに入院している少女を見舞う事は、その上司には異論が無いはずである。
ならば、自分のお見舞いの邪魔をする人間の邪魔をしても、彼との関係には何の問題も生じない事になる。
周公瑾は何食わぬ顔で、非常ベルのボタンを押す。
そして、気配を消して成り行きを見守る事にする。
もしもの時は逃走の手助け位はするつもりだった。
(「どうなりますかね?」)
呂剛虎がドアを開けようとして、ロックが開かないので、ぶっ壊して入室した時だった。
「殺菌!」
部屋から声が響く。
その声と同時に入室したばかりの呂剛虎が吹っ飛びながら出てきた。
倒れる事なく、何とか態勢を整える呂剛虎。
「!?」
その光景に驚く周公瑾。
彼は魔法師としての呂剛虎を知っている。
その戦闘力を知っている。
まさか、それを吹き飛ばす者が護衛にいるとは。
「様子を見てみますか……」
そう言って様子を伺う。
心なしかウキウキしている。
そして、病室から出てきたのは……。
白衣を着た看護師だった。
西洋風の顔立ちをしている外国人。
赤みがかった長い髪の毛を後ろで三つ編みにしている。
ここまでならただの看護師である。
だが……。
「随分古風な物を……」
手にはペッパーボックスピストルを持っている。
今の時代に完全に合っていない。
「私の目の前で患者を殺そうなどとは言語道断です。貴方の命を奪ってでも患者を救いましょう」
物騒な言葉を平然と吐く。
そして、自らの治療の邪魔者に襲い掛かる看護婦。
それを呂剛虎は迎撃する。
この看護婦は勿論ただの看護師ではない。
その正体は世界で最も有名である看護師。
看護師、統計学者、建築学者、社会学者、教育学者、看護学者、社会福祉士など、様々な顔を持つマルチタレント。
そして藤丸立華の契約英霊の1人。
真名フローレンス・ナイチンゲール。
クラスは見て分かる通りバーサーカーだった。
性格はとある復讐者から獣の様とも評される。
たったひとりの軍隊ともいうべき不屈性を持った信念の女。
その精神性と狂化が合わさり、(恐らく)生前と異なり「人の話を全然聞かない」状態になっている。
その凄まじい苛烈さはM氏から。
『ブレーキの壊れたダンプカー』
呼ばわりされるほどである。
彼女にとって優先するべきは患者を救う事。
その患者を殺そうとするのならナイチンゲールは絶対に容赦はしない。
(・▽・)<答えは「白衣の天使」
(・▽・)<「鋼鉄の白衣」でも正解です。
(茶っ茶)<同じバーサーカーだけどあんまり嬉しくない。