我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者 作:亜亜亜 無常也 (d16)
そして、翌日。
学校でいつも通りに過ごす2人。
そんな中。
「おや藤丸さん、鷹山さん」
偶然通りがかった市原に出会う。
世間話をする事になる。
「お2人は昨日の件は聞きましたか?」
「「はい」」
「そうですか……」
市原が昨日の達也の件を話題にする。
「リンちゃん先輩」
「……その呼び方はやめてくれませんか?」
「あのゴリラ、動機は?」
「ゴリラって……」
「まあいいでしょう。それは……」
鈴音が答える。
「彼は純粋に魔法の発展を望んでいます。魔法理論は世界で一丸となって発展させるべきだというオープンソース主義者というわけなのです。だからこそ、魔法後進国にも我が国の魔法技術を公開し、世界的に発展を促すのが目的だそうです」
その答えに立華とレイナは何も言えなくなる。
暫くして立華が口を開く。
「悪くはないですけど……」
「ええ。軍事的対立がなければ素晴らしい考えですが、国家機密漏洩の罪に問われる可能性すらありますね」
市原が関本の考えを切り捨てる。
だが、関本だけが悪いとは言い切れない。
その考えに付け込まれ、マインドコントロールを仕掛けられたのだ。
時間をかけず、証拠も残さずにマインドコントロールを行っている様子を鑑みると、精神干渉系の魔法師が関与している可能性が高い。
(「やっぱり”アイツ”かなあ」)
アサシン達の報告にあった、横浜中華街の人気中華料理店のオーナーである「周公瑾」。
色々暗躍しているらしく、千秋にも会っていたそうだ。
だが、敵もさるもの引っ搔くもの。
どうにも尻尾を掴ませない。
どうしようかと考えながら、市原と別れ風紀委員室に行く。
すると。
「千代田風紀委員長」
「ダメ」
「……何も言っていませんが」
「先んじて言っておくの。どうせ面倒事なんだから」
「……」
「で?要件は?」
「今日は関本勲への面会申請w」
「ダメったらダメ」
「……何故なのでしょう?」
「気づいてないの?」
扉の向こうで言い争いが聞こえる。
達也と千代田だった。
「この短い期間に貴方を狙う人が学内から2人も出たのよ!?貴方は誰がどう見てもトラブルメーカーなんだから!これ以上仕事を増やされたらたまったものじゃないのよ!」
千代田の絶叫が聞こえた所で入室する2人。
そこには達也と千代田だけでなく、渡辺がいる。
視線が向いた所で立華が千代田に告げる。
「先輩」
「……何?」
「許可出した方がいいと思いますよ?」
「……どうして?」
「だってこのままだったら、達也が無断侵入して余計面倒な事になりますよ」
「……」
立華のフォローとも貶しているともつかぬ言葉に何も言えなくなる千代田。
因みにそれを聞いて、レイナと渡辺は笑いを懸命に堪えていた。
達也は不服そうな表情をする。
そして、何とか笑いを収め、渡辺が口を開く。
「花音。気持ちは分からなくもないが、まあ落ち着け」
そして助け舟を出す。
「明日、あたしと真由美で関本の様子を見に行く予定なんだ。それに同行させるなら構わないだろう?」
それに彼女は。
「まぁ、摩利さんが面倒見てくれるって言うのなら……」
仕方なくといった風に納得する。
達也も渡辺の言葉に頷いた。
……非常に何か言いたそうだったが。
「俺も行っていいですか?」
「……立華君がか?」
「はい。どうも嫌な予感を感じまして……」
「「「うわあ……」」」
「何か起こるの確定じゃない……」
立華の勘の良さは皆知っている。
レイナと達也、渡辺の顔が曇り、千代田が机に突っ伏した。
◆◆◆
次の日の放課後、達也と立華、渡辺、七草は共に関本が拘留されている八王子特殊鑑別所へ向かった。
論文コンペまでもう日にちは一週間を切った。
まさしく最後の追い込み。
なのだが、達也の仕事は速いので、手を離す余裕はあった。
実のところ「お兄様の愉快な仲間達」も来たがったが……。
渡辺を敵視しているエリカや、上級生な上、あまり親しいとは言えない女子との行動は男子高校生にはハードルが高かった。
深雪は行きたがったものの、仕事で抜けられず、現在一校はブリザードが吹き荒れていた。
そして、レイナ。
『これと、これと♪』
五寸釘と蝋燭、異端者のフォークを用意し始めたので、置いて来た。
どう見ても拷問官にしか見えなかったのだ。
……まぁ委任状は4人分しか出てなかったのではじめから無理だったが。