我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者 作:亜亜亜 無常也 (d16)
深雪が自分の教室に行くと、そこには見事な逃走を果たした2人がいた。
先に登校していた雫とほのかと話している。
深雪を確認すると、2人共いたずらが見つかった子供のようになった。
そんな2人に七草の伝言を伝えると。
「早退したい」
「同意」
「……2人共」
すっごく嫌そうな顔で答える。
気持ちはわかる深雪である。
「絶対、面倒事」
「だよなあ」
溜息を吐く2人。
「リッカ。帰ろう?」
「それがいいような気がするな。俺の勘が言ってる」
「じゃあ、早退?」
「ダメだと思いますよ?」
「逃げたら。また後日になるよ?」
「あの会長でしたら、放送とかで呼び出す可能性もありますよ?」
「「……」」
ほのかと雫、深雪の言葉。
それに立華とレイナは沈黙。
そして。
「しょうがない。行くか」
「でも、面倒事、嫌だ」
「そしたら、吹き飛ばせばいい。物理的に」
「そうか。そうだね」
「「「ダメですよ!?」」」
立華が出した意見とそれに同意するレイナにツッコム3人。
「冗談……にしたい」
「したい!?」
「大丈夫大丈夫。死人は出ない」
「死傷者を出す気ですか!?」
「殺さない、半殺し」
「え!?」
「「冗談。アッハッハッハ」」
笑う2人に沈黙してしまう。
「(だ、大丈夫なんでしょうか?)」
昼休みが来るのが怖くなってきた深雪だった。
とは言っても時間を止めたり、ゆっくりにすることは深雪には出来ない。
そのため、昼休みは来てしまった。
予鈴が鳴った瞬間に逃げようとした立華とレイナをほのかと雫、森崎(協力してくれた)で何とか捕まえ、合流してきた達也と一緒に引きずって行く。
達也が立華を掴み、深雪がレイナを引きずる。
……そのせいで目立ってしょうがない。
視線が痛い。
「放してくれ~」
「放せば、わかる」
引きずられながら、平常運転の2人。
「それを言うなら「話せば」だ。それにそれ言った人は問答無用で殺されているぞ?」
「確かに」
「これはちゃんと言った言葉らしいよね」
「どういう事ですか?」
「歴史上の偉人とかってさ、言っていないのに言った事にされてる言葉があるらしいし」
「……なるほど」
そのような会話をしている内に生徒会室に辿り着いてしまう。
「覚悟、決めなきゃ」
「是非もなし」
何とか態勢を整え、呼吸を整える2人を後目に深雪はドアホンを押す。
「どうぞ。入っていいわよ~」
入室の許可が出たので、4人で入室。
席に付き、昼食となる。
ダイニングサーバーがあり、達也と深雪は精進、立華は魚、レイナは肉を頼む。
料理を待っている間に軽い自己紹介が行われる。
「まず私の隣が会計の市原鈴音、通称リンちゃん」
整ってはいるが、顔の各パーツは少しきつめの印象で、背が高く手足も長く、美少女というより美人と表現するほうが相応しい容姿である少女。
リンちゃんは似合わない気がする。
「そう呼ぶのは会長だけです」
「じゃあ、わたし、呼んでいい?」
「いいわよ!」
「……何で会長が返事をするのですか!?」
レイナの言葉になぜか返事する七草。
その言葉にツッコミを入れる市原だった。
「そして、摩利は紹介したから」
「それから書記の中条あずさ、通称あーちゃん」
中学生に見えるくらいの小柄な童顔の少女。
こちらはぴったり。
「会長……。お願いですから下級生の前で『あーちゃん』は止めてください!私にも立場というものがあるんです!」
「立場?なさそう?」
「酷いです!?」
レイナの言葉に突っ伏すあずさ。
そんなレイナに深雪が指摘する。
「あの……レイナ」
「何?」
「貴方は何か言わなきゃ気が済まないの?」
「言った方、いいかな、て」
「言わない方がいい事もあるんだよ」
「そう」
立華の言葉に頷くレイナだった。
そんな感じで話していると、料理が出来上がる。
なので食べ始める。
他愛ない話をしていたのだが、そんな中。
レイナが渡辺の方を向き尋ねる。
「渡辺」
「レイナ。先輩を付けろ。失礼だ」
レイナの言葉使いに立華が注意する。
「先輩」
「遅れたな……。まあいい。何だ?」
「弁当、自分、作った?」
「ああ。意外か?」
「全然。強い人、料理、美味い場合、多い。おかん三人衆、料理、プロ級」
渡辺のからかうような笑みにレイナが間髪入れずに答える。
その発言に深雪が尋ねる。
「何?おかん三人衆って」
「おかあさん、みたいな、3人。強い、料理上手い、特に、1人、ヤバイ」
「……そうなの?」
「うん。完全、狂人。悪い人じゃない。でも、狂人。とっても強い、そして、狂ってる」
「三度言うほどに!?」
どんな人なんだろうとこの場の全員が思った。
……彼らが会う事になるのは結構先である。
その後、達也と深雪も弁当について話始める。
「私たちも、明日からお弁当にいたしましょうか」
「それはとても魅力的だが、食べる場所がね……」
「そうですね、まずそれを探さなければ……」
恋人のような雰囲気を醸し出す2人。
そんな会話を見たレイナが立華の袖を引っ張る。
「わたし、弁当、食べたい」
「おう。いいぜ。じゃあ明日は弁当にするか?」
「うん。嬉しい」
こちらも恋人のような会話であった。