とある斜陽王国における勘違い戦線   作:himeneko

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聖騎士、ゴブリンを討伐する

 

やあ、久しぶり。シアルフィ公爵家嫡男のシグルドだ。

 

 

光陰矢の如しとはよく言ったもので、この度めでたく十歳を迎えたよ。

ん? また年代が飛びすぎだって?

 

話すほどの事は無かったから仕方ないさ。

 

パパンからシアルフィ家に代々伝わる剣技や武技を学んだり。

フールーダと魔法を勉強したり。

フールーダと魔法を研究したり。

フールーダと魔法を実践したり。

フールーダと魔法を暴発したり。

ひたすらフールーダに鍛えられた五年間だったよ(白目

 

魔法の理論とか、魔法の成り立ちとか、魔法の意義とか……

 

ぐわああああーーーー!!!(発狂

 

僕は感覚で魔法を使ってるだけなんだよ!

理屈とか知らん分からん(逃避

そもそも僕のメインジョブは聖騎士で、つまり前衛職なんだっての!

 

ハァハァ……思い出しただけで辛い(涙

 

前世含めてもこんなにハードな勉強ライフは初体験だよ。

実際、地頭は相当良くなった実感があるから感謝してるけど。

 

つーかフールーダまじヤバイ。

たった五年で位階を8まで上げやがった。

しかもユグドラシルには存在しなかった、この世界固有のオリジナルスペルまで産み出す始末。

これ普通にキチガイ沙汰なんだよ。

例えるなら自動車を見ただけで、基礎理論から製法まで寸分違わず複製した上で飛行機を作ったようなものなんだ。

 

理論を修めたからこそ解る師の偉大さよ。

この世界のレベルが低いとか生意気思ってすみませんでした(土下座

 

 

他にも……えっ、なんか口調が砕けまくり?

 

ハハハ、そこは適当にスルーしてほしい。

社会人としての記憶が大半だったからこその丁寧語だったんだ。

流石に今世の体に口調も引っ張られてね。

下品になりすぎない程度は見逃してくれ。

 

普段はちゃんとネコ被ってるから!(白目

 

 

まあいいや、近況報告はこれくらいにして、パパンに呼ばれてるんだった。

ちょっと行ってくるよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

領内に蔓延るモンスターを討伐することになったよ。(震え声

 

 

意味わかんないぜパパン。

僕まだ十歳よ?

レベル100相当の前衛職のステータスがあってもチャイルドなのぜ?

 

聖騎士ムーブ的に領民のために戦うことに不満はないんだ。

でも早すぎるよ、せめて成人するまで……What?

 

パパン、其の手に持ちたる見覚えある聖剣は一体……(白目

 

えっ、僕にくれるの!?

やったー! これで全力で振ったら壊れる数打ちの剣とおさらばできるぜ~。

どれどれ、鞘から抜いてみますかね。

 

 

おっほおおおおおおおおおお!?!?

 

 

力が漲るぞ、なにこれスゴイ!?

しかもユグドラシルでお世話になったティルフィングそっくりじゃん!

パパン、この剣の銘を教えてクレメンス(錯乱

 

まっじかよ、おい!

聖剣ティルフィングって同姓同名かよ!

運命を感じざるを得ない、つーかこれ神器級超えてる風味なんだけど(震え声

 

まさか世界級……?

 

転生直前に運営に強化をお願いしたマイソード?

 

 

ハハッ、さすがにそれはないだろ(真顔

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はい、やって来ました領内某所。

 

 

少数の手勢を引き連れて、近隣の大森林から出てきたゴブリンの群れと交戦中。

さすがパパン自慢のグリューンリッターは強いなぁ。

次々にゴブリンたちを駆逐していく。

あ、フールーダのボルガノン(第八位階)で地形が変わったんですが……(白目

モンスター被害より深刻な被害になってそうなんだが……

 

ええいモンスターめ、聖剣の試し斬り……もとい領民の安寧のためわが剣の露と消えよ!(逃避

 

 

特筆することもなく、僕の初陣は大勝利のうちに終了。

ゴブリンは瞬く間に一掃された。

ただの貴族のボンボンと侮ったうぬらの不覚よ(キメ顔

 

被害は草原の一部(虚偽)が痛ましい姿になったくらいだ。フールーダ、お前のせいだよ!

まったく苦情の対応をするのは僕なんだからな。

 

うん? 僕に会いたいって男が来てる?

しかも最近天才剣士と評判の若者だと!

 

早速クレームが来たじゃないか!?

クッ、待て慌てるな。

前世で培ったお客様完全接待マニュアルで迎え撃てばいいんだ。

さあ社内一の営業の実力を見るがよい!

 

こんちはー、天才剣士さん。

話を聞いてほしい、僕らに悪気はなかったんです。信じ……

 

えっ、僕の剣技に惚れた?

剣に自信があるから是非うちの家臣団に入りたい? クレームじゃないの?

 

 

 

 

 

 

 

 

フールーダの圧迫面接の結果、天才少年剣士のブレインさんが仲間になった!

 

ちょ、やめてよ。

圧迫面接とか不幸しか生まないだろ!

相手は一応僕より年上だけど、まだ大人とは言えない年齢だぞ!

うちはホワイトで売ってんだよ。変なイメージが付いたらどうしてくれる。

 

……聞いちゃいないよ、うちの爺は(諦め

 

ブレインさんも気にしないでよ。

うちはアットホームな職場だからさ。

福利厚生も充実してるし、給金だって並の騎士より……

そんなことより僕が使っていた武技について聞きたい?

 

まあいいけど、別に隠すようなもんじゃないし。

屋敷に帰ったら、って、えっ、今ここで手合わせしながら実演してほしいの!?

そりゃ無茶だよ!

天才剣士とはいえ君のレベルは……ユグドラシル換算で20弱ってとこだろう。

僕の武技が掠っただけで即昇天だよ。

 

死ぬ気で見切るから平気へーきって……

 

ヤバイ、この人フールーダと同類だ(白目

 

 

 

 

 

 

 

 

ブレインさんが三度ほど三途の川下りをしたところで屋敷に帰りました(疲労

 

やっぱり物理版フールーダだったよ、あの人(震え声

ストイックに強さを求めてるだけだから変態と一緒にしたら失礼かもだけど。

 

これから長い付き合いになるだろうし、彼が強くなること自体は大賛成なんだ。

でもレベルが低すぎて模擬戦すら成立しない。

向上心は素晴らしいけど、普通の訓練だとレベル全然上がらないからなぁ。

カッツェ平野で無限湧きするらしいアンデッドを狩りまくるか?

いや、あそこは帝国との係争地だし無理だな。

 

……いっそ僕の召喚した天使を使ってパワーレベリングするか(ゲス顔

 

おっといけない。

今の考えは僕の理想とする聖騎士ムーブに反するものだ。

自重しよう。

 

そもそも手持ちの強力な装備は聖剣ティルフィングだけなんだよなぁ。

僕自身の防具すら仕立ての良い貴族服のみなんだ(白目

武器だけは神器級を越えちゃってるレベルなのに、一体どうなってるんだ?

 

聖剣カテゴリの適性を上げるために鍛冶師(聖剣)の職業を取ってるけど、僕に鍛冶なんて出来るの?(困惑

 

この件は保留だな。

まあ各種耐性はパッシブスキルで大体対応できてる。

危険な攻撃は次元断層で防げばいいし、ぶっちゃけ防具なんて必要ないしね(慢心

フールーダに話を振っておけば、悪いようにはならんだろう、うん。

 

 

さて、成人の儀まで何年もあるから完全な聖騎士ムーブを極めるために日々を費やすとしよう。

だから面倒事は当分ごめんだからね(フラグ

 

 

おや、何か用かいフールーダ。

 

今度は開拓村を襲った野盗の討伐?

は? そこはよその貴族の領地なんじゃ……

 

あそこの領主はクズだから開拓民は見捨てられただって!?

おのれ、貴族の風上にも置けないヤツめ!

フールーダ、すぐに父上の許可を取れ。

それが済み次第 出撃……もう取ってる?

よし、それじゃあ随伴する兵士の編成……も、済んでる?

 

根回し良すぎない……?(震え声

 

なにか企んでないよね?

困ってる人を助けるのは聖騎士(笑)の本懐でしょうって……

 

ッ、ああそうだとも!

弱きを助け邪悪を討つことこそ我が聖騎士ムーブ!

助けを求める声あらば、馳せ参じてみせるとも!!(キリッ

 

 

……言質は取りましたぞって、なにそれこわい(戦慄

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このあと毎日出撃した(過労死

 

 

 


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