ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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第三章 37

 

 そして俺達は、警戒厳重の防衛線から外に出ようとしていた。

 

 既にクーデター部隊が遠距離から睨みを利かせている。こっから外に出たらもろに仕掛けられるだろう。

 

 まず間違いなく、俺達は命がけで戦線を突破しなけりゃならないって事だ。

 

「いい? 私が霧を展開して隙を作るから、一気に突破するわよ。イッセーは譲渡で装甲車の強度向上。二条城迄止まらないからね」

 

「分かりました!! 意地でも硬くし続けます!!」

 

 突破する為に、自衛隊から装甲車を貰った。

 

 一応免許は持っている姐さんが運転して、俺たちは強引に二条城まで突入する予定だ。

 

 もちろん敵も攻撃してくるだろうが、そこはイッセーが譲渡で装甲を強化する事で無理やり突破する作戦だ。譲渡便利だな、オイ。

 

 そして俺達が突入しようとした時―

 

「―赤龍帝! 私も連れて行ってくれ!!」

 

 強引に囲いを突破して、九重が俺たちに懇願してきた。

 

「下がってろお嬢ちゃん! 荷が重い!!」

 

「そうだ! 流石にまずいぞ!!」

 

 周囲を警戒していた自衛官が受け止めるが。九重は勢い良く頭を下げる。

 

「母上は私が助けたいのじゃ!!」

 

 ……気持ちはわかるけど、さすがに……。

 

「―足手まといよ。帰りなさい」

 

 と、姐さんがバッサリと切り捨てた。

 

 お、おいおい。ちょっとさすがにそれは言いすぎだろ、姐さん。

 

 イッセーたちもさすがにちょっとかわいそうになって、表情が曇っている。

 

「待ってくださいよ。何かの役に立つかもしれないじゃ―」

 

「こういうのは悲観的観測で行くべきよ。立つかもしれないじゃなく、確実に立つと断言できる戦力しか連れていけないわ」

 

 イッセーの反論もバッサリと切り捨て、姐さんはかがみこむ。

 

 そして、九重と目線を合わせて、その肩をがっしりと掴む。

 

「……あなたがそうやって無理に行きたがるのは、あなたが弱いからよ。心が弱いから、何かしないと我慢できないだけ」

 

 はっきりと、そう告げた。

 

「貴方が役に立つ可能性より、貴方をフォローすることで発生する負担の方が大きいわ。そしてそれは、ヴィクターの精鋭である英雄派と戦うにあたってマイナスにしかならない。……いい、この世界は無条件に弱さを受け入れたりはしないの。あなたの弱さの補填に、私達を使わないで」

 

 ものすごい辛辣な意見だが、然し正論でもある

 

 ……間違いなく、この戦いは激戦だ。下手すると俺たちが経験した闘いの中でも最高峰かもしれねえ。

 

 なにせ敵の精鋭部隊である英雄派だ。それも幹部クラスと直接激突する可能性がある。少なくとも質なら最高レベルだ。

 

 確かに、不安要素はできる限り減らすべきだ。

 

「攻撃を避けれない的を増やす余裕はないの。恨むなら、確実に役に立つと断言できるものを持てなかった自分を恨みなさい」

 

 そういうと、姐さんは立ち上がって運転席に座る。

 

 そして―

 

「ここは強い私たちに任せなさい。身の程をわきまえて足を引っ張らないように動く立ち回りの良さも、立派な強みと心得なさい」

 

 そういって、親指を立てた。

 

 ……姐さん。さすがに英雄なだけはあるな。

 

 厳しいだけじゃない。確かにフォローをするだけの能力はきちんとある。

 

 そして、俺達を見渡した。

 

「悪いけど、意地でも救出する羽目になったわ。気合を入れてね?」

 

 ふっ。とんだ無茶振りを強いられたもんだぜ。

 

 だが、そんなのは当然だな。そもそも選択肢ですらねえ。

 

 イッセー達も気合を入れて、装甲車に乗り込んだ。

 

 そして、一気に姐さんがアクセルを踏み込み、敵の中へと切り込んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、何とか二条城まで突入した。

 

 既に銃声が響き渡り、ところどころで悪魔やウツセミが暴れている。

 

 そして、ドーインジャーとウツセミが激戦を繰り広げていた。

 

 とどめにレヴィアたんが暴れたのか、あちこちが氷に包まれている。……加減しろレヴィアたん。

 

 そして、戦況はどうやらこっち側に傾いているようだ。それも圧倒的有利レベルで。

 

「なんか、俺達って来る必要あったのか?」

 

 イッセーがそんなことを言うのも仕方がないだろう。

 

 見た感じ、死傷者も殆ど出ていないようだ。アーシアを出張らせる必要もないってレベルだな。

 

「グレモリー眷属のものか!」

 

「よくここまで来れたな。すごいじゃねえか!」

 

 と、自衛官がウツセミを伴ってこっちに駆けつけてきた。

 

 その表情から見ても、なんか状況は有利みたいだな。

 

 いや、いくらレヴィアたんの眷属がいるっつっても、かなり優勢じゃねえか?

 

「すいません。状況はどうなってますか?」

 

「ああ。英雄派の主力は既に撤退に移行している。今はドーインジャーを足止めに展開している形だな」

 

 木場の質問に、自衛官達はすぐに答える。

 

 あれ? 英雄派、思った以上に雑魚い?

 

「……それで、八坂様はいったいどちらに?」

 

 ロスヴァイセさんが周囲を確認しながら、一番肝心な事を聞く。

 

 おっとそうだった。一番重要なのは八坂さんの救出だ。九重も泣いていたしな。

 

 そして、それをおそらく英雄派も守護していたはず。

 

 態々場所まで指定したんだ。曹操達がここにいないわけがないんだが……。

 

「現在、我々が制圧した二条城には影も形もない。おそらくまだ制圧できていない地点のはずだ」

 

「英雄派に連れ去られた可能性はあるかしら」

 

 姐さんが確認するが、それにも自衛官は首を振る。

 

「撤退している者達は目視で確認されている。そこには八坂様と思われる人物は確認できない」

 

 ……目視で確認?

 

 その言葉に、俺は違和感を覚えた。

 

 なにせ英雄派は絶霧を独自に保有している。

 

 態々走って逃げる必要なんてないはずだ。

 

 何か、おかしくないか?

 

 俺以外の皆もそう思ったのか、一気に表情が険しくなる。

 

 そして、真っ先に姐さんが反応した。

 

「……全員、周囲を警戒しなさい!!」

 

 直ぐに姐さんは周りを見渡すと、全身にオーラを纏う。

 

 その理由は、すぐにわかった。

 

 これは、絶霧の霧か!!

 

 その瞬間、俺は思い出した。

 

 渡月橋で英雄派達が襲い掛かる時に展開した異空間。渡月橋周辺にそっくりなだけじゃなく、かなりの広さがあった。それも、一つの都市を丸ごと展開できるぐらいに。

 

 やられた! あいつらが言っていた二条城は、ここじゃない。

 

 あの時展開した異空間。そこにある二条城って事だったのかよ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、俺は異空間の京都タワーにいた。

 

 ……なるほど。取り込む際に個別に転移させる事も出来るってわけか。芸が細かいな、オイ。

 

 で、つまり各個撃破が目的のようだが、誰が来る?

 

 曹操か? ヘラクレスか? それとも教皇の首を取ったジャンヌとかいう女か? 

 

 ゲオルクは違うだろう。アイツがやられたらこの空間が消え去っちまうはずだ。

 

 ジークも違うだろう。あいつは間違いなく姐さんを狙うはずだ。

 

 しっかし困ったな、オイ。

 

 最初は八坂姫を救出さえ出来れば、さっさと逃げる事が前提だった。

 

 だが、この状況では無理だ。この異空間を生み出しているゲオルクを倒さねえ限り、脱出できるとは思えねえ。

 

「チッ! つまり英雄派をどうにかするしかねえってことか」

 

 俺が舌打ちしたその直後、殺気を感じた。

 

 素早く飛びのいて攻撃をかわし、そして即座に聖槍を抜き―

 

「させねえよ」

 

 その瞬間、聖槍が消滅する。

 

 それだけじゃない。事前に準備していた魔剣すら消え失せ、しかも電磁力を操作する事も出来ない。

 

 ……これは、異能の棺(トリック・バニッシュ)! それも、禁手(バランス・ブレイカー)に覚醒してやがる!!

 

「……我を覚えてるかぁ? 聖槍ぅ」

 

 そこに現れたのは、見覚えのある男。

 

 俺は数秒間考え込んで……思い出した。

 

「お前、亡命者を追っていた英雄派の―」

 

「その通りだぜぇ!!」

 

 即座に拳が飛んで、俺はそれを受け止める。

 

 チッ! 神器が一つも使えねえってのは、流石にきついな!!

 

 しかも異能の棺は負担がでかいはずなのに、まったく消耗してる様子がねえ。

 

 めちゃくちゃ動きが軽い。しかも拳も重い。止めに隙もねえ。

 

 この野郎、この数週間でどこまで鍛えやがった!!

 

「我の異能の鎮魂歌(トリック・バニッシュ・レクイエム)と、この拳の前に、死ぬがいいヒロイ・カッシウス!!」

 

 この野郎! そう言っておきながら、致命傷にならないところばかり狙ってやがる。

 

 いたぶって殺す気か? 性格悪いな、オイ!!

 

「我がてめえが大っ嫌いだ! できるだけ苦しんで死にやがれぇ!!」

 

 ……この野郎、あんまりなめんじゃねえぞ!!

 

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