ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ 作:グレン×グレン
条件反射で、俺たちは横に飛んでそれを躱す。
だが、そのオーラがイッセーの鎧を削り、更に俺の体をズタボロに切り刻んだ。
くそ! いくら加護があるからって、鎧みたいな頑丈さはないってか!!
しかも切っ先がバムルンクに近い形状になっている。
これは、まさか―
「ああ、君に対する意趣返しとして、魔剣創造を移植させてもらったよ」
「ヒロイさん!」
「おっと、させないよ」
アーシアが回復のオーラを放つが、それを曹操が弾き飛ばす。
まずいな、コレ。何とか奴を出し抜かないと、死ぬぞ俺。
そう思った瞬間、イッセーが俺と曹操の間に割って入る。
そして、イッセーは渡されていたフェニックスの涙を俺にかけた。
「……悪い」
「気にすんな!」
イッセーにはそう言われるが、しっかしこれで後がねえ。
アーシアの回復も警戒されているし、これは流石にまずいんじゃねえか?
「そうだったそうだった。フェニックスの涙はそっちも持ってるか。いや、忘れてたよ」
そう思い出したかのように言った曹操は懐に手を突っ込んで、見覚えのある瓶を取り出す。
あれは……フェニックスの涙!?
「なんで、お前らが持ってやがる!!」
「旧魔王派に属したフェニックスの家系。裏ルートによる三大勢力からの横流し。そもそもリムヴァンもフェニックスの家系だ。俺達が持ってない方がおかしいぐらい、手に入れる方法はいくらでもあるさ」
曹操は何言ってんだお前って顔で俺達にそうはっきり告げる。
あまりに堂々と言ってきたので、イッセーが歯噛みするぐらいだ。
くそが! 特に裏ルートが存在することがマジでむかつくな、オイ。
「まあ、俺にはあまり意味がないものなんだけどね。其れでも一応、組織のトップとして保険は必要ってわけさ」
そうかい。そりゃご苦労なこって。
しかも自信に満ち溢れてやがるな。そこも含めてマジでむかつく。
しかし、その戦闘能力は驚異的だな。どうやって倒せばいいのか見当もつかねえ。
くそ、このままだと確実に負ける……。
「あら? まだやってたの?」
「おいおい。肝心の大将が苦戦してどうすんだよ」
そのジャンヌとヘラクレスの声に、俺たちは怖気すら感じて振り向いた。
見れば、二人の足元に木場たちがボロボロで転がっている。
「おやおや。二人に本気どころか禁手も出させられないとは、思ったよりは簡単だったかな?」
そう苦笑する曹操の声を聞いている余裕もねえ。
マジかよ。あの三人を余裕で一蹴だと!?
みたところ、大きな怪我をしている様子もねえ。息も切れている様子が見られない。
くそ、なんて連中だよ!
『こちら狙撃班! 長可とかいうのが睨みきかせてて狙撃できないッス!』
『迂闊に仕掛ければ逆にこちらが攻撃されます。どうにか注意を逸らして……うぷ』
チッ! 狙撃も無理かよ!!
「さてゲオルク。そろそろ龍喰者の準備を頼むよ」
「おい曹操。さすがにそれは余裕を見せすぎだぜ? そろそろ殺しとかねえと反撃喰らうぞ」
いつの間にかこちらを見てすらいない曹操に、長可が注意する。
くそ、最悪槍王の型で一発逆転を狙いたいってのに、あいつが邪魔で動けねえ!!
クソッタレ! このままだと逃げることだってできねえってのに!!
どうする? どうすれば……。
そう思った瞬間、イッセーが光った。
……俺は即座に嫌な予感を覚える。
これは、あれだ。乳ギレとか乳覚醒とか乳抑制とか乳神降臨とかした時と同じあれだ。
乳か。また乳か!!
もうあれだな。すでにこう、グレモリー眷属の必勝パターンと化してるよな、コレ。
そう思っている俺の目の前で、イッセーから放たれたオーラが大量の人の形をとる。
「おっぱい」
「ぱいぱい」
「おっぱい」
「おっぱい」
「おぱ~い」
「おっぱい」
「おっぱいん」
「おっぱい」
「おぉおおおおっぱい!!」
……頭痛くなってきた俺は悪くないよな?
っていうかいま、俺の声まで聞こえてきたんだが。そりゃそうだけど勘弁してくれや。
これが終わったらイッセーを殴ろう。それも全力で殴り飛ばそう。
「おっぱいゾンビか?」
曹操も、何が何だかわからない表情を浮かべてポカーンとしている。
気持ちは痛いほどよくわかる。いい加減何度も目の前で経験している俺も、未だに慣れねぇ。
「リセスぅうううう!! さあ、僕の本気を受け取ってくれぇええええ!!!」
「いま、それどころじゃ、ないでしょ!!」
姐さんガンバ!! あとジークさんキモいです!!
ジークフリートが全く持って意に介していない中、おっぱいゾンビたちは溶けると魔方陣を形成する。
な、なにが起こるんだ? 少し期待してきたぞ、俺は。
『……さあ、今こそ呼ぶのよ』
と、そこで俺の耳に聞きなれない声が聞こえてきた。
これは、乳神の時とおなじか!! またイッセーにしか聞こえないはずの声を聖槍が拾ってるのか!!
っていうことは、この声の人物がエルシャとかいう人か。
で、何を呼ぶんだ?
『貴方だけのおっぱいを!』
………はい?
意味不明っぷりに俺がポカンとしてると、イッセーはものすごい勢いで拳を天に突き上げた。
「さ、さもん! おっぱいー!!」
もう何が何だかわからねぇ!!
だが、魔方陣は強く光り輝く。
どうやら本当に呼ぶらしい。すげえな、オイ。
そして、紅色のオーラが放たれ、そして一人の女性を召還した。
「急ぎなさい! 私のイッセーが英雄派と戦って……えぇ!?」
お嬢だった。
どうやら俺たちのところに向かう準備をしていたらしい。制服に着ている途中だった。
そして、状況が全く分かってないのか、気づいた瞬間にポカンとしている。
『つつきなさい』
……なんか頭の痛くなる言葉が聞こえてきたぞ?
つつくって……なに?
『彼女のおっぱいをつつきなさい』
「「なんでぇ!?」」
思わずイッセーと一緒にツッコミを入れたよ。
入れるしかねえよ! なんでそうなるんだよ!!
おい姉ちゃん! あんた馬鹿なのか!?
「ぶ、部長の乳首は俺の覚醒スイッチじゃないんですよ!?」
イッセーがまたツッコミを入れたじゃないか!
変態に変態的な行動でツッコミを入れさせるなよ! あんたあれか、頭のネジがぶっ飛んでるのか!?
『いえ、あれは貴方の覚醒スイッチよ』
……反論しづれぇ。
実際つついて覚醒したのは事実だしな。そりゃ覚醒スイッチと言われたら、ちょっと同感と思ったり思わなかったりするけどよ……。
「……あの、部長? 乳首つつかせてください!!」
イッセー。お前ももうちょっとこう、言い方ってもんをだな?
「あれは英雄派? ……そういうことなのね、覚醒の時が来たということかしら」
お嬢! なんでいきなり理解してるんですかい!?
いやいやいやいや。ここはもうちょっとこう、警戒心というかなんというかいろいろあんでしょうが。落ち着きなさいなお嬢。
と、思ったらお嬢は勢いよく胸を肌蹴ていた。
…………。
よし。脳内に急いで保存しなければ。
俺が真剣にガン見していると、イッセーが鎧の指先を解除して、その乳首をつつく。
「いやん」
鼻血が出そうになったが、出たら英雄として何かが終わる気がする。根性で抑え込め、俺。
「ぁあああああん!!」
そして光に包まれたお嬢は、そのまま天に昇ると消えていった。
……ん? お嬢どうなった?
『するべきことが終わったので、元の場所に戻っていったわ』
ひどすぎるわ!!
え、ちょっと待て! つつくために呼び出しただけ!? そのためにこんだけの被害を生み出したのかよ!?
おかしいだろ!! 痴漢を大量発生させるという大惨事を引き起こしておいて、やることがタダの転送!?
見た感じ千人以上いたぞ。それだけの人間の尊厳を地に落としてやることがこれかよ!!
確かに神滅具で作られた特殊な空間に送り込むというのは恐るべし能力だ。これだけのことをするのは困難すぎるから、そういう意味じゃあマジすごい。ムクチャクチャな話もあったもんだ。
だが、もしこれがこの場所じゃなくても結局呼び出してそのまま送還ってオチが見えてる。最悪、その場にいたら転送すら無いって感じだろう。
ひどすぎる。千人以上の人の尊厳は、そこまで安いのかよ!!
俺がその残酷な真実に涙を流す中、イッセーの鎧が赤く輝いた。
な、ななななんだ!!
『……至り方は涙が出るほど最悪だが、しかしこの展開は最高だ! 相棒、これなら奴らに一発かませるぞ!!』
「ああ、この力なら―」
なんかわからねえが、覚醒は成功したってわけか。
そりゃあんだけ酷い展開だったんだからな。全部ひっくり返すぐらいの奇跡を望むぜこの野郎!!
そして赤龍帝の鎧が赤く輝き―
「―おっと」
―その瞬間、イッセーの体が聖なるオーラに貫かれた。
何……だと?
「反応が遅れたぜ。あぶねえあぶねえ」
その攻撃の方向を見れば、そこには槍を構えた長可の姿があった。
あの野郎。ここで狙撃をぶちかましやがったのか!?
「おいおい。空気を読んでくれよ長可。せっかく余興が面白くなりそうだったのに」
曹操がつまらなさそうにそう文句をつける。
英雄派の面々も同感なのか、かなり不満げだ。
それを見て、長可は何考えてんだコイツらはという目でため息をつく。
「阿呆が。相手の成長なんぞ潰すのが定石だろうが。こんなわけのわからねえ展開、させねえに越したことねえだろ」
そう言いながら、長可はこちらに向かって駆け出す。
チッ! ここで一気に俺達を殺す算段か!!
「させるわけがないでしょう!!」
とっさに姐さんが攻撃を放ち、さらにジークを投げ飛ばして長可の進行を阻む。
そして俺と一緒にイッセーをカバーするように割って入った。
つってもこの状況、戦力が一気に下がったな、オイ。
イッセー抜きで戦えるか? こいつ、俺らの中でも単純戦闘能力なら最強格なんだぞ?
「つれないなぁ、リセス。もっと楽しもうじゃないか……」
「おら、お前らもさっさと参戦しろ。倒せる敵を倒さねえのは悪い癖だぜ?」
ジークフリートも長可も戦闘可能。これは……まずいか?
そう思ったその瞬間、俺達に触れる手があった。
「……上等だ。だったらこうしてやるよ」
イッセー? 相当やばいはずだし、無茶しねえほうがいいと思うんだけどよ?
そう思った、その瞬間だった。
『Transfer!!』
一瞬で、赤龍帝の力が俺と姐さんに流れ込む。
いや、これは赤龍帝の籠手の力じゃない。それどころか赤龍帝の鎧の力ですらない。
これはそれ以上。今までを圧倒する圧倒的な力の奔流だった。
「俺がなるはずだった赤龍帝の可能性。全部ヒロイとリセスさんに明け渡す!!」
「あんだとぉ!?」
イッセーの言葉に、長可が度肝を抜かれた。
俺も驚いたぜ。おいおい、正気かよ。
赤龍帝の可能性を、今ここで俺達に譲渡するだって!?
友が託した力でパワーアップとか、ヒーローって感じでいいじゃねえか!!
「上等だ! 意地でも活路を開いてやるから、待ってやがれ!!」
「……やるしかないわね。いいわ。成果を獲得してあげる!!」
俺も姐さんも一瞬で覚悟を決める。
そして、決意を表明した。
我が英雄とは、輝き照らす光なり。
陽光に焦がれ、閃光で照らし、そして人々を栄光に導かん。
我、赤き龍の輝きに照らされ、同胞を照らす強き輝きになることを誓う!!
我が英雄とは、心折れぬ力なり。
心を強く、体を強く、そして心体を支える魂こそ強くあれ。
我、赤き龍の強さを宿し、弱き己を乗り越える圧倒的な強者であり続けん!!
Other Side
その瞬間、一対の龍が其の場に現れた。
一人は、赤き龍を模した羽衣をその身に纏う
一人は、赤き龍を模した軽装鎧を着こなした
そして、其の力は圧倒的なまでに、今までを超えて高まっていた。
そして、静かな瞳が若き英雄達を貫く。
その瞬間、英雄派の者達は認識を改めた。
この敵は、まず間違いなく強敵だと。
「名付けて、
「なら、
ヒロイもリセスも、静かにそう告げ、そして静かに戦闘態勢を取る。
「待ってなイッセー。いいもんもらった分成果は上げるぜ」
「そうね。さっきまで好きにやっていた分、反撃するとしましょうか」
そして、戦闘は再び激化する。
Other Side
曹操の魔剣創造は、聖槍と合体させて行うスタイルです。悪魔で聖槍中心なのが曹操のこだわり。
さらに原作よりも強化されいているため、ジャンヌもヘラクレスも禁手すら使ってません。かなりやばいです。
とどめに容赦ない長可。イッセーの覚醒を台無しにしました。……が、イッセーは頭が意外と回る男なので速攻で反撃しました。因みにリアスは前もって連絡されていたので急いで駆けつけるところでした。
メタ的な理由を言うと、原作でも影が薄いトリアイナは別の形に進化させる方向にもっていきたかったのです。そして後半になっても登場できるように改造したい。
そこで、ヒロイたちのパワーアップに使用しました。譲渡の応用ですね。イッセーファインプレー。