ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ 作:グレン×グレン
魔法少女撲滅団体と、快楽堕ち魔法少女推進団体。
これまででもトップクラスにアホだらけの戦いも、ついに決着です!!
そして、戦いは最終局面へと入る。
大量の魔法と魔力が交差して、そして相殺して爆発する。
その攻撃を放ちながら、セラフォルーとゴーデルは猛攻を行いながら負担を意地で抑え込むという、消耗戦に突入していた。
灼熱と凍結による攻撃の交錯は、それほどまでの消耗をお互いに与えていた。
そして、それに対して有利なのは本来セラフォルーである。
そもそも魔法というのは魔力を再現する為のもの。そして悪魔というものは基本的に人間より性能が高い生命体だ。
その二点があるゆえに、本質的にこの戦いはセラフォルー有利なのだ。
だが、しかしゴーデルは執拗に食い下がっていた。
その理由は単純明快。
「ゴーデルさま、ご武運を……」
「ゴーデルさまには、指一本触れさせん!!」
それは偏に単純な理由。数であった。
ゴーデルと意志を同じくする魔法使いたち。
ひとえにそれは、魔法使いという概念に対する誇りゆえに生まれし意志。
日本より産まれ、子供達の夢となった概念。魔法少女。
それを許せぬと思う心。名誉棄損だという怒り。誇りを汚された事に対する憤怒。
それらによって想いを同じくする同士達は、時として命を犠牲にする事すらいとわない。
「分かっている、同志達よ。……お前達の犠牲、無駄にはしない!!」
そして、その犠牲がゴーデルの戦意を燃やし、セラフォルーに食い下がる原動力となり燃え盛る。
その執念に、セラフォルーは思わず息を呑む。
「そんな! そこまで魔法少女を認めないというの!?」
魔法少女を心から信奉するセラフォルーにしてみれば、これほどまでの魔法少女を排斥する思想は理解の埒外だ。
だが、それほどまでに魔法少女という存在を認めない意志が、極限までに高まっている。それほどまでの集団がガールヴィランだという事だけは嫌というほど理解してしまった。
その瞬間、セラフォルーはショックにより隙をさらす。
そして、それを見逃すほどゴーデルは甘くなかった。
「もらったぞ、魔王老女!!」
炎の蛇が灼熱の吐息を放つ。
一瞬のスキを突いたその一撃に、セラフォルーは僅かに反応が遅れた。
そして、それが致命的な攻撃と化し―
「回転側壁、チーズシールド!!」
―その瞬間、薄く伸びた直系十メートル以上のチーズの壁が、その灼熱を防ぎ切った。
「「「「「「「「「ぇええええええええ!?」」」」」」」」」」」
セラフォルーとゴーデルを含めた全員が度肝を抜かれた。
そして、その一瞬のスキをついて魔法使いの一人の体に風穴が空こうとする。
「速球即殺、チーズマグナム!!」
「げふぁ!?」
―これまた、超高速で放たれたチーズによって。
「「「「「「「「「ぇえええええ!?」」」」」」」」」
これまた理解不能な展開により、思わず絶叫が上がる。
だってそうだろう。
チーズである。
食べるあのチーズである。
美味しい食品であるあのチーズである。
三回言った。
それほどまでに異常事態だったが、しかしその隙を見逃さず攻撃が放たれる。
「散弾必殺、チーズレイン!!」
「「「「「「「ぎゃぁあああああ!?」」」」」」」
これまたチーズだった。
もうすがすがしいほどチーズである。
チーズに魂賭けてるのかというぐらいのチーズ尽くし。そしてその威力はすべてにおいてシャレにならない。
絶望とともに魔法使い達は絶命し、そしてそれをなした者が着地した。
「そこ迄だ。組織を離反してまでの暴走、これ以上は見逃せない」
「貴様は、メーヴ・コノート!?」
ゴーデルはかろうじてシリアスを保っているが、然し色々と何も言えないので視線を逸らしたくなる展開だった。
それはそうだろう。
よりにもよって、セラフォルー対策として連れてきた精鋭が、よりにもよってチーズによって殺されたのだ。
悪夢以外の何物でもない。思わず絶望しそうになる。
「貴様ぁああああ!! 我らが大望をチーズで阻もうとは、どういうつもりだぁああああ!?」
「……ん? どういうことだ?」
メーヴは何を言ってるのか分らないといった表情だ。
そして、ゴーデルの視線が手に持っているチーズに向いているのに気づいて、得心したのか頷いた。
「ああ、気にするな。私は先祖の汚名を雪ぐ為、チーズだけを使って戦う事にしているのだ」
「馬鹿か貴様はぁああああ!!」
のどが痛くなっているが、叫ばずにはいられない。
全力で叫んだが、そんな事をしているのがいけなかった。
「隙ありなのよ!!」
気づけば、既にセラフォルーは全力で攻撃を放つ準備を整えていた。
「………くそがぁあああああああああ!!!」
全力で無念の叫びを上げながら、ゴーデルは一瞬で凍結粉砕された。
Side Out
戦局は決着がついたな。
ヴィクターからの増援達によって、完全にバランスはこっち側に傾いた。
これでガールヴィランの方は何とかなった。
あとは……っ!
「てめえらだ、変態!!」
「変態じゃないわ! 仮に変態だとしても、変態という名の魔法少女なのよ!!」
いや、変態で終わってくれないか?
もうこの激戦。いろんな意味で小さな女の子のトラウマだっての。特に触手。
とにかく! ここで、ぶちのめす!!
「行って、テンタっくん!!」
放たれる触手と魔法攻撃を俺は一生懸命回避する。
一発でも当たれば、連続攻撃が叩き込まれる事は確実だ。そしてそうなれば触手が一発は確実に入る。
それは嫌だ。何が何でも避ける!!
そして、俺は間合いに入り―
「もらったぜ変態がぁ!!」
「甘いのよん!!」
その瞬間、地面を突き破って飛び出てきた触手が俺の鳩尾に叩き込まれる。
「がはっ!?」
「ヒロイ先輩ぃいいいい!!」
んの野郎、先端が鋭いから、脇腹に刺さったぞ!
全力で激痛を堪えながら、俺は何とか攻撃を叩き込もうと聖槍を突き出すが、魔方陣がそれを防ぎきる。
まずい。このアマ、最大の厄介な部分はあまりに頭がおかしい事だ。
頭がおかしすぎるから、シリアスに脅威として認識すんのが難しい。だからこういうところでつい油断しちまう……っ!
「さあ、悪落ちタイムよ!! まずはお尻を―」
―いろんな意味で窮地ぃいいいいい!!
「魔法淑女キック!」
その瞬間、奴の後頭部に蹴りが叩き込まれる!!
ぉおおおおお!!! 姐さん!!
「……人の仲間に何をするつもりなのかしら?」
半目で馬鹿を睨み付けながら、姐さんが両手に雷撃を込める。
「貴女も魔法少女ね? だったら一緒に快楽を貪りましょう!!」
そしてキチガイが振り返りながら防御用の魔方陣を二つ展開。そして攻撃用も展開する。
一瞬でもいいから雷撃を防ぎ、その瞬間をついて攻撃を叩き込む腹か!!
そして姐さんもそれに気づいて―
「―あなたは、勘違いしているわ」
ため息とともに、落雷が叩き付けられた。
そう、
頭上は常に注意しないといけない。それを阿呆は忘れていた。
そして音もなく崩れ落ちる魔法少女擬きに、姐さんは寂しげな表情を浮かべる。
「快楽を貪るのと、快楽に貪られるのは違うのよ。あなたは、それを混同してしまったのね」
それは、明らかに敵に向けるそれとは違っていた。
むしろなんていうか、自分に向けるそれのような……。
「私は、二度と、貪られたりしないって決めてるの。だからあなたの側にはつけないわ、断じてね」
その言葉は、まるで言い聞かせるようだった。
イッセーSide
「ってなことがあってなぁ」
「訳が分からねえよ!!」
ヒロイ達の話を聞いて、俺は心からそう叫んだよ。
当たり前じゃん! なに、魔法少女イベントを襲う魔法少女撲滅団体と、悪堕ち魔法少女(リアル)って!
しかもそれを救う為に自衛隊とヴィクターが共闘して、ロボットとチーズが大暴れとかカオスすぎるよ!!
しかもロボットの方はキョジンキラーの量産型みたいだし。しかも実戦配備する予定が確定してるみたいだし! っていうか既に十機以上量産されてるし!!
もう何なんだよそれは! どっから反応していいのか訳分からねえじゃん!!
俺がライザーから部長達の裸を守る為に奮戦している間に、そんなシリアスなようなシリアルなような訳の分かんねえ戦いが起きてるとかどういう事さ!!
「俺とライザーのシリアスオンリーの戦いを参考にしろよ!!」
「それをシリアスと言えるのはイッセーくんとライザー氏だけじゃないかな?」
うるせえよ、木場!!
温泉に入る部長達の裸がかかってんだぞ!! 命の一つもかけるっての!!
ま、まあ。命がかかっている人の割合だとどう考えてもあっちの方が多いんだけどさ。
「それで、こうなったのかよ」
と、俺はテレビに視線を向ける!!
『マジカ~ル! レヴィアたん!! 参上なのよ~ん!!』
なんと人間界のテレビで魔法少女レヴィアたんが放送開始だよ。
なんでもセラフォルーさまに救われた人達が熱望したらしい。小さな子供達も大きなお友達も凄い熱意だったとか。
ガールヴィランだっけ? そいつ等、完璧に逆効果な事してんじゃん。
「でも、これも冥界と人間界の歩み寄りの結果なのだと思うと微笑ましいわね」
セラフォルー様の大暴れを見ながら、部長はふふふと笑みを浮かべる。
確かに。この調子ならおっぱいドラゴンが人間界で放送される日も近いのかもな。
……いや、あれは流石に人間界だと放送無理か?
っていうか放送されたら俺は人間界でとんでもないことになりそうだな。顔そのものは嵌めてあるからな……。
「しっかし疲れたぜ。ヴィクターも暇人多かったんだな」
うっへぇとため息をつきながら、ヒロイはジュースを飲んでため息をついた。
ああ、お前は大変だったよな。
ただの護衛で終わるかと思ったら、ものすごい規模の大激戦だもんな。普通に死にかけてるし。
「あの程度で疲れているようでは片手落ちよ。イッセーはそんな風になったら駄目だからね」
と、リセスさんは苦笑を浮かべて俺の肩に手を置く。
「貴方はもはや芸能人の一人なんだから。あの程度でへばっている資格は決してないのよ」
り、リセスさん……?
リセスさん、芸能界に対して一家言ありすぎません?
まあ、とりあえずは皆無事で何よりだな。
サイラオーグさんとのレーティングゲームが、こんな事でケチついたらあれだしさ。
待っていてくださいよ、サイラオーグさん。
レーティングゲーム。俺達が勝ちますからね!!
Side Out
と、いうわけで、日本国領内を舞台にした騒動が連発する第三章はこれにて終了。
連続して日本国内が戦場になるので、ひとまとめにした形になります。
そして、サイラオーグ・バアルとのレーティングゲームが舞台となる第四章がついに始まります。
そしてそのテーマはリセス編。
オリジナルキャラクターでメインを張る、ヒロイ、リセス、ペトの三人。
語るような過去がろくにないヒロイ。すでに過去を語り終えているペト。そして、いまだ過去をろくに語っていないリセス。
聖槍の担い手であるヒロイと神域の狙撃手であるペト。この二人の心を照らす、リセス・イドアル。
その彼女の原点。それが第四章で語られます。