ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ 作:グレン×グレン
学園祭の準備は、大変だ。
特に今回は大変だ。オカルト研究部の出し物がかなり規模がでかいからな。
その名もオカルトの館。旧校舎をごっそり利用して、色んなものをやる。
喫茶店、お化け屋敷、研究発表、巫女的なお祈りイベント等々。そう言った数々のイベントを、十人ちょっとで回さなきゃならねえ。普通に考えたら一クラスぐらい投入してやるような出し物だ。
ほんと、異形社会はハードスケジュールが好みのようだなぁ、おい。
学園祭の準備に関しても、異能は使わずあくまで学生としての力のみでやろうって感じだ。ま、そういうのに味があるんだろうけどな。
そんなわけで、俺達は大絶賛大仕事の真っ最中だ。
俺とイッセーと木場で、木材を切ったり色々やったりしている。
「木場、釘どこだっけ?」
「あ、イッセーくん。足元にあったよ」
「あぶね、踏むとこだった」
などとだべりながら、俺達は作業を続けていく。
ま、この程度なら会話を片手間にできるぐらいだからいいんだけどな。
「で? かのサイラオーグ・バアルとのレーティングゲームの準備は進んでんのかよ」
「大絶賛特訓中さ! なにせ、京都で手に入った新技は使えないしな」
「確かに、あれは完全にヒロイ君とリセスさんに固定化されてしまったみたいだしね」
思わず三人揃って苦笑が浮かぶ。
そう、京都でイッセーが得た新たな力は、長可の不意打ちとイッセーのとっさの判断で大きく変わった。
本来なら、赤龍帝の力にプロモーションの特性が合わさって特化型に変化する程度だったのだろう。
だが、あの時点でイッセー本人が動けるような状態じゃなくなった事で、其の在り方は大きく変化した。
すなわち、他者に赤龍帝のプロモーションされた力を譲渡する。
俺の場合は騎士の力を譲渡される事で、機動力を中心に能力が向上する。
姐さんの場合は僧侶の力を譲渡される事で、遠隔属性付加という荒業を可能とする。
英雄派との戦いではどっちにしても大活躍した能力だけど、欠点も明白。
単純明快。イッセーは何の強化もされないという事だ。
完膚なきまでのサポートタイプ特化型のパワーアップ。状況的にそうするしかないとはいえ、よくもまあこんな思い切った方法を実行に移したよな、イッセーも。
しかも戦車の駒に関しては、試してみたけど誰も譲渡できなかった。
どうやら、適合する奴といない奴がいるらしい。俺が騎士の駒で姐さんが僧侶の駒だったのも、あくまでたまたま合致したからだけという事か。
「だから伏札としては全く使えない。やるとするなら、ゼノヴィアのエクス・デュランダルと僕のあれぐらいかな」
「だな。期待してるぜ、木場!」
と、イッセーが木場に発破をかける。
ああ、木場の新技は度肝を抜かれること確定だからな。誰も想像できないような、驚くべき新技を引っ提げて登場しやがったしな。
しかし、レーティングゲームか。やる方も見る方も熱狂してるな。
冥界に関しては娯楽が少ないしな。それに、人間界と交流が進んでも人気が出るだろう。
なんたって、こういった系統での競技試合なんて人間界じゃ聞いた事ないしな。多分人間界でも結構楽しめるんじゃないだろうか。
それにやる方にしたって、勝てば地位も名誉も金も女も手に入ると言われてるしな。そりゃやりたがる連中は多いだろう。
ま、俺は英雄になりたいわけで、競技選手になりたいわけじゃないから、興味があるかって言われるとあまりないんだけどな。
「つかレーティングゲームも一長一短だよな。実戦訓練にはなるがよ、全国放送だから手の内いろんなところにばらまかれるじゃねえか」
「確かにね。でも、様々な種族を相手に自分の能力を試せるというのはそれを補いうるほどのいい経験にもなるよ」
俺の指摘に木場はそう答える。
なるほど。確かにそう言った見方もあるってわけか。
「だよなぁ。それに、俺の新技とかは実戦でお披露目する事が多いから、ぶっちゃけレーティングゲームとかで練習した方がいいかもしれねえしな」
イッセー。確かにそれはそうなんだが、それはお前達含めたごく一部だけだと思うぞ?
「それにレーティングゲームと実戦は、似て異なるものだよ。最初は実戦を考慮していたルールが多かったけど、次第にゲームだからこそできるルールも増えているしね。分けて考えた方がいいと思うよ」
なるほど。考えてるな、木場。
つまり、実戦用とゲーム用の技を別々で考える必要もあるって事か。確かにその通りだな。
「シトリー眷属とかそんな感じだよな。レーティングゲームのルールの特性をつく方を考えた編成かもしれないし」
「そういうゲーム特化型のチームもいるってことか」
イッセーの言葉に、俺はなんとなく頷いた。
ああ。イッセーの奴も結構色々考えるんだよな。
流石名門校に入学しただけのことはあるな。なんだかんだで頭も回るじゃねえか。
「そう。だから、レーティングゲームトッププレイヤーが必ず実戦で活躍できるとも限らない。逆に実戦での強さから選ばれた四大魔王様が参戦したとしても、必ずしもレーティングゲームでトッププレイヤーになれるかはわからないね」
木場の言葉に、俺はふとあることを思い出す。
そういえば、四大魔王とその眷属はレーティングゲームには参加してないんだったな。
眷属は独立して自分も眷属悪魔を持てば参加することはできるらしい。だけど、あくまで四大魔王の眷属として生きることを理念としてるらしい。だからレーティングゲームに参加している四大魔王眷属なんて話は聞いたことがない。
少しぐらい興味がある奴がいてもいいと思うけどな。敵に情報が漏れることを恐れたりとかしてるのかねぇ。
直属の部隊を作るってのも、ある意味でありだと思うんだけどな、俺は。
しっかしレーティングゲームのトッププレイヤーか。強いんだろうなぁ。
俺はふと、今のトップ連中のことが気になった。
「たしか、ナンバーワンがディハウザー・ベリアルとかいう悪魔なんだっけか?」
「そうだよ。そして二位がロイガン・ベルフェゴールさまで、三位がビュディゼ・アバドンさま」
ふむふむ。ベルフェゴールとアバドンねぇ。
「なあ、木場。ベルフェゴールとかアバドンって、72柱の名前になかったよな?」
「彼らはいわゆる
イッセーに木場が説明する間、俺はふと空を見上げて考える。
競技世界にも英雄と呼ばれる者はいる。
大活躍をしたり、チームの黄金時代を作り上げた者とかだ。
そういう意味じゃあ、その三人も、レーティングゲーム界の英雄なんだろうな。
「……特にトップテンは規格外の化け物と呼称されているからね。其の中でも上位三人のあの三人は、魔王クラスとすら呼ばれているよ」
「マジか。部長の夢の為には魔王クラスも倒さなきゃらなねえのか。……大変だな、部長も俺も」
と、イッセーは木場の言葉にごくりとつばを飲み込む。
まあお前ならいつかは善戦できるようになるだろ。魔王すら倒せる神滅具の禁手に至ってるんだしよ。
などと思っていると、ノックとともにアザゼルが入ってくる。
「あ~面倒な会議だったぜ。ああいうのはロスヴァイセに丸投げしとくに限るな」
このサボり魔! あんたはまじめに仕事しろ。
などと思っている間に、アザゼル先生はイッセーの左腕に視線を向ける。
赤龍帝の籠手の新能力が気になるのかなどと思ったけど、どうも違うみたいだ。
「ドライグ、例の件、カウンセラーの準備が出来たぞ」
………
「「カウンセラー!?」」
俺とイッセーは同時に驚愕した。
そりゃそうだろ。ドラゴンがカウンセラーとか聞いたことねえよ!!
「ドライグ、調子悪いのかい?」
『そうなんだ。最近は元気が出ず、気づくと泣きたくなる事が多くてなぁ』
木場にそう答えるドライグだが、確かに元気がなさそうだな。
な、なにがあった? 敵の精神攻撃か?
「お、俺が突拍子もないパワーアップしてるから、その反動か?」
イッセーも心配して左腕をのぞき込むが、アザゼル先生が静かに首を振った。
「いや、俺が思うにお前のパワーアップの反動じゃなく、パワーアップの方法が原因で心労が溜まったんだろうよ」
………それもそうか。
「そりゃお前、毎回毎回乳だしな」
俺は心底納得した。
乳を減らすと聞かれて格上をボコった。
乳首をつついて禁手に至るほどの精神的覚醒を果たした。それも、戦闘中に。
暴走した状態から、乳首をつつくことで元に戻った。
ロキの戦いでは、異世界から乳を司る神が接触してきた。それも割とマジで大貢献した。
でもって、大量の痴漢を作り上げるという過程の末にあの新技だ。
前代未聞ってのはこのこったろうな。俺も今更思い返してみて、頭痛くなってきたぜ。
そりゃショックの一つも受けるだろ。トラウマにもなる。
「ま、封印される前もされてからも赤白対決で迷惑かけまくった罰が当たったと思って諦めろ」
『そこを突かれると返す言葉もないがな。しかし……他になかったのか……』
む、ちょっとは怒って元気出るかと思ったところもあったんだけどな。納得しかけてるぞこいつ。
思った以上に重傷だな。こりゃ酷い。
……でもドライグ、お前忘れてないか?
まだ戦車の駒と女王の駒のプロモーションが残ってるんだぞ?
それも、乳で覚醒する可能性はマジであるんだぜ?
俺は覚悟を決めとこう。頑張って覚悟しとこうか。
「ドライグ! これからも乳ばかりだろうけど、それでもオマエのこと大事にするよぉおおおおお!!!」
『ああ、これからも俺は苦労するだろうが、それでも相棒には期待しているさ』
イッセー。お前はもうちょっとお乳以外のパワーアップを努力しろよ。
ドライグも、それはもう諦めてるだけじゃねえか?
などと漫才を眺めていると、お嬢が部屋に入ってきた。
「あ、すんませんお嬢。なんか頭痛い展開になって作業が止まってました」
「ああ、それは別にいいわ。それよりイッセーにちょっと用事があるのよ」
ん? 監督活動の為にこっちに来たわけじゃねえのか?
んじゃ、なんでお嬢はここに?
「イッセー。ちょっと一緒に付いて来てほしいところがあるの」
………このタイミングに何があったんだ?
イッセーのトリアイナに代わる新技は、割と欠点も多いです。
ドラグナーと違って直接接触する必要があるため、分断されるとできないというのが良さ代のデメリット。チームで行動していないと発動できないという意味では、戦略的な運用が困難という問題点を抱えております。
この作品では、その辺を白龍皇の妖精達で克服したのがドラグナーになる……という展開も面白そうですね。