ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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ようやく判明したイッセーの鈍感さの根源。

そして、其れを知ってリセスは……



















あ、ついでに設定資料集も本日更新しましたので、ぜひご覧ください


第四章 5

 イッセーの奴が悪魔になったのは、俺がイッセーと会う前、あいつが二年生になった少し後の事だ。

 

 この頃のあいつは純粋な人間。しかも、神器に対する適正も低い。加えて、それに気づく事ができる異能関係者の知り合いなんて誰もいなかった。

 

 だが、あいつは神滅具という最強クラスの神器を保有していた。

 

 これは、下手するとマジで大災害が勃発するレベルの非常事態だ。

 

 普通に行けばいつか暴走して大災害が発生する。割と人口の多い地方都市でそれが起きれば、死者の数は万を超えることすらある。どちらにしても隠匿は非常に困難だろう。

 

 そしてこの段階において、各神話勢力はおろか三大勢力の和平すらなされていない時期だった。

 

 こういうタイミングでこのピーキーな代物に対する対応は、大抵が抹殺だ。

 

 教会でも暗部でそういう事をする場合がないではない。悪魔でも勢力の危険を考慮して暗殺するという動きがないではない。

 

 そして、神器研究の第一人者と言ってもいい堕天使勢力は、そういう事を積極的に行う役目を暗黙の了解で引き受けていた。

 

 そしてイッセーは暗殺されるが、この時奇跡が起きる。

 

 たまたまその前に悪魔召喚のチラシを持っていたイッセーは、悪魔の召喚に成功したのだ。

 

 相当強く願ったのか、その時出てきたのはリアスのお嬢。そして、お嬢はイッセーの素質を知ったのもあり、兵士八駒を全部使ってでも転生させる事を決定する。

 

 で、その後暗殺した堕天使が暴走して、アーシアの神器を奪って自分の移植使用した関連で戦闘を開始。アーシアもまた神器を奪われて一端死んだ為、神器を戻すついでに悪魔に転生させる事で蘇生を試みた。

 

 ……ここまでは良かった。

 

 問題は、その過程だ。

 

 その件のレイナーレとかいう堕天使なんだけど、そいつが暗殺に使った手口が問題だ。

 

 ぶっちゃけいえば、イッセーに告って彼女として接近。デートをしてから殺したらしい。

 

 しかもその後、アーシア奪還作戦の時にそのデートをつまらないと酷評してたそうだ。

 

 木場も小猫ちゃんもアーシアも詳しくは言わなかったけど、かなり悪し様に罵ってたらしい。

 

 ………ああ、なるほど。

 

「ペトさんの言う通りだ。おそらくイッセー君は、その時の事がトラウマになっているんだろう」

 

「……かなり下衆でしたから。相当トラウマなのかと」

 

 木場と小猫ちゃんが納得している中、俺達の視線はアザゼルに集まる。

 

 うん、そりゃそうだろう。

 

 だって、その堕天使のトップはアザゼルだぞ?

 

「総督、これ、堕天使側の責任問題じゃないっすか?」

 

「大王派に勘付かれたらことね。喜び勇んで責任問題を追及するわよ」

 

 一応堕天使側のペトと姐さんも納得したかのようにため息をつく。

 

「アザゼル先生、どうするんですか? これ、誰がどう見ても堕天使側の責任ですよ?」

 

 ロスヴァイセさんもその辺に関しては同意らしい。

 

「ま、待て待て待て! 確かにそういう方針を取ってたのは認めるけど、そんな末端の任命責任まで俺が持ってるわけねえだろ!? 知ってたら流石に怒るって!」

 

 いや、確かにそれはその通りだぜアザゼル。

 

 だけどよ? その所為で教え子がトラウマ刻まれてんだぞ。問題だろ。

 

「アザゼル。ドライグより先にイッセーにカウンセラーを紹介してやれよ」

 

「そうです! このままじゃ、イッセーさんもリアスお姉様も可哀想です!!」

 

 俺の指摘にアーシアが涙ながらに同意して懇願する。

 

 だよなぁ。そりゃ恋愛とかに近づかねえわけだよ。

 

 っていうか、普通女性恐怖症とか女嫌いとかにならね? 女性不信確実だろ。

 

 なんで普通に覗きに行く。お前の何がそこまで女に対する欲望を駆り立てるんだ。

 

 一周回ってホモに走っても全くおかしくねえよ。そんぐらいにはトラウマになってもおかしくねえよ。いや、マジで。

 

 うっわぁ……。これはひでぇ。

 

「……時々、イッセー君が私達を怖がっている目で見ていた事がありましたけどそれが原因ですか」

 

 朱乃さんが、落ち込んだ表情でそう呟いた。

 

「そんな事、ありましたっけ?」

 

「あの事件を知らない人には、分らなかったと思います」

 

 首をかしげるロスヴィアセさんに対して、小猫ちゃんはむしろ納得だった。

 

 しっかし、そんなことを担ってもなおハーレムを目指し、そして恋愛恐怖症ねぇ。

 

 根性があるのかないのか分からねえな。いろんな意味ですげえよ、イッセーの奴。

 

 しっかしこりゃ根深い問題だな。ちょっとやそっとで治せるようなもんじゃねえぞ。

 

「これは、数年ぐらいかけて治す事を考えた方がいいのかもしれないわね」

 

 と、姐さんは窓の外を見ながらそう言った。

 

 確かに。完璧にトラウマになってるもんな。

 

 そんなもんを治すのに時間がかかるのは当たり前だ。下手すりゃ一生ものかもしれねえだろうしな。

 

「恋愛がらみのトラウマは、心に残るもの」

 

 そう告げる姐さんは、ここじゃないどこかを見据えていた。

 

 ……そう、まるで、どっか昔の憧憬を見ているような………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リセス・イドアルは、そのあと一人でリアスを探していた。

 

 用務員の仕事をしながらなので色々と大変だ。仕事をきちんとしなければ駒王学園にいることもできない。

 

 だが、それでもそれなりに本気で探して、そしてリアスを見つけた。

 

「ここにいたのね、リアス」

 

 屋上で、黄昏ていたリアスを見つけてリセスは隣に立つ。

 

「……いっそのこと、私から告白した方がいいのかしら」

 

 そう、リアスはぽつりと呟いた。

 

「できればイッセーから告白して欲しいのだけれど、それだとイッセーはいつまで経ってもしてくれそうにないもの」

 

「そうね。好きなら自分から告白する度胸は必要ね」

 

 そう言いながら、リセスはリアスの肩を抱く。

 

 気づかわし気に労わられている事に気づいて、リアスは少しだけ気分を楽にした。

 

「あの後話したんだけれどね。どうもレイナーレとかいうのとの一件がイッセーにトラウマを刻んでるんじゃないかって話になったのよ」

 

「………そう、そういうこと」

 

 リアスは、自分の浅慮に項垂れる。

 

 そんな理由では、イッセーから告白してくる事などありえないだろう。自分から告白しても、果たして良い返事が返ってくることか。

 

 だけど、それでも欲しいのだ。

 

「我儘……なのかしら?」

 

「そこまで言ったりはしないわよ」

 

 さらりと、リセスはそう答えた。

 

 その言葉に視線を上げると、リセスは遠くを見つめていた。

 

「好きな男の子に好きって言ってもらいたいのは、女の子のロマンだもの。あなたの年なら当たり前といえば当たり前だわ」

 

 そういうリセスは、どこか寂しい表情を浮かべていた。

 

 そして、リアスに顔を向けると、苦笑を浮かべる。

 

「だけど、いつ死ぬか分らないわよ? 貴女も、イッセーも」

 

 その言葉に、リアスは背筋が冷えるのを感じる。

 

 この思いを届ける前にイッセーが死ぬ。

 

 この思いを知られることなく、自分が死ぬ。

 

 どちらも恐ろしい事だ。そして、今まで起きなかった事が奇跡に近い。

 

 魔王の末裔、北欧の悪神、そして、英雄の魂を継ぐ者達。

 

 そんな彼らを敵に回して、メンバー全員が生き残るのは当たり前でも何でもない。むしろ圧倒的に難易度が高い事で、明らかに奇跡的な事だ。

 

 そんな事実に今更気づいて、リアスは心が凍り付く錯覚に陥る。

 

「だから、本当に愛しているならできるだけ早く告白した方がいいわ。……目の前で死なれる可能性だって、ないわけじゃないもの」

 

 そうリセスは言うと、再び彼女は遠くを見る。

 

「私は、目の前で死なれたわ」

 

 その言葉を理解するのに、リアスは少しの時間を必要とした。

 

 そういえば、リセスの過去について聞いたことは一度もない。

 

 そして、その過去について初めて聞いたのがそんなことになるとは思わなかった。

 

「そしてそれは私の所為。私が畜生だった所為で、彼は死を選んだ」

 

 その言葉は、いったいどういう意味なのだろうか。

 

 自分の弱さが原因で死んだことに対する自己責任なのか。

 

 それとも、本当に彼女が原因で自殺でもされたのか……。

 

 気にはなるが、然し本当に尋ねたりはしない。

 

 親しい仲にも礼儀がある。それに、これはかなり踏み込んでほしくない事のはずだ。

 

 それを、自分の為にあえて語っている。それほどまでに自分は気を使われている。

 

 だったら、せめてその分の礼儀を守るべきだ。

 

 ゆえに、リアスはリセスと同じように空を見る。

 

「……私から、踏み込んだ方がいいのかしら」

 

「そうね。好きだという気持ちが強いなら、自分から行動する根性が必要ね」

 

 そう、リセスは苦笑とともに言葉を返す。

 

「名前で呼んで欲しいなら、自分で言った方がいいわよ? 男ってのは馬鹿なんだから、そっちの方が遥かに良いわ」

 

「そうね。踏ん切りをつけたら言うことにするわ」

 

 そうリセスに応えてリアスは皆のところに戻る事にする。

 

 だいぶ心配させてしまっただろう。主として、これ以上迷惑をかけるわけにもいかない。すぐに大丈夫なところを見せてやらねばならない。

 

「ありがとう、リセス。少し元気が出たわ」

 

「どういたしまして。さ、そろそろ戻ってあげなさい」

 

 そういって背中を押し、リセスはリアスを見送った。

 

 そして、なんとなく太陽に視線を向ける。

 

「………ニエ。私は、貴方に許されるような英雄になれたかしら」

 

 その言葉に、答える者は誰一人としていなかった。

 




相手の気持ちをきちんと考えながらも、シビアな状況を認識しているリセス。

時々リアスに対して「イッセー生きてそばにいんだからそれでいいだろ」っていうアンチとかいますけど、いつ死ぬかわからないからこそ、想いを成就したいっていうのもあると思うんですよね。
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