ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ 作:グレン×グレン
アグレアス。
アガレス領に存在する、宙に浮かぶ島。
レーティングゲームの聖地とすら呼ばれており、その特異な地理から様々な理由で注目されている。
で、なんでこんなところで若手のレーティングゲームが行われるかっつーと。上が揉めたらしい。
魔王領もしくはグレモリー領で開催したい魔王派の連中と、バアル領で開催したい大王派の連中。その双方で壮絶な泥仕合が起きたとかなんだとか。
「政治権力のもめ事ってめんどいな、オイ」
「同感ッス。堕天使はコカビエルとかがあれなんで、一枚岩で何よりっす」
んなこと言いながら、俺達は試合中に食べる食い物をどれにするかで悩み中だ。
「缶ビールをとりあえず三缶頂戴。あと、おつまみとしてそのプレッツェルを」
姐さんはもうさっさと決めているけど、俺達酒飲めない側は色々と悩み中だ。
ああ、こういう時大人は羨ましいぜ!
「それで、どっちが勝つと思うっすか?」
「そりゃお前、俺達はお嬢達応援するに決まってんだろ」
「いや、それはそうっスけど勝算がどっちにあるかは別問題っすよ?」
意外とドライだな、ペトめ。
ま、確かに楽に勝てる相手じゃないだろうがな。
サイラオーグ・バアルは若手悪魔最強。更にお嬢達と同じで特訓を積んで強化していくタイプだ。
メンバーも72柱出身の悪魔も多い。つまり、素の戦闘能力が上級悪魔クラスあってもおかしくねえ。
如何にお嬢達の眷属がシャレにならない化け物揃いでも、楽に勝たせてくれるほど簡単じゃねえって感じだな。
さて、お嬢達はどうやって勝つのかねぇ?
そんなことを思いながら、俺達は食い物を買って応援席に向かう。
今回のレーティングゲーム。なんとおっぱいドラゴン専用の応援席が用意されてんだとよ。
俺達もおっぱいドラゴンの関係者だから、そこで観戦するという流れっぽい。既にイリナとレイヴェルはそっちに行ってるはずだ。
「ああ、あれじゃないかしら」
と、姐さんが子供達が集まっているところを指さした。
確かにあそこっぽいな。しかも、イリナとレイヴェルもいやがるな。
「よぅ、イリナ、レイヴェル」
「あら、ヒロイさん。もう来ましたのね」
「待ってたわよ! こっちは応援用の旗も用意して準備万端よ!!」
俺が挨拶すると、レイヴェルもイリナもすぐに気が付いた。
つーかイリナ、ノリノリすぎだろ。
いくら和平結ばれているからって、天使が悪魔のイベントでここまでノリノリにならなくてもいいんじゃねえか?
ま、それでも子供達がいるから仕方がねえか。
「因みに! イッセー君達が入ってきたらおっぱいドラゴンの歌を皆で斉唱するからね?」
「よし、俺はトイレ行ってくる」
「私もビールを買い足してくるわ」
俺と姐さんは速攻で逃げに徹した。
待ってくれ。英雄的にそれはこっぱずかしい。マジで恥ずかしい。
とにかく全力で逃げようとするが、イリナは速攻で俺と姐さんの襟首を掴んだ。
おのれ素早い! これが、セラフ代表である熾天使ミカエルのAの力か!!
「逃げちゃダメよ! こういう時こそ仲間達の声援が力になるのよ!!」
「い、イリナ! 悪いけど私、英雄を志したその日から人前で歌は歌わないって決めてるの!!」
どんな決意表明だよ姐さん! 無理があるって!!
「そんなウソには騙されないわ、リセスさん!」
「嘘じゃないから! 私、二度と音楽業界には関わらないって決めてるの!! だから、お願い!! 今度ベッドの上で可愛がってあげるから!!」
姐さん。マジで焦っているのは分かる。心底分かる。
だけどその言い訳はどうよ。あとその賄賂はまずいだろ。転生とは言え天使なんだから、エロいことを代償にしても靡くわけにはいかねえだろ。
「ヒロイ、お姉様」
と、逃げ出そうとする俺と姐さんに、ペトは優しげな微笑を浮かべる。
な、なんだなんだ?
「人生、時には諦める事も重要っすよ」
「ペトが裏切った!?」
姐さんは心からショックを受けて愕然となる。
っていうかコレ、俺も歌わなきゃいけないノリか、ノリなのか!?
全力で抗議した結果、口パクを許可するということになり、何とか逃げることができた。
そして、そんなこんなで試合はついに始まった。
『さあ、ついに始まりますサイラオーグ・バアル選手対リアス・グレモリー選手のこの試合! 実況は私、もの72柱のガミジン家出身、ナウド・ガミジンが送らせていただきます!!』
おお、歓声が鳴り響いた。
っていうかなんというか濃いオッサンだな。すごいぞマジで。
さて、そんなこんなで、お嬢達とサイラオーグ・バアル達が入場してきたな。
さらに歓声が鳴り響き、テンションも最高潮になっていく。
さてさて、それじゃあ何が起きるのか気になってきたぜ。
そして、それぞれ対をなしている浮島に集まり、実況が始まろうとしたその時―
『あ、あーあー。テンションが最高潮のところ申し訳ありませんが、邪魔しに来ましたー』
その言葉とともに、試合会場の上に霧が発生した。
同時に、会場の周囲を結界が展開して包み込む。
何よりも、この声そのものが苛立たしさを増してくる。
ああ、忘れるわけがねえ。
この声は覚えている。
リムヴァンの野郎、ここで来やがったか!!
どよめきに包まれる観客達の声をBGMにし、霧から数十人の悪魔や人間が現れる。
そこにはもちろんリムヴァンもいる。更に、ヒルトやデイア、更にキュラスルやジェームズ達、見覚えのある顔までいる。
「あの悪魔は、確かゼファードル・グラシャラボラスっす!!」
あ、ペトの言う通りだ。アイツあの時のヤンキー悪魔!!
「プリス……っ!」
姐さんも、見知った顔を見て歯を食いしばる。
そんな大注目を集めながら、リムヴァンは不敵な笑みを浮かべると一礼した。
『知ってる人も多いけど、改めて自己紹介するZE! 僕はヴィクター経済連合の宰相、リムヴァン・フェニックスでっす!』
相も変わらずふざけた口調で、リムヴァンは一礼した。
そして、会場を睥睨するとふっと微笑を浮かべる。
「申し訳ないが、グレモリー眷属とバアル眷属を暗殺しに来たよ。ああ、民間人に余計な被害をうむ気はないから安心していいよ?」
んの野郎! このタイミングで来やがったか!!
よりにもよって、この注目の試合を台無しにして迄襲撃だと!? あの野郎、正気か!!
確かアザゼルが、ヴァーリが邪魔するやつを叩きのめすとか言ってなかったか? まさか、やられたのか!?
そんなことを考えている間に、リムヴァンは自分を睨み付けるお嬢達を見て、面白そうな表情を浮かべた。
「やっほー、リアスちゃん! サイラオーグくんは初めましてー! 悪いけど死んでもらうよー!」
「リムヴァン・フェニックス……っ! 神聖なレーティングゲームを台無しにしようだなんて、万死に値するわ!!」
「同感だ。この戦いに何かを賭けている者達全てを愚弄する行為。断じて許されるものではないぞ!!」
敵意満々の2人の鋭い視線を受けて、リムヴァンは心底愉快そうに唇を吊り上げる。
「いいねいいね。強さに裏打ちされたいい視線だよ。だ・け・ど」
そういうと、リムヴァンは苦笑を浮かべながら周りを見る。
そこには、サーゼクス様とアザゼル、そして見知らぬ悪魔がいた。
「サーゼクスくんにアザゼルくん。それにかの有名な
興味深そうな表情を浮かべて、リムヴァンは更に笑みを深くする。
ってかディハウザー・ベリアルって、サイラオーグ・バアルのアドバイザーしてるとかいうレーティングゲームNo1じゃねえか!!
なんツー最強軍団が来てるんだよ。たぶんゲスト何だろうけど、ものすごい大戦力じゃねえか。
そしてさらに、いつの間にか大量の人影がリムヴァンを取り囲んでいた。
悪魔はもちろん、オーディン様を含めた有数の神々が大量に出現。
そうそうたる面子だ。もうこの人達だけで地球を更地にできるだけの戦力が集まってやがる。
どんだけ注目されてんだよ、このレーティングゲーム。
これ、俺達出番なくね? まず間違いなく出る必要なくね?
そんなことを持った瞬間だった。
「……言っとくけど、僕は別にリアスちゃんもサイラオーグくんにも手を出す気はないよん」
そういうと、リムヴァンは指を鳴らした。
「ぼくの役目は
その瞬間、神と悪魔が一斉に、リムヴァンとともに消え去った。
はい、レーティングゲーム終了です。あ、石は投げないでくださいね!!
ヒロイたちはリアスの仲間であって眷属でない以上、試合の流れは全く同じになって介入ができないので、こういう形になりました。
今回、分身ではなく本体を直々に出したリムヴァンですが、これに関してはこの試合を直接見に来ている神クラスが多いことからとった措置です。自分が直々に出張るほかないと、彼が判断しました。それ位には彼は主神たちを舐めてかかってません。
次回、リムヴァンがついに本気出します。ちょっとだけ彼の戦闘能力を表記しますとこれぐらいになります。
原作三強を含めたうえで、上位五指に確実に入る化け物。それが、リムヴァン・フェニックスです。