ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ 作:グレン×グレン
デュランダルと聖魔剣による連携は、所詮四本しか合一していないエクスカリバーでは役者不足の相手だった。
そして使い手であるフリード・セルゼンは重傷をおい戦闘不能。
これで終わりか。
「……バルパー・ガリレイ。お前はここで終わらせる!!」
木場祐斗が剣を向けるが、バルパーはしかしそれを見ていない。
エクスカリバーが敗北した衝撃以上に、聖魔剣の存在に狼狽しているみてぇだな。
ま、聖と魔の融合とか普通考えねえもん。どんな中二設定だよって感じだよな。
さて、とりあえず俺はコカビエルに集中を―
「―そうか、わかったぞ!!」
その時、バルパーが声を荒げた。
「……チッ。いらんことに気が付いたか」
コカビエルが舌打ちしたその瞬間、俺はバルパーとコカビエルの間に割って入った。
悪いが、バルパーの始末は木場祐斗に着けさせるって約束したんでな!!
放たれた光の槍を俺は両手に魔剣を構えて防ぐ。
そして―
「―神もまた、魔王とともに死んでいたということか!!」
―その言葉を聞いた。
「…………は?」
俺は、思わず振り返った。
完膚なきまでに隙だらけだったが、しかしコカビエルは攻撃をしない。
「……褒めてやるよバルパー。そこに思い至るとは、お前はやっぱり優秀だ」
コカビエルは、ため息をつきながらそう告げる。
それは、つまり合っているということで―
「……主が、死んで……いる?」
その言葉に、ゼノヴィアは思わずデュランダルを取り落としそうになる。
そしてまた、木場祐斗も聖魔剣を持つその手を地面へと下ろしていた。
「え? え? 神が死んでるって、え?」
状況がよくわかっていないイッセーが周りを見渡しているが、それ以外の殆どが狼狽していた。
「コカビエル!! それは一体どういうこと!?」
目を見開いたリアス・グレモリーが問いただすなか、コカビエルは少し考えこむと口角を吊り上げる。
「そうだな。どうせ戦争をするなら隠す必要もないか」
この野郎、何を知っている!
「さっきバルパーが言った通りだ。かつての大戦で、四大魔王とともに神もまた死んだのさ」
サラリと、何でもないようにコカビエルは告げた。
今度こそ完膚なきまでにバルパーの言葉を認めやがった。
おいおい、ちょっとまずくねえか!?
「嘘だ、嘘だ!!」
ゼノヴィアが顔真っ青にして否定するが、しかしコカビエルは嘲笑を浮かべた。
「だからだよ。信徒どもに神がすでに死んでいるだなんて知られれば、今のお前のように我を失う。このことを知っているのは三大勢力でも上層部のみだ。天使共も下級や中級にはまったく知らされてないだろうな」
だろうな。
一神教の聖書の教えで、その神が死んでいるなんて知られればどんなことが起こるかわからねえ。
しかもこの世界の主要どころは聖書の教えを信仰してる。こんなの知られたら世界中大パニックじゃねえか!!
「人間とは支えがなければ生きていけない弱い生き物だ。だから悪魔も堕天使も人間はおろか下の連中にだって知らせてない。……まったくふざけた話だ」
コカビエルは吐き捨てる。
誰が見ても分かるぐらい、コカビエルはイラついていた。
「そのせいで、どこもかしこも戦争には二の足を踏んでやがる。神に縋っている天使共や魔王に仕える悪魔どもはともかく、俺達堕天使まで、アザゼルが二度目の戦争はないと言っているほどだ!!」
なるほどねぇ。
やけに戦争が起きなさすぎると思ってたけど、そういう事情だったってわけか。
それなら下の連中の小競り合い位しか起きるわけねえわな。トップは戦争する気がねえけど、理由が理由だから積極的に終戦させるのも一苦労ってわけだ。
俺が納得してると、ふらふらとしながらアーシア・アルジェントが前に出る。
目の焦点もあってねぇ。これ、かなりやばくね?
現役信徒のゼノヴィアでも崩れ落ちかけてる程度で済んでるってのに、この子に至っては未だ現実を受け止め切れてなさそうだ。
マジで悪魔になったのに信仰心持ってたのかよ。驚きだな。
だけど、それがなおさらかわいそうだ。
「主が、もういない……? それでは、私達に対する救いは……」
「死んだ奴が何もできるわけがないだろう」
縋りつくようなアーシア・アルジェントの言葉を、コカビエルはぶった切った。
「今はミカエルが聖書の神が残したシステムを動かしてる。よくやっていると褒めてやるが、神ほどの効果は望めないな」
な、なるほど。聖書の神はそんな器用なまねをしてたのか。
って感心してる場合じゃない!
アーシア・アルジェントの奴、もう気絶しようとして―
「―っと」
それを、兵藤一誠が受け止めた。
「………コカビエル、だっけか?」
そして、イッセーはアーシア・アルジェントを地面に横たえながら、声を出す。
「俺、バカだからよくわからないけどさ、それでなんで戦争するんだよ?」
「馬鹿馬鹿しい。すでに振り上げた拳をぶつけることなく下すだと? そして今度は馬鹿馬鹿しい神器などという玩具にこだわって研究し続けろとでも!? ふざけるなよ!!」
コカビエルはマジギレの表情でそう怒鳴るが、その答えを聞いて、イッセーもまたマジギレの表情を浮かべる。
「ふざけんじゃねえぞこの野郎!! お前の、お前のそんな自分勝手な野望のために、俺のハーレム王になる夢を邪魔されてたまるか!!」
おお、理由はどうだか知らねえけど、すごい気迫だ。
あのコカビエル相手にそこまで言えるならいい啖呵だ。すげえな、おい。
「……お前はハーレムを作りたいのか? 二天龍なら役には立つだろうし、俺についてくるというのなら適当に見繕ってやるが」
おお、出たよ魔王とかが勇者相手に言いそうなセリフ。
だけどまあ、そんなもんに引っかかる流れなわけないのはわかってるだろう。単純な挑発だ―
「……………マジか」
うぉおおおおおい!!!
「イッセー!! てめえここで考えるか!? 考えるのかよ!?」
「イッセー!! 平常運転にもほどがあるわよ!!」
渾身のツッコミが俺とリアス・グレモリーから飛び出した。
「す、すんません!! どうにもハーレムって言葉には抗いがたい誘惑が……その、おっぱいが……いっぱいで……」
しどろもどろになるイッセーを見てると、俺もまあ、なんというかあれだ。
力が、抜けたな。
「……ったく。こりゃまったくもって期待できねえ」
俺はなんかため息つきたくなった。
だけどまあ、こっちもおかげで余計な力が抜けたぜ。
「仕方ねえから俺が何とかしてやるかぁ!! ほら、お前ら下がってな!!」
俺はイッセーの肩に手を置くと、一歩前に出る。
こりゃ、俺がどうにかするしかねえだろう。
おそらく、まともに勝ち目があるのは俺ぐらいだしな。ここは気合入れでかっこつけるか。
「バカ! 一人でどうにかできる相手かよ!! 俺達だって―」
「だからパワー溜めておけって言ってんだよ。オフェンスは俺がやる」
俺はコカビエルを真正面から見据える。
「ハッ! 確かにお前はこの場で最強の実力者だ狼。過ぎた
「―なに勘違いしてんだ、てめえ」
コカビエル。お前は一つ勘違いしてるぜ。
「なに?」
俺は魔剣を消すと、深呼吸を一つ。
ああ、これ間違いなく俺やばいことになるわ。
だが、この男は間違いなく邪悪だ。
戦闘能力は桁違いだ。
そしてこのままだと無辜の民にたくさんの被害が出る。
ああ、正直に言おう。
おあつらえ向きに
「―ヒーローは、追い込まれてからが本番だ。……俺の神器は二つじゃねえ!!」
その言葉とともに、俺の両手の間にオーラが放たれる。
さっきの聖歌など比べ物にならない聖なるオーラが形となり、そして一振りの槍となる。
「………ほぅ。これは面白い」
「………あれは……」
「う、美しい………」
コカビエルが楽しそうに唇を吊り上げ、アーシア・アルジェントとゼノヴィアが呆然となる。
是こそが、問題児である俺が教会の秘密兵器と呼ばれる所以。
「最強の
そして、俺はにやりと笑った。
「覚悟しやがれ、コカビエル!!」
史上最強の力を宿した少年。主人公として定番だがそれがいい!!
え? 聖槍がこんなところにあるのなら、英雄派は大丈夫かって?
大丈夫!! 詳しいことは後で説明します!!