ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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はい、スーパーリムヴァンタイム、はっじっまっるっよ~!



今回ちょっと長めですが、本来なら庭に分けるつもりでした。

ただ、ちょっとこっちで手違いがありましたし、ついでなのでイレギュラーズの大ボスであるリムヴァンの本領を丸ッと見せようと思い、こうして一話にまとめさせていただきました


第四章 7 リムヴァンの本気

 

 アザゼルSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 気づいた時、俺達は荒野の真っただ中にいた。

 

 観客の悪魔達はもちろん、リアス達やサイラオーグ達もいない。

 

 ここにいるのは俺達や神々、そしてリムヴァン。

 

 ……絶霧による疑似空間か? いや、霧に包まれた感覚はなかったが……。

 

蒼き革新の箱庭(イノベート・クリア)。独自の異空間を作り上げ、その異空間の中限定ならば生命の創造すら可能とする、十三ある神滅具の一つだよ」

 

 リムヴァンは得意げにそういうと、指を慣らす。

 

 その瞬間、大量のドーインジャーが地面から沸き上がった。

 

 そして次の瞬間、それを包み込むほどの圧倒的なオーラが放たれる。

 

「……舐められたものじゃのう。いかに数があるとはいえ、ドーインジャー如きでわしらを倒すつもりか?」

 

 グングニルを構えたオーディンが、呆れ果てた表情を浮かべる。

 

 ったくだな。神クラスを舐めてかかるにもほどがある。

 

 神滅具は確かに、理論上は神すら殺せる性能を持っているものばかりだ。極めれば魔王クラスに匹敵する戦闘能力を得れるだろう。

 

 だが、神を同時に何十体も相手にして倒せるほどの性能は未だ誰一人として到達してねえ。

 

 そんなことができるのは、オーフィスかグレートレッドぐらいだ。

 

 ドーインジャーを一瞬で数千体生み出したその手腕は見事だが、しょせんその程度で神々を滅ぼせるわけが―

 

「その程度で?」

 

 その言葉とともに、攻撃をかいくぐってドーインジャーが突撃を始めた。

 

 なんだと?

 

 オーディンのジジイのグングニルを喰らって、この程度の被害で済むはずがねえ! いったい何が起きた!?

 

「チッ!」

 

「ガッハハハ!! 面白いな!!」

 

 他の神々もまた同時に攻撃を叩き込むが、ドーインジャーはしぶとく突貫する。

 

 なんだと!? まさか、対神用のドーインジャーができやがったのか!!

 

「下がっていただきたい。ここは私達が!」

 

 サーゼクスが一歩前に出て、消滅の魔力を叩き込む。

 

 そしてその瞬間、残っていたドーインジャーは一瞬で吹き飛んだ。

 

 な、なんだ? 対神用にしちゃ、かなり弱くねえか?

 

 ……どういうことだ? 神の力を無効化する事に特化した魔獣創造の亜種禁手ってわけでもねえだろうし……。

 

 その時、俺の脳裏に嫌な創造が閃いた。

 

「………おい、リムヴァン」

 

「うん、たぶんその想像で合ってるよー」

 

 マジか、最悪だ。

 

 この状況、あまりに致命的だぞ!!

 

「アザゼル。リムヴァンは一体何をした?」

 

「答えは簡単だ。この異空間は、神の力を抑え込む事に特化している。いわば神封印特化型の禁手だ!!」

 

 蒼き革新の箱庭。俺も詳しくは知らねえが、実際リムヴァンの言う通りってところだろう。

 

 この空間の中限定なら、ドーインジャーの大量投入を魔獣創造の使い手レベルで可能とする。そして、更にその空間は特別製。

 

 おそらく奴の蒼き革新の箱庭は、空間そのものに封印などの属性を付加する能力に向いているタイプだ。

 

 そして、主神クラスがゴロゴロいるこの状況下でやってるって事は……!

 

「神の力を封印する異空間を作る。それが、お前の蒼き革新の箱庭の禁手か!!」

 

「イッエース! 蒼き無神論の箱庭(イノベート・クリア・エイシズム)だよん!」

 

 くそが! 対神特化型の禁手かよ。神滅具の名に恥じねえ禁手を作り出しやがって!

 

 まずいな。ここにいる面子の大半は神だ。神封じの力はもろに喰らう。

 

 俺達があっさり吹きとばせるドーインジャーすら、全力でも一割減らせればいいレベルに迄力が抑え込まれちゃぁ、リムヴァン相手だと苦戦なんてもんじゃねえ。

 

 しかも、おそらくこのリムヴァンは正真正銘本物だ。

 

 オーラが依然やり合った時とは比べ物にならねえ。マジであの時のサーゼクスに匹敵するレベルだ。

 

「今回は特別に大盤振る舞いさ。蒼き無神論の箱庭は前座だよん♪」

 

 その言葉とともに、リムヴァンの周囲の地面から、大量の剣が突き出る。

 

 マジかよ。この反応……聖魔剣じゃねえか!

 

 しかもその聖魔剣は、鎧の形をとる。

 

 それも、一体や二体なんてもんじゃねえ。少なく見積もっても数千体はいやがる。

 

 これが、禁手で生み出された騎士団だってのか!?

 

「これが、聖剣創造と魔剣創造を複数融合させて作り上げた複合禁手、魔聖剣の蹂躙旅団(ブリゲート・オブ・ビトレイヤー)さ。ま、神殺しはまだ使えないけど―」

 

 リムヴァンは指を鳴らすと、蹂躙旅団の内十体前後が手に持っている聖魔剣をかき消した。

 

 そして、リムヴァンの右手とそいつらの右手に、聖なるオーラを放つ槍が発現し、握られる。

 

 ……間違いない。あれは全部黄昏の聖槍だ。

 

「神殺しはこれで十分かな? さあ、それじゃあそろそろ全力で行こうか」

 

 そういうリムヴァンの背後に、大量の魔方陣が展開される。

 

 そしてそこから、明らかに一つ一つが最上級悪魔の全力にも匹敵する火力のエネルギーが集まっていく。

 

「そしてこれが属性系神器の複合禁手、万象の殲滅砲兵(バスター・オブ・マテリアル)

 

 その強大なエネルギーは、何故か属性が理解できない。

 

 その俺達の戸惑いを見て、リムヴァンはにやりと笑う。

 

「威力はもちろん高いけど、その真価は別にある。あらゆる属性を込めたこの砲撃は、当たった瞬間そいつに最も効果的な属性に変化する。……神殺しはこっちもまだできないけど、司る属性次第だと結構効くよん? 最上級悪魔でも出すのが大変な威力だしねぇ」

 

 そして次の瞬間、俺達は嫌というほど思い知る。

 

「言っとくけど、神様数十(この)程度で僕を倒せると思わないでよね」

 

 ……第四の超越者、リムヴァン・フェニックス。奴の戦闘能力は、たった一人でオーフィス相手にやり合えるようなシャレにならねえレベルにまで到達してるって事を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side Out

 

 

 

 

 

 

 

 

 現れた数十人の悪魔や人間達が、ドーインジャーを呼び出しながらイッセー達に向かって襲い掛かる。

 

 しかもそいつらを包囲した神々や最上級悪魔派、全員まとめてリムヴァンと一緒にどっかに転移してきやがった。

 

 くそが、これまずくねえか!?

 

「レイヴェル! 子供達を任せたわよ!!」

 

 姐さんが真っ先に反応して、風と共に空を飛んでそれを迎撃する。

 

 全身から雷撃を放って一瞬でドーインジャーを百体近く吹き飛ばすが、呼び出されたドーインジャーは軽く千体は越えている。

 

 って解説してる場合じゃねえ!!

 

「イリナはペトのガードを頼む! ペト、狙撃で確実に数を減らしとけ!!」

 

「分かったわ!」

 

「了解っス!!」

 

 俺は即座に聖槍を呼び出し、魔剣で空を飛んでドーインジャーをぶちのめす。

 

 即座に十体ぐらい吹っ飛ばした時、悪魔が真上から強襲を仕掛けてきた。

 

「死ね、人間!!」

 

「なめんな!!」

 

 即座に魔剣をコイルガンで発射して迎撃するが、魔力とぶつかって相殺された。

 

 チッ! こいつらも蛇で強化されてやがるな?

 

 神器移植しまくりの俺が言うことでもねえけどよ、ドーピング主体ってのもどうよ、マジで。

 

 そんなことを思いながらも、俺達は戦闘を継続する。

 

 何故か、ジェームズたちは動きを見せてないのが気になるが、つってもそんなこと気にしてる暇もねえ。

 

 俺は敵の上級悪魔を迎撃しながら、素早く周囲を確認する。

 

 お嬢達もサイラオーグ・バアル達も、襲い掛かってきた上級悪魔とその眷属相手に勇猛果敢に渡り合っている。

 

 幸い敵も観客には積極的に手出しをしてこないので、その辺は安心できるな。

 

 そして、そんな中突出した悪魔が一人、サイラオーグに殴り掛かる。

 

「バアルの無能がぁあああああ!!」

 

「……ゼファードルか!」

 

 真正面からくる攻撃をサイラオーグ・バアルは避け、そして拳を叩き込む。

 

 そういや、レーティングゲームじゃゼファードルは一撃で悶絶してたな。

 

 ……だが、今回は平然と受け止めると更に攻撃を叩き込んだ。

 

 それをサイラオーグは軽く肌を赤くする程度で防ぐが、然し確かにダメージが入っている。

 

 なるほど、蛇の強化は効果はあるってことか。

 

 いや、それにしても頑丈さの理由にゃ足りねえ。……あいつも神器を移植したのか?

 

「どうだ無能! これが拡散する波動(インパクト・サイレンサー)の力だ! てめえの攻撃はもう通用しねえ!!」

 

「なるほど、流石に何も考えずに再戦を挑んだわけではないようだな」

 

 サイラオーグも少しは感心してたようだが、然し平然と拳を握る。

 

「なら効く迄殴るのみだ!!」

 

 そして拳を正確に叩き付け―

 

「甘いんだよ、無能!」

 

 その瞬間、サイラオーグの拳が弾き飛ばされた。

 

 なんだ!? まるで衝撃そのものが反転したみたいに―

 

「これが拡散する波動の禁手、反転する波動(インパクト・リフレクター)だ! てめえの攻撃は俺には通用しねえ!!」

 

 得意げに嗤うゼファードルに、サイラオーグはふぅと息を吐く。

 

「……なるほど、後付けしたものとはいえ、禁手にまで至ったのなら、少しは評価せねばならんな」

 

「余裕ぶっこいてるんじゃねえ。てめえの攻撃は全部跳ね返るって言ってんだろうが!!」

 

 その余裕っぷりが気に入らないのか、ゼファードルは大量の魔力球を発生させる。

 

 んの野郎、攻撃が効かない事を良い事に、じわじわと削り殺すつもりか?

 

 確かに物理攻撃反射ってのはきついな。

 

 サイラオーグ・バアルは魔力を一切持たない。そしてそれを補う為に肉体を徹底的に鍛え上げた。

 

 それはすなわち物理攻撃しかできないってこと。限度ってものはあるはずだ。

 

 これはまずいな。援護に行った方がいいか ?

 

 そう思った次の瞬間、サイラオーグはため息をついた。

 

「だがこの程度か。この程度で俺に勝てると思っているのなら、興ざめだぞ、ゼファードル」

 

 その言葉とともに、サイラオーグの四肢が光り輝く。

 

 なんだ? 魔力じゃなくて魔法か何かを使うってのか?

 

「これは、俺の力を封印している術式だ。今からこれを解除する」

 

 そして解除した瞬間、サイラオーグの動きがシャレにならない速度になった。

 

 聖槍の加護と日々に訓練を積んでいる俺でも見切れるかどうか怪しいレベル。低く見積もっても木場と並ぶかそれ以上じゃねえか。

 

 そして、そのままサイラオーグはゼファードルの眼前に立っていた。

 

 それに気が付いた瞬間、勢いよく拳がゼファードルに叩き込まれる。

 

 そして、サイラオーグの拳とゼファードルの顔面が勢いよく弾き飛ばされた。

 

「……流石に痛いな」

 

「がぁあああああ!?」

 

 サイラオーグは軽く手を振って痛みを紛らわし、ゼファードルな悶絶しながらその場を転がる。

 

 な、なんだなんだ?

 

「て、てめえ何しやがったぁああああ!!!」

 

「大したことはしてない。自分が喰らっても大丈夫な勢いぎりぎりで拳を叩き込んだだけだ」

 

 ………はいぃ?

 

「神器にも限界があると思って試してみたが、どうやらその通りなようだ。問答無用でどんな打撃も無効化など聖書にしるされし神でも不可能だと思ったのでな」

 

 ああ、確かにその通りだな。

 

 封印系神器でもない限り、主以上の力を発揮する事なんて、主の力で作ったものにできるわけがねえわな。

 

 なんツー脳筋だよ、おい。

 

「ふ、ふざけんなぁああああ!!! そんな威力、出せるわけが―」

 

「出せる。その為に修練を積んできたからな」

 

 そうゼファードルの反論を叩き切ると、サイラオーグは再びゼファードルを間合いに収める。

 

「さて、それでは終わってもらう!!」

 

 そして次の瞬間、拳の連打がゼファードルに叩き込まれた。

 

「ぐばばばばばばばばばばばばばばばばばばらっはぁ~っ!!」

 

 全身を滅多打ちにされて、ゼファードルはぼろぼろになって地面に崩れ落ちた。

 

 ああ、これ再起不能だ。

 

「……ふむ、こんなものか」

 

 サイラオーグは赤くなった拳を軽くひらひらさせると、そのまま天に浮かぶジェームズ達を睨み付ける。

 

「それで、お前達の引き連れた悪魔達はもう終わりのようだぞ? まさかこの程度ではないだろうな?」

 

「……思ったより役に立たないな。しょせん、鍛えるという事をしない連中はこの程度か」

 

 ジェームズはため息をつくと、地面に降り立った。

 

「ったく、思う存分暴れてえなら、その為の努力ぐらいはしねえと駄目だって話だな!」

 

「脆いわね。この程度で神々に喧嘩売りに来るなんて馬鹿じゃないの?」

 

「流石に言いすぎかと。一応蛇による強化はしていたんですよ?」

 

 そう思い思いに言いながら、キュラスルにヒルトにデイアもまた降り立つ。

 

 気づけば、リムヴァンが連れてきた手勢で動けるのはこいつら含めた後七人。

 

 ……思った以上に優勢ムードだが、たぶんこっからが大変だよな。

 

「ロキとの戦いでは世話になった顔も何人かいるわね。だけど、まさか見逃してもらえるとは思ってないでしょう?」

 

 お嬢が代表してそう告げる中、七人はしかし戦闘態勢を取らない。

 

 なんだ? 何か待っているような―

 

「……来たわね」

 

 そして、ヒルトが俺達の後ろを見てそう言葉を継げた。

 

 それが気になって、俺は魔剣を作ると鏡代わりにして後ろを確認する。

 

 そして、俺達の後ろでは空間が裂けていた。

 

「………俺は、警告したはずなんだけどね」

 

 そう静かに言い放つのは、白い龍の鎧に包まれた一人の男。

 

 闘戦勝仏の末裔を、SSランクのはぐれ悪魔を。聖王剣の担い手を、担い手の妹を、古き巨大兵器を、そして一匹の狼を。

 

 それぞれが一騎当千の猛者である実力者を引き連れて、正当たるルシファーの末裔であるヴァーリ・ルシファーがその戦場に到達した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヴぁ、ヴァーリ!?

 

 ヤバイ、これってまさか挟み撃ち!? 完全に挟撃された!?

 

 俺は一瞬ビビるけど、ヴァーリは俺達に視線を向けると軽く頭を下げる。

 

「悪かったな、兵藤一誠」

 

 え? なにが?

 

「曹操達に睨みを利かせていたんだが、まさかリムヴァン本人が動くとは思わなかった。すぐに追いかけたんだが、どうやら間に合わなかったようだ」

 

 え、ああ。そう言えばそんなことをアザゼル先生が言ってたっけ。

 

 サイラオーグさんと俺達の試合を楽しみにしてるから、邪魔させたりはしない。そうアザゼル先生に伝えてたはずだ。

 

 俺達は英雄派が仕掛けてくるものとばかり思ってたけど、確かにリムヴァンが自分から仕掛けてくるとか流石に予想外だ。

 

 もしかして、助けに来てくれたのか?

 

「どういうつもりですか、姉様」

 

「つれないわねぇ白音。せっかくお姉ちゃんが助けに来たんだから、少しぐらい感謝してもいいのよ?」

 

 警戒心丸出しの小猫ちゃんに、黒歌が割とマジ顔でそう答える。

 

 そして黒歌は小猫ちゃんを庇う様に前に立つと、ヒルト達を睨み付けた。

 

「どういうつもり? ヴァーリは「この試合の邪魔をするな」って警告したはずよ?」

 

「まったくだぜぃ。俺達楽しみにしてたんだからよぉ、落とし前つけてくれんのかよ」

 

 美候も前に出て、如意棒の先端をヒルト達に突き付ける。

 

 マジで殺気立ってる。これ、返答次第で俺達置いてきぼりになりそうだぞ?

 

 だけど、それに応えたのはヒルト達じゃない。

 

「……いや、落とし前をつけに来たのは僕達の方なんだけどねん?」

 

 そういって、四人の後ろにいた男が、フードを取る。

 

 そして、その男の姿を見て俺達は度肝を抜かれた。

 

 り、り、リムヴァン!?

 

「てめえ! なんでこんなところにいやがる!?」

 

 ヒロイが槍を突き付けて、歯を食いしばりながら大声を出した。

 

 当然だ。リムヴァンの奴はサーゼクス様やアザゼル先生と一緒にどっか消えたんだ。

 

 しかも、あそこには大量の神々迄セットだった。万が一倒されたにしても早すぎる。

 

「心配しなくても、まだ誰も死んでないよん。ここにいる僕は最上級悪魔クラスの分身さ」

 

 そう苦笑を浮かべるリムヴァンは、しかし両手に炎をともしながらニコニコと笑う。

 

 それに対して、ヴァーリがマジギレの視線で睨みを利かせる。

 

 それを楽しそうに受け止めるリムヴァン。こいつ、根性あるな。

 

「落とし前……とはどういうことだ?」

 

「決まってるだろう? グレモリー眷属に対する利敵行為。更にその所為で出てきた監視に対する反撃行為。……僕はともかく、首脳陣は割とキレてるんだよ。だから制裁を下すべきだといっててねぇ」

 

 苦笑を浮かべながらリムヴァンはそう告げ、そして俺達を見る。

 

「何がお仕置きに一番いいかって、そりゃぁ一番気にしてる事を台無しにする事だって意見が大多数なのさ。だから、このレーティングゲームを台無しにする事でテストを行うつもりなんだよねぇ」

 

 ま、マジかよ!!

 

 その為に態々俺達のレーティングゲームを邪魔したってのか!?

 

 勘弁してくれ! そんなのあんた等だけの間で終わらせてくれよ!!

 

「……すまなかった、兵藤一誠。どうやら白龍皇を舐めてかかりすぎているのがあいつらのようだ。もう少し仕事をして脅威度を見せるべきだった」

 

 ヴァーリは目を伏せてそういうと、更に一歩前に出る。

 

「この詫びは、こいつらを血祭りにあげることでさせてもらうとしよう……!」

 

 その瞬間、ヴァーリの姿が掻き消えた。

 

 そして、リムヴァンの腕がぶれた。

 

 そして次の瞬間、ヴァーリの拳をリムヴァンが受け止め―

 

「あまいYO!」

 

 ―一瞬で殴り飛ばす!!

 

 轟音を上げてヴァーリは弾き飛ばされ、そして俺たちを通り越して壁にたたきつけられた。

 

「……分身だからって舐めないでもらいたいねん? これでも、身体強化系の複合禁手、一騎当千の魔も貴族(フィネクス・オブ・サウザンド)を持ってきたんだよん? それ込みなら神クラスだよん?」

 

 ふふんと得意げに嗤いながら、リムヴァンはヴァーリにあきれ果てた視線を向ける。

 

「……腐っても超越者をその程度で倒せるわけないだろん? やるならせめて、開幕速攻覇龍ぐらいは使ってくれないと困るねぇ」

 

 あっさりとヴァーリを殴り飛ばしたリムヴァンは、しかも無茶苦茶余裕モードだ。

 

 マジかよ。あのヴァーリをあっさりと殴り飛ばした?

 

 ……分身だろ。性能は最上級悪魔クラスが限界何だって話だろ。それも本体は大絶賛神や魔王の軍団と激戦中だろ。

 

 これが、超越者リムヴァン・フェニックス……っ!!

 

「さぁて、それじゃあそろそろ本命の実験を始めるかなぁ?」

 

 その笑みが、俺達は何よりも怖かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side Out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 上等だ、この野郎!!

 

「槍王の型、流星(ながれぼし)!!」

 

 俺は渾身の一撃を、堂々と立っているリムヴァンに叩き込む。

 

 完全な不意打ち。かわせる余裕があるはずがない。

 

 あのロキですら不可能だったことを、仮にも悪魔のこいつができるわけが―

 

「甘いねぇ」

 

 一瞬で、リムヴァンは身をひねって回避した。

 

 んだとぉ!?

 

 くそがぁ! ヴァーリをワンパンでぶっ飛ばしたのは伊達じゃねえってか!?

 

「こらこらっ。僕は今回あくまでサポートなんだからねぇ?」

 

 そう言って俺の額に指をこつんと充てると、リムヴァンはバックステップをしていったん下がる。

 

「さてそれじゃあ、そろそろ本格的に動くとするかな?」

 

 そう言って指をパチンと鳴らすと、四人が前に出る。

 

「ロキをボコる時は世話になったけれど、オーディンと組するのなら容赦はしないわ」

 

 ノイエラグナロクの戦士、ヒルト・ヘジン。

 

 二振りの魔剣を保有する、超一級の剣士の1人。その剣腕は悪神ロキの野郎でも舐めプでは倒せなかった。

 

「すいませんが、こちらもオリュンポスの主流派と与するのなら、遠慮はしません」

 

 アルケイデスの魔法使い、デイア・コルキス。

 

 ロキすら感心するほどの魔法の使い手。おそらくロスヴァイセさんとまともにやり合えるレベルはあるだろう。

 

「久しぶりに暴れられるぜ。ワクワクが止まらねぇ!」

 

 かつてイージス艦でやり合った、キュラスル・スリレング。

 

 俺を相手に互角以上に渡り合ったそのパワー、驚異以外の何物でもねえ。

 

「コンバットプルーフならもっと楽な奴がいるだろうに。ま、これも仕事か」

 

 そして木場とやり合った、ジェームズ・スミス。

 

 あの木場を追い込んだ新種の神器の使い手。こいつも間違いなく面倒だ。

 

 ……だが。

 

「舐められたものだね」

 

 木場は静かにため息をつく。

 

 そう、確かにこいつらは脅威だ。それは間違いねえ。

 

 だけど、ちょっと俺達全員を相手にするには役者不足じゃねえか?

 

 グレモリー眷属とバアル眷属。そしてヴァーリチーム。とどめに俺やら姐さんやらペトやらイリナがいる。

 

 ……仮に英雄派の幹部クラスの実力を得たとしても、流石にこれはきつくねえか?

 

「ヴァーリきゅん。実は今回の目的にはついでにもう二つあるんだ」

 

 リムヴァンは、得意げな表情を崩さねえ。

 

 まるで、たった四人で俺達全員を相手にできると思ってるみてぇだ。それほどまでの確信がありやがる。

 

 なんだ? こいつ、今度何を移植しやがった?

 

「なんだい? これ以上、俺の神経を逆なですることがあるのか?」

 

「いやいや~? むしろ、これは楽しんでもらえると思うよ?」

 

 そういうと同時に、リムヴァンは片手を上げる。

 

「……新兵器の、テストさ。さあ、四人とも装着しな」

 

「わかったわ」

 

「了解です」

 

「おうよ!」

 

「ラジャー」

 

 そう口々に言いながら、四人は腰に何かを巻き付ける。

 

 ……なんか、変身ヒーローみたいなベルトつけたんだけど。

 

『『『『イグドライバー、オン!!』』』』

 

 なんか合成音声が鳴り響いてるんだけど。

 

「「「「ジェルカートリッジ、セット」」」」

 

 なんかベルトに装着したんだけど。

 

『『『『OK! レッツ、イグドライブ!』』』』

 

 なんか奴らの全身をジェルが包んでるんだけど。

 

「「「「イグドライブ!!」」」」

 

 なんか掛け声出したんだけど!?

 

 そして―

 

「―これが新兵器。封印系神器を参考にした強化装甲服、イグドラシステム」

 

 得意げなリムヴァンの言葉とともに、四体の変身ヒーローが其の場に立った。

 

「……イグドラスコル。ヒルト・ヘジンよ」

 

「イグドラハティ。デイア・コルキスです」

 

「イグドラスルト! キュラスル・スリレングさ!!」

 

「……イグドラヨルム。ジェームズ・スミス」

 

 四人の戦士達はそう名乗り―

 

「そうか、なら試してやろう」

 

 その瞬間、ヴァーリの魔法攻撃が一斉に放たれる。

 

 そして迫りくるその攻撃を、四人はガード体勢こそ取ったがあっさり受け止めた。

 

「じゃあ、そろそろ仕事だ」

 

 ジェームズが気迫が僅かに籠った声を放ち、そして四人は戦闘を仕掛ける。

 

 おい、これまずくね?

 




リムヴァン、超無双。

ぶっちゃけ、リムヴァンは本人だけでの戦闘能力なら超越者の中でも最弱です。ですが、彼の特性は拡張性に特化しており、それゆえに現時点の戦闘能力なら超越者の中でも最強です。本体が出張ってくれば、対サーゼクスようの複合禁手もあるので、一対一なら負けることはありません。

そしてその拡張性を最大限に発揮した結果の一つが、蒼き無神論の箱庭。取り込んでしまえば神との一対一ならほぼ確勝を約束できます。神滅具の禁手を対神に特化した結果の産物です。

くわえて、今回お披露目した複合禁手のうち二つは、理論上は神殺しの特性も発現可能。これを発現させてしまえば、一神話体系の神々を一人で蹂躙することも夢ではありません。そう言う相性も含めれば、ある意味で三強よりも厄介といえるでしょう。

くわえて言えば龍殺しの聖魔剣ぐらいはいまでも使えるので、アザゼルも切り札を使いづらく、サーゼクスはさっきも言いましたがメタ張られています。聖魔剣なのでディハウザーも確実に苦戦必須。足止めどころか、長期戦に持ち込めば皆殺しも狙えます。それぐらい圧倒的有利な状況下です。

ですが、リムヴァンは今回一つだけ見落としをしています。其れさえつつくことができればこの圧倒的窮地を脱する可能性も……。


そしてこれだけの大ごとをした最大の理由は、ヴァーリに対する嫌がらせです。

感想ではヴァーリどうする気なのかてきな質問がありましたが、そもそもヴァーリに対するお仕置きなので当然あいつらの意見など虫です。むしろ警告していたから実行しました。

分身が言った通り、テストしたいこともあったので強敵が必要だったこと。加えて本章の本題でもあるリセスの試練……というよりさすがにそろそろ対策を取った方鎧レベルになったこともあり、それらすべてが組み泡った結果、このレーティングゲームを台無しにすることが決定されたわけです。








そして登場、イグドラシリーズ。

実はオリジナルの適精鋭は出す予定でした。その際イメージしたのは、本来ならカイザーシステム。

外見がよかったうえに、スコルとハティという存在がちょい役なのが残念だったのでマジだしたかったのですが、二人だけってのも少ないし、ブロスにそうとうする女性関係の略称があまりなかったし、そもそも女だけだとイッセーが圧倒するし、銃型のアイテムだとこの世界線だと強者が使いづらいしで、最終的にスクラッシュドライバーをイメージした変身装置になりました。

素手も強い上にイグドラシステムの適合値もたかく、さらに本章の終盤で明かされますがもう一つの強みを持っていることから選ばれた、四人の精鋭。

彼らがどんだけ強いのかは、次の話をお楽しみに。

あと、次の次の話あたりで、リセスの過去関係が一気に紐解かれるので、鬱展開の覚悟もお願いします
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