ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ 作:グレン×グレン
こっからが、ヒロイたちのターンだ!!
「ヒロイ! リセスさん!!」
イッセーが突撃を開始すると同時に、両手を広げる。
その意図は明白。ゆえに二人も手を伸ばす。
そして、赤龍帝の可能性を受け取った。
「我が英雄とは、輝き照らす光なり!」
ヒロイは即座に詠唱とともに、聖槍を掲げる。
「陽光に焦がれ、閃光で照らし、そして人々を栄光に導かん!」
その英雄としての在り方にブレなど一切あり得ない。
何故なら、如何にリセスに裏の事情があろうと、英雄であろうとした彼女の輝きを放っていた事だけは本物なのだから。
ゆえにこそ、ヒロイに変化はない。
「我、赤き龍の輝きに照らされ、同胞を照らす強き輝きになることを誓う!!」
そして、リセス・イドアルもまた祝詞を唱える。
「我が英雄とは、輝きが掲げる誇りなり!!」
だが、その詠唱は前とは異なる。
ただ弱さを克服する為に求めた力の亡者となるのは卒業した。
「罪に惑い、強さに縋り、されどゆえにこそ手にできたこの栄光」
迷走して暴走した妄想だった。
そんなことで罪は消えず、彼は許さないとはっきりと言われた。
……だが、そんな自分でも掛け替えのないものを手にすることはできた。
自分が救った二人に救われて、今自分はここにいる。
ゆえに、誰が何と言おうと、その二人の自慢である自分だけは守り通す。
「我、赤き龍の優しさのように」
そしてそれを引き出した兵藤一誠は、新たな高みへと駆け上がっていく。
なら自分もそれに倣おう。強くなっていく掛け替えのない二人に負けないぐらい、自分も高みを上って見せる。
「―愛おしき双翼を纏いて天へと飛び立たん!!」
その瞬間、四人の神滅具使いがイグドラシステムの戦士達とぶつかり合った。
「女に触れさせると思うな!!」
「ああくそ! やっぱそりゃ対抗されるよな!!」
イッセーはジェームズと。
「お前が一番俺好みだぜ!!」
「同感だ。同じ土俵なのでやりやすい」
キュラスルにはサイラオーグがぶつかり―
「何やら縁を感じるな」
「そうね。何故かあなたは積極的に殺したいわね」
ヴァーリはヒルトと激突し―
「逃がさねえぜ、魔法使いさん!!」
「接近戦は苦手なのですが……!」
デイアをヒロイが相手にする。
むろん、単独で複数人を相手にしてきた者達を相手に、この程度で対抗できるわけがない。
だがしかし。この仕切り直しによって使える隠し玉がある。
「レグルス!! 今こそ冥界の危機だ、使うぞ!!」
「承知!!」
サイラオーグの命に従い、巨大な獅子たるレグルスが光と化してサイラオーグと一体化する。
「
巨大な獅子は黄金の鎧となり、そしてサイラオーグの体を覆う。
その瞬間、今までよりも素早く放たれた拳がキュラスルの顔面を殴り飛ばして、吹き飛ばした。
「ぬぅおおおおおお!? なんだなんだ!?」
大してダメージにこそなってなかったが、キュラスルは明確に驚いた。
そして、その光景を見たリムヴァンはハッとなって気づく。
「まさかその兵士。ネメアの獅子だとは思ってたけど
獅子王の戦斧。それは神滅具の一角に数えられる最強の斧。
ネメアの獅子の一体を封じ込めた、二天龍にも匹敵する強大な存在。
その神滅具の使い手ではなく、神滅具そのものが転生悪魔になっているなど前代未聞だ。
「……礼を言うぞ、キュラスル・スリレング」
その亜種禁手、
「お前ほどの相手なら不足はない。来るがいいイグドラスルト。貴様は冥界の大敵だと判断する!!」
「……はっはぁ! いいねぇそういうの!!」
対してキュラスルは突撃を敢行。
その瞬間、イグドラスルトの全身が肥大化する。
「俺の神器は筋力強化の
そして、その拳がサイラオーグを百メートルに渡って弾き飛ばす。
そしてその間に、こちらも戦闘が繰り広げられていた。
「チッ! 速い!!」
「推進魔法とイグドラハティの力を併用しても引き離せないとは……っ!」
音速を軽く超過した追撃戦を展開するヒロイとデイアはしかしデイアの方が有利。
接近戦を避けるデイアに対し、近~中距離戦主体のヒロイでは追い切れない。
反面デイアは追尾能力まで持っている魔法を使っての遠距離戦闘が主体。距離を取っての射撃戦ならあっちが有利だった。
「……どうしたの、歴代最強の白龍皇とはこの程度?」
「言ってくれるな!」
ヒルトもまた、ヴァーリを追い込んでいた。
もとよりスコルは神殺しの牙を持つ獣の子供。
本来のフェンリルに比べれば劣るが、然しそれでも優れた使い手であるヒルトが使用すればフェンリルとすら戦える。
そのフェンリルを押さえるのに、覇龍を使う事となったヴァーリでは、覇龍を使わずには押し切れない。
そして、覇龍を使わせる余裕を与えるほど、ヒルトは甘くない。
「うぉおおおおお!!」
「性能の高さは認めるが、技の練度が低いな」
そしてイッセーもまた攻め切れない。
真女王の力はイグドラヨルムを超えている。それは間違いない。
だが、それを補って余りあるほどジェームズの技量はイッセーを超えていた。
「何年こっちが戦闘訓練を受けていると思っている。素人に毛が生えた程度の技で、俺に当てれると思うな」
「くそ! こいつ……強い!!」
的確かつ正確に攻撃が入るが、しかしそちらに関してはガン無視できている。
とはいえ、真女王はなり立てな上、こちらも限界状態だったところからの覚醒だ。持続時間には限度がある。
このままでは、勝ち目がない。
一瞬でもそう思ったその瞬間だった。
「……あなた達、この
その言葉とともに、戦局は一気に打開される。
その瞬間、サイラオーグの拳が風を纏った。
「む?」
「うおぉ!?」
自身の拳は風に後押しされて速度を増し、逆に相手の拳は風に受け止められて衝撃を吸収される。
明確に攻防の流れが傾き、サイラオーグは何が起きたのかと不思議に思った。
その瞬間、ヴァーリの全身を炎が包み込んだ。
「何ですって!?」
「これは……」
ヒルトによる凍結攻撃が、灼熱により吹き飛ばされる。
そしてヴァーリは炎の魔法を放つ。
その火力は、既に神クラスにまで引き上げられていた。
流石に驚きだ。如何に自分が様々な魔法を身に着けているといっても、ここまでの火力は流石に出せない。
これはもはや、火の神の領域だった。
その瞬間、兵藤一誠の拳に氷が纏わり付いた。
そのとげが、ジェームズの回避を超えて傷をつけ、そして攻撃を防ぎ切る。
「なんだ?」
「……っ!」
ジェームズは怪訝な表情を浮かべ、イッセーは泣きたくなるほど嬉しくなった。
ああ、彼女は本当に立ち直ったのだ。
なら、俺達も負けてはいられない。
「気合入れるぜ、ドライグ!!」
『ああ! 意地でも持たせてやるさ、相棒!!』
その瞬間、ヒロイの雷撃は出力を大幅に上げた。
火力特化型の禁手でなければ出せないだろうか力が、放たれた魔法攻撃を粉砕する。
そして、本来なら連射が効かない技であるマスドライバースティンガーが散弾の如く放たれる。
「……つぅ!」
「……ぁあ」
痛痒の声を上げるデイアを意にも介さず、ヒロイは涙を流した。
ああ、彼女にまたも照らされている。
やはり、彼女こそは自分にとっての英雄だ。
だから、自分もまたその領域にいたろう。
彼女の弱さを知ったから。それを支えたいと思うから。
ヒロイ・カッシウスもまた、英雄として彼女の隣に立ち、肩を貸せるぐらいの存在にならなければならないと心から思ったから。
「……お前ら如きにかかずらっていられるかぁああああ!!!!」
リセス・イドアル、マジ覚醒
マイナス方向にもプラス方向にもものすごく動かされ、自身の英雄の形を再定義したことで、リセスは覚醒しました。龍天の賢者の詠唱が変化しているのがその証拠です。
もう、弱さから逃げるために強くなろうとするリセスはいません。
大事な人に誇れるよう、弱さを乗り越える英雄が誕生しました。
そしていきなり頼もしいところを見せつけてくれます。
龍天の賢者は、本来こういうサポートでこそ真価を発揮する能力です。
赤龍帝の贈り物を応用発展させた形になるこの形態は、サポートタイプとしての能力。属性を付加させることで、味方の戦闘をサポートするのが本来のやり方です。直接的を打倒するのではなくその助けとなる。お伽噺の魔法使いのようなやり方ですね。
リセスがしょっぱなでやったキョジンキラーの遠隔操作のほうが、どうかしている場合ですね。
そう言うわけで、神滅具組によるイグドラシステム保有者の抑え込みは成功。ですが敵はまだ隠し玉を持っていますし、リセスが倒されれば属性付加がなくなるので状況がひっくり返ります。
ですが彼女はヒロインにして真主人公です。お約束は守ります。