ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ 作:グレン×グレン
今回に関しては原作とそう変わりませんが、然しそれでもちょっとは変わります。
具体的には曹操が化けます。めちゃくちゃ化けます。超強くなります。
第五章 1 聖槍使いの憂鬱
アザゼルSide
「お前……いろんな意味で正気か?」
俺は、ヴァーリが持ちかけてきた話に目を見開いた。
ヴァーリが個人的な回線で俺に話を持ち掛けてきたことがまず驚くべき事態だ。
ぶっちゃけヴァーリはそういうのを気にしねえところはあるが、それでもロキに突っかかる時ですらこんなことはしなかった。
だから、これは何かあるなとは思ったんだ。聞いてみる価値ぐらいはあるかもしれないとは思った。
だが、これは流石に………っ
俺は今、間違いなくぽかんとしたアホ面をさらしている。
『ああ。彼……否、彼女はそれを望んでいてね。俺が持っているこの直通ラインを使えば、話を持ち掛けるのは不可能じゃなかった』
「奴の立場なら極秘和平会談とかの名目でもできそうなんだけどな」
実際、奴の立場ならそれ位のことは不可能じゃねえだろう。
なんたって世界最強の存在だ。ちゃんと様子を確認して連絡するやつがいれば、堂々と敵地に送り込んでも殺されることはまずねえ。
……だが、たぶんそういうところに考えが至らねえんだろうな。あいつは昔からそういう世俗の事柄に無頓着だったからよ。
とはいえ、これはあまりにも驚愕するべき事態だな、オイ。
展開次第じゃ勢力図が塗り替わる。ヴィクター経済連合率いる禍の団と、三大勢力が中心となった反ヴィクター連合。この戦いに決定打が撃ち込まれるといっても過言じゃねえ。
そう言う意味じゃあ、これほどのチャンスはまずないだろう。受ける価値は十分にある。
だが……。
「お前のことだ。それだけじゃないんだろう?」
『相変わらず鋭い。ゆえに他の勢力からも疎まれているわけか』
「お前が言うな」
心の底からそう突っ込みを入れれたぜ。
禍の団でも自由すぎて、かなり疎まれてるそうじゃねえか。
監視が送られるってだけならまあよくある話だ。だが、コイツに対する嫌がらせを主目的に、態々警告迄したレーティングゲームの妨害を決定する。そこ迄のレベルになってる。
「ぶっちゃけ足抜けするなら今の内だぜ? お前らほどの使い手なら、第三勢力が対異形用に確保したがるだろ」
『余計なお世話だよ。それを振りまきすぎて、色々と思われてるようだけどね』
痛いとこ突いてきやがるな。
堕天使の総督っつー胡散臭い肩書き持ってるやつが、「和平」だの「平和」だの言い出してるからな。ない腹を探られてるのが現状だ。
「……性分だよ、ま、背中を狙われる覚悟はできてるさ」
『相変わらずだな』
いちいちうるせえな。
ヴァーリは苦笑していたが、すぐに表情を切り替えた。
『……彼女を狙う者がいてね』
「だろうな。できないからやらないだけで、やりたい奴は星の数ほどいるだろうよ」
俺の脳裏にあの黒髪が浮かび上がる。
あいつ、そういうことに関しては無頓着極まりねえんだろうな。間違いなく。
『それはそうだが、よりにもよって身内から出そうでね。仕掛けてくるのも時間の問題だろう』
その言葉に、俺の脳裏に聖槍を持った若造が浮かび上がる。
なるほど。そう言うことか。
「燻り出す気か?」
『敵か味方がはっきりさせるだけさ』
嘘コケ。敵であることを心から望んでるだろうに。
このバトルマニア。本当にどうしようもねえ。イッセーを見習って女でも作ったらどうだ?
いや、こういうのが余計なお世話ってやつなんだろうな。
とは言え、これを俺の独断で動かすのは間違いなく大問題だ。
下手すりゃ俺の首が飛ぶ。少なくても、今までのような発言力を持つのは大成果を出せなきゃ不可能だ。
だが、下手に大きく動けば間違いなくヴィクターは勘付くだろう。
そうなれば何もかも台無しになる可能性だってある。
……数分間、真剣に考えた。
「……OK。俺がこっそり招き入れてやるよ」
Other Side
俺は、兵藤邸の屋上で聖槍を振るっていた。
動きはだんだん良くなっている。それは間違いなく断言できる。俺は強くなった。
だが、それでも曹操には届かない。
打ち合って確信した。奴もまた、修練によって腕を上げている。更にヴィクターの研究によって神器の深奥に潜っているようだ。そこに強化改造も加われば、成長速度は俺を凌いだっておかしくねえ。
もとより、本来の使い手である曹操の方が俺より聖槍を使えたとしても不思議はねえ。適合できたとは言え、後天的な移植者である俺には限度がある。
そして、曹操の奴は禁手に至っている事を匂わせていた。
「……そろそろ、もう一つ至りたいところだな」
俺はそう言うと、ため息をつく。
自分でも無茶言ってる事は分かってんだよなぁ。
禁手ってのは神器の究極だ。卍〇だ、〇サイヤ人だ。
なれるだけで、そいつはものすごい奴だと褒め称えられるような存在だ。そんなレアなのが
生まれつき神器を持っている人間が、真面目に努力して、それでも一生至らないだなんてよくある話だ。
そんなものに、一つだけでも至れた事は誇っていい事なんだよ。胸を張りたいんだよ。
だけど……っ!
「それじゃあ、奴には届かねぇ……っ!!」
「荒れてるな、ヒロイ」
その声に、俺は我に返ると振り返った。
そこにはトレーニングウェアの姿のイッセーがいた。
「よぉ、イッセー。女抱き枕にするのも飽きたのか?」
「茶化すなって」
イッセーは少し顔を赤くするが、しかし反応が今までと違う。
何ていうか、受け入れる事ができたって感じだな。
最近はお嬢とべったりなわけだ。ま、告白して受け入れられてるわけなんだから、なり立てはもううざいぐらいべたべただよなぁ。
「皆、遠慮がなくてちょっと困る時もあるけどさ、それ位愛されてるってのは嬉しいよな」
「遠慮されてたのか、今まで」
「ひでえな、オイ」
え~? むしろぐいぐい押してたじゃねえかぁ。
まあ、こっちはこっちでヒャッハーなんでイラつきはしねえけどよ。
それはそれ、これはこれなんだよなぁ。
「……聖槍、至らせたいのか?」
「まあな」
イッセーの言葉を否定する意味もねえ。俺は素直に認めた。
なにせ、どうも曹操は聖槍を至らせている節があるからな。もしあの時出されていれば、こっちは犠牲者が大量発生していてもおかしくねえ。
それに……。
「言っとくが、対抗意識燃やさせてるのはお前もだからな?」
「え? 俺が?」
なんで? って感想が顔にもろ出てんぞ?
この野郎。マジでむかついたから殴っていいか?
「発現して一年足らずで、禁手どころか更にその上行ってんじゃねえか、てめえ」
色々前代未聞なんだよ、てめえは。
禁手になるだけでも難易度高いってのに、それを更に昇華させるだぁ?
あり得ねえって言葉をどっかに投げ捨ててやがるな。そんなことした奴、たぶんまだ歴史上に一人としていねえ。そんだけレアだ。
「てめぇは自分の異常さを自覚しろ。何が「歴代で一番才能のない赤龍帝」だ」
「いや、実際ドライグに目覚めたのもちょっと前だし、才能ないのはドライグも先生も認めてるぜ?」
イッセー。自分を客観視してくれ。
「前代未聞の禁手のその上に目覚めてるって意味をよく考えろや。お前はもう化物の領域だよ。いい加減、お前を抹殺する為だけに手段を選ばねえ真似をする奴が出てくるかもな」
ケッ! って顔をしながら、俺は槍を振るって練習を始める。
型を体にしみこませるのは、鍛錬の基本中の基本だ。
なにせ超高速での戦闘で、いちいち思考するってのは大変だからな。条件反射である程度動けるようにしなけりゃ、動けるもんもできやしねえ。
「ん~。でも俺、まだ下級悪魔なんだけどなぁ」
イッセーは、自分の異常さを全く理解してねえな。
少しは考えろや。泣くぞ周りの研究者。
そういうところを全く考えないの、お前の駄目なとこだぞ?
俺はジト目で呆れるが、イッセーは首を捻りながらもすぐになんか割り切ったらしい。
「ま、俺になんかあるなら、上級悪魔になる為の力ぐらいにはなるかな」
「分かった。お前は馬鹿だ」
「ひっでぇ!!」
だって、自分が異常な事してる自覚が足りねえもん。
真似しろって言われてもできねえんだよ! リムヴァンや神器多重移植者とは別の意味でチートじゃねえか。
いい加減、不意打ちで暗殺する方向に行きそうで怖いんだけどよ。大丈夫なのか、オイ。
俺が心配すら始める中、イッセーはチャージをしていたのか、鎧を展開した。
「……軽く付き合うよ。俺も、
……そういや、サイラオーグさんが名前つけてたな
あの形態、通常の鎧とは比べ物にならないぐらい戦闘能力強化するんだよなぁ。
そしてそんなことしたのは、たぶん知られてる中じゃイッセーだけなんだよなぁ。
……俺も負けてられん。いずれもう一つぐらい禁手に至らねえと追いつけそうにねえ。
「っしゃ! 加減はしねえから覚悟しやがれ!!」
「えぇ!?」
イッセーが戸惑う隙をついて、俺は速攻で聖槍で切りかかった。
いろいろ伸び悩み気味なので、ヒロイも少し悩み中。
なにせ禁手も手数特化なので、実は出力で強引に押し切ることができませんからね。明確な格上を相手にする場合、いろいろと苦労するのがヒロイなのです。
そして敬愛するリセスが一皮むけて一気に化けたこともあり、自分もなんか覚醒したいと悩んでいるわけですね。