ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ 作:グレン×グレン
―そりゃ、イッセーも昇進します。
突然だが、イッセー達に昇級の話が持ち上がった。
因みに同じく昇格の話が持ち上がったのは、木場と朱乃さんだ。
……グレモリー眷属のこれまでの活躍から考えたら、全員昇格ぐらいじゃねえとおかしくねえか?
「……転生後一年足らずの悪魔の昇格を認めるほど緩いと呆れるべきか、これだけの成果を上げて三人しか昇格させないのが硬いと呆れるべきか。……私はどっちの方向で呆れるべきかしら?」
「ま、悪魔のお堅い連中も、少しぐらいは話の分かる奴がいるって感心しとけ」
茶化す姐さんにアザゼル先生がそう言って鼻で笑った。
……言われてみりゃぁ、イッセーってまだ悪魔になってから一年も経ってねえよな。
そりゃ年功序列ってわけじゃねえけど、そんなノウハウすらろくにねえよな奴を昇格させるのはあれか。
枢機卿だって基本は年季入った爺さんとかオッサンが中心だしな。なんつーか、年季入ってるからこそできることってあるわけだしな。
……躊躇する連中の気持ちも分かるような気がしてきたな。
「冥界には黄金十字勲章とかそういったのねえんですかい? そういうのを渡してごまかすって手段とか、上はとってきそうですがねぇ」
俺はそう質問するが、サーゼクス様は苦笑する。
「ないわけでもないが、そういうのも主の上級悪魔などが貰うモノだからね。イッセー君達レベルの活躍となると、先ず昇格が必要になるのだよ」
なるほど、やっぱ老害だ。
頭硬いから状況に乗り遅れてる節あるな。だからこんな妙な展開になってんだよ。
教会も上には老害が何人かいるけどよ、もうちょっと上手く動かせるぜ?
俺、一応勲章とか授与されてたもん。適度に褒め称えて秘密兵器にされてたしな。
しっかし、イッセーが昇格かぁ。
「まあ、ヴィクター経済連合との戦いを中心とした幾多の戦いを繰り広げ、その中心人物の一人ともいえるイッセー君は、もはや冥界の英雄だからね。流石に下級のままにはできないというわけさ」
「血統主義が前提とはいえ、悪魔はなんだかんだで実力主義だからな。それ相応の立場は与えねえ取って話になってんだよ」
と、サーゼクス様とアザゼル先生が補足説明をする。
なるほどねぇ。それで、イッセー及び設定がすごい組の木場と朱乃さんが昇格と。
そう言う意味じゃあ、俺は悪魔側ではあまり目立って勲章とか授与されてねえんだがな。悪魔のメンツを気にする老害の存在が原因で。
だが、今の俺は特に気にしない。
だって。
「そんな大活躍してるのにまだ童貞(笑)」
「殴るぞ」
マジ切れ寸前のイッセーの視線も気にならねえ。
ああ、なんたって俺は童貞卒業したからな!!
それも姐さんでだ。姐さんでだ。姐さんでだ!!
「松田と元浜みたいになってんじゃねえよ」
「ふ。確かに否定はしねえ」
ああ、確かに俺もあいつらに近い立場だ。
確かに俺は姐さんにとっての特別だが、それは恋愛感情的なものではないだろう。どちらかといえば弟的な親愛なのは間違いない。
いや、エロいことしてるからあくまで弟分だがな。マジで弟と思ってやってたら別の意味でマズイからな。
だが、それとこれとは違うのさ。
「イッセー。俺の感動は間違いなくあの二人とは違うぜ?」
ああ、違うのさ。
なぜなら、姐さんは俺にとっての英雄だ。俺の輝きなんだ。
例えるなら、推しのアイドル……なんか違うがいいか。姐さんは芸能人だったこともあるからな。
そんな存在と懇ろなど、ある意味で彼女ができた以上の感動を与えてくれる。
「俺は、貞操を姐さんに捧げても構わねえ!!」
「いえ、辞めて頂戴」
姐さんにぶった切られて俺は撃沈した。
一瞬意識が飛んだ。今でも目の前が暗い。
き、きついこと言われた。マジショックだ。
イッセーからの視線も、怒りから同情に代わってる。そしてそれに怒る余裕もねえ。
「リセス。お前それはちょっと酷いぞ」
アザゼルすら姐さんにツッコミを入れてきた。
俺、今そんな哀れな姿してますか?
「え? え……え?」
姐さん、そんなに驚いた感じしないでくれよ。
俺にとって姐さんはつまり神なんだ。そう、聖娼的なあれなんだよこの栄光は。
いいじゃねえか。一人ぐらい貞操捧げてくれる人がいてくれたってよぉ!!
「ヒロイ、ヒロイ。違うッスよ」
と、ペトが肩に手を置いた。
なんだよ? 俺はマジでショックなんだが。
「お姉様は、自分の弟分なら一人や二人で満足するような性的嗜好じゃ駄目だって言ってるッス。これを機にもっと女を知るッス」
「え、ええ。あなた初物にしては上手だったし、もっといろんな人を知ってもらいたいぐらいなんだけど……だめ?」
あ、そういう意味か!
ちょっと安心! 姐さんに嫌われたかと一瞬マジで思ったからな。重いとか思われたらショックだったぜ。
だけど、それはそれでどうよ?
「お前、堕天使よりも堕天使してるな」
「申し訳ない。古き体制を一掃できないばかりに、君をそんな退廃的な人物にしてしまったのはこちらの落ち度かもしれない……」
首脳陣2人がマジ反応してきたよ。
ま、まあガチビッチな言葉だしなぁ。
姐さん、あの糞スポンサーに調教されただけじゃねえだろ。もとからそういう素質有ったろ。いや、スイッチ入れたあの糞スポンサーが諸悪の根源なのは事実だけどよ。
そしてペトもペトでなにさらりと言ってんだよ。そう言うのはもっと小さな声で!!
っていうか、え、いいの?
俺結構ふしだらだよ? 本当にやっちゃうよ!? つーか、そんなこと言われたらヤリ〇ン目指しちゃうよ!?
英雄色を好むっていうから、俺は色事でも名をはせたいとは思ってるからね!?
そんなこんなで俺がパニくってる中、グレイフィアさんが咳払いした。
あ、そうだったそうだった。イッセーの昇格の話だった。
「話を戻しますが、あくまでこれは昇格試験を受ける資格を得たというだけです。今回の試験を時期尚早とみて辞退する事は認められます」
あ、そうなのか。
まあ、試験を受けれる事と試験を受ける事は違うしな。
「まあ、上役の思惑が絡んでいる事は否定しないが、しかしまだ若い君がそこまで気にする事はない。個人的には、イッセー君にはまだ「おっぱいドラゴン」でいてほしいしね」
と、サーゼクス様が仰る。
確かに、昇格すると政治的なしがらみとかも増えそうだよな。
単純に正義の味方とか子供のヒーローやっていけるわけでもねえだろう。上級悪魔になったら、担当の部署とかもらって活動する羽目になるかもしれねえしな。
そういう意味じゃあ、喜ぶだけじゃいけねえって事か。
それにイッセーはまだルーキーにもほどがあるし、断るってのも一つの選択肢だ。
そんな中、イッセーは少しだけ考えて―
「……どうせ上級悪魔を目指してるんです。それが早まっただけですから、俺は受けます!!」
「ああ、そう言ってもらえるとありがたい。木場君と朱乃君はどうだろうか?」
サーゼクス様が頷いて、そして木場と朱乃さんにも視線を向ける。
「リアス・グレモリー眷属の騎士として、謹んでお受けいたします」
「私も、グレモリー眷属の女王としてお受けいたしますわ」
おお、この二人も受ける気満々だ。
しっかし、レーティングゲームに本格参戦してるわけでもねえ若手悪魔で、昇格する眷属が複数認可。こりゃ異例だねぇ。
ま、それだけヴィクターとの戦いが激しいってわけだから、素直に喜ぶわけにはいかねえんだろうがな。
「じゃ、試験は来週だからな」
「来週ぅ!?」
アザゼルが軽く言い放った。イッセーは当然驚いた。
早すぎだろ。つーか、中間テストと時期が被ってんだけどよ。
「悪いことは言わねえ、今回は辞退しろ。時期が悪ぃぜ」
「い、いや! もう受けるって言ったんだから、逃げるわけにはいかないって!!」
俺が助言するが、イッセーはどうやら受けるつもりなようだ。
いや、中間テストのテスト勉強だけでも面倒だろ、お前。
多分中級昇格試験も筆記とかあるぞ? 勉強必須だぞ?
お前、割と赤点ぎりぎりの成績じゃねえか。しかもトラブル続きで勉強あまりできてねえじゃねえか。マジで紅点とか採ったりしそうじゃねえか。
……どっちも赤点取ったら、恥ずかしいぞ?
「中級昇格試験は、確かレポート作成と筆記に実技だったわね」
お嬢がそう言うけど、やること多くね?
レポート作成と筆記の勉強。その上中間テストの勉強とか、忙しくて過労死しますぜ?
やっぱやめとけよイッセー。断るなら今の内だぜ?
「ご安心くださいませ、イッセーさま」
そこに立ち上がるのはレイヴェルだった。
おお、なんか秘策があんのか?
「筆記試験に関してはお任せくださいませ。過去の出題傾向から、最適な参考書を用意いたしますわ!!」
おお! それはすごく役に立ちそうだ。
良かったな、イッセー!!
「いや、それもいいんだけど、実技の方は……?」
「そう言う冗談は良いから」
イッセー。こういう時は素直に感謝の気持ちを伝えるんだよ。
まったく。最上級悪魔クラス以上とすら渡り合ったお前が、今更中級レベルの悪魔とやり合って負けるわけねえだろうが。
それも基本的には中級の下の下だぞ? ドーインジャーの方が遥かに手応えあるだろうよ。
なれねえ冗談は言うもんじゃねえぞ。空気が冷めたじゃねえか。
「さて、話がまとまったところで、私はいったん北欧へ戻ろうと思います」
と、ロスヴァイセさんが立ち上がった。
なんで? っていうか戻れんのか?
「……今更戻ったら、色々言われそうっすよ?」
ペト、直接口に言わない。
「た、確かにそうですが!!」
ロスヴァイセさんも分かってのかよ。
だったらなんで?
「い、一度北欧に戻って
ルークの特性?
ぶっちゃけ、火力担当としては十分すぎるぐらい貢献してねえか?
ふと気になってお嬢の方を見るけど、お嬢は特に気にしてねえようだ。
知ってたのか。まあ、ロスヴァイセさんなら前もって言ってそうだな。
「成長する為なら拒む気はないわ」
「ありがとうございます。中間テストの方は既に作成済みですから、そこは安心してください」
ふむ、さっぱり分らんがテストは安心だな!!
「それで、どこを強化するつもりなの?」
「主に防御魔法を。学生時代、攻撃魔法ばかり習得したのが裏目に出た気がしますので」
と、姐さんの質問にロスヴァイセさんは答えた。
ふむ、確かに戦車の特性は攻撃力と防御力。
ガードを鍛えれば更に向上するのは自明の理か。確かに必要かもな。
そういや、イグドラフォースの戦いでは俺ら神滅具組やお嬢、ペトとアーシア以外は全員やられてたからな。
ロスヴァイセさん、グレモリー眷属に加入してからあまり役に立ててないとか思ってんだろうな。相手が悪いだけなんだけどよ。
ま、強くなってそれを払しょくできるなら、それに越したことはねえか。
「それは良い。そうだ、レイヴェルの例の件を承諾してもらえるだろうか」
「もちろんですわ!」
むむ? サーゼクス様とレイヴェルは何の話をしてるんだ?
何やらものすっごい元気いっぱいにOK出してるけどよ?
「実は、レイヴェルには、イッセーくんのアシスタントをしてもらうと思っているのだよ」
アシスタント……か。
「それは良いわね。おっぱいドラゴンにマネージャーの一人もいないのはまずいわ」
と、姐さんが微笑みながらイッセーを見る。
あ、マネージャーか。
確かにイッセーには必要だよな。おっぱいドラゴンで忙しいし、上級目指してんなら補佐官も必須だし。
姐さんの推測は当たりなのか、サーゼクス様もうんうんと頷いた。
「イッセー君はこれから忙しくなるだろう。学業と悪魔業の両立に、おっぱいドラゴンだからね」
「グレモリー眷属全体のスケジュール管轄は私が行わせていただいておりますが、おっぱいドラゴンなどで追加の業務があるイッセー様には、情けない話ですが個別のサポート役が必要となりますので」
グレイフィアさん、そんなことまでやってんのか。
死ぬぞ、過労で。
ま、そういうことならマネージャーは必須だよな。レイヴェルなら能力は間違いなくあるだろうし。
つーか、既にマネージャー的な事やってるところを見た事あんだけどよ。俺達がそれだけの能力があるって分かるだけやってるよな。今更じゃね?
つーかレイヴェル、かなりノリノリだな。やっぱこれあれか。イッセーにぞっこんか。
変態の覗き魔のくせして、意外と持てるなイッセー。いや、人間の女子からは底辺扱いだけどよ。
いや、最近は松田と元浜に追い抜かれた事実から同情票がでかいな。松田と元浜は余裕見せすぎて覗きから離れてるからな。結果的に蔑視の視線は少なくなってるな。
それも、俺が不良達をノしてヤ〇部屋を見つけたからだな。ああ、英雄として素晴らしい事をした。
松田と元浜がきもくなったけどな!! 俺は童貞のままだったけどな!!
………あれ? なんか涙が止まらないぞ?
「ようやく、ようやくあいつらに追いついたんだなぁ」
「俺、いつになったら追いつけるのかなぁ」
俺の言葉にイッセーが追随した。
お前はいつでもできるだろうが。と、ツッコミたい。
「そう言うわけで、悪いがレイヴェル、昇格試験についてはイッセー君のサポートを任せるよ」
「お任せください! このレイヴェル・フェニックスが、イッセー様を見事合格に導いて見せますわ!!」
そういうと、さっそく資料集めにレイヴェルが飛び出していった。
「くくく。青春だねぇ。オイ小猫、油断してると大好きな先輩が先に取られちまうぜ? オフィスラブで食われちまうぜ?」
アザゼル先生、レイヴェルがらみで小猫ちゃん突っつくな。
この子、なぜかレイヴェルに関しては辛口なんだか……ら?
「……」
何も答えてねえな。
つか、聞こえてねえ感じだな。
……大丈夫、なのか?
速いのか遅いのかよくわからなくなる、イッセーの昇進。
いや、イッセーの成果は明らかに下手な最上級悪魔を超えているだろうことはわかるし、戦闘能力も最上級クラスに到達していることも分かります。
ですが、イッセーには年季やノウハウが全くと言っていいほど足りていない。そう言う意味では上が渋るのも分かります。
なにより、肝心のイッセー自身が自分の実力をよく理解していない。これがあれですね。
真面目な話、ヴァーリやサイラオーグが中級悪魔クラスのレベルだとでも思ってんのかお前は……的なツッコミを入れたくなりますね。