ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ 作:グレン×グレン
さあ皆さん、お好きな処刑用BGMのご準備を!!
俺とプリスは、その輝きに惑わされて戦闘の手を止めていた。
「なに……あれ?」
お嬢の手に持っている悪魔の駒が赤い輝きを放っている。
プリスが戸惑うのも当然だ。そんな現象、聞いた事がねえ。
「……イッセー?」
お嬢がそう呟いたその時、駒がいくつも宙に浮かぶと、木場に向かって飛んでいく。
な、なんだなんだ?
俺が戸惑う仲、その赤い輝きが、声を放った気がした。
―そのまま頼むぜ、ヒロイ
……この声、イッセー?
あ、あの野郎……っ!
今このタイミングで、なんつーやってのけるんだよ。
相も変わらず、やってくれるな、おい!!
「このオーラは、赤龍帝!?」
ジークフリートが、化け物になってから初めて驚愕する。
そりゃそうだ。イッセーは死んだと思われてる。っていうか死んでねえとおかしい。
それが、悪魔の駒だけでサポートするとかありえねえだろ。
「……聞こえたよ、イッセー君」
木場が、そう答える。
木場には木場にメッセージがあるって事だろうな。アイツそういうところマメだから。
そして、お嬢達も涙を流してる辺り、あっちにもメッセージぶちかましてるんだろうな。
……こういうところがモテるんだよな。覗き魔な所為で基本台無しなんだけどよ。
ま、こりゃ頑張って成果出さねえと駄目か。
俺がそう決意して聖槍を構え―
「―ジークフリート。悪いが、君の願いは叶わない」
その言葉と共に、木場がまっすぐにジークフリートを見据える。
その目に曇りはない。その目は何処までも澄み切っている。
そして、祝詞を紡いだ。
「―我が英雄とは、我らを救いし赤龍帝なり」
悪魔の駒が、輝きとなって木場の全身を包み込む。
「明星にすら抗い、悪神すら恐れず、その果てに栄光すらその手に掴む」
それは、木場が到達できなかったはずの力。
俺と姐さんだけが使えたはずの、赤龍帝への昇格。
「我、赤き龍の想いと共に―」
それに、ここで変身可能になるとか、もうなんツータイミングだよ、ホント!!
「―主と同胞を守りし守護騎士であらん!!」
その言葉と共に、木場の姿は一変していた。
赤い龍の意匠を宿した貴族服。それは、決闘に臨む貴族のような姿だった。
防御を投げ捨てている木場らしく、鎧を展開しないその姿。
だが、そこから放たれるオーラは間違いなく桁違いの領域だった。
「……
『ふ。付け焼刃で倒せるほど、僕とグラムは伊達ではないよ』
そう言い捨てると、ジークフリートは一瞬で間合いを詰めるとグラムを振り払う。
あ、ヤバイ。
聖魔剣はまともに打ち合ったらグラムにあっさり砕かれる。しかも、今のグラムは正真正銘の全力だからもっとヤバイ。
つってもあんなもん、どうやって受け止めろって―
そう思った次の瞬間、木場は右手を掲げる。
その手には、最後の悪魔の駒が残っていた。
「……アスカロン!!」
そして木場は声を張り上げ、そのまま右手を振るう。
その瞬間、本当にアスカロンが展開された。
って待て! あれが本当にアスカロンだとしても、グラムと撃ち合って勝てるとは思えねえぞ!?
木場、お前ちょっとおちつ―
「―譲渡《トランスファー》!!」
その言葉と共に、アスカロンに禍々しいオーラが混じった。
そして、木場はグラムの一撃を受け止める。
轟音を立てて木場は弾き飛ばされるが、然しその件にも体にも傷がない。
そして、木場はその結果が当然だといわんばかりにアスカロンを振るって、ジークの体に傷をつける。
そして、そのオーラがジークフリートを侵し侵食した。
その事実に、ジークフリートは明らかに驚愕の表情を浮かべた。
「馬鹿な!? アスカロン如きがグラムとまともに打ち合えるわけがない!?」
ジークフリートは、自分の負傷よりもグラムで折れなかった事にこそ狼狽する。
それほどまでにグラムを信頼して、信用しているんだな。だからショックもでかい。
だから気づかない。その原因に。
「これが、
その言葉と共に、木場は聖剣で騎士団を生み出すと、ペトとシシーリアが抑え込んでいるドーインジャーに攻撃を開始する。
木場のもう一つの禁手である
そのため、聖魔剣を生み出す事が出来なくなるという欠点がある。
ある、筈なのだが―
「踊れ、聖魔剣の騎士達よ!!」
その言葉の通り、聖魔剣で切りかかっている。
まじか。マジですか。
思わず唖然となる俺に、ドーインジャーの一体が迫りくる。
それに俺が反応した瞬間、ペトの狙撃がぶち抜いた。
「……頑張ってくれてマジ助かったとか、言われちゃったッスねぇ」
そう苦笑するペトは、即座に弾幕をぶっぱなし、天秤の傾きを大きくする。
そして、姐さんも同じように立ち上がる。
「……これからも、リアス達をお願いしますとか言われたわよ、私なんか」
そう苦笑すると、姐さんはお嬢たちに声を張り上げる。
「あなた達も! 貰ったでしょう、言葉を!! それを無駄にする気?」
その、挑発交じりの言葉に、お嬢達は全員立ち上がった。
全員涙を浮かべてるけど、それは悲しみの涙じゃない。
俺達全員がイッセーの言葉を受け取った。死んでもなお、俺達の事を思ってくれているその言葉をだ。
その喜びが、お嬢達に涙を流させる。
「………イッセーは、ここにいるわ。だから、私達は立ち上がれる!!」
お嬢の言葉に続いて、全員がその目に戦意を滾らせてドーインジャーを睨み付ける。
「さあ、私の可愛い下僕達!! 私達は、兵藤一誠の仲間達は、まだ終わっていない事をここで証明しなさい!!」
「「「「「はい、部長!!」」」」」
その言葉と共に、反撃の火ぶたが切って落とされた。
「リセスさん!」
まず木場が聖魔剣の騎士団で、ぶった切られた姐さんの腕を回収する。
それをさせないとドーインジャーの一部が自立反応で攻撃を仕掛けるが、朱乃さんの雷光が全部吹っ飛ばした。
「リセスさん! 直ぐ治療します!」
「気も乱れてます。呼吸を整えてください」
「ええ、お願いするわ」
アーシアと小猫ちゃんが治療を開始し、その間のカバーをするのはレイヴェルだ。
そして、お嬢の消滅の魔力が充填される。
「ジークフリート! 私のイッセーを愚弄した罪、万死に値するわ!」
「言ってくれるね! 赤龍帝が支えてくれなければ前も歩けなかった雑魚が!!」
放たれる莫大な消滅の魔力を、ジークフリートは真っ向からグラムで受け止める。
さっきの姐さんとの激突にも匹敵するその攻撃の衝突が、徹底的に強化されているはずのビルの屋上の二割を吹きとばした。
そんな攻撃を受け止めて、だがジークフリートは戦意を絶やさない。
「こんなもんじゃないだろう、グラム!! 僕達は、リセスを超えるんだ!!」
その言葉と共にジークフリートは消滅の魔力を切り捨て―
「―いや、君はもうリセスさんを追いかけられない」
その攻撃を隠れ蓑に、木場に間合いを詰められた。
「失せろよ、三下!!」
「消えるのは、君だ!!」
その瞬間、聖魔剣化したアスカロンと、最大出力のグラムの切り合いが勃発した。
あれが、木場の至った龍刃の魔剣の能力。
あれは、騎士の駒に昇格したんじゃない。僧侶の駒で昇格したんだと、俺は気が付いた。
姐さんが僧侶の駒で昇格した時は、姐さんは遠隔属性付与の能力を手に入れた。
それは、イッセーの譲渡の応用発展形だった。
そして、それは木場も同様。その方向性が違うだけだ。
木場の場合は、聖魔剣の特性と足りないオーラを、触れた剣に譲渡する。
つまり、なんでも聖魔剣。持つもの全てを、例え伝説の魔剣や聖剣であったとしても聖魔剣に変更させる、禁手の正当進化系。
聖剣の騎士団も、木場の禁手だから聖魔剣として運用ができる。そんなシャレにならない能力を発揮する事が出来る。
そして、その猛攻にジークフリートは押され始める。
『馬鹿な! 赤龍帝は、死んでも仲間達を支え続けるというのか!?』
「そうだ! それが、兵藤一誠だ!!」
そう言い放ち、木場は更に聖魔剣を生み出すと攻撃を叩き込む。
その猛攻に押されながらも、それでもジークフリートは倒れない。
ドーインジャーの所為でお嬢達が中々援護できない事も大きい。
グラムと神器を併用し、更に魔王の血でブーストされたジークフリート。
聖剣と魔剣を操り、その上で赤龍帝の加護で昇華した木場祐斗。
共に異能を持ち、そしてそれを増幅している。
剣の腕なら、それでもジークフリートの執念が上回る。手数なら、禁手の特性で木場の全力が上回る。
そして、その猛攻は超高速での移動も組み込まれて激しくなる。
ビルの屋上中を踊るように移動しながら、二人の剣士は目にも止まらぬ動きで切り結ぶ。
「あ、ちょ、あぶなぁ!!」
「これは、やりづらいな」
リムヴァンとアジュカ様の超越者二人も割って入りづらいほどにまで戦闘は激化。
そして、その攻撃は俺の目の前で決着する。
「な……めるなぁあああああ!!!」
ジークが、背中の龍の手を使って強引にアスカロンを受け止める。
腕が異臭を放ちながら焼けただれるが、然しジークフリートはそれを意にも介さない。
そう、リアス・グレモリー眷属が根性でここまでのし上がってきたように、ジークフリートは執念でここまで這い上がってきた。
全ては、リセス姐さんを超える為。その一念で、奴はここまでのし上がってきた。
その二年間の積み重ねが、木場祐斗の半年足らずに追い付かれる訳がない。
木場祐斗とジークフリートの戦いは、その差が大きく分けた。
「たかだか一年足らずの覚醒で、僕を追い付けると思うな!! 僕の、リセス・イドアルを超える為の二年間より重いなんて、あり得ない!!」
「……確かに、その二年間は、超えづらい」
それを、木場は肯定した。
その執念は、正誤の天秤を超えている。
その人生全てを掛けた執念による挑戦は、確かに半年そこらとご都合主義で乗り越えられるものじゃない。
それを、木場は認めて―
「―だけど、僕
そう、反論した。
ああ、ああ、ああ。
そうだな、その通りだよ木場祐斗。
「―そうだろ、ヒロイ君」
「ああ、たりめえだろ」
俺は、そのまま構えを取った。
「させない!!」
それに真っ先に反応したプリスは我に返って切りかかるが、その側頭部にケリが叩き込まれる。
「……そうはいかないわよ」
姐さんが少し痛ましげな表情を浮かべながら、しっかり活躍してくれたぜ。
「さあ、行きなさい!! 私の
「槍王の型―」
「くそっ!!」
ジークフリートは振り返ってカウンターを叩き込もうとするが、その足元から大量の聖魔剣が生み出される。
そして姐さんがその群れに触れて龍殺しのオーラを増幅させて、ジークフリートの動きを停止させた。
このチャンス、逃すわけにはいかねえ!!
「リセス……僕は―」
終わりだ、ジークフリート!!
「―
そのジークフリートの心臓を、俺の聖槍がぶち抜いた。
祐斗Side
勝った。
僕は、龍刃の魔剣を維持する事が出来ずにしゃがみこんだ。
既にアスカロンも消えて、悪魔の駒に戻っている。
そして、ジークフリートは血反吐を吐き、そして苦笑した。
「殺してもなお脅威とは、今代の赤龍帝は反則過ぎるね……」
そう言いながら、彼はグラムを屋上に突き刺した。
「悪いねグラム。ふがいない主で」
そう詫びながらグラムをなでると、ジークフリートは視線をリセスさんに向ける。
「……結局、届かなかったか」
「なんか、悪かったわね」
リセスさんは、ジークフリートにそう言うと、視線を逸らす。
「あなたを傷つけるつもりはなかったのよ。その所為であなたをヴィクターにつかせてしまったのなら、それは私の責任だわ」
「いや、どっちにしても僕はヴィクターについただろうし、気にする事はないよ」
そうリセスさんに告げると、ジークフリートは天を仰いだ。
「一つ言っておこう。
そう言いながら、ジークフリートはフェニックスの涙を落とす。
なるほど。その状態は攻勢には向いているけど守勢には向いてないという事か。
そう簡単に何でもかんでも強化できるほど、上手い話はないというわけだね。
そして、ジークフリートの体はぼろぼろになって風化していく。
それは、業魔人の反動なのか。それとも、聖槍に刺された事による影響なのか……。
「……ふふふ。所詮、シグルズ計画の生まれは、望んだ死に方ができないのだろうね。……フリード、君も多分、ろくな死に方は……できな―」
その言葉と共に、ジークフリートは崩れ落ち、そして消え去った。
Side Out
ジークフリート、ついに撃破。
だが、リムヴァンもニエもプリスもまだ健在。さてさてどうなる?
龍刃の魔剣ですが、最初は出す予定はありませんでした。
イッセーの譲渡系パワーアップはそれぞれ一つずつにする予定でした。
ですが、感想で「他の人物は同じ役職の昇格をしたらどうなるかとかが楽しみ」的なことを書かれたので、それならもうワンセットぐらい作ってみよう! 原作キャラで出してみよう!! って思いましたのでこうなりました。
木場の昇格を騎士でなく僧侶にしたのは、能力特性てきな形です。
複数だすにあたってある程度の共通点を作ることにして、リセスの能力を参考に「僧侶は譲渡の応用発展」ということにしました。原作の僧侶が完全に砲撃形態なのでその辺を対照的にしてみました。
その結果できたのが、今回の「なんでも聖魔剣」です。おかげでジークフリートとの対決が燃える展開にできたので、結果オーライですがラッキーですね。
しかしイッセーの譲渡パワーアップ。これいい加減名前作らないとな。
と、言うことでこれを投稿したら活動報告でちょっとネーミングを参考がてら募集してみようかと思っております。よければどうぞ。