ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ 作:グレン×グレン
そして記念すべき150話にも関わらず、少々盛り上がりに欠ける展開になりますです、ハイ(汗
そしてすさまじい感想の数だった。一つの話に対する感想数なら、自分史上初ではなかろうか? やっぱりみんな、アンチじゃない人はハーデス嫌いなんだね! グレン安心した!!
Other Side
ヒロイとペトにイッセーの捜索を任せたのち、リセス達は城に戻ると首都リリスの避難誘導に向かう準備に取り掛かっていた。
イッセーの生存の希望が見えた事もある。なにより、イッセーの言葉は死してなおリアス達を動かした。
ゆえに、調子はまだ微妙に悪いがリアス達は動けている。
リセスも少し閊えていたものが取れて、気分転換にシャワーを浴びてから即座に動く準備を整えていた。
しかし、同時に気になる事も出来てしまっていた。
シャワーを浴びて気分転換したのはその為だ。気分を切り替えないと、いざという時に失態を犯すのではないかと不安になったのだ。
時間節約の為にドライヤーを使わず、リセスは服を着ると与えられた部屋から出る。
そして、ちょうどそのタイミングで祐斗がリセスのところにやってきていた。
「リセスさん。ゼノヴィアとイリナさんが戻りました」
「……イッセーの件は、どれぐらい知ってるのかしら?」
またややこしい事にならないかと思い、ついそんな事を聞いてしまう。
「2人とも大体のところは聞いています。……部長の乳を求めて戻ってくるとか、ゼノヴィアは言ってました」
すごく納得してしまい、リセスは苦笑した。
だが、祐斗は少し表情をきつめにすると、リセスをまっすぐ見つめる。
「……何か、気になる事でも?」
「……流石はモテる男。よく気が利くわね」
それとも、思った以上に自分が顔に出やすいタイプなだけなのか。
リセスは苦笑すると、素直に話す事にする。
自分の中で抱えるだけでなく、きちんと人に伝えて口から出せば、それだけでもスッキリする事はあるものだ。
だから、そうする。
まだ超大型魔獣とは戦闘が続いているのだ。特に超獣鬼は桁違いに凶悪で、ルシファー眷属が総出を上げてすら進行を止めるので手いっぱいなのだから。最悪自分が出張る可能性も想定するべきだ。
「……ニエが、なんであっさり撤退したのかが分からなくてね」
リセスは苦笑する。
ニエ・シャガイヒの恨みはもっともだ。
物心がついてからの付き合いの友人が、畜生に堕ちているところを目にして、彼は耐えられずに死を選んだ。
そして、リセスはそれから七年間迷走し続けた。その迷走を、ニエは心から恨んでいる。
殺意を向けられたし、殺されかけた。心の底から恨まれたし、徹底的に否定された。
リセスはそれもあって進む道を変えたが、しかしそれはニエの心を癒す類ではない。ただ、自分が人生を前向きに、弱さに立ち向かうようになっただけだ。
だから、ニエは未だに自分を恨んでなければおかしい。
なのに、ニエは今回の戦いで消極的な行動に終始した。
三十分だけとは言いながらも、ジークフリートにリセスを譲った。
戦闘においても、自分は禁手を使わず、通常のドーインジャーを生産するだけにとどめた。
挙句の果てに、ジークフリートが倒されたら自分から撤退を進言する。
最初の戦いで全力でこちらをいたぶりに来た姿と、あの戦いでのニエの態度が繋がらない。
「……ごめんなさいね。今はそんな事を気にしている暇はないのに」
「それは、仕方がない事ですよ」
廊下を歩きながら、リセスの言葉に祐斗はそう返す。
「大好きな人から恨まれて、そのうえでこんなコトにまでなっているんです。気にしない方が難しいです」
「ありがとう。そう言ってもらえると気が楽になるわ」
少しだけだが、フォローしてもらったという事実で気が楽になる。
その分の余裕で、強引にニエのことを頭から追い出す。
今はニエのことを考えている場合ではない。それよりも、避難誘導が間に合わずに
明確に格下である
対抗術式と戦術が開発された事で、状況は冥界側が優勢になっている。他の勢力から援護の為の大部隊が派遣されてきたことも大きい。
これによって、ようやく超巨大魔獣は撃破可能な存在になったのだ。経緯はどうあれシャルバ・ベルゼブブの憎悪は凄まじいという事だけは分かる。
そして、その憎悪の最大の象徴である超獣鬼はいまだ健在。
ならば、英雄としてリセスもまた出るのは道理である。
「避難誘導はよろしく頼むわよ。私は有事の際は打って出るから」
「その時は、露払いぐらいはさせてもらいますよ」
心強い言葉にリセスは微笑を浮かべる。
そして扉を開け―
「祐斗、リセス! 急ぐわよ!!」
ロスヴァイセを伴ったリアスが、焦りの表情を浮かべていた。
その表情にはかなりの緊迫感があり、それ相応の事態が発生していることがうかがえる。
「まさか、超獣鬼がルシファー眷属を突破したとか?」
リセスの問いに、リアスは首を振る。
だが、個人的な事情で言えば、それに匹敵する緊急事態だった。
「ソーナ達が、英雄派の幹部の襲撃を受けているわ」
速やかに首都に転移したリセス達は、首都の惨状を見て眉をしかめた。
転生悪魔の反乱や旧魔王派の暴動などの影響で、多少ではあるが被害が発生している。大規模な破壊こそ起こっていないが、火事が発生しているのか煙も出ている。
とは言え、超獣鬼はルシファー眷属による総力戦で抑え込まれており、遠くに姿が見えるが、進行そのものは止まっている。
「……流石は、最強の魔王の直属といったところかしら」
「それはもう。自慢の義姉とその仲間たちだもの」
感心するやら呆れるやらのリセスに、リアスは得意げな表情を浮かべる。
まあ、今やるべきなのはシトリー眷属の救出である。
詳細な情報は分からないが、シトリー眷属は英雄派の幹部と交戦している。
あの、西遊記に刻まれし伝説の妖怪達と互角に渡り合った英雄派の幹部達とだ。
しかもジークフリートと同様に
すぐにでも合流しなくてはいけないと思い―
「み、みなさんんんん!!」
と、聞きなれた声を耳にし、全員が振り返る。
「ギャスパー! あなたも来ていたのね?」
「は、はい。ここに行けば皆さんに会えるとグリゴリのかたに言われて……」
リアスにそう答えながら、ギャスパーはきょろきょろと辺りを見渡す。
それが、誰かを探しているものだろうことはすぐに分かった。
「あの、イッセー先輩は……?」
その言葉に、リセス達はギャスパーに情報が届いてないことを悟る。
さて、どう説明したものか。
生存している可能性はあるし、そう確信させてくれる存在ではある。だが、現実的な証拠や確証はないのだ。
このタイミングでどう説明すればいいのかと考え―
「よぉ、遅かったな」
その言葉とともに放たれた殺気に、全員が振り返った。
「雑魚ばかり相手にしてて詰まらねえんだよ。そろそろ少しは歯応えがある奴がほしかったぜ」
「同感ね。シトリー眷属は私達からしたら雑魚ばかりだわ」
そうため息をつく、ヘラクレスとジャンヌ・ダルク。
その服には汚れはあるが傷はなく、むろん体にもかすり傷一つない。
その事実が、リセス達に嫌な予感を感じさせる。
「……ソーナ会長達はどうした!!」
ゼノヴィアがエクス・デュランダルを突き付けるが、しかしヘラクレスもジャンヌも平然としている。
そして、それに応えたのはまた別の者だった。
「彼らは相手にならなかったので、結界に封じ込めたよ。生け捕りにした方が君達をおびき寄せる餌になると思ったからな」
さらにゲオルクが空に浮かび、姿を現す。
……状況は、さらに混迷を極めようとしていた。
ニエの行動に疑念を覚えるリセスだが、状況はそれに浸ることを許さない。
この作品の英雄派は魔改造の筆頭格。マジで強敵ですので、お覚悟を。