ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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そんなこんなで時間は戻って。

とりあえず、イッセー達と合流したヒロイの視点から。


第五章 27

 

 俺達が急行するちょっと前。俺達は起きたイッセーと一緒に事情を聴いていた。

 

 なんでも、歴代赤龍帝の残留思念がサマエルの呪いの楯となっているうちに、赤龍帝の籠手の中にイッセーの魂を隔離する事で難を逃れたらしい。

 

 ……礼を言いたかったな。ホント。

 

 いや、超問題のある最後の言葉については思うところがあるんだけどよ。

 

 なんだよ、ぽちっとぽちっとずむずむいやーんって。他になんか言うことねえのか。あるだろもっと遺言に向いた言葉が。

 

 これには意識を取り戻したイッセーも苦笑いだった。

 

 で、空間が崩壊した時たまたまその近くを飛んでいたグレートレッドにオーフィスがイッセーごと飛び乗り、俺達がそんなグレートレッドを発見して今に至ると。

 

「……お前、異常だろ。ホントに何者だよ」

 

「いや、俺もそう思う。……ま、おっぱいドラゴンでいいんじゃねえか?」

 

 いや、お前はもうちょっと考えた方がいいと思う。

 

 もう異常ってレベルじゃ片付けられねえだろ。なんだよその幸運は。

 

 まさに生まれた時から大物になる運命を持ってるな。くそ、ちょっと羨ましい。

 

 俺だって最近はこいつに付き合わされる形でトラブル続きなんだぞ。こいつが関わってない時ですらトラブルに巻き込まれてるんだぞ。もっと奇跡を俺にも寄越せ。

 

 ええい、天然物の英雄はこれだから。そんなに人工物を目指すのはダメか!! 持ってるものが違うから無理だってか!!

 

 いや、こんな事で諦めねえ。俺は既に姐さんの英雄であり、シシーリアの英雄でもあるんだからな。輝き万歳!!

 

「だけど、体が復活して良かったなぁ。体が無かったらリアス達とエッチなことできなかったからさぁ」

 

「駄娘にはよく分かりませんが、まず真っ先に心配するところはそこじゃないと思います」

 

「諦めるッス。イッセーはそういう常識に捕われないっス」

 

 ペトが、イッセーのことをよく分かっていないシシーリアの肩に手を置いて諦めを促した。人生諦めが肝心だしな。

 

 ま、何はともあれイッセーの体も新しくできた。

 

 オーフィスとグレートレッドの力や細胞を使って作られた特別製だ。人間ベースの頃より、素の身体能力は上がってるだろうしな。いわば人間型のドラゴンって事だ。

 

 こっちで体を新しく用意する準備してるはずなんだけど、無駄足になったな。ホント何から何まで幸運に恵まれている奴だ。

 

 ……いや、そもそも体が崩壊するとか不運すぎる。こういうのなんて言ったっけ? 悪運?

 

「とりあえず、皆に朗報伝えとくか。クローン体の開発とかもさせてたら無駄足になるだろうしな」

 

「うっかりしててすいません。でも、この駄犬でも通信機の動かし方ぐらいは講習を受けているので、すぐに繋げます」

 

 シシーリアがすぐに通信機を繋げると、そのまま会話を始める。

 

「とりあえずご飯を食べたいっす。ちょっと忙しくて、サンドイッチを数枚しか食べてないっすからね」

 

「あ、ずりぃ! 俺なにも食ってないんだぜ!?」

 

「サンドイッチ、サンドイッチ」

 

 ペトの言葉に、イッセーとオーフィスが反応した。

 

 そういやそろそろ三日ぐらい経ってるからな。その間イッセーとオーフィスは何も食ってないってわけか。腹減ってるだろうな。

 

「確か探索船の中にレーションがあったな。戻る前にちょっと食べてみるか」

 

「マジで!? そういう事は早く言ってくれよ!!」

 

「ご飯、ご飯」

 

 イッセーとオーフィスの目の色が変わっている。どんだけ飢えてんだ……三日分か。

 

 ま、とにもかくにも連絡さえすればあとは安心だろうし―

 

「―大変です!! グレモリー眷属はシトリー眷属を助けに英雄派と戦闘に向かったと連絡がありました!!」

 

 ―っと思ったら緊急事態ぃ!?

 

 え、まじで英雄派? シシーリア、それマジ?

 

「な!? 英雄派って、まさか曹操か!?」

 

「そこ迄は愚鈍の私では把握できないです!!」

 

 イッセーの質問にシシーリアは首を振るが、しっかしそれにしたってこりゃヤバイ。

 

 飯食ってる場合じゃねえな。すぐにでも行かねえと。

 

『……お前ら。グレートレッドと話をつけた。今からリリスまでのゲートを開けてくれるそうだ』

 

「マジで!? 至れり尽くせりにもほどがあるじゃねえか!!」

 

 意外と話し分かる奴が多いな、龍神。

 

 生態がよく分からねえから周りが勘違いしてるだけで、オーフィスの奴もなんていうか、ただの子供に見えてきたしな。

 

 さて、すぐにでも戻らねえとな。

 

「んじゃ、急いで戻ろうぜ? この探索船って空飛べたっけ?」

 

 そこが心配だ。このまま乗り捨てるってわけにもいかねえからな。

 

「ちょっときついですね。飛行そのものは可能ですが、ヒロイさん達なら自力で飛行した方がはるかに速いです。……足を引っ張るなんてものじゃないかと」

 

「だったら、ペトが護衛に残るッス」

 

 ペトが勢いよく手を上げると、そう立候補した。

 

 でもいいのか? 姐さんだっているだろ?

 

「お姉様にはあとで可愛がってもらうッス。ヒロイとイッセーはすぐにでも皆に顔を見せるっすよ」

 

「ペト……。ああ、ありがとうな!!」

 

 イッセーが頷き、そしてペトも頷いた。

 

「じゃ、自分達の事は気にせずそっちに向かって飛んでいくっす」

 

 そう言いながらペトが指さした先には、空間が歪んで悪魔の都市が映し出されていた。

 

 ああ、こりゃ大変だ。急がねえとな。

 

「んじゃ、俺も言ってくるぜ」

 

「はい。ヒロイさん、ご武運を」

 

 ああ。ありがとうな、シシーリア。

 

 そして俺とイッセーは並び立って、正面を見据える。

 

 さて、色々あったが、今から反撃タイムだ。

 

 英雄派の幹部共の驚く顔が目に浮かぶぜ。きっとおったまげるんだろうなぁ、こりゃ。

 

「オーフィス。俺達は俺達の場所に行ってくるよ」

 

「そう。それはとてもうらやましいこと」

 

 オーフィスは、少し寂しそうな顔をした。

 

 そんなオーフィスに、イッセーは手を差し伸べる。

 

「お前も来いよ」

 

 イッセーは、躊躇う事なくまっすぐな目をオーフィスに向ける。

 

 その目は、ヴィクター経済連合の盟主を見る目じゃない。敵を見る目ですらない。

 

 それは、ただの友達を見る目だった。

 

「お前は俺の友達だ。だから、俺達と一緒に行こうぜ?」

 

 ……まったく。俺はお前が妬ましいぜ。

 

 天然物の英雄(ヒーロー)はこれだから困る。こういうことを特別だとも、難しいとも思ってねえんだろうさ。んなこと断じてあり得ねえのにな。

 

 そして、オーフィスは……。

 

「分かった。我、ドライグと友達」

 

 その手を、そっと手に取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……てなことがあったわけだよ」

 

 俺はニヤニヤ笑いながら、英雄派に向かってご丁寧に説明してやった。

 

 後ろではイッセーが「おっぱい!」と言ってようやく本人だと認められるという悲しくも当然な事をやっていたんで、時間稼ぎをしてるって感じだな。

 

 もちろん、英雄派の連中は目を見開いて愕然としている。

 

 そりゃ死んでるとしか思えねえからな。生きてる方がどうかしてるっていう、明らかな状態だからな。実際、一度肉体は消滅してるから死んだって言われてもおかしくねえし。

 

 それがこんな無茶苦茶な奇跡を連発して生き残ったとか、もう恐怖すら感じるだろう。

 

「……っざけんな、この化物が!!」

 

「異常極まりないわね これは、封印とかの方がいいんじゃないかしら?」

 

「殺しても死なないとは、恐るべし兵藤一誠……っ」

 

 英雄派の三人も、あまりの事実におぞましさすら感じてイッセーを睨む。

 

 まあ、敵の側からすれば悪夢以外の何物でもねえだろ。トラウマだろ。

 

「……そんなに気味悪げに見なくてもいいじゃねえか」

 

「気味悪げに見るだろ」

 

 思わずイッセーにツッコミを入れちまったよ。

 

 お前、自分が異常だって自覚をした方がいいぞ。その理由とか何か考えた方がいいだろ。自分のことだぞ。

 

 英雄派の連中は、どいつもこいつもガチ警戒だ。

 

 なにせ結界装置を俺とイッセーが破壊した事で、ギャスパーは救出できたからな。

 

 ペトがいないのは惜しいところだが、仕切り直しには十分だ。

 

「ジャンヌ、ヘラクレス。本気を出す事も視野に入れろ。少なくともそれ位はするべき相手だ」

 

 ゲオルクは霧を油断なく展開しながら、イッセーを睨み付けながら指示を出す。

 

 ヘラクレスもジャンヌもそれに反論しない。

 

 なんつーか、イッセーの奴マジ警戒されてるだろ。

 

 どう考えてもマジ警戒だろコレ。当然だけどな。

 

 さて、俺も槍王の型をとっさに使っちまったから結構負担がでかいしな。

 

 できる限り一瞬でケリを付けねえと、後に響くからな。

 

 そう思ったその瞬間だった。

 

 ビルに隠れている地点から、どす黒い炎が立ち上った。

 

 なんだ? 新手か? 敵か味方かどっちだ?

 

 俺の疑問は、ゲオルクの驚愕の視線が敵の可能性をぶっ飛ばした。

 

「……まさか、我が結界を破っただと!?」

 

 とっさにゲオルクは魔法をぶっ放すが、それは炎から飛び出してきた匙がかき消した。

 

 そういや魔法に対して強い効果を持つ神器を持ってたな。その効果か。

 

 そして、ボロボロになった匙が、俺達の近くに着地する。

 

「……俺のダチを殺しやがったくせして、好き勝手出来るとでも思ってんのか?」

 

 目の据わった表情で睨み付ける匙は、ボロボロだけどまだまだ戦えそうだ。

 

 こいつも根性あるよな。ほんと、色んな意味でイッセーの影響をもろに受けてやがる。

 

 うん、だけどね、匙。

 

「匙、勝手に殺さないでくれない?」

 

 イッセーが、呆れ半分でそう突っ込みを入れた。

 

 いや、死んでないのがおかしいんだからな? お前なんで生きてるのってのが正しいからな?

 

「………兵藤ぅ!?」

 

 目ん玉ひん剥いて驚愕の表情を浮かべる匙が正しい反応だな、うん。

 

 あ、これはグダグダになるかねぇ?

 




英雄派、とりあえずドンビキ。

まあ、体が消滅しても殺せないとか恐ろしいにもほどがありますからね。……これから殺しても復活する連中はゴロゴロ出てくるんだけどな!!
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