ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ 作:グレン×グレン
そんなこんなで、すっかり忘れていたころに―
首都リリスを巡る大激戦が終わって数日後。俺達はイッセー邸で、ちょっと息を呑んでいた。
冥界を騒がし、魔獣騒動とすら名付けられた一連の事件。終わるまでは大変だったけど、終わってみれば物的被害はともかく人的被害はあまりない事件だった。
所詮シャルバではこの程度が関の山ってところだろうな。ヴィクター経済連合が本腰を入れて尻馬に乗ったらこんなもんじゃないだろうが、そうもいかない。あいつらは大義を掲げてる国際組織だから、こんな無差別テロみたいなマネはできねえわけだ。
ま、そういうわけで俺も契約金分の仕事をきちんとして、こうして皆でだべれるわけだ。
「ホント、全員でこうして笑い合えてるのが嘘みたいだわ」
姐さんがそう言って苦笑するのも仕方がねえ。
なにせ、魔獣騒動勃発時にはイッセーは死んだとばかり思われてたからな。
っていうかなんで生きてんだろうな。普通死んでねえとおかしいはずなんだけどよ。
「……お前、本当に何もんなんだよ? ぶっちゃけ異次元生命体の血とか入ってねえか?」
「ひでえなおい!」
俺は思わずそう聞いて、イッセーに突っ込まれた。
いや、そんなこと言われても、そう思ったっておかしかねえだろ。
俺は同意を求めて周りを見渡すと、確かに全員苦笑していた。
「確かにあり得ない事を連続で起こして生存してますからね。それ位の理由があった方が納得できそうです」
「だがイッセーだしな。そんな理由がなくとも「イッセーだから」で十分じゃないか?」
などと、ロスヴァイセさんとゼノヴィアが言っている。
ああゼノヴィア。それで納得したらいけない気がするんだ、俺は。
「ま、そのおかげでハーデスのジジイのビビり顔が見えたのは嬉しかったぜ。土下座のついでにそっちも写真にとってりゃよかったな」
んなこと言うアザゼルは、そう言いながらスマホでハーデスの土下座画像を俺達に見せつけた。
ああ。すっげえスカッとする!! ざまあハーデス!!
因みにハーデス神のヴィクター経済連合所属は、ヴィクター経済連合側が大々的に声明を発表してるので、もう全く持って隠せてねえ。
『ついに神がヴィクターを認めた!?』とか言われて騒がしくなってるけど、まあ、遅かれ早かれあっちにつく神もいるだろうしな。おかしな事でもなんでもねえ。
まあ、それが切っ掛けでヴィクターに対して一理ありと言い放つ神々もぽつぽつと出てくるのが頭痛いけど、これもいつかは出てくるとは思ってから、仕方ねえか。
それに、別にそれは悪い事ってわけでもねえ。
味方じゃないけど表立って排除も難しかったのがハーデスだ。それが、堂々とヴィクターに就いてくれたのなら倒すべき敵ではっきりとする。遠慮する必要はなくなったわけだ。
そういう意味じゃあ、ヴィクターの連中に感謝してもいいかもな。実際相当屈辱的な方法で逃げ道塞いだらしいしよ。
その際にやらせた土下座を取ったのがこれだ。リムヴァンの野郎は、アザゼルにわざとこれを取らせたみたいだしな。アイツも結構腹に据えかねてたんだろ。
その辺のやり取りも割と表に出てきており、冥府の扱いはヴィクターでも最底辺。今回シャルバがやらかした旧魔王派よりも下って事になってるそうな。
ま、旧魔王派は今回の件をシャルバの暴走と切って捨てたからな。一部の乗っかった連中は粛正したらしい。そう言う意味じゃあ却って意思統一ができたって事なんだろうな。
チッ。こっちは流石に面倒だな。未だに割と大きな勢力だし、復権されるとややこしいんだがよ。
「まあ、その辺に関しちゃ当面はシェムハザに一任だな。なにせ俺、総督じゃねえしよ」
などとのんきな事をほざくアザゼルに俺達は視線を向ける。
そしてペトが、姐さんに膝枕されながら半目を向けた。
「毎回毎回個人的な事に組織の金使ってたっすからね。いい加減罰せられるとは思ってたったすよ」
「違うわ! オーフィス連れてきた件の引責辞任じゃい!!」
あ、そっちか。
確かに、お飾りとは言え敵組織のトップをこんなところにこっそり送り込んでんだからな。そりゃそれ相応の責任を取らねえといかねえわな。
「で、総督辞めたらどうするんですか? このまま駒王学園の教師に一本化とか?」
イッセーがそんな事をのんきに聞くが、アザゼルは得意気な表情を浮かべると胸を張った。
「いや、この駒王町周辺の土地の監督役ってところだ。用はリアスと俺がツートップってとこだな」
なるほど。職を辞した組織のトップに天下り先としちゃありそうだな。
割と重要度が高い場所での監督役か。ま、いい感じじゃね?
「総督から、監督」
「そう言う事だよ小猫。ま、ついでに三大勢力の技術顧問とかもやる事になるだろうがな」
そう言うアザゼル先生は、どっか嬉しそうだった。
……えらい立場から降りたってのに、なんか楽しそうだな。
「いや~。かたっ苦しい立場から逃れて清々したぜ! ああいうのはシェムハザとかバラキエルとかの堅物向けだからな!」
すっげえノリノリだった!
やっべえ。これ、下手するとリミッターが外れただけじゃねえの?
この普段から暴走して人を巻き込むオッサンが、責任ある立場という制御装置をぶっ飛ばしたら……!?
「ああ、言っておくけどアザゼル」
俺が曹操の覇光と対峙した時を上回るほどの恐怖を感じた時、姐さんがぽつりと呟いた。
「なんだよ」
「シェムハザとバラキエルから、アザゼルが何かやらかしたら容赦なくボコボコにしていいって言われてるから」
「うぉい!?」
アザゼルが絶叫するけど、俺達は一斉にガッツポーズを決めた。
よし! これで最低限の釘は刺さった! グリゴリ新総督からの直々のお墨付きだから、姐さんがアザゼルをボコる大義名分はしっかりとある!!
助かりましたぜシェムハザ総督! あんたできる上司だなぁ、オイ!!
この調子なら、すぐに俺にも追加でそういう監視任務が課せられるだろうな。そうなりゃ俺も向上の仕事ができて金を貰うに相応しくなるぜ。
よしよし。これで何とかなりそうだ。
「オーフィス? アザゼル先生が変な事したら、すぐにペトかお姉さまに伝えるっすよ?」
「わかった」
ペトが、もぐもぐとお菓子を食べるオーフィスにそう指示を出しておく。
オーフィスは兵藤邸で預かる事になった。
他ならぬオーフィス自身がそう望んだ事も大きいし、監視役として懐かれているイッセーが一番適任だと判断したこともある。
つーか、全盛期からごっそり弱体化したといっても二天龍の全盛期を上回るってのがやばいからな。監視するにしてもそれなりの実力者じゃないとまずい。
まあ、オーフィスに関しては大量に封印術式を叩き込んでかなり強いドラゴン程度にまで弱体化してるんだがな。龍王クラスならまあ何とかできるレベルだ。それでも充分すげえんだがな。
まさか、あのオーフィスを家で預かるとか驚きだぜ。っていうか、マスコットと化してるからな。
あのオーフィスが、まさかオカ研のマスコットと化すとは思わなかった。人生、何が起こるか分からねえにもほどがあるだろ、オイ。
なんつーか、もう伏魔殿じゃねえか、兵藤邸。
いや、そりゃ俺も一因だったか。立派な改造人間だったわ、俺。
そんな風に俺が呆れていると、アザゼルは三枚の紙を取り出した。
「アザゼル先生? その紙は一体なんでしょうか?」
「ああ、こいつはイッセー達の中級試験の結果だ」
アーシアの質問に、あまりにスムーズにアザゼル先生は答えた。
その所為で、俺は一瞬反応が遅れた。
うぉい! なんであんたが持ってんだ!?
「本来ならサーゼクス辺りがするんだが、魔獣騒動で忙しいから俺が代わりにする事になった」
あ、それもそうか。
人的被害はともかく物的被害がでかすぎるからな。そりゃ冥界の上層部は忙しくててんてこ舞いか。
だから、総督辞めたこのオッサンにそういうめんどい仕事が回ってきたというわけだな。
さて、それで結果のほどは……?
「まずは木場。余裕で合格だ」
少しは心の準備をさせてやれよ。イッセー慌てふためいてるぞ。
そして木場は合格か。まあ、こいつはそつなくこなすよな。
「で、朱乃も合格。バラキエルには先に言ったが、男泣きしてたぞ」
「あらあら。父様ったら」
ちょっと赤面する朱乃さん、プライスレス。
で、最後の一枚は当然……。
「そんでもってイッセー。お前が一番やらかしてたが……」
ごくり。
妙なところで切るなよ。気になるだろ。
イッセーも生唾飲み込んでるな。まあ、こいつが一番自信なかったし仕方がねえか。
実技試験でアホな事やらかしてたからな。あれで吹っ飛ばされた奴、ある意味最低点数叩き出しそうだけど、耐久力だけは評価されてるだろうなぁ。昇格できただろうか?
で、先生。結果のほどは?
「お前も合格。おめでとさん、中級悪魔の赤龍帝の誕生だ」
先生は笑みを浮かべて、そう言った。
「……いよっしゃぁあああああ!!!」
両手を上げて歓声を上げるイッセーに一斉に拍手が飛んだ。
おめでとさん、イッセー。
そんなこんなでイッセー達が中級悪魔に昇格して数日後。俺はヤ〇部屋に来ていた。
姐さんが最近男あさりしてなかった事から鬱憤が溜まってたらしい。用務員の仕事とアザゼルの監視でストレスが溜まっていたともいう。マジお疲れさんです。
そういうわけでペトも一緒に行動し、俺もついにデビューしたわけだが、男どもは疲れ果てて帰って行っている。
現在姐さんは残った女をバイセクシャルの道に引きずり込み中。ペトはその補佐官。
ちなみに、俺は結構ばてたのでここで晩飯を作る事にした。
この部屋。姐さんが色々レトルト食品とか持ち込んでるので食い物がある。姐さん達を置いて帰るのもあれなので、家の方には伝えて俺が飯を作ってるわけだ。
基本的に食う専門の俺だが、自炊ができねえわけじゃねえ。
イドアル孤児院じゃ家事手伝いとかしてたし、メシマズ大国イギリスで美味い飯食うには、自炊するのが一番だからな。これでも家庭科の授業はしっかり真面目に受けてるから、裁縫とかの人並みにはできるぜ。
そんなわけで近くのスーパーで材料を買って、ビーフシチューを作ってる。あとパンも大量に買った。
もうついでだ。今参加してる女子達にも振る舞ってやるかって感じで、でかい鍋で作りまくり中だ。
しかしまあ、色々ありすぎだろこの二学期は。
まだ半分終わった程度だ。それなのに色々起こりすぎだ。
たぶん、残りの半分もクソ忙しい事になるんだろうな。絶対にトラブルが頻発するぜ、コレ。
特にイッセーに対する注目度が鰻上りだからな。何故か冥界政府の大王派閥とかがビビってる。
まあ、死んだはずなのに体を作り直して復活とか異次元レベルだ。天然物の英雄とか、マジで勘弁してほしいぜ。シャレにならねえ。アイツホントに元人間?
いや、今回の体はオーフィスとグレートレッドの細胞がもとだったな。もう人間でもなんでもねえ。ただの人型ドラゴンだ。
ははは。ここにきて「素体がただの人間」っていう欠点を克服してきやがった。あの野郎、とんでもない根本改革しやがるな。
まあ、それはそれとして問題も多いんだろうがな。
今はデートの順番で揉めてるが、それはともかくシリアスなところでもやる事がきっかりある。
一つは、魔法使いとの契約。
悪魔も魔法使いも、実利的にもステータス的にも契約を行うのが一人前の存在だ。魔法使いの業界も、若手悪魔のランキングを発表したらしいしな。
で、そろそろルーキー悪魔の契約時期ってわけだ。俺が悪魔祓いやってた頃は、ピリピリしてる同僚が増えてる時期でもある。もうそんな時期なんだよなぁ。
イッセー達はすげえ戦闘能力を持ってるからな。たぶんだけど、人より応募が多いだろう。なんとなくで雑魚と契約したらここぞとばかりに大王派が馬鹿にしそうだな。
よく考えて選んだ方がいいだろ。まあ、実力者とかも目をつけるだろうからいい線行くやつはいるだろうけどな。
で、次の問題はギャスパーだ。
どうにもこうにも、
しかも、ゲオルクが前もってピンポイントで干渉する結界装置を用意してた。そのくせ自分とは相性が悪いとも言っていたらしい。ヴィクターの連中把握しまくりだろ。
そんなわけで、今度ギャスパーの生家であるヴラディ家に接触を図るとのこと。それはそれとして吸血鬼側からの接触もあるって事で、色々と考えなきゃいけねえっぽいな。
しっかし、ギャスパーの能力にメタを張ったってこたぁ、当然ヴィクターもヴラディ家と繋がりがあるだろうし、こっちはこっちでひと悶着ありそうだな。
さて、どうしたもんかねぇ。
そんな事を思いながら、コンロの火を消す。
よし、こんなもんだろ。そろそろ一旦中断してもらいてぇが、高ぶってねえだろうな。
様子見てから、タイミング見計らって呼ぶか。……時間をかけたからイギリス育ちが作ったにしちゃぁ美味いぜぇ?
そんなこんなで呼び出そうとして、
―ピンポーン
……なんだ?
この部屋は、ヤリたい連中だけが集まってる部屋だ。基本的にはピンポン鳴らしたりしねえ。
たまにピザを取ると事とかあるらしいが、今回は俺が作ってるからねえだろ。
まさか、強盗とかじゃねえだろうな? ドア開けた瞬間に包丁突きつけられたりとか、あるかもな。
まあ、俺なら素人上がりの強盗ぐらいなら大丈夫なんだが……。
「どちらさんっすかぁ?」
と、ドアを開けると―
「―どうも、雌馬です」
―何故か、シシーリアがいた。
しかも、なんか決意してる表情だった。
何だろう。俺は凄い嫌な予感を覚えてきたぞ?
「なんでここに? 俺達に会いに来たなら、イッセーん
「いえ、こちらの方が都合がよかったので。浅慮だとは思いますがこっちに来ました」
と、顔を赤くしてシシーリアはずかずかと入ってくる。
「あ、日本の家は靴脱ぐからな? スリッパ出すからちょっと待て」
「あ、そうでした」
そんなこんなでどたばたしながらリビング迄入ると、いまだ部屋ではあんあん言ってる。
「なんか悪い。ここ、そういう場所だから我慢してくれ」
「い、いいえ。好都合です」
何故かシシーリアはそんな事を言ってきた。
好都合? なにが―
そう思った瞬間、俺は足払いを駆けられてソファーにダイビングしていた。
そして、シシーリアが上に乗っかってきた。
ふ、不覚! 最上級悪魔ともやり合えるだろう俺がこうもあっさり下級悪魔にしてやられるたぁ情けねえ!
っていうか待て。シシーリア、いつの間に体術まで!?
「お前、急に強くなったな」
「まあ、あの戦いでは武器が特別製だっただけですが。……彼女達の居場所を作る為に、上級悪魔も目指しているので鍛える事にしました」
そ、そうか。それにしても急成長しすぎじゃね?
ディオドラのところで数年間下僕悪魔していた時に比べて、凄く強くなってね?
ああ、そういや基本的に上級悪魔って眷属を特訓させたりしないらしいな。
自分達が長い寿命ゆえに経験と才能で自然と成長するのに拘ってるからな。特訓とか訓練とかを下賤なものとして好んでないらしい。
だから、眷属間のトレードで戦力の強化を図るとか。
ディオドラも、アーシアをトレードで手に入れようとしていたしな。そう言う意味じゃあ成長する機会には恵まれちゃいねえか。
なるほど、それがアジュカ様のところでは優秀なコーチに恵まれてるってわけか。そりゃ環境が段違いだわな。
なるほどなるほど……。
「で、なんで俺押し倒されてんの?」
「ああ、ハイ。事情を説明しますね」
そう言いながら、シシーリアは表情を変える。
赤らめた顔のまま、舌なめずりをした。
「はっきり言いますと、ディオドラの雌であった私は当然そういうことをされてきたわけです」
「ふんふん」
ディオドラ死ね。っていうか死んでたな。俺が殺してたなごめんごめん。
ま、シスターを堕とすのが性癖なんだから、当然手を出すわな。むかつくのとは別に納得もできる。
「好きこそものの上手なれと言いますか、そういうわけでディオドラはそういった事が腹立たしい事に上手かったんですよ。よがり狂わせて堕落させるのに興奮する性質だったんでしょうね」
「なるほど」
ディオドラ死ね。っていうか死んでたな以下略。
まあ、聖女やシスターを堕落させるのが好きなら、そういうのが上手じゃなきゃ大変だろ。エロく堕落させるとか男的に興奮するわな。
「そう言うわけで、実をいうと少し疼くところもありまして―」
あ、分かった。
つまり、それを姐さんに相談したのか。
ペトを回復させた姐さんの手練手管。そしてその基本スタイルは凄く分かり易い。
すなわち、エロくなったのは仕方ないから、健全にエロくなろう。
ゲスとかに股を許すのではなく、エロくて善良な男を見つける審美眼を磨いたり、善良な男にエロいスキルを教え込んで満足できる領域に育て上げたりする。それが姐さんのエロに対する付き合い方だ。
そんな人の薫陶を受けた、そういう悩みの持ち主さんが今目の前にいるわけで……。
「待て、シシーリア。お前は俺と恋愛するのはあれだとか言ってなかったっけ?」
「確かにヒロイさんをこの駄馬のものにする気はないです。でも、それはそれとしてヒロイさんとそういうことをする関係になるのはちょっと興味があります」
ええ~。
俺は一瞬ドン引きしたが、すぐに思い直す。
その時だけ、シシーリアは決意を込めた顔をしていたから。
「……ヒロイさんの英雄としての道を邪魔したくないんです。貴方に照らされたからこそ前を進めるものとして、貴方が前に進む事を邪魔したくないです」
そうか。俺のこと思って言ってくれてたのか。
確かに、人間は堕落しやすい。
英雄はそう簡単になれるもんじゃない、そういう閃光だ。
イッセーのような天然ものなら大丈夫かもしれねえが、俺みたいな人工もんだと、長い時を重ねたら腐敗しそうではある。
そうなったら、俺はもう俺じゃねえ。もう違う、跡形もねえ何かだ。
シシーリアは、そこまで考えてくれてたのか。
そしてシシーリアは、笑みを浮かべると俺の胸元に倒れこむ。
「だけど、淫靡になってしまったこの雌犬は、好きな人とそういうことがしたいとも思ってしまって、仕事も手につかなくなりそうで……」
そして、シシーリアは俺を上目遣いで見上げる。
聖女のような純真な目で。
淫魔のような淫らな目で。
矛盾した二つの要素をもって、俺の精神を無自覚に揺さぶりにかかった。
「ヒロイさんが生きてる間でいいです。……時々、止まり木にさせてください」
………あ、これまずい。
俺の純情がいろんな意味で起動してる。へとへとだったのに覚醒しちゃいそう。
ちょ、これまずくね? このままだと、やばくね?
くそ、援護射撃を要請せねば! 大声を上げて隣の部屋に緊急連絡を―
「よし! ついでに混ぜてくれないかしら?」
「そこっす! そこで押し倒すッス!!」
………オイコラ。そこの駄
「おお、野郎が暴走しそうだから女子だけでの見物ってこれね!」
「期待のホープのヒロイ君がエロハプニングとは、濡れるわぁ」
「そこよ、ししなんとかちゃん! お姉ちゃん達、そういうの理解あるから!!」
外野ぁあああああああああああ!!!
え、え、えっと……。
「ふふふ。いいんですよ、ヒロイさん」
そういいながら、シシーリアは俺の背中に手を回した。
そして、まごうことなき恋する少女の笑顔を、まっすぐに俺にぶつけてきた。
「女の子だってエッチなんです。たまには性欲発散させてくださいっ」
その後の展開は、ノーコメントでお願いします。
ヒロイ、恋愛の発展はないのに女性と肉体関係が増えるとの巻。
それはともかく、次回からエキストラマッチとなります。
部隊はヨーロッパ。そう言えば決着がついていなかったある決着をつけることになります。