ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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ちょっと病院に行くため一日空いたので、出発する前に一話投稿します









ヨーロッパにやってきたヒロイたち。

そんな彼らは、全然久しぶりでも何でもない再会をすることに……っ


第五章 36 

 そういうわけで俺達はヨーロッパの片田舎にやって来ていた。

 

 この辺りの山間部に、ロキの各誌研究施設の一つがあるらしい。今はアースガルズの捜索部隊がローラー作戦で事に当たっている。

 

 俺達は有事の際の戦力だ。この田舎に来たのも、研究施設があるところで一番近くの人里だから。いうなれば、いざという時の防衛任務も兼ねてるってわけだな。

 

 フェンリスヴォルフがどこに隠されているのかは、よく分かっていない。

 

 ロキはどうやら、人間界にもユグドラシルにも各研究施設を持ってやがったらしい。その正確な場所が分かってるのも、そんなに多くない。

 

 ただ、オーディンのお膝元であるユグドラシルには数少ないという事までは分かっていて、アースガルズはまずそっちを優先してる。件の鳶なんたらもそっちに行ってるそうだ。

 

 だからまず少ない方面を優先的に潰して、そっちの戦力も全部使って多い人間界の方を捜索するという手はずらしい。

 

 まあ、そりゃ自分達のお膝元でいきなりそんなのが暴れたら心臓に悪すぎるわな。当然の判断だ。

 

 つっても、だからと言ってここで人間達の不興を買うような真似はできない。人間界にむやみやたらに手を抜いた対応をしたら、それこそせっかく集められそうな信仰がごっそり減ってしまう。

 

 と、いうことでアースガルズは本格的な活動の為に各勢力に増援を要請。オリュンポスや日本の勢力などから手勢を貸してほしいと頼んできた。

 

 日本は自衛隊はまだ流石に国外活動をしにくいし、しかし戦力として普通に計上できるから相当に投入している。五大宗家から手練れが何人か出て来ているらしい。うちの学校に通ってるやつも出たとか言ってたな。ていうかなんでいる。

 

 オリュンポスも、最近は魔獣達との和平がなりそうだということで、それなりに戦力を送っている。とはいえ、ハーデスが正式にヴィクターに就いて冥府がヴィクターに奪われてるから、そこまで多くはねえが。

 

 他の神話体系からもそれなりに反応はあった。まだまだ和平に納得いかない勢力も多いらしいが、それはそれとしてアースガルズに恩を売れるチャンスだと判断した奴らもいるらしい。高い利子を取られそうだな、オーディン神も大変だな。

 

 当然三大勢力からも派遣する事が決定した。

 

 だけど、魔獣騒動とそれと同時期に行った内通者の粛正やら捕縛やらでガタが来てる節もある。こと教会や天界に至っては、聖書の神の死を知らされた事で受けたダメージはまだ回復してないからな。

 

 そう言うわけで、どうしても戦力を送れなかったからこそ、俺達に十八番が回ってきたわけだ。

 

 そう、この一週間は俺達が頑張らねえとな。

 

「この平和な田舎町に、フェンリスヴォルフの大暴れを許すわけにはいかないっす!」

 

 ペトが気合を入れるのを見て、俺も姐さんも微笑ましく思う。

 

 ああ、そうだ。俺達が頑張らねえといけねえな。

 

 まあ、この一週間何もない可能性だってあるけどな。

 

「さて、それじゃあどこかで食事でもしましょうか。この近くに、食事処とかないかしら?」

 

 姐さんの言う通りだ。俺達、こっちに到着してから何も食ってねえ。

 

 睡眠は交代制で取る必要があるし、結構厳重に警戒しねえといけねえよなぁ。

 

 ま、こういう時の基本は人に聞く事だ。現地の人に聞くのが一番手っ取り早い。

 

 パブぐらいはどこの町にもあるだろ。現地の美味い飯を食べるってのはいい気分だしよ。

 

「あ、すいませーん! 飯食えるところ探してるんですが、いいとこしりやせんかい?」

 

 俺は、とりあえず目についた集団に声をかける。

 

 こんなところを複数人で歩いてるんだ、連れ立って飯を食いに行くとかそんな感じだと思ったからだ。

 

 さてさて、当たりだといいんだが。

 

「……すまない、俺達もここには最近来たばかりで―」

 

 と残念な事を言いかけた男の表情が、固まった。

 

 見れば、他の連中も怪訝だったり驚きだったりだ。

 

 ……ん? どういうこと?

 

「……変装の術とか小技も卓越してるわね、ヴァーリ」

 

 と、姐さんが戦闘の男にそういった。

 

 ふむ、こいつヴァーリか。そりゃこんなところの飯屋の場所なんて知ってるわけがねえわな。

 

 ヴァーリか。そうかそうか。

 

 五秒後。

 

「「えぇええええええええ!? ヴァーリ!?」」

 

 俺とペトは同時にバックステップをかます。

 

 そりゃそうだろ。ヴァーリはヴィクターを追放されたとは言っても、俺ら三大勢力を離反した連中なんだ。敵対勢力とまでは言わねえが、警戒対象ではあるわな。

 

 よく見れば、連れの人数もヴァーリチームだ。こいつら全員変装してんのかよ。

 

「おお、流石煌天雷獄の姉ちゃんだ。属性の質で勘付いたのかぃ?」

 

 どうも美候らしい兄ちゃんが、そう言って感心する。

 

 じゃあ、最後の男はアーサーか。黒髪なんで気が付かなかった。

 

「しまったぁ……。気が抜けてたにゃん。仙術を切ってたわ」

 

「まあまあ。こんないいところなら注意力が抜けても問題ないですよ、黒歌さん」

 

 と、こっちは姉妹にしか見えないが黒歌とルフェイかよ。

 

 ……フェンリルは普通に大型犬に見えるな。首輪とリード迄つけてるのか。

 

「それで、あなた達は何が目的?」

 

「独自の情報網で、捧腹が面白い事をしていると聞いたんでね。面白半分で潰しに来たのさ」

 

 と、ヴァーリがさらりと答える。

 

 こいつら、どっからその情報を鍵づけてきやがった。スパイの才能とかもあるんじゃねえか?

 

「フェンリルちゃんも不機嫌なんです。やっぱり、自分のクローンの、それも死体を使われるのは嫌なんだと思います」

 

 そう言いながら、ルフェイ(らしき子)がフェンリルらしき犬をなでながら暗い顔をする。

 

 ………さて、どうしたもんか。

 

 なんだかんだでなあなあの関係になっちゃいるが、こいつらお尋ね者だしな。

 

 見つけちまった以上、このままってわけにも……。

 

「……あの、そこの方?」

 

 と、そこに声をかける人がいた。

 

 俺達が振り返ると、そこには美人な女の人がいた。

 

 すげえ。マジで美人だ。

 

 年齢こそ三十超えてるっぽいし、どっか苦労してきたのかそういうのがにじみ出てるけど、それを補って余りあるほど綺麗な人だ。

 

 でも、俺はこの人の顔は知らねえな。この町に来たのも初めてだから、当然っちゃ当然だが。

 

 ならヴァーリチームの知り合いか……と思ったけど、どうも違うっぽいんだが……。

 

「………ああ、その、何かな?」

 

「いえ、飲食店でしたら、あそこの道を五分ほど行けばパスタの店がありますよ?」

 

 え、態々教えてくれるの?

 

「そ……そうか、礼を、言う。この辺り……は慣れてなくて、ね」

 

「いえ、ご旅行中の方なのでしょう? 道中ここで車のガソリンを補給する人は多いので、そのついでに昼食をとる人も多いですから」

 

 ヴァーリが戸惑いながら礼を言うと、その人はそう言ってにこりと笑う。

 

 ……ヴァーリの様子がなんかおかしくねえか?

 

「あれ? ヴァーリってもしかして、年上好み?」

 

「俺っちも驚いたぜ。アイツ女に興味がねえもんだとばかり思ってたなぁ」

 

「意外ね。まあ、親に飢えてるタイプだから母性に弱いのかしら?」

 

 などと黒歌と美候と姐さんが小声でささやく。ちゃっかり日本語でしゃべって女の人に分からないようにしてる辺り、芸が細かい。

 

 そんなこんなでその女性は会釈をすると去っていく。

 

 見れば、離れたところで手を振っている子供達がいる。あの人のお子さんかねぇ?

 

 ……そして、ヴァーリは半ば呆然としながら、その女性の背中を見送っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とりあえず、ピッツァを高い順に三種類頂戴。あと私はエールを」

 

 店で席につき次第、姐さんは店員さんを呼ぶとそう言った。

 

 そして、半目で変装を解いたヴァーリチームを見据えた。

 

「……ここは奢るから問題を起こさないで頂戴。私達も忙しいのよ」

 

「カッカッカ。俺っち達を食い物で懐柔できると思ってるのかぃ? 自慢じゃねえが、俺達は食い物には無頓着な奴らがいるぜぃ?」

 

「そうですね。この辺りは上質な紅茶がないので、あまり興味を惹かれません」

 

 おい美候にアーサー。お前ら何を情けない事を自信満々に言ってやがる。

 

 まあアーサーはいいか。メシマズ大国イギリスの出身だしな。飯に無頓着なぐらいでいちいち気にならねえ。

 

「まあ、この二人が食事担当になったらカップ麺とレーションだもんね。リセス、こいつらにパスタなんて高尚なモノで釣っても意味ないわよ」

 

「そのようね。というより、もう少し食生活に気を配りなさいよあなた達……」

 

 黒歌の茶化すような言葉に、姐さんは額に手を当てて応じた。

 

 うん、姐さんも頭痛を感じてるようだな。そりゃそうだ。

 

 ……食生活という一点に置いちゃあ、赤龍帝側の方が圧倒的に有利じゃねえか?

 

 立派な母親やってるイッセーのお袋さんを中心に、そこそこ栄養バランスを考えられた食事が食える。しかもお嬢が金出してるからいい食材が出てくるという相乗効果。

 

 あれ? なんかこういうところだと圧倒的な差がついてねえか?

 

 まあ、名門貴族とはぐれ者の集団じゃ、これぐらいの差は出て当然か。

 

 だがしかし……。

 

「こんな子にまでそんなすさんだ食生活を送らせんじゃねえよ。育ちざかりだろうが」

 

「まったくね。しかもたまにならともかく相当の頻度でカップ麺で済ませるなんて、それでよく強くなろうとかほざいたわね」

 

 ため息と一緒に、俺と姐さんはツッコミを入れた。

 

 まったくだ。健全な肉体は健全な食生活から。必要な栄養をきちんと取らないで、体が立派になるわけがねえ。

 

 ましてや場合によっちゃぁ三食カップ麺? それでよくお前らそこまで強くなれたな、オイ。

 

「黒歌。貴女、本当に投降してリアスの軍門に下ったら? あの件についてはサーゼクス様も追跡調査は行ってるらしいし、保釈金ぐらいは貸してあげるわよ」

 

「あのねえ。確かに赤龍帝ちんはうちのろくでなし共よりいい男だけど、だからってヴァーリを裏切る気はないわよ」

 

 ……姐さんと黒歌、なんか仲良くねえか?

 

「むぅ~」

 

「ぬぅ~」

 

 そしてペトとルフェイ。飯が不味くなるから睨み合うなや。

 




フットワークの軽いヴァーリチーム。ヴィクターを追放されても何のその。フェンリスヴォルフと捧腹探してやってきました。

思わぬ呉越同舟ですが、今のヴァーリチーム相手にヒロイたちも即戦闘って気にはなれない。元よりヴァーリチームはその辺適当。とりあえずヒロイたちは、監視もかねて同行することに。









そして、ヴァーリはヴァーリでそれどころじゃないわけです。







あと捧腹は、最初の方ではハニーエンジェル編で復活させて決着をつけるというのもあったんです。あれ、復讐がテーマな巻でしたし。

しかし展開を想定すると蛇足集がするし、あくまでアースガルズを恨んでいる捧腹が天界に態々来るのもあれな気がしたので、こうしてオリジナル編で消火しようという展開になりました。
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