ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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ヴァーリが一歩成長したころ、ヒロイは大絶賛苦戦中。

とはいえ、なんだかんだで持ちこたえてるわけですが……。


第五章 40

 

 ぶっ放される攻撃を、俺は紙一重で避けつつ攻撃を叩き込む。

 

 確かに敵のスペックは強大。反応速度もシャレにならねえ。間違いなく厄介な敵だ。

 

 だが、技量が追い付いちゃいねえ。

 

 捧腹以外はただの獣も同様。そして、人型ってのは獣の動きでその真価を最大限に発揮できるようにはできてねえ。

 

 人型ってのは色々と便利だが、戦闘には非効率的なんだよ。だから人間ってのは武器やら武術やら戦う為の手段を作るんだっての。

 

 それを抜きにして龍王クラスの量産型程度で俺を殺そうだなんて、百年早いってんだ!!

 

「英雄なめんじゃねえぞぉ!!」

 

「ふむ、だが英雄というのは惨い末路を辿るものだろう?」

 

 その瞬間、俺の懐に捧腹が潜り込んだ。

 

 チッ! 流石にイグドラフォースに匹敵する程度の性能は発揮するか!

 

 コイツを一対一(サシ)でノすのは流石にきついな。俺は覇輝(トゥルース・イデア)を思い通りに使えねえからよ。こういう時弱い。

 

 ええい。あれしか手がねえたぁいえ、聖槍の禁手を対聖槍に限定したのはあれだったな。時間がありゃもうちょっと汎用性とかできたんだろうけどよ!!

 

 くそ、こりゃ流石にちょっとヤベえか? どうやって切り抜ける?

 

 俺がそう考えた時、放たれた白銀が銀狼を弾き飛ばす。

 

「……すまん、遅れた」

 

 ヴァーリか!

 

 どうやらようやく復帰したみてぇだな。ったく、俺一人でこいつら相手させるとは鬼かよ。

 

 さて、それでどうする?

 

「さて、それで俺達はどうやって奴を倒したものか」

 

「お前にしちゃ気弱だな。極覇龍使おうって発想ねえのかよ」

 

「捧腹で終わるな」

 

 なるほどねぇ。確かに、その後の人型ドラゴンをどうにかする分が大変だな、そりゃ。

 

 さぁて、それじゃあこの後どうしたもんかねぇ。俺らだけだと詰みだぞ、コレ。

 

 こっからどうやって逆転すんだよ? 割と凶悪な化け物共だって事がよく分かったんだがな。

 

 そして、捧腹はそれを見ても冷静さを保っていた。

 

「ならば、更にダメ押しをさせてもらおう」

 

 そういうなり、捧腹は何やらカートリッジのようなものを取り出すと、それを自分に装着した。

 

 なんだ? 今度はどんな秘密兵器を投入してきやがった、オイ。

 

「これは、覇を発動させる為の代替となるエネルギーコアだ。……今から十分間、私は覇を発動できる」

 

 いや、ちょっと待て。

 

 神器の覇は、極めて面倒なしろもんだ。それも、自分にとっても敵にとってもっつー厄介なもんだ。

 

 敵にとっちゃもちろん当然。封印系神器の最大出力状態なわけで、敵は当然パワーアップするわけだ。当たり前なぐらい厄介だな。

 

 で、自分にとっても暴走の危険性がマジでかい。更に、生命力をものすごい勢いで消耗するからシャレにならねえ。暴走のそのまた暴走だったイッセーの場合何て、一万年生きられる悪魔なのに百年にまで寿命が削れやがった。

 

 莫大な魔力を代用品にできるヴァーリですら、うかつな仕様は避けていた最終手段。極覇龍という昇華させた形態を手にしたといやぁ聞こえはいいが、つまり覇龍そのものは完全な安全運用はどうやったって不可能ってこった。

 

 それを、発動可能にしやがるだと?

 

 マジかこいつ。ちょっとシャレにならねえこと言ってんだけどよ。

 

「……既にそこまでの領域に到達していたか。面白いじゃないか」

 

 そういうと、ヴァーリもまた一歩前に出る。

 

 その目には、決意の色が移っていた。

 

「ヒロイ・カッシウス。奴は俺が何としても倒す。だから、君は周りの敵をなんとしても倒してもらいたい」

 

「マジかよ。つまりここで限界を超えて覚醒しろってか?」

 

 この人型ドラゴンの群れをどうにかするには、今の俺だとキツイ。いや、倒すだけならできる。ただ被害を出さずにとなると現状キツイ。

 

 手数重視のコイルガンで弾幕張るぐらいじゃねえと、何割かに逃げられて被害が出るからなんだよなぁ。

 

 だがコイルガンの出力だと威力が落ちる。それだと量産型とは言え龍王をベースにしているこいつらには届かねえ。

 

 つまり、俺がこの場で何をするべきかっつーと。

 

 ―龍殺しの魔剣を作成して、弾丸そのものを強化する事だな、うん。

 

 まったく。俺はきちんと積み重ねて、戦う前から勝算を上げるタイプなんだよ。断じてイッセーみたいに戦ってる最中に奇跡の覚醒を起こすタイプじゃねえ。

 

 そのイッセーだって、毎日訓練して積み重ねてる下地があってこそだぞ? 更にアザゼル先生やらアジュカ様やらの超一流の研究者がバックアップしてくれるからこそ、禁手を拡張させるっつー前代未聞の偉業をぶちかましたんだぞ?

 

 はっきり言うぜ。無理だろ、普通。

 

 俺は文句言いたいけど、実際極覇龍でもなけりゃぁ勝てねえ相手だろうしなぁ、フェンリスヴォルフの覇を使った相手なんて。

 

 さて、つまり俺は今ここで窮地に覚醒とかいう難業やらなきゃいけねえわけか。

 

 ……どうしよ。

 

 まずいな。そんな「じゃ、ここで覚醒してね?」「おk」とか無理だしな。出来りゃぁ人間誰でも英雄になれる。

 

 どうしたもんかと思った俺に、一枚の濡れたティッシュが差し出された。

 

 ちなみに、血でぬれていた。

 

「飲むといい。アザゼルから、二天龍の血は神器に効果的だと聞いている」

 

 あ、一応お膳立てはしてくれんのか。

 

 OKOK。そう言う事なら、やるしかねえわな。

 

「大将首はくれてやる。死ぬんじゃねえぞ」

 

「お互い様だ」

 

 言ってくれるじゃねえか。まあいいさ。

 

 さあ、そろそろこの戦いも終わらせようか!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その戦闘を確認する陰に、彼らは気づいていない。

 

 生態レーダーを展開できるヒロイといえど、出力が低い為感知できる範囲には限度がある。

 

 紫に輝く双腕の電磁王は、その手数において半端な神滅具を凌駕する。しかし、その出力は紫電の双手の禁手の中でも最弱。それゆえに出力が必須の環境では弱いのだ。

 

 そして、それを見切って状況を確認する者達は、ジェームズ・スミス。

 

「あの二人を相手に善戦するとは、思った以上にできるな」

 

 センサー付きの望遠鏡でデータを収集しながら、ジェームズは冷静に状況を把握する。

 

 捧腹を取り込む事は立ち位置的に困難だが、フェンリスヴォルフは要警戒対象だった。その為、叶うならばそれを奪取しようと人員を送り込む事は決定されていた。

 

 敵の勢力圏内でそれをなすという危険度の高い任務だったが、ハーデスがのし上がる為に積極的に人員を派遣しているので助かった。

 

 冥府の死神は数でこそ派閥内では中堅どころだが、オリュンポス最高レベルの神の眷属であるがゆえに質では最高峰だ。同人数で太刀打ちする事ができるのは、英雄派ぐらいだろう。

 

 そして今回リーダーとして派遣されたのはタナトス。死神の中でも屈指の武闘派であり、かつハーデスよりも過激派でもある。実力も折り紙付きだ。

 

 その彼が直々に直属を使って動く以上、他の派閥が動く必要はない。

 

「あいつ等、既に下の上ぐらいには到達してるからな」

 

 思わずそう呟くぐらい、ハーデス達冥府陣営はヴィクターでのし上がっていた。

 

 個人戦闘能力ならヴィクターでも五指に入るであろうハーデスを筆頭に、死神達は戦闘能力が高い者が多い。

 

 そして、敵陣営の英雄ともいえる兵藤一誠や、結局奴についてきてしまったオーフィスにとっての天敵ともいえるサマエルの存在。

 

 加えて、各神話体系を敵に回しているヴィクターにとって、味方となってくれる冥府の神という存在は、それだけで大きい。

 

 それらの要素によって、冥府陣営は速やかにヴィクター内部での地位を確立し始めている。

 

 加えて、ハーデス自身の手腕も卓越していた。

 

 あの急激すぎるほどの移行した事態の中で、当然離反する死神もいた。

 

 最上級死神オルクス。もとより死神の中では珍しい穏健派に属するオルクスは「流石にこれはまずい」として離反を決定。それに追随するように、ヴィクターと組む事に反感を抱く死神は最低限の立場をもってして現政権にも残っている。

 

 ……その中に、自分のシンパを滑り込ませるという早業を、ハーデスは行っていた。

 

 それだけの立ち回りができるものが、のし上がれないはずがない。

 

 まあそう言う手合いは身内で足を引っ張りたがる馬鹿によって暗殺される事もあるのだが、主神クラスのハーデスを暗殺するなど大騒ぎになって相手の自殺になるのは明白だ。そもそも主神クラスの戦闘能力の持ち主を殺す事が大変だ。まず間違いなく暗殺が成功する事はない。

 

 ハーデスがヴィクターの重鎮となるのは、そう遅くないだろう。

 

 そういうわけで自分の任務は、万が一捧腹がヴィクターの方をターゲットにした際における保険だった。

 

『基本的には様子見でよろしくね? 君は貴重な戦力なんだから、無理して戦死なんてマネはノーサンキュー! ジーク君の二の舞は勘弁だよ?』

 

 と、リムヴァンは念押ししていたので無理はしない。

 

 流石に極覇龍に対抗するには、こちらにも相応の準備が必要だからだ。

 

「さて、お手並み拝見と行こうか。……白銀の魔王殿」

 

 万が一に備えてデータをこまめに転送しながら、ジェームズはその戦闘を見逃さないようにしっかりと見据えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

Side Out

 




捧腹は技術者としては超一流の部類です。材料が材料とは言え、神滅具と渡り合える化け物を作り上げた外法の第一人者ですから。

故に創れた技術ですが、何分ヴィクターも技術力なら負けてない。アイディアが知られたのは痛いです。
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