ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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日常回その二。ですが今回はちょっと不穏な展開も……?


第六章 2

 

 今頃、イッセー達は魔法使いの契約関係で動いている頃だろうな。

 

 今回は、放課後のオカ研には俺は参加してねえ。

 

 何故かって? ほら、流石に悪魔稼業の結構ピーキーというか守秘義務が関わりそうな仕事に深入りするのもあれだろ?

 

 お嬢達は気にしねえだろうが、それに甘えてるわけにもいかねえだろうからな。

 

 と、いうわけで俺は最近入り浸っているヤリ部屋に来て、そんでもってしっかり楽しんでから帰ってる真っ最中だ。

 

 ちなみに姐さんは今日は来てねえ。用務員の仕事の都合で行きたくても行けなかった。

 

 滅茶苦茶悔しそうだった。あの人、根っからのビッチなんだな。

 

「たまにはお姉さまのいないところでヒロイとするのもいいもんっすねぇ」

 

「まあ、マンネリって言葉があるしな」

 

 と、一緒に参加したペトと、イッセーのお袋さんに頼まれた買い物をしている。

 

 周りからは「……あら、恋人?」「今、すっげぇふしだらな言葉が聞こえたような……」「最近の高校生は進んでるなぁ」などと言われてるが無視だ無視。

 

 っていうか私服で来たのに、何で高校生だって分かった。大学生の可能性とか考えろよこの野郎。いや、高校生だけど。

 

「ペト、少し声のトーン落とした方が……」

 

「えい」

 

 オイコラ胸押し付けるなぁあああああ!!!

 

「どうしたっすかぁ? 今更この程度で恥ずかしがるような関係じゃないっすよねぇ?」

 

「確かにそうだけど! この辺これからも利用するってこと分かってるか、オイ!!」

 

 このアマ、ノリがビッチだから全然気にしてくれやしねえ!!

 

 い、いかん! こうなったら手っ取り早く買い物を終了させるしかねえ!

 

 えっと、確かこっちのスーパーの方が安い卵と牛肉を頼まれてたんだよなっと。

 

 手早く片付けようと思ったその時―

 

「―なるほど、彼が聖槍使いですか」

 

 ―そんな言葉が聞こえて、俺はとっさに振り返った。

 

 ……誰もいない?

 

「ペト、なんか妙な奴いなかったか?」

 

「ん? いや、特に見えないっすね」

 

 ペトの視力で確認できないって事は、声が聞こえる範囲にはいないって事だよな。

 

 なら大丈夫か? 気の所為だったか?

 

 冷静に考えりゃ、この駒王町に張られた結界は三大勢力関係なら最上級だ。

 

 敵が侵入すればほぼ確実に発見できる。少なくとも、並の上級悪魔や堕天使じゃ不可能だ。

 

 和平成立の場所だから権威的価値はでかい。化け物揃いのオカ研もがいるから、戦闘になった時の脅威度もでかい。ついでに言えば、グレモリー次期当主のお嬢と堕天使元総督のアザゼルもいるから、獲物としてもレベルがでかい。

 

 だがその分難易度もでかい。加えて言えば、戦術および戦略的な立地がいいわけでもねえ。そう言う意味じゃ旨味は中途半端だ。

 

 これまで手を出した連中がもれなく痛い目を見てきたわけだし、そう簡単に仕掛けてこねえとは思うが……。

 

「そう言えばヒロイ、この話聞いてたっすか?」

 

「なんだよ?」

 

 ペトが話を振ってきて、俺はそっちに意識を切り替える。

 

「この近くに、新しく自衛隊の駐屯地ができるそうっス。それも、対神話異形を専門にした部隊の駐屯地だそうっスよ?」

 

 マジで?

 

 そんなもん、ここに作る必要あるのか?

 

 俺は疑問に思うが、ペトはむしろ納得だった。

 

「ま、最近のヴィクター絡みのトラブルにいっぱい関わってるのがオカ研っすからね。その辺のサポートとか、あの人型兵器の訓練も兼ねて、近くの山間部に作ってるそうっすよ? いわゆる秘密基地っす」

 

「そんなもん作る金、どっから持ってきたんだよ」

 

 自衛隊は金が制限されてるって話を聞いた事があるんだけどな。

 

 そんな状況でんなもん作る余裕あんのか。マジか。

 

「総理官邸とか京都とか有明とかの騒ぎで、国防意識が高まってるんスよ」

 

「ああ、確かになぁ」

 

 冷静に考えりゃ、第二次大戦後の日本の歴史じゃトップクラスの大騒ぎだろうしな。

 

 国内であんな激戦が連発でおこりゃぁ、そりゃ危機意識も強まるか。

 

 なまじ平和ボケが多い国だからな。反動で一気に強兵にかじ取りされたって事だな。ヴィクターに対する警戒心が強くなったって事か。

 

「それに、日本を足掛かりにしようと各勢力が金回してるっすからね。アースガルズとか、前から囲ってた魔法使いとかの協力の元、色々金策も成功してるそうっすよ」

 

 へぇ~。日本って経済大国だけど、この調子だと資源大国にもなりそうだな、オイ。

 

 ただでさえ他の大国は異形関係じゃ出遅れてるからな。なまじ聖書の教えを信仰していたから、それ以外を受け入れにくいって感じだ。挙句に教会は色々な意味でガタガタだしな。

 

 その辺、日本はそういうのに緩いからな。そう言う土俵はしっかりあるってわけか。なるほどなるほど。

 

 結果的にヴィクターのおかげで躍進してるってことか。流石日本、転んでもただでは起きねえ国家だ。第二次大戦時の軍需産業が、ほぼまるっと大手として残ってるって話を聞いたけど、その強さが今ここになって出てきてるってわけだな。

 

「尚更変な連中は入ってこねえか」

 

「いや、自衛隊の駐屯地は秘密基地っすから、たぶんヴィクターも気づいてないんじゃないっすか?」

 

 ……不安になること言うなよ。

 

 まあ確かに、絶対侵入されないってわけじゃねえだろうしな。

 

 いくらここが三大勢力関係でも上位に位置する結界が張られてるっつっても、無敵じゃねえ。ハーデス辺りが全力でステルス関係にサポート割り振ったら、すぐには気づかれねえ可能性もある。

 

 最近大幅に減ったっつっても、ヴィクターに内通している連中やスパイがゼロってわけじゃねえだろうしな。

 

 ハーデスから離反した死神の中にも、実はスパイのハーデスのシンパが潜り込んでるって可能性はある。少なくとも、アザゼル先生は数十人ぐらいは予想してるらしい。

 

 最終的にリムヴァンに追い込まれて下っ端から始める羽目になったっつっても、英雄派と旧魔王派をいいように利用したって実績があるしな。その程度の腹芸はするだろうよ。

 

 ……警戒は、キチンとしとくべきか。

 

 今日から、深夜パトロールもきちんとしとくか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

「……で、小猫の特訓とかはどうするのよ?」

 

 深夜の一室で、リセスは黒歌を誘ってだべっていた。

 

 というより、最近用務員の仕事が忙しくてヤ○部屋に行けてない愚痴をこぼすつもりだった。

 

 だが、顔を見せてみれば黒歌は何やら参考書のようなものを見てうんうん唸っている。

 

 で、聞いていたら小猫の仙術修行の為の準備だそうだ。

 

「まあ、腕がいいのと指導者として優れてるのは別問題だし、そういうのを調べるのは良い事よね」

 

「まあね。ほら、私は天才だから感覚でどうにかできるし?」

 

「実戦デビューに二年かかった私に対する嫌味?」

 

 微妙に遂げのある応酬だが、リセスも黒歌も本気ではない。

 

 たまにこういうのを混ぜるぐらいがちょうどいい。そういう気の置けない関係になっていた。

 

「まあ、人に教えられるようになるっていうのは凡ミスとかないもの。いい勉強になるんじゃない?」

 

「失礼にゃん。この天才にそんなミスがあると思ってるのかしら?」

 

 そんなことを言いながら、リセスと黒歌は菓子をつまむ。

 

 そして、その手が少し止まった。

 

「……黒歌。小猫との関係改善、本気で進めなさい」

 

 リセスとしては、本当にそう言う他ない。

 

「最近の転生悪魔の反乱で、冥界は転生悪魔の扱いを見直してるわ。その一環で、あなたの事件も再捜査が進んでるそうよ」

 

「誰から聞いたのよ」

 

 黒歌に少し呆れられるが、しかしリセスは引かない。

 

「……私は、親の顔も知らない。ニエとも仲直りできるはずがない」

 

 リセス・イドアルは孤児だ。親がどんな存在だったのかは、もう分からないだろう。

 

 リセス・イドアルはニエに恨まれている。自業自得な上に神経を逆なでしたのだ。最早、謝っても許されることはない。

 

 だが、黒歌は違う。

 

「貴女は一応、親の顔は覚えてるんでしょう? その辺をとっかかりにすれば―」

 

「―無理ね」

 

 黒歌はそうはっきりと答えた。

 

 それは、拒絶ではなく諦観。それも、確固たる事実として意味がないとでも言いたげだった。

 

「なんでよ? どうせホテルの襲撃はリアスを訝しんでたとかそういう方向で―」

 

「私の父親は、研究者だったわ」

 

 黒歌はそう遮った。

 

 それは、黒歌が父親についてはっきりとした記憶があるという事。

 

 そして、それがいい思い出ではないという事が表情で分かる。

 

「あまり言いたくないけど、ろくでもない親父だったわ。それに、たぶんアイツとも関わってる」

 

 そのアイツというのは、黒歌が殺したという前の主のことなのだろうか。

 

「白音のことを調べてる時に知ったのよ。アイツが死んだ後、魔王達が捜査する時にはいろんなものがなくなってたって」

 

 その事実に、リセスは寒気を感じた。

 

 何がなくなっていたのかは言うまでもない。

 

 黒歌の主は、眷属の強化に熱心だった。だが、それは真っ当な方法ではなかった。

 

 自分やヒロイの移植手術が可愛く思えるぐらい、危険な研究や実験をしていたともいう。

 

 冷静に考えればおかしかったのだ。

 

 主の方が違法な研究をしていると分かっているのなら、小猫の保護の際にはそちらを中心として黒歌も含めて弁護されるだろう。サーゼクス・ルシファーという魔王はそういう男だ。

 

 それが、妹には罪がないという理由で弁護した。この時点で黒歌の証言とは食い違いがある。

 

 ……答えは簡単だ。それが分からなかった。だから、そこをついて守る事ができなかった。

 

 もしかすれば、上役がそれに目をつける可能性があるから黙っていたという事もあるが、それでもリアスがいい年になったら告げるだろう。黒歌と戦闘した時ぐらいに匂わせてもいいはずだ。

 

「……大王派辺りが動いたのかしら?」

 

「旧魔王派って可能性もあるわね。ヴァーリがそっち経由で聞き出した情報だから」

 

「ってことは旧魔王派に繋がってる悪魔がまだ残ってるかもしれないわね」

 

 あとで魔王様に伝えておかねばならないと思いながら、リセスはため息をついた。

 

 本当に悪魔という種族は度し難い。リベラルか老害の二択しかいないのではないかと思っていしまうし、リベラル筆頭のサーゼクス達は若手すぎるゆえに発言力が意外に低い。

 

 しかも内容が内容だ。下手につつくとこちらが致命傷を負いかねない。

 

 おそらく最上級悪魔の中にも、老害の割合は多いはずだ。純血悪魔の五割ぐらいは最低でも老害側だと判断した方がいいだろう。

 

「……まあ、そんなにムリムリ言うことないと思うけどね」

 

 話を切り替える半分、本音半分でリセスはそう告げる。

 

 黒歌が怪訝な表情を浮かべるが、リセスはそれに対して自分を指さして自嘲気味に嗤った。

 

「私みたいな雌犬を受け入れてくれる子達よ? 貴女の事情なら斟酌してくれるわよ」

 

「……説得力が抜群にゃん」

 

 そうだろうそうだろうと、リセスは不敵に笑う。

 

 ……正真正銘の雌だった自分の過去を知って、そしてそれを正当に恨んでいる者の復讐者が襲い掛かり、そしてそれでも守ろうとしてくれた。

 

 そんな御人好し達が、相手に非がある殺しで手の平を返すわけがないだろう。

 

 まあ、ある程度はけじめをつけるべきではあるのだが、それはそれとして関係修復ぐらいはしてもいいはずだ。

 

「イッセーにも相談しなさい。小猫が大好きな赤龍帝君なら、きっと力になってくれるわよ」

 

 そう言いながら、リセスはもう一度酒をあおる。

 

 ……そう、黒歌は関係を改善させる余地がある。

 

 それが、少しだけ羨ましかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

Side Out

 




ヒント:シスコン


いつの間にやら黒歌と腐れ縁になりつつあるリセス。いろいろやらかした側だということで気が合いそうだと思ったので、これからも絡ませる予定です。
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