ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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対に吸血鬼来訪。此処から、原作の第四章は動き出したんですよねぇ。


第五章 6 吸血鬼

 

 で、その吸血鬼との会談がついに始まった。

 

 まあ、俺達は今回参加してねえんだけどな。

 

 理由は二つ。

 

 一つは一種の自粛だ。あんまり戦力過多な状況下で会談しても、一種の恫喝と受け取られて相手の上が何かしら要らん事を言ってきかねねえってこと。

 

 それでもグレモリー眷属は全員集合だし、アザゼル先生も生徒会長も同席するし、あとゼノヴィアの姉貴分で転生天使になったグリゼルダ・クァルタって人も来てる。

 

 十分威圧的な布陣すぎだ。流石に俺らまで出てきたらややこしくなる。

 

 もう一つは、俺と姐さんの同席に吸血鬼側がいい顔しなかったってこった。

 

 老害悪魔以上の純血主義で権威主義で貴族主義で種族主義。それが、吸血鬼って生き物だからな。人間のことなんて、それこそ家畜としかみなしてねえかもしれねえ。

 

 そんな連中が会議に同席するなんて、不快で堪らねえんだろうさ。

 

 ま、俺も吸血鬼にいい思い出はねえから別に構わねえんだがな。

 

 それに、交渉が決裂した時の備えは万全だ。

 

 そもそも会談に同席する連中が下手な上級悪魔を上回るレベルの猛者ぞろい。グリセルダさんもガブリエル様の女王をやってるからな。腕利きしかいねえ。

 

 しかも、話を聞きつけた自衛隊が周囲の警護を引き受けてくれた。

 

 おそらく表の武装勢力で、最も異形との戦いに向いている実力者だ。これまた腕利き揃いと言ってもいい。

 

 そんでもって、一応駒王学園の敷地内で待機している俺ら。因みにペトも一緒に参加してる。

 

 ……言うまでもなく精鋭揃いだ。どんだけだよ。

 

 まあ、この状況下なら吸血鬼達も滅茶苦茶な要求はしてこないだろうな。

 

「これ、担当の奴が死ぬ覚悟でもなけりゃ強気の姿勢は無理だろ」

 

「どうかしら?」

 

 姐さん。俺が気分を和らげようとしたのに、余計なこと言わんといてください。

 

 それにそうだろ。この状況下で相手の逆鱗に触れるようなこと言うほど、吸血鬼の連中も馬鹿じゃねえだろ。

 

 俺はそう思ったんだけど、姐さんはどうも違うっぽい。

 

「吸血鬼の貴族は、私達とは違う生き物って表現がぴったりするぐらい自分達を上に見てるわ。それこそ、人間を家畜か何かと思っている位にね」

 

 姐さん。俺より吸血鬼に嫌な事でもされたのかよ。

 

 言いすぎな気もしないでもねえけど、なんか実感籠ってるんでどうしたもんか。

 

「でもでも、この状況下で余計なこと言うほど馬鹿じゃないと思うッスよ?」

 

「それは違うわ。自分達の要求は通って当然と思ってる節があるもの。あの傲慢さは、老害の悪魔のその上を行くのは聞いてるでしょう?」

 

 ペトの反論を受けてすら、姐さんはそう答える。

 

 いやいやいやいや。流石にそう無茶な事はしねえだろうよ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 無茶なこと言ってきたよ!!

 

 奴らが言ってきた事を要約すると、こうなった。

 

 和平に参加してやるから、内輪もめの解決にそっちのハーフを使わせろや( ゚Д゚)オラァ

 

 ……喧嘩売ってんの? あいつ等。

 

「ねえアザゼル。いっそのこと、自分達に喧嘩売ったらどうなるかの見せしめにカーミラを蹂躙したらどうかしら?」

 

「気持ちは分かるが押さえろ。逆切れしてヴィクターにつかれても困るからな」

 

 ビキビキ血管を浮かべている姐さんを、アザゼル先生がどうどうとなだめる。

 

 いや、ちょっとあいつら傲慢すぎだろ。

 

 っていうか和平に参加してやるからっていう上から目線のノリがむかつく。おい、参加したら思い通りに動けない可能性があるって分かってるか?

 

 吸血鬼の問題を吸血鬼で解決するって姿勢はある意味立派だとは思うがな。既にこっち側になってる連中を思い通りにできると思ってるところが気に食わねえ。

 

 しかも、ギャスパーのことを道具でも見るかのような視線で見てたそうだしな。純血連中の混血および多種族に対する蔑視感情は強いってことか。

 

 そんな連中と和平結んでも、余計なもめ事になるんじゃねえかとすら思うんだがよ。

 

「むかつくが、各勢力の和平による対ヴィクターを謳っている俺達が、和平を結ぼうとしてきた連中の要求をガン無視はできねえ。っていうか、大王派の上役共は喜んでギャスパーを生贄にしかねねえしな」

 

 アザゼル先生がそうため息をつくと、お嬢に視線を向ける。

 

「……とりあえず、カーミラの言う通りに動くのも癪ね。まずはギャスパーの事情を聴く為に、ツェペシェに接触を行いたいわ」

 

 ふむ、確かにただで聞いてやる義理はねえか。

 

 逆にツェペシェ側と和平を結んで、カーミラ側を追い込むという方法もあるにはあるな。

 

 どうせあの二派閥は不倶戴天で敵対し合ってるんだ。どっちかと組めばどっちかと敵対するのは目に見えてる。

 

 なら、追放されたとはいえギャスパーのコネがあるツェペシェ側に接触するのはありかねぇ。

 

「と言っても、あまり過剰に人員を連れて行くわけにもいかないわね。とりあえず、私と……護衛として祐斗でいこうかと思ってるのだけれど、どうかしら?」

 

 お嬢は確認するように、アザゼルに意見を求める。

 

 アザゼルもそれに反論はねえどころか感心してるのか、口元がちょっと笑みになってる。

 

 教え子が成長するのを見るのが嬉しいのか。このオッサン、本当に教師向きの性格してるじゃねえか。

 

「んじゃ、俺はその間の抑え役としてカーミラの方に行くぜ。神の子を見張るもの(グリゴリ)の研究成果も少しぐらいくれてやれば、話ぐらいは聞いてくれるだろうよ」

 

「それは良いんだけど、護衛を付けた方がよくないかしら? こういう時の為の私でしょう?」

 

 姐さんがそう意見を言うが、アザゼルは首を振った。

 

「あまり余計な警戒をさせてヴィクターにつかれてもあれだ。それに、和平を自分から申し出てきたカーミラの方は、その為の使者に下手な危害をくわえるわけにゃいかねえだろ。俺一人で十分だな」

 

 そう言いながら、アザゼル先生は窓の外を見る。

 

「あっちはもう寒いから行きたくねえんだが、そうも言ってられねえか。……ああ、肩も凝ってるしめんどくせぇ」

 

「へいへい。磁力セットの肩もみマッサージしてやるから、頑張ってくれよ最年長」

 

 俺は磁力を生み出して先生の肩をほぐしながら、そのまま肩もみをしてやる。

 

 いつも頼りにしてるからな。ま、肩もみぐらいはたまにはしてやらねえと。

 

 そう心ばかりのお礼を込めた行動だったんだけど、アザゼルは半目を向けてきた。

 

「……お前、禁手をそんなことに使っていいのかよ」

 

「人工神器を実演販売した奴に言われたくねえ」

 

 っていうか何を作ってんだこの馬鹿。他に開発する物がいくらでもあるだろ、馬鹿教師。

 

 しかしまあ、吸血鬼の方でもややこしいことになってるみてぇだな。

 

 今までの経験上、っていうかここ半年ちょっとの経験上、絶対でかいトラブルが起きる自信がある。

 

 ヴィクターの連中も毎度の如く絡んできそうだ。つか、一部の連中が勝手にヴィクターに接触してる可能性もあるよな。ヴィクターの連中もそういう手回しが異常に上手い所があるしな。

 

 ったく。ホントにめんどくさい事になってきたもんだぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなで数日が立ちお嬢が出発するまで秒読み段階。

 

 俺は、姐さんと模擬戦をしながらそれまで時間をつぶしていた。

 

「最近、ヒロイもホント動くようになったわね」

 

「そうかい!」

 

 振るわれるトンファーを捌きながら、俺も足に魔剣を生み出して対抗する。

 

 時々磁力加速で軌道を捻じ曲げるとかしてんだけど、姐さんは見事にかわしてくる。

 

 まあ、当たったら痛いからな。刃はきちんと潰してるけど、それでも金属の塊が磁力加速でぶっ飛んで来たら激痛もんってレベルじゃねえ。

 

 だけどまあ、それぐらいしても全然楽に勝てねえから、世の中クソだな、ホント。

 

「なあ、姐さんっ。ヴィクターの連中は今頃どんな強化方法を取ってくるんだろうな!」

 

業魔人(カオス・ドライブ)の生産はしてるでしょうね! あいつ等ならそれ位はするでしょうしっ!」

 

 だろうな!

 

 業魔人を使用したジークフリートは化け物だった。姐さんを力押しで圧倒し、赤龍帝の力を譲渡された木場とすら渡り合った。

 

 実際俺と姐さんと木場という、あの場の戦力でなら三強が揃った上で何とか勝てたようなもんだ。アジュカさまやリムヴァンも割と感心してたからな。相当のレベルになってただろうよ。

 

 流石にあのレベルにまでなるには地力ってのがいるからそこまで出てこねえだろうが。イグドラフォースや英雄派の幹部はあの領域に到達する事は確実だろうな。

 

「俺達も強くならねえとな!」

 

「ええ! いい加減私も、禁手をもう一つ増やしたいわね!」

 

 だろうな。俺と違って姐さんは二つも禁手になる余地が残ってるしよ。

 

 いや、冷静に考えると俺の禁手は特化しすぎだからな。

 

 聖槍は対聖槍に全ポテンシャルぶちこんだし、紫電の双手(ライトニング・シェイク)は手数特化型として進化した。

 

 なんだか俺、ものすごいとがった方向に至ってねえか?

 

 魔剣創造はもうちょっとバランス良い禁手にしたいところだぜ。マジで力押しができるタイプの禁手が欲しい。

 

 ……あ。そもそも魔剣創造は手数特化型だったな。じゃあ無理か。

 

 ……畜生! 槍王の型以外にも、何かしらの格上打倒用の能力が欲しいぜ!!

 

 俺がちょっと落ち込んでると、姐さんは苦笑を浮かべる。

 

 あ、そこ迄顔に出てた? ごめんごめん。

 

「悪い姐さん。心配かけたか?」

 

「いいえ。そう悪いニュースばかりでもないのよ、それが」

 

 ん? どゆこと?

 

「その業魔人なんだけど、ジークフリートは緊急用に予備を持ってきてたみたいなの」

 

 なるほど。一回目でしのぎ切れなかったら逃げに徹する為にもう一個使うってわけか。

 

 まあ、いざという時の保険ってのは大丈夫だよな。

 

 で、それを回収で来たって事は、一回は使えるのか?

 

 俺はそう思ったけど、姐さんは更にその斜め上を往く言葉を告げる。

 

「前に亡命してきた魔王の末裔がいるじゃない? 彼の協力で、こっちも業魔人を開発しようって動きがあるみたい」

 

「マジか!」

 

 そりゃすげえ。あれば大助かり以外の何物でもねえな、オイ。

 

 いや、いざという時の切り札がドーピングってのもどうかと思うけどな?

 

 それでもあれば大助かりだろ。レーティングゲームならともかく、実戦なら十分考えるべきだからな。

 

 なるほど。こっちもやられてばかりじゃねえってわけだ。考えてるじゃねえか三大勢力。

 

「だから、私達は業魔人の使用に耐えれるように体を鍛えましょうか。……基礎や土台がしっかりしてなきゃ、付け焼刃なんて上手くいかないものね」

 

「ああ!」

 

 そう言い合いながら、俺達はお嬢が出立するまで、トレーニングを続けていった。

 




ドーピング決戦になりそうな最終決戦。果たして業魔人は使われるのか!?


……いや、ホントもったいない設定ですよね、業魔人。せっかく登場したのにヒーローズ以外で使われたことが一度もないし。他の創作物でもそこまで言ってる作品がそもそも少ないから出てこないし。
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