ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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はい、ウィザード編はこっからオリジナル展開にして本格的にバトルです。国家らが本番です。


第六章 12

 

 俺は廃工場の裏手から、堂々と入った。

 

 ……第二弾の陽動も兼ねてたんだが、然しなかなか気づかれない。

 

 パニクッてる連中を、聖槍の石突でど突き倒したりマヒ効果のある魔剣を刺したりで無力化するが、歯応えが無さすぎて拍子抜けだ。

 

 これは、俺の油断を誘って不意打ちで英雄派の幹部を叩きつける釣りなんたらか?

 

 マジでそんな気になりながら、俺は次の区画に入る。

 

「……ヒロイさん。こちらの拘束は完了しました。まずは奴らを連行しますので、あまり深入りしないように」

 

「うっす! いつもお疲れさんです!!」

 

 ご苦労は上から目線の言葉らしいから、こっちでいいよなっと。

 

 さて、これで支援は受けれなくなったわけだが……。

 

「出て来ていいぞ」

 

 まあ、深入りするまでもなく本番なんだけどな。

 

「……気づいていた……ですか」

 

 そこに現れるのは、赤毛の少女。

 

 クラス一番か二番っぽい女の子は、しかし戦意を向けて俺を見据える。

 

 コイツも、ヴィクターの連中か。

 

「少しは骨のある奴がいるようだな」

 

「ヴィクター経済連合のファミリア所属、アンナ・ヴェーゲリン……です」

 

 名乗った?

 

 意外だな。そう言うタイプには見えなかった気がするんだが。

 

「古風だな。そう言う奴は嫌いじゃないけどよ」

 

「一応、汚いやり口をした自覚はあるの……です」

 

 なるほどね。詫びのつもりか。

 

 ま、殴る相手が分かるってのは良いこった。これが無理だともう暴走する輩が多くて大変なことになるしよぉ。

 

 だがまあ。俺が聖槍使いで、更に禁手に至らせたほどの使い手なのは当然知られてるはずだ。

 

 禁手そのものは相手も聖槍使いじゃないと意味がねえとは言え、それでも至らせるだけのポテンシャルは脅威と見てくるはず。

 

 そこで態々タイマン張るとか。いい度胸だ。

 

 調子ぶっこいてるわけじゃねえのは、目で見て分かる。

 

 俺が強敵だと確信して、それでも自分なら戦えると、そう確信してる奴の目だ。

 

 そういう、妄想じゃなく事実として認識する連中は、警戒しておいて損はねえ。

 

「いいぜ。……初手から全力で行かせてもらう!!」

 

 俺は即座に聖槍を構えると、牽制抜きで即座に一撃を放つ。

 

 できる限り捕まえて絞る予定だったが、こいつは別だ。

 

 命を奪われる覚悟がある。そのうえで乗り越えようとする決意がある。

 

 校門前で調子物ぶっこいてた阿保共とは違う。油を搾る必要はねえ!!

 

 そしてもちろん、初撃程度は躱してきた―

 

「シッ!」

 

 ショートアッパー!?

 

 俺はバックステップで飛び退りながら、即座に磁力操作で遠くの壁に着地。

 

 魔法使いだからてっきり遠距離戦闘型なのかと思ってた。だが、聖槍使いにして魔剣使いの俺にクロスレンジで挑むとは驚いたぜ。

 

 しかもすげえいい腕だ。どっか機械的な印象はあるが、少なくとも由良や小猫ちゃんとまともに渡り合えるぐらいは―

 

「―フッ!!」

 

 今度は光力式の弾丸だと!?

 

 それも二丁拳銃。しかも正確だ。

 

 それぞれ頭と心臓を狙ってくる。どちらかに意識を向けすぎたら、どっちかを撃たれて致命傷。そう言うレベルだ。

 

 二丁拳銃とか非現実的とか言われるんだが、まさかここまで実践的に使えるとはな。

 

 そう思ったら、ヘッドショットを連続しながら、まったく別の方向に一発放って来た。

 

 俺の斜め上辺りを狙ったわけだが、一体何を―?

 

 そう思った瞬間、天井の構造物が一斉に崩れ落ちた。

 

 廃棄されて長く経っている工場だ。構造上な致命的な部分があるのは分かる。

 

 だが、この状況下でそれを見抜いて当ててきただと!?

 

 こいつ、どんだけ多芸だ!!

 

 しかも今ので動きを封じられた。

 

 ……魔剣で弾丸を切り伏せるしか―

 

「一瞬、あなたは遠距離攻撃のことだけを考えてしまった……です」

 

 その瞬間、そこには魔法で作られた氷のハンマーを持ったアンナの姿があった。

 

 ……まさか、残骸ごと吹っ飛ばす気か?

 

「止め……です」

 

 やっべ、今この状態だと槍が振るえなくて詰むかも!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 自衛隊の普通科と共に、リセスは別荘の敷地内に突入した。

 

 既に狙撃犯と迫撃砲部隊が支援射撃を開始しており、加えてペトが上空から超遠距離狙撃を敢行する三段構えの支援体制だ。

 

 だが、それに関しては半ば無効化された。

 

 別荘周辺に展開された、再生能力重視の魔法結界が原因だ。

 

 再生能力を重視している為、壊しても壊しても再生するので時間の無駄。これで榴弾を使う迫撃砲と、威力の低い狙撃銃による支援は封じられた。

 

 ペトの狙撃なら通用するかと思われたが、こちらに関しては魔法結界が特殊過ぎる。

 

 はっきり言えば三層構造。

 

 一枚目は、濁流のように結界そのものが高速回転している。これにより、攻撃した物体が無理やり回転して、貫通性が堕ちる。

 

 二枚目は、クッションに近い柔らかく通りづらい結界。こちらは貫通性の強い攻撃なら打倒可能だが、一枚目の障壁でそれを防がれている。

 

 そして三枚目が硬さで防ぐタイプだ。これが先の二枚で威力を削がれた攻撃を完全に防ぐ。

 

 生成するのは大変だが、一枚の結界で防ぐよりも効率は良い。優れた術者がいるなら、こちらの方が有効に運用できる。

 

 その為、この戦闘はリセスを中心として運用する必要があるのだが―

 

「では死ねぇい!!」

 

「っと!」

 

 振るわれた魔剣の一閃を、リセスは伏せて回避する。

 

 攻撃は鋭く、魔剣の威力は絶大。加えて視線や足さばきによるフェイントを織り交ぜてくる為、機を張っていても時々攻撃をもらいかける。

 

 これまで戦ってきた使い手の中でも、指折りのレベルの実力者。

 

 その優れた剣術が、リセスをたった一人で足止めするという快挙を成し遂げていた。

 

「やるな小娘!! 流石は英雄(後輩)といったところか!!」

 

「なるほど、あなた、英雄(エインヘリヤル)ね?」

 

 その言い回しで、リセスは彼の来歴に気が付いた。

 

 リセス・イドアルは英雄であろうとしている。これは多くのものが知る事実である。

 

 その英雄の在り方は世間一般のイメージとは異なるものだ。しかし、彼女がそれを英雄と定義して目指していることには変わりない。

 

 そして、ある意味で微妙に定義から外れた英雄は、一つの神話世界では大規模に存在する。

 

 それがエインヘリヤル。

 

 北欧神話において、ヴァルキリーによって選ばれた戦死した者。

 

 アースガルズの神々は、この神々の黄昏(ラグナロク)を乗り越える為に優秀なエインヘリヤルを集める為に奔走。北欧神話を信仰していた者達も、最大の名誉として望んでいた。それゆえに聖書の教えと現地のものが揉めた時には、死を恐れなかったので脅威だったという記録もある。

 

 最も、アースガルズは当時かなり強引な方法で集めており、人間達の世界で戦争を意図的に起こすなど日常茶飯事。戦争の行く末迄コントロールする事も普通にする。っていうか最初から死ぬ相手を選んで戦況を操るなんてマネまでやっていた。

 

「……普通に考えたら、侵略されても文句言えないわね。現代社会でやったら国連軍が止めに入るわ」

 

「ハッ! 戦場という最高の世界に生き果てた者が得られる栄誉をそんな風に言うとは、現代は本当につまらなくなったものよ!!」

 

 リセスの皮肉をそう吐き捨てる男は、そして苛立たし気に歯を食いしばる。

 

「その愚かな人の世に当てられ、我らが主神達はラグナロクを乗り越えるのではなく回避する方向に逃げ腰になった! 分かるか、我らは契約を裏切られ、ゴミのように捨てられたも同じなのだよ!!」

 

「自ら飼い犬扱いされたがる手合いは、流石に初めて見るわね」

 

 かなり一方的なものの見方に、リセスはそう吐き捨てる。

 

 しかし、その男は攻防の手を緩めずに、むしろ誇らしげに胸を張る。

 

「軍用犬とは言いえて妙だ。だが、我らは巨人を喰らう狼だよ」

 

 そしてオーラを纏った拳と、オーラを放つ魔剣がぶつかり合い、力比べとなる。

 

 神器で強化されているリセスと真っ向から張り合いながら、その男はくじけず真向から睨み付ける。

 

 自衛隊員も魔法使いの大半は倒したが、男の同僚と思しき北欧風の戦士やヴァルキリーによって苦戦を強いられていた。

 

 その戦況の中、声が響く!

 

「そう! 我らは打ち捨てられし軍用狼!」

 

「運命を乗り越えんとする気高き魂を、運命から逃げ出そうとする穢れた神々に打ち捨てられた者達!!」

 

「ゆえにこそ! 我らはそれを名として反逆しよう!!」

 

 その言葉を受け止めて、リセスと相対する男は、強引にリセスを弾き飛ばすと大上段から切りかかる。

 

「我らリヒーティーカーツェーン!! そしてこのグルズとグラム・レプリカの前に滅びるがいい!!」

 

 そして、その一撃が振り下ろされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 うおりゃぁあああああ!!!

 

 俺は匙のサポートに回りながら、譲渡を駆使して味方を支援していった。

 

 ドライグはまだ眠ったままだから、赤龍帝の鎧を展開するのも一苦労だ。

 

 新しい体の力でドラゴン化することはできるけど、これも慣れてないから暴走しやすく、うかつに使えない。

 

 だけど……。

 

「この程度の攻撃、物の数にもならないね!」

 

「私達の仲間に危害は加えさせないわ!!」

 

 シトリー眷属が魔法使い達の攻撃をあっさりと防いでいく。

 

 アザゼル先生が中心となって、ようやく本格的に生産が進んでいる人工神器。そのテスターとなったシトリー眷属はかなり強かった。

 

 元から俺達と同じように特訓で強くなっていくやつらだからな。少しずつだけど、それが身になってるって事だ。しかもアザゼル先生達グリゴリ特製の装備まで持ってるなら、大幅に強くなってるはずだ。

 

 そして、朱乃さんも魔法によって作られた障壁で、自衛隊の人達をカバーしてる。

 

 そして自衛隊の人達も制圧射撃で魔法使い達の動きを封じる。

 

 どうだ! この駒王町は、俺や木場だけで守られてるわけじゃないんだぜ!!

 

「兵藤! 俺がラインを繋ぐから、そこに譲渡の力を流してくれ!!」

 

「分かった! じゃ、先ずは誰に―」

 

 匙と連携しながらサポートに回ろうとした、その瞬間―

 

「―先輩! 後ろです!!」

 

 実は匙に惚れている一年の仁村が、慌てて俺達の後ろを指さした。

 

 とっさに俺は振り返って籠手を盾にし、匙も神器の力で邪炎の壁を作り出す。

 

 そして、それに受け止められたのはなんかよく分からない変な武器だ。

 

 木の板の左右に、黒くてピカピカした石がとがった状態で何個も並べられてる。

 

 な、なんだ、これ?

 

「……マクアフィテル。珍しい武器です」

 

 知っているのか、小猫ちゃん!?

 

「南米などで使われてる武器です。金属製の武器が発達しなかったアステカ文明とかで使われていたと聞きます」

 

 そうか。金属がないなら石で作るしかないよな?

 

「ハッ! 糞共とお友達になった蝙蝠にしちゃぁ、少しは物知りじゃねえか!」

 

 すっげえ乱暴な言葉を、目の前の男は言ってくる。

 

「お前! ここのリーダーか!?」

 

「んなわけねえだろ、馬鹿が! リーダーは作戦考える役、俺達はお前らをぶっ殺す役だ!!」

 

 俺の言葉にそう言い返しながら、その男はマクアフィテルを構えながら、視線を周りに向ける。

 

「転生天使のAはいねえのかぁ? 俺はそいつをぶっ殺して、心臓を神々に捧げたかったんだがよぉ!!」

 

 なんだって!?

 

 イリナを殺したい? しかも、心臓を抉り取って神様に捧げる!?

 

 ふざけんな! イリナは別に悪いことはしてねえだろうが!! そこまでされる筋合いは何処にもねえ筈だろ!!

 

「てめえ! いったい何なんだ!!」

 

 俺は指を突き出して睨み付ける。

 

 そして、その男は苛立ち表しながら歯をむき出した。

 

 そして、男の後ろからも更に増援が現れる。

 

 ああ、間違いない。

 

 こいつら、さっきの魔法使い達とは格が違う!

 

「俺達はアステカ! 聖書の教えに滅ぼされた、アステカ文明の生き残りよぉ!!」

 

 そして、そいつは俺達に飛び掛かった。

 

「くたばりやがれ!! あとで教会や天界の連中も同じところに送ってやるぜぇ!!」

 

 なめんな! あんたらが聖書の教えに何されたのかは知らねえが、だからって駒王学園の生徒達まで巻き込んだのは赦せねえ!!

 

 っていうかあんた人間じゃん! 生まれてもないことでなんで生まれてなかった俺らまで敵視できるんだよ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 Side Out

 




敵精鋭と神滅具持ちのバトル! 白熱した戦いにできたといいなぁ!!
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