ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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……世界へと続けば、わかる人は分かるんじゃないでしょうか?






ついに、リムヴァンの真相の一端が明らかに。


第六章 23 極めて近く、極めて遠い

 

イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何ていうかもう、どうしたもんか。

 

 俺達は、エルメンヒルデからツェペシュがヴァレリーの聖杯を抜き出そうとしている事を聞いて、助けに向かった。

 

 合流したルガールさんとベンニーアの協力もあって結構進めたけど、グレンデルとクロウ・クルワッハの妨害の所為で抜き出しに間に合わなかった。

 

 だけど、幸か不幸かヴァレリーはまだ生きてる。

 

 アザゼル先生が言うには、ヴァレリーの聖杯は亜種らしい。

 

 ジークフリートの龍の手と同じ、本来とは形が違う神器。

 

 なんでも、一つで複数個あるとか。

 

 だから、一個取られただけならギリギリで生命が維持できていた。

 

 で、それに気づいていなかったっぽいマリウス及び現政権の貴族達は、全員まとめてギャスパーにぶっ殺された。

 

 ……一応、マリウスはともかく貴族は生かしておけって言われてたんだけどな。ま、あんな光景見せられたギャスパーにそんな我慢をしろってのも無理か。

 

 そして、その変化したギャスパー自身が、自分の正体を語ってくれた。

 

 ……なんでもケルト神話とかいうところの滅びた神様が宿っているらしい。停止世界の邪眼(フォービドゥン・バロール・ビュー)の名前の元となったバロールだそうだ。そのものじゃなくて、神性とかがなくなった残滓なだけらしいけど。

 

 ギャスパー自身はヴァレリーの聖杯が元々の停止世界の邪眼と共鳴して、バロールの残滓を引き寄せたんじゃないかって推測してる。

 

 俺はよく分かんないけど、ヴァレリーの聖杯でグレンデルとかが蘇ってるのは事実だ。ヴァレリーの聖杯使いとしての適性は死者蘇生とかに向いている可能性が高いのは分かる。だから、無意識にそういう事をしてた可能性はあると思う。

 

 ま、なんか色々あったけどギャスパーはギャスパーだ。もう戻ってるしな!

 

 そういうわけで、後はこっから脱出すればそれでいいわけだ。

 

 クーデターの主要人物は全員ギャスパーがやっちまったからな。こっから再起するのは無理だろ。

 

 ヒロイ達が今戦ってるけど、ヴィクターもこうなったら逃げるしかないはずだ。今から残った連中で暫定政権作るのも無理だろうしな。

 

 カーミラと本来のツェペシュの連中だけでも攻め落とせそうだし、三大勢力側からの援軍もいる。戦力はこっちが有利なはずだ。

 

 だから、もう大丈夫なはず―

 

「―妙だな」

 

 その時、アザゼル先生が怪訝な表情を浮かべた。

 

 な、なんだ? そういえば静かだけど、まだカーミラもヒロイ達も城の中には突入できてないのか?

 

 俺はそう思ったけど、アザゼル先生の視線はヴァレリーに向けられてた。

 

「……聖杯を戻したのに意識が戻らない。本来なら、すぐに目覚めてもいいはずなんだが―」

 

 え、うそ!?

 

 それってまずくねえか? な、何かマリウス達が細工してたからバグったとか―

 

「あ、たぶんこれが抜けてるからじゃないかにゃん?」

 

 その気の抜けた声に、聞き覚えのありまくる声に、俺達は即座に振り返った。

 

 そこにいたのはリゼヴィム・リヴァン・ルシファー。ヴァーリの爺さんにして、初代ルシファーの実の子供。

 

 そして、そのすぐ近くにリリスがいて、そして聖杯が浮かんでる!!

 

「アザゼル先生の推測は大体あってるけど、厳密には「三個一セット」の亜種なんだよねー。俺達がマリウス君に気づかれずに、こっそり抜き出してたのさ」

 

 な、なんだって!?

 

 い、一個抜かれてたって事は、もしかしてヴァレリーが異常だったのもそれが理由の一つなのか? そして、もう一つ抜かれたから耐えられなくなって意識が喪失した。

 

 だから、一個戻っただけじゃすぐには治らないって事になるのか!?

 

 くそ! だったらすぐにでも取り返さねえと!!

 

「それを返しやがれ!!」

 

 俺は抜き打ちでドラゴンショットを放つ。

 

 躱されるのは分かってる。相手はヴィクターの大幹部で、魔王の末裔だからな。戦闘能力だってそこそこあるだろう。

 

 だけど、その隙をつけば殴り掛かる事ぐらい―

 

「駄目だイッセー!!」

 

 アザゼル先生が、とっさに俺の腕を掴んで止める。

 

 なんでだよ先生!? ここは何としてもヴァレリーの聖杯を取り戻さねえと―

 

「うん。アザゼル君はよーく分かってるねぇ」

 

 とリゼヴィムはそこから一歩も動かず、何もしなかった。

 

 そしてドラゴンショットは勢いよく当たり―

 

「俺には効かねえんだなぁ、これが」

 

 ―そのまま何もなかったかのように消滅した。

 

「……リゼヴィムの超越者としての特性は、リムヴァンの逆だ」

 

 ヴァーリが、凄まじいレベルでリゼヴィムを睨み付けながら、歯を食いしばる。

 

神器無効化能力(セイクリッド・ギア・キャンセラー)。奴は神器に由来する力を、問答無用で無効化する事ができるのさ」

 

 な、なんだって!?

 

 お、おいおいちょっと待て。

 

 だったら、俺もヴァーリもギャスパーも木場も、あいつを倒すことができないじゃねえか!!

 

 俺がヴァーリからリゼヴィムに視線を戻すと、リゼヴィムはしかし掌を上に向けて肩をすくめていた。

 

「ところがどっこい。これにも限度があるんだよねぇ。たぶんだけど、神滅具が出力特化の禁手に至ったら少しは効くんじゃね? 実際リムヴァンくんの複合禁手は俺様でも食らう時あるからよ」

 

 そういうリゼヴィムは、だけどものすごく余裕の表情を浮かべている。

 

 ……リムヴァンは神器を大量に複合させたうえで一つの禁手にする事も出来る。たぶんだけど、その気になれば神滅具の禁手以上の出力を発揮できるはずだ。

 

 んなもん、あいつにしか不可能じゃねえか!!

 

 しかも―

 

「そういうことSA! だから、更に上の領域に至っちゃってるイッセー君NARA狙えるかもねん?」

 

 ―リムヴァンまで、出てきやがった!!

 

 こ、ここにきて超越者二人掛かりかよ!! しかもリリスまでいる。

 

 っていうかニエとプリスがいないんだけど、どこに行った?

 

 ……ってリセスさんのところに決まってるよな。あいつ等、三大勢力が侵攻部隊を送り込んでいた事に気づいてたしよ。

 

 っていうか神器を自由に操るリムヴァンと、神器の力を無効化するリゼヴィム。

 

 ……神が作った神器にメタを張れる超越者二人って、嫌味すぎるだろ!!

 

「―リムヴァン。……一つアジュカ・ベルゼブブが推測をしていた。聞いてもいいか?」

 

「―究極の羯磨(テロス・カルマ)の禁手についてだね?」

 

 リムヴァンは、そういうとにこりと笑う。

 

「うん。僕は亜種禁手に目覚めている。名前は、究極の旅立ち(テロス・カルマ・トラベラー)だ」

 

「そういう事か。やはり……お前は!!」

 

 アザゼル先生は、目を見開いて拳を握り締める。

 

 なんだ? なんかすげえレベルで驚いてるぞ?

 

「アザゼル。いったい何が分かったというんだ?」

 

 ヴァーリがリゼヴィムを睨み付けながら、だけど気になったのかアザゼル先生を促す。

 

 な、なんなんだ? 究極の羯磨の亜種禁手の、究極の旅立ち?

 

 確か究極の羯磨って、可能性を操作する神滅具なんだよな? それでアジュカ様の超越者としての能力に干渉して、眷属込みで仕掛けてきたアジュカ様を足止めしたって言ってたけど―

 

「前にアジュカが、リムヴァン・フェニックスは死んでいると言った。……それは真実なんだな?」

 

「YES!」

 

 くるりと横に一回転しながら、リムヴァンはアザゼル先生の言葉に応える。

 

「そして、お前がリムヴァン・フェニックスなのも本当なんだな」

 

「ピンポン!!」

 

 今度はバク転しながら肯定した。

 

 つまり、リムヴァンはヴァレリーの聖杯で蘇った悪魔だって事か?

 

 そう思ったその時、アザゼル先生は一瞬だけ躊躇して―

 

「……お前は、平行世界のリムヴァン・フェニックスなんだな?」

 

「………その通りさ」

 

 その言葉に、リムヴァンはふざけた態度をかなぐり捨てて、悠然と答えた。

 

 ………え?

 

「あ、アザゼル? それってどういう―」

 

「リアス。お前もパラレルワールドの概念は知ってるだろう」

 

 それは知ってる。俺達も、漫画とかでよく見てる。

 

 自分達がいる可能性とは異なる可能性の世界。例えば、俺が赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)じゃなくて白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)を持っている世界とかだ。

 

 いや、ちょっと待て。それってつまり―

 

「リムヴァン・フェニックスは、産まれた時から神滅具の影響で衰弱、すぐにでも死ぬと言われていたそうだ。そして、それを惜しんだ初代バアルがアジュカにある打診をしたらしい」

 

 アザゼル先生はそう言いながら、リムヴァンを見る。

 

 その目は、研究者がものすごいレアケースを見た時のような、マジですげえレベルの興味が浮かんでいた。

 

 あ、これ先生別の意味で興奮してる。

 

「だが、アジュカはそれの使用を躊躇した。結果、ギリギリのタイミングで間に合わず()()()()のリムヴァンは死亡したらしい」

 

 なるほど、だからアジュカ様は自分の所為で死なせたようなものだと言ったのか。

 

 でも、アジュカ様って魔王様の中じゃ問題児の部類だよな。サーゼクス様が魔王やってるから自分も魔王をやってるだけとか言ってたし。それに英雄派のやばい研究も評価してたし。

 

 そんな人が躊躇するって、どんなものを大王派は使わせたがったんだ?

 

 いや、そんな事より―

 

「それってつまり、どういうことなんですか?」

 

「目の前の野郎が、すげえ努力家だってことだよ」

 

 ちょっとよく分かってない俺に、アザゼル先生は心からの賞賛の言葉を継げた。

 

「……なるほど読めたぞ」

 

「世界に、一種類に一つしかないはずの神滅具を、リムヴァンは……」

 

 ゼノヴィアと木場は何かに気づいたのか、目を見開く。

 

「ギャスパーの神器の真の力を知っていたのも、そういうことなのね!!」

 

 リアスは渾身の消滅の魔力を込めながら、リムヴァンを睨み付ける。

 

「貴方は、平行世界を巡る間に、その世界の神滅具を奪い取り続けてきたという事なのね!!」

 

 ………マジか。

 

 あの野郎、そんな真似を今までずっと続けてきたってのか!?

 

 だ、だけどそれなら分かる。全て繋がる。

 

 本来、一種類一つしかない神滅具を、それも聖槍とかを複数本持ってくる真似が出来たのも、それがこことは別の世界の物だから。

 

 リムヴァンの奴、どんだけの平行世界を巡ってきたっていうんだ?

 

「その通り。遍く平行世界を巡り、あらゆる神器を奪い取っては試し、そして追いかけられぬところに持ち去る略奪者。それこそがこの僕だ」

 

 リムヴァンは堂々と肯定する。

 

 そして、優雅に一礼した。

 

「我こそは神器支配者(セイクリッド・ギア・ルーラー)、リムヴァン・フェニックス。改めてお見知りおきを願いたいよ、オカルト研究部の諸君!!」

 

 ―その悪意は、文字通り世界を超えてやってきた。

 

 この世界を蹂躙する来訪者(フォーリナー)。リムヴァン・フェニックスの真実が、今明かされた。

 




一つの世界線に神滅具は一つ。だが、世界線は一つじゃない。

最近購入してしったEXの内容も好都合でした。

もっとも、根幹の真相二つはまだかけてないのですが……
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