ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ 作:グレン×グレン
なんだかんだで積み重ねがきちんとあるのがわかるのがいいです。自分はそういうのが苦手だからこそ逆に感情移入できます。
俺達は、対ヴィクターの対抗チームとしてついに結成した。
ヴィクターの連中が、時期こそ明白にしてないが本格的な侵攻準備が整い始めていることを表明したからな。そのあたりを考えると、こっちも本格的に準備が必要なわけだ。
形だけでも作っておかないと民衆が不安がる。それに、実際に用意していると責任問題を追及しやすい。実際戦力としては精鋭揃いな上にフットワークの軽い部類が多いから、実働体としては十分だ。
こんな組織に選ばれたのも、俺達が頑張って成果を上げてきたからだな。
これで俺達がヴィクターに勝てば、俺達は名実ともに英雄ってわけだ。戦争突入に不安がる民衆の心を照らす輝きとしても、民衆が褒め称える世間一般のイメージのヒーローとしてもな。
だが、そのためには修行が不可欠。
なにせ現在の仮想敵は、邪龍監督部隊クリフォト。
そしてそのボスは、超越者リゼヴィム・リヴァン・ルシファー。あのサーゼクス様やアジュカ様、そしてリムヴァンと並び立つ超越者。しかも能力は神器を無効化する
うちの主力はどいつもこいつも神器持ちだから、相手をするとなると最終的に初代孫悟空に任せるしかない。もっとも、リムヴァンはリゼヴィムに通用するらしく、リゼヴィム自身も「力押しできる」と言っていたが。
まあ、前座の邪龍共をどうにかするのも大変だ。前座で出てきたグレンデルですら紅の鎧状態のイッセーと同格、すなわち龍王級。最強クラスのクロウ・クルワッハは全盛期の天龍に迫るか超えるかしているという化物だ。
どちらにしても、主力である神滅具持ちの俺達は鍛えるほかねえ。最低でも一対一で天龍クラスを足止めできるレベルだな。理想像としては、神器無効化能力の突破だろうよ。
ツーわけで、俺達は大絶賛特訓してる。
「……だぁああああ!! 全然上手くいかねえ!!」
と、イッセーが絶叫を上げる。
今イッセーがやっているのは、紅の鎧状態でほぼ同じ威力の攻撃を、何度も放つ訓練だ。
どうもイッセー。その辺りをどんぶり勘定でやっていたらしい。当人としてはそこそこ考えて出力調整をやっていたみたいだが、初代からはダメだしされた。
十回やって十回ともほぼ同じ威力というのが条件なんだが、連発するにつれてついつい乗ってしまうのか、威力が高くなってアウト。かといって制御しようと集中しすぎると加減しすぎてアウトだ。目も当てられん。
ま、こういうのは経験が大事だからな。まだ実戦に関わってから一年足らずで簡単にやれることじゃねえ。
「当たらないものだな……っ」
「まあ、当たったら儂も一発で終わりそうじゃしのぉ」
ちなみにヴァーリは初代とのワンツーマンの実践訓練。こちらに関してもオーラを必要な時に必要な場所に使うことを重点的に鍛えている。
……明らかに別格のバトルが繰り広げられてやがる。しかも初代が終始優勢というか余裕を見せて動いているのがビビる。
流石伝説の仏。須弥山から直々に送り込まれたのは伊達じゃねえ。
「……これを常態っていうのは、中々大変ね」
で、姉さんは逆に全身に一定量のオーラを纏って、瞑想している。
これに関しては姐さんの自主トレだ。半分ぐらい自分で要望を出して、初代がそのアドバイスをした感じだな。
イッセーにしろヴァーリにしろ、継戦能力を重視して、今まで垂れ流しにしてきたオーラを極限まで絞る形で鍛えている。これまでの場合は無駄にオーラを消耗して、体力も消耗しているからだ。
一方、姐さんはそのあたりはほぼ完ぺきにできていると褒められた。
『文献便りの我流でそこまで出来りゃぁ上の上じゃ。今更儂が指摘しても、こじれて逆効果になりかねんわい』
とまぁ、大絶賛。
もとから近距離の属性支配に関しては歴代でも高い部類だったそうだしな。クロスレンジじゃ神器の量もあって、デュリオを完封できるレベルだし。
なので天候操作を中心に移行するべきかって話になったんだが、姐さんからオーダーが来た。
『……想定外の事態が起こるのは当たり前でしょう? そういう時の保険をかけておきたいのよ』
すなわち、イッセー達とは逆に全身にオーラを纏って防御を高めたいと。
イッセー達に関する指導は、全身にオーラというフィールドを張るのではなく、必要なところにのみオーラを展開して、燃費をよくすることだ。
だが、姐さんは逆の方向を選びたいといった。燃費が悪くても、戦闘中の防備を固めたいと。
『何が起きるか分からないもの。何が起こってもいい状態で戦闘に臨みたいじゃない。……ニエが絡むと、どうしても冷静さを保っていられる自信がないのよ』
まあ、戦場で想定外のことが起きるのは当たり前だよな。流れ弾とかまで常に意識を向けれるわけでもないし。
そういう意味じゃあ、元から鎧を纏って頑丈なイッセーやヴァーリとは違う観点だった。
『おすすめはせんが、それが望みっつーなら仕方ないのぅ』
初代は姐さんの意を組んでくれて、メニューも真剣に組んでくれた。
姐さんは煌天雷獄の力を全身に膜として纏うことで、防御力を高める方向で鍛えているってことだ。
これに関しては反対意見もあった。煌天雷獄は広範囲殲滅などに真価を発揮する神滅具だから、それを活かすべきだと。
でもまあ、最終的に「リセス・イドアルはクロスレンジの一対一が基本だから、そこは崩さない」で決まった。
下手に方針を急変換しても、ついていけないことがあるからな。ここでバランス崩して弱体化するリスクを負うよりはいいだろうということだ。
もっとも、一応天候操作の能力そのものは今までより練習することになったそうだけどな。
で、俺がどうしてるかというとだ。
「……実戦で使うにゃ、まだこれはキツイな」
その場で反復横跳びなどをして、体の調子を確認している。
今の俺も、ある意味姐さんと同様だ。
初代からは、瞬間的な出力の引き出し関係はそこそこ高評価をもらった。少なくともイッセーやヴァーリより格上だと。
『槍王の型が功を奏したんだろうよ。あれはまさに「瞬間的に出力を上げる」の典型じゃからな』
確かにそうだ。槍王の型は、常態で十の出力なのを、一気に百にまで押し上げる技だからな。
それを練習してれば、要所要所でのオーラの展開は慣れるだろ。俺の防御も必要な場所にホンダブレードを展開する方向だし。
だが、逆にそれが行き過ぎてるとツッコミを喰らっちまった。
『結局は白龍皇の坊主と同じ一発勝負に特化しとるのが問題じゃ。お前さんは煌天雷獄の姉ちゃんと同じで、通常時でもそれを出せるようにならんといかん』
つっても不可能だと即座に反論したともさ。
あんなもんに慣れるのは無理だ。ぶっちゃけ、一日の戦闘で二・三回が限度だ。それも、そのあとの戦闘を考慮してない状態での話。
んな無茶振りすんなと当然怒ったが、そこは初代孫悟空。ちゃんと考えてた。
『じゃから、坊主の場合は出力を下げて常時使えるレベルに抑えた仕様を作れぃ。反射速度を十倍にするんじゃなく、数割上げる程度に抑えるんじゃ』
なるほどなるほど。その手があったかと目から鱗が落ちたね。
確かにその状態なら、少なくとも数時間は動かしてもいいだろう。
無茶をしているのは事実だから戦闘中常にってわけにはいかねえだろうが、強敵の戦いで使う本気モードにする分には十分だ。
槍王の型は瞬間的すぎるが、大幅に性能を下げることで必要時に連続使用できるレベルに迄立構えればいい。これはいい考えだな。
龍槍の勇者と組み合わせれば、極覇龍状態のヴァーリ相手に防戦ぐらいはできるかもしれねえな。そうなれば曹操が相手でも善戦できるだろ。
流石は歴戦の猛者。アザゼル先生とは違った方向で俺達を強くしてくれる。
そんなこんなで練習してたら、ヴァーリと初代の模擬戦が終了した。
「……一発も当たらんとは、さすがに少し屈辱だな」
「まあ、わしの場合は一発でももらったら終わるからのぉ」
その割には余裕の表情っすな、初代。
とにかくそういうわけで、俺達は水分補給をしながらお互いに状況報告。
「……とりあえず常に意識をしていれば発動は楽になったわ。まあ、その分戦闘の動きにキレがなくなるんだけど」
「俺、全然上手くいかねえっす」
「まだまだ練習では極覇龍は使えそうにない。あの出力を維持できなければ話にならん敵が多いのだがな」
「俺も、実戦で使えるレベルには程遠いですぜ」
俺ら全員、中々苦戦中だということが分かった。
いつトライヘキサの封印が解けるかわからねえ中、これはちょっとまずいか?
何て不安に駆られる俺だったが、初代は特に気にせずからからと笑った。
「気にすんな。どいつもこいつも、わしが教えた中じゃ成長が早い方じゃい。特に煌天雷獄の嬢ちゃんは、実戦で使えるレベルになっとるなら十分じゃ」
「つっても、いつ敵が仕掛けてくるか分かりませんぜ?」
俺はそう言うが、初代はそんな俺の額を煙管で小突く。
「安心せい。修行で常時維持できるようになるぐらい慣れとるなら、それ抜きで実戦になった時でも体の動きはだいぶ変わる。むしろ、次の実戦でその辺りを実感すればコツが掴めるんじゃねえかい?」
……褒められてるのか。まあ、それは悪い気はしねえがな。
その実戦ってのが、どんな難易度なのかが大変なんだよなぁ。
「つーか形になってるだけ羨ましいって。俺なんて今回全然成長できなかったし」
と愚痴るのはイッセーだ。
まあ、お前そういうの苦手そうだもんな。しかも戦闘訓練とか実戦経験とかも一年足らずだもんな。
しかし、これまた初代は笑って済ませる。
「お前さんらは大まかにに出来りゃぁそれでいい。ドライグとアルビオンは今いないんじゃろう?」
「あ、はい。苦戦してるそうです」
そうだ。ドライグとアルビオンは今不在だ。
なんでも、歴代白龍皇の残留思念が結成した「赤龍帝被害者の会」の説得をしてるとか。
訳が分からんとか言うなよな。俺だって頭抱えたくなったよ。
イッセーがおっぱいおっぱいで進化遂げたり、おっぱいドラゴン何てヒーローになっちまったことが気に食わないらしい。歴代赤龍帝がおっぱい紳士になって変態な辞世の句を残したことを知ったら、どうなるんだろうか。
その所為で、新しく使えるようになったあの白いドラゴンも不調気味なようだ。
確か、
で、その説得の為にアルビオンが神器の深くに潜り、ドライグもサポートしてると。確かヴリトラも手伝ってるらしいな。
……伝説のドラゴンは苦労してるなぁ。
「そもそもお前さん達は、相棒と二人三脚でやってきたんじゃろうに。そうじゃない状態で全部やれなんて言うつもりはねえよ」
初代の言う通りだな。
赤龍帝の籠手や白龍皇の光翼の利点は、封印されたドラゴンの意志のサポートが受けられる点にある。
そういえば、歴代の二天龍はドライグやアルビオンと深く対話したり対等の関係を築いたりしなかったらしい。
案外、こいつらが急成長している理由はそこにあるのかもな。
……さて、と言ったものの……
当分は、敵と戦いたくねえよなぁ。
瞬間瞬間での出力集中による継続戦闘能力を強化する二天龍に対し、イレギュラーズW主人公であるヒロイとリセスは常時一定の出力を維持することによる常態での戦闘能力向上に主眼を置いてみました。
どこの漫画で読んだのかあいまいですが「想定外のことが戦闘中に起きるのは当然だから、とにかく常時防御を固める」という方針を取っためちゃくちゃ強いオッサンが出てきた作品に感銘を受けたこともあって、リセスの場合はそれを意識してますね。
ヒロイの場合はヒーローアカデミアのフルカウルが近いでしょうか。まあ、あれと違って意識して肉体の限界を超えた速度を発揮するので、厳密にはちょっと違うのですが。