ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ 作:グレン×グレン
なんでも、イッセーとロスヴァイセさんが東京でデートしていると、そこにユーグリッドが接触してきたらしい。
内容は単純。ロスヴァイセさんのスカウトだ。
どうやらトライヘキサの研究、ロスヴァイセさんもやっていたらしい。知り合いにたまたま話していたのを、クリフォトの連中は嗅ぎつけたとか。
おいおい。ロスヴァイセさんの学友なら、アースガルズのヴァルキリーだろうに。そんなところから情報引っ張ってこれるとか、どんだけ優秀な諜報部隊を持ってるんだ、あいつ等。
そんなわけでデートは中止。イッセー達はすぐに兵藤邸に戻ることになった。俺達も合流するって感じだ。
にしても、東京に堂々と姿を現すとはな。あいつらもよくやるぜ。
流石に東京二十三区全域をカバーするのは困難だ。奴らの末端の一部隊ぐらい潜入しててもおかしくない。
だが、ユーグリッドはリゼヴィムの秘書みたいなもんだ。クリフォトの重要幹部といっても過言じゃねえ。
そんな奴が態々出向いてきた。こりゃ結構大物案件じゃねえか?
とにかく日本政府と術者は大慌てで結界を強化してるけど、それでもカバーしきれるわけでもねえ。
全世界の勢力圏内をカバーするには、どうしても数が足りない。ヴィクターの連中の諜報組織も相当の規模と練度だろうし、どうしてもおこぼれは生まれるはずだ。
「少し、相手を甘く見ていたかもしれないわね。まさか白昼堂々敵勢力圏内の国家首都に現れるとは思わなかったわ」
お嬢がそう言うが、そんなもん予想できる方がどうかしてますぜ。
一言言って頭がいかれてるとしか思えない行動だ。普通、末端の組織をエージェントにして行動する程度ですますだろうに。正気の沙汰じゃねえ。
「ヴィクターは堂々と世界に宣戦布告を行ったのだもの。この程度は物の数にも入らないかもしれないわね」
お嬢はそう言って、静かに外を見る。
この規模は流石にまずい。神出鬼没のあの連中に対する警戒は本気でやらねえと。
でも人手が足りないしどうしたもんか。
「今回の侵入で東京の警戒レベルは上がりました。もっとも、元々高かったものが更に過激になっただけですけれど」
「とは言え、次からは東京への侵入が難しくなったのは間違いないですね」
朱乃さんの説明に、木場がそう納得する。
つっても、あいつ等侵入してきそうで怖いな。
しかし、堂々と姿を現せば警戒されて厳重警備が敷かれるのを分かってての行動。それだけの価値があるからこその作戦なんだろうな。
……つまり。
「ロスヴァイセ。あなたの書いた研究は、クリフォトにとって重要な何かだということは間違いないわ」
お嬢の結論が全てだ。
リゼヴィムの野郎はヴィクターの重鎮だ。そして、ユーグリッドはその側近だ。それなりに我儘は聞くだろう。
だけど、それにしたって限度はあるはずだ。
つまり、それだけの価値があるってことになる。
「とにかく、アザゼルと連絡がついたら相談しましょう。これは流石に警戒しないといけないわ」
確かに、姐さんの言う通りだ。
そして、アザゼル先生からの定期連絡がきた。
アザゼル先生は冥界に戻って、グリゴリの研究者との会議の真っ最中だ。こと聖杯対策は必要不可欠だからな。仕方ねえ所がある。
で、今回も駒王町に戻らずに映像越しだ。
そして、アザゼル先生もこの内容にはさすがに警戒心をあらわにしてた。
そして顎に手をやりながら、ロスヴァイセさんに視線を向ける。
『予想はしてたが思ったより早いな』
へ? 予想してた?
「驚きが薄いわね。何かそちらで判明したことでもあるの?」
お嬢が目ざとく尋ねると、アザゼルは頷いた。
『現在、ヴィクターによるトライヘキサの研究を行っていた連中の誘拐もしくは暗殺、買収に亡命支援が頻発してる。』
……マジかよ。
いや、作戦の成否を握る人物をそのままにするわけがねえ。暗殺なんて珍しくもなんともねえことだな。
トライヘキサはヴィクターの切り札だ。それの封印が解除されるのと同時に総攻撃を開始すると言い切ってたからな。そりゃ、そういう動きは見せるだろうよ。
「つまり、クリフォトはトライヘキサの研究を握る術者をターゲットにしてるということ?」
『そうだろうな。その手の知識が集まれば、封印術式だって特定できるからよ』
マジかぁ。こっからは亡命合戦ならぬ、術者争奪戦なのかよ。
これは、クリフォト対策部隊である俺らD×Dの出番か? 俺ら、冬休み返上で亡命合戦並みの白熱バトルを連発する必要あるか?
『因みに二十数個ほど、ヴィクターが手間取ってる術式のあてはついた。……それでも最悪のケースを念頭に置いて準備はしてるがな』
最悪のケースか。
そりゃ、最悪のケースといやぁトライヘキサとやり合うことだろうよ。
ヴィクターの連中の切り札なんだ。これまでとは被害は比べ物にならねえはずだろう。
ああ、こりゃマジで警戒しなきゃならねえな。
俺たちが気合を入れて緊張感を漂わせると、アザゼル先生は苦笑を浮かべる。
『ま、こっちも「保険」は作る予定だ。気張りすぎんなよ』
保険……ねぇ。
まさか、グレートレッドと交渉するってわけでもねえだろうに。何を考えてるんだか。
『ま、こっちが算出した答えもどこまで信用できるかわからん。使ったり寝返った術者がどこまで影響を及ぼすかもわからねえしな』
確かになぁ。魔法使いって、自分の研究を秘匿する連中もいるし、そういう連中に限って意外とできるってケースも多いからな。
もしかしたら、一気に研究が進んで明日にはトライヘキサ復活ってのもありそう。
……やめよう。いくらなんでもそんなこと考えてたら、生活ができねえ。
俺が身震いしてると、アザゼル先生はロスヴァイセさんに視線を向ける。
『一つ聞くぞ、ロスヴァイセ。お前は「666」の数字をどう読み解こうとした?』
「……異説である、「616」です。既に記憶にある辺りは書いていますので、すぐに転送できます」
616? トライヘキサの数字は666じゃなかったっけ?
俺達が首を捻ってると、アザゼル先生はうんうん頷いた。
『トライヘキサの異説ってやつだ。しかも、今回ターゲットになってる連中は全員そっち方面で調べてるやつらだ。……こりゃ、聖書の神は616でトライヘキサの封印術式を組んだ可能性もあるな』
よくわからん!!
まあいい。そういう研究はアザゼル先生達の仕事だ。俺達現場は敵が動いた時の制圧に集中集中。特訓して待ってるとするか。
そして、アザゼル先生の視線は再びロスヴァイセさんに向けられる。
『しかし血は争えねえな。……自然と祖母と同じ研究をしてたんだからよ』
……祖母と同じ研究……か。
つまり、ロスヴァイセさんのおばあさんも、616で研究してたってことか。
なんか、嫌な事が起きなけりゃいいんだが……。
原作の禍の団とは規模の桁が違うため、対応が困難なのが現状です。
なにせ国家の正規の諜報部隊とかに異能を教え込んで運用するという方法も取れますからね。その辺も踏まえると諜報能力は原作を凌駕していると考えていいです。
さて、原作通りにアグレアスを奪われるようにするか、それともアグレアスを死守することに成功させるべきか、どっちがいいか……。
原作通りに奪われると曹操だけじゃなく大量の聖槍があるから即座に封印が溶けそうだし、かといってどうやってリアリティを持たせながらあのからめ手を克服するか。結構悩みますな。
あ、あとドーインジャーのF型はどうするか決定しました。数多くのアイディア提供、ありがとうございます。