ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ 作:グレン×グレン
そして、そこから戦いは激化します。
そして会談当日の夜、ついに会談まで十分を切ろうというタイミング。
外の様子を見てきた俺は、部屋に入るなりため息が出た。
「すっげぇピリピリしてるんすけど。これ、最終戦争の幕開けになるんじゃないすかね」
「できればそれはやめてほしいわね」
冗談一割で言ってみたんだけど、お嬢も真剣に同意しやがった。
いや、だってこれは流石にねえよ。
どこもかしこも厳命されてるのか挑発行為こそしてねえけどよ? ちょっとでも火種があったら即座に戦闘を勃発しかねねえ程の緊張感。
即座に動ける分、コカビエルとやり合ってた時の方が遥かにましだったね。
「確かに、すごい緊張感がここからでも感じ取れるよ。それも納得だけどね」
「三大勢力が殺し合うわけでもなく一堂に会すのは、本当に珍しいですもの」
木場と朱乃さんも同じように緊張感を感じているようだ。
「まったくだわ。かつての二天龍との戦いのとき以来といってもいいほどの事態。敵意を抱いているのもあるけど、前例がないに等しい状況に不安を感じているのかもしれないわ」
「んなこと言われてるぞ、ドライグ」
『悪かったな、相棒』
お嬢の言葉に、イッセーがドライグをからかってドライグが憮然とする。
ん? なんかイッセーの緊張感がかなり緩くないか?
「どしたんだよ、イッセー。なんか緩くねえか?」
「いや、実は昨日天使長のミカエルさんに会ったんだけどさ」
なんでも、イッセーは昨日の夕方にあのミカエル様からアスカロンを受け取ったらしい。
なんでも三大勢力が手を取り合う理由となった二天龍が関わっているので、戦闘能力の低いイッセーの戦力向上もかねて願掛けで渡したとか。
……いや、龍殺しの聖人の聖剣を天龍の変態の悪魔に渡すのって、どうよ?
まあ、そんなこんなで色々話したそうだ。そこでミカエル様は今回の件で和平を結ぶ気だとおっしゃったそうだ。
アザゼルもコカビエル以外は戦争に興味がないと言っていたし、これはいけるか?
サーゼクス様も和平を考慮に入れていたはずだし、一応どの勢力も戦争を和平で終わらせる気ではあるわけだ。
あとは、その後の交渉関係でこじれないかどうかってわけだな。
あとあるとすれば―
「周りの護衛連中が揉めなければ、問題はないということか」
「それが少し心配なのよねぇ」
俺の軽口にお嬢がマジ反応を返してきた。
「…下手につつけば大戦争ですね」
「ま、流石にトップの近くで馬鹿やらかすほど阿保じゃねえとは思うけどな」
小猫ちゃんの軽口にそう答えながら、俺はソファーにどっかり座る。
「んじゃ、すんませんけど後はよろしくお願いしますわ」
「……本当にいいの? コカビエル打倒に尽力した貴方は、むしろその場にいた方がいいと思うけれど」
「流石に信仰心ねえ追放者が、ミカエル様のすぐ近くにいるだなんて信徒達がキレるっすよ」
お嬢に俺はそう答える。
ああ、俺は教会の信徒を見てきたからよくわかる。
信徒達の多くは、悪魔と堕天使を滅ぼそうとする熱意にあふれている連中だ。
それが、もしこの会談で本当に和平が締結されたらどうなることか。
裏切られたと思い、信仰を捨てるのならまだいい。
もし、これまでの信仰心がひっくり返って教えに対する怒りや恨みになったら、確実に大騒ぎになる。
俺が頑張ったところで避けられるとは思えねえけど、それでも余計な突っつきどころを残すわけにもいかねえしな。
「ま、一緒に暇を持て余してくれる奴もいるんで、大丈夫っしょ」
俺はそういうと、段ボール箱を突っついた。
「ぼ、僕のことは気にしないでくださいぃいいいいい!!」
ビビリの感情が割と出てきている声が返ってきた。
今回、ギャスパーは会議に参加しない。
そもそもコカビエルの一件に関わってないのもあるが、まだ神器の制御ができているとは言いにくいからだ。
うっかり暴発してどっかのトップに停止を仕掛ければ、止まった止まらなかったに関わらず周りが黙っちゃいない。
その所為で、まとまりかけていた会議が破たんして戦争勃発もありうるからな。そこはきちんと考慮しないといけねえ。
「御免なさいね。本当なら、皆揃って出たかったのだけれど」
『いえいえいえいえ! 使いこなせてない僕が行ったら大変ですぅうううう!! それに、そんなところ行ったら間違いなく倒れちゃいますぅううう!!』
「「それは同感」」
俺とイッセーがはもって同意を返した。
そんでもって、イッセーが紙袋を俺に手渡す。
「ギャスパーのこと、頼むぜ」
「おうよ。年俸分の仕事はすっぜ? 俺は」
中身を見ると、そこにはゲーム機とソフトがいくつか。しかも菓子も結構入ってる。
「ヒロイに時間潰せるもん渡しといたからな。あと、寂しくなったら紙袋も被ってろ」
『は、はいぃいいい!!』
なして紙袋やねん。
あ、菓子は俺も食べるとするか。まだジャパニーズお菓子には挑戦してなかったんだ。
「ま、俺は周辺の映像を見て警戒もするから、ゆっくりしてろよ、ギャスパー?」
「はいぃい!! 死ぬ気で落ち着きますぅううう!!」
これ、進歩したんだろうか?
なんかこれ、長い夜になりそうだぞ?
この予測が、別の意味で当たる事を、俺はまだ知らなかった。
イッセーSide
そ、想像以上に緊張感なく終わりそうだな、オイ。
俺ことイッセーは、会談の展開に呆れかけてた。
だって、全勢力のトップが全員和平のつもりで上に話通してたんだもん。意外と揉めなかった。
既に戦争の要因だった聖書の神とかつての魔王が死んでるから、戦争する意味もない。ましてや、戦争を続けてもどこもかしこも滅びるだけ、で意見が一致してるんだもん。
いや、皆平和が優先だって聞いてたけど、それでもこうなるとやっぱり驚くって!
それに、ミカエルさんからアーシア達を追放した理由も聞いた。
なんでも、聖書の神の遺したシステムを、天使達が動かしているとどうしても限界があるらしい。
もう信徒全員に加護を起こす事はできない。そして、システムに悪影響をもたらす可能性があるものは、例え神器でも教会に近づける事は困難だ。
俺の赤龍帝の籠手や木場の魔剣創造もその危険な神器の一つ。そして、アーシアの聖母の微笑も。
神の祝福を受けた者しか治せないはずなのに、神器で悪魔すら治せてしまう。それは信仰に悪影響があるってさ。
なんか、理不尽だよな。
でも、アーシアもゼノヴィアもミカエルさんを責めず、ミカエルさんは頭まで下げてくれた。
だったら、俺がこれ以上言っても意味ねえよな。
そんなこんなで話がだいぶまとまってきて、そしてアザゼルが変なことを言ってきた。
「んじゃ、世界に影響を与えかねない連中の意見を聞くとするか」
ん? そんなのいるのかよ?
魔王様や天使長や堕天使総督の他にどんなのが?
「おい、言っとくがお前のことだぞ赤龍帝」
へいへい。わかってますよアザゼル……へ?
「お、俺ぇええええええ!? 俺、ただの下級悪魔ですけど!?」
なんで俺が!? 俺、そんなにすごい奴だったっけ?
なんか驚くけど、何故か皆何言ってんだこいつ? ってな顔してた。
「何言ってんだバカ。お前は二天龍だぞ? もちろんヴァーリにも聞くし、リセスにも聞かないとな」
「俺は強い奴と戦えればそれでいい」
「コカビエル捕縛に私が関与したことを大々的に宣伝してくれれば文句はないわ。ぜひ私を和平成立の英雄の一人としてもてはやしなさい」
と、アザゼルの護衛っぽいヴァーリとリセスさんが答えてくれた。
あ、リセスさんはけっこうヒロイと相性いいかも。
「ったく。本当なら聖槍の坊主にも聞きたいところなんだが、とにかく今はお前だ、赤龍帝」
と、そんなこと言われても反応に困るんだけど……。
「んじゃ、わかりやすく説明してやる。和平にならなければ戦争が勃発だ。そうなれば……」
そう言って、アザゼルは少し溜めてあたりを見渡した。
そんでもって、部長を指さして告げた。
「リアス・グレモリーを抱けねえぞ?」
え?
部長を、抱けない?
抱くって、つまり、H?
「逆に平和になったらあとは種の繁栄と存続だ。生めよ増やせよ地にみちよってな! 戦争だったらそんなことしてる暇はねえ。さあどっちだ?」
「和平です!! 和平オンリー!! 和平一択!! 部長とエッチしたいです!!」
「イッセーくん? 部長のお兄様も見てるんだよ?」
木場に言われて、俺はふとサーゼクス様を見た。
「ふふふ。イッセーくん、私が言ったことを覚えているかね?」
「はい! 俺はいつか、部長のお乳に譲渡をして見せます!!」
俺が答えると、グレイフィアさんが容赦なくサーゼクス様の後頭部をハリセンでど突き倒した。
「……実の妹に何をやらせるつもりですか?」
「はっはっは。ちょっとした男同士の馬鹿な会話というやつだよ」
「そうそう。まだサーゼクスの奴は悪魔の年じゃあ餓鬼みたいなもんなんだからよ。馬鹿な会話の一つでもしたっていいじゃねえか」
アザゼルが引っ掻き回しに来たよ!!
で、でも、俺も女とエッチなことはしたくてしたくてたまらないです!!
「あら、赤龍帝はそんなにエッチなことがしたいの? ……もしよければ本気で私としてみる?」
リセスさん!?
いいんですか!? ホントに今度こそ再チャレンジしていいんですか!?
していいなら俺はぜひしたいです!!
俺はなんとなくアザゼルに視線を向けると、すっごく面白そうな表情をしていた。
「おいおい、今の時代は神滅具持ち同士が子作りすんのかよ? こりゃ強いガキが生まれそうだぜ」
おお、堕天使総督から事実上のOKがでた。
これ、マジでできる痛い痛い痛い!?
「イッセー! わたしと子作りしたいといったその口で、他の女と淫行したいとかどういうつもり!?」
「しゅ、しゅいませんぶひょぉ!?」
しまった! つい欲望に駆られて周りを見てなかった!!
でも、あんな綺麗なお姉さんにエロいこと誘われて嬉しくならない男っているんですか!?
「……白龍皇と
ミカエルさんが頭痛を堪える表情になり、アザゼルは面白そうな表情を浮かべた。
「ところがどっこいそれ以上だ! 聞いて驚けぇ」
なんかすっごい面白そうな表情を浮かべて、自慢げにリセスを指さした。
「なんと煌天雷獄だ! どうだ、二番目に強い神滅具だぜ!」
その言葉に、ミカエルさんは―
「―寝言は寝て言いなさい、アザゼル」
「イヤ本当だって!?」
アッサリとぶった切った。
いや、そのぜにすなんたらはよくわかんないけど、こんなところで嘘を言うほど馬鹿な奴だったのか、アザゼルって。
流石にちょっと疑問に思うけど、近くにいたゼノヴィアも呆れ果てた表情を浮かべた。
「バカなことを言うなアザゼル総督。煌天雷獄は教会の戦力だ。彼女が持っているわけないだろう」
あ、そうなんだ。其れじゃあ確かに嘘ってわけで―
「……いや、彼女は確かに煌天雷獄の使い手だ。まだ未熟だが中々のものだぞ」
ヴァーリが、ぶった切るようにそんなことを言った。
その言葉に、会議室中の空気が冷たくなる。
「……冗談は休み休み言ってください。何度も言いますが煌天雷獄は正真正銘デュリオ・ジュズアルドの保有する神滅具です。亡き主に誓って断言できますし、何なら今から呼びましょうか?」
かなりイラっと来たのかミカエルさんの口調が冷たくなるけど、アザゼルたちはきょとんとして真顔で答える。
「………いや、本当にうちのデータで確認が取れてる。なんならこの場の天気を雷雨に変えてやろうか?」
え? え? 何がどういうこと?
「あ、あの……。其れってつまり、そのぜにすなんとかが二つあるってことなだけじゃないですか?」
「確かに、神滅具が一世代に一つしかないのはあくまでそういう前例でしかない。限りなく低いが、その可能性は確かにあるはずだ」
俺の疑問にサーゼクス様もそう同意する。
あれ? 神滅具って一種類一つだったっけ? そういえばそんなことも言っていたような気がするけど。
そんな時、リセスさんがぽかんとしていった。
「えっと、そういえば言ってなかったことがあるんだけれど……」
「なにかしら? ちょっとこの状況を収めてくれるものだといいのだけれど」
なんか今までになくシリアスになってるセラフォルーさまの言葉に、リセスさんはすごく言いにくそうにしてた。
「……その、私の神器、どれが自分の生まれ持った物かよくわからないの」
はい?
疑問符が部屋中に浮かんでる中、アザゼルだけが何かに気づいた。
「……そういやお前は言ってたな。神器のうち二つは金で買ったと」
その言葉とともに、轟音が響き渡った。
この轟音が世界を変える。
こっから先、禍の団は大幅に強化されて大暴れします。