ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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第六章 37 事態急変

 

 そして次の日、俺達はアウロス学園を遠めに見ながら、再び喫茶店でだべっていた。

 

「どうでもいいけど、なんでヒロイとペトは特別講師に参加しなかったの?」

 

 姐さんがビールをちびちびと飲みながら、そんなことを聞いてくる。

 

「いや、俺が教えられることなんてそうはねえし。……悪魔祓い関係ならイリナがいりゃ充分だろ?」

 

「堕天使関係を教えるって線もあったッスけど、お姉様最優先っす」

 

 俺ら姐さんシンパだぜ? 優先順位は高いっつの。

 

 それにまあ、悪魔の学校だしな。教えるのも悪魔がやった方が角が立たねえだろ。

 

 今頃イッセー達は何を教えるか考えてるところかね。あいつら教わる事はあっても教える事はあまりねえから、そういうの大変かもしれねえなぁ。

 

「……ふむ。なぜ君達がここにいるんだ?」

 

 と、その言葉に俺達は振り向いた。

 

 そこには、ラシアを伴ってヴァーリがいた。

 

「貴方こそなんでここにいるのよ。アウロスは現政権側の勢力圏内にある田舎町よ?」

 

 姐さんがそう言うのも当然だ。

 

 監視付きという条件下とは言えある程度自由に動けるヴァーリは、リゼヴィムを独自に探していた。

 

 そのヴァーリが、なんでこんなところに……。

 

「ラシアがここでの魔法使いの集まりの理由を教会経由で聞いていてね。もしかしたらリゼヴィムが何か仕掛けてくるかもしれないと思ってね」

 

 ……そういや、トライヘキサの研究をしていた人達が集まってたんだったな。

 

 場合によっては技術を無理やり取られないようにする為に、封印するというのも視野に入れてるとか。

 

 なるほどな。もしヴィクターがそれを把握したなら、そりゃ仕掛けてくるな。

 

「……気をつけなさいよ、あなた達」

 

 と、ラシアが鋭い視線を向けながら、そう忠告してくる。

 

「教会でも私の耳に入るぐらい情報漏洩が起きてるのよ? ルシファー直系の参入で悪魔側に新たな内通者ができている可能性は大きいわ」

 

 っ。

 

 確かに、その可能性はあるな。

 

 敵の本命に対して、消極的な形と言っても対抗策を取ってたはずだ。それが、今回のシンポジウムの本当の目的。

 

 なのに、それが漏れてたら意味がない。

 

 こりゃちょっと本気で警戒した方がいいかもな。

 

「……ヴァーリ。シンポジウムの会場の方に行くわよ。なんだか嫌な予感がしてきたわ」

 

 姐さんが立ち上がり、ヴァーリは楽しそうな表情を浮かべる。

 

「いいね。君が一緒ならリゼヴィムがいても何とかしてしまいそうだ」

 

 おまえさん楽しそうだな。リゼヴィム本人が来たら俺たちだと太刀打ちできないって分かってるか?

 

 相性的に対抗できそうなのはペトかラシアぐらいなんだが、こっちは性能的に対抗できそうにねえ。ある意味詰んでる。

 

「とりあえずアザゼル先生達に連絡しとくかねぇ。ってかしたのか?」

 

 俺がそう言った、まさにその瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 空が、白く塗り替わる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺達は急いで魔法使いのシンポジウムに向かう。

 

 外と連絡を取ろうとしてみたが、しかしまったくもって通じなかった。

 

 ったく。今回もまたドンピシャで敵が来やがった。いい加減楽観視が過ぎるってことかねぇ!!

 

「ペト! 周囲に敵は?」

 

「いないっす! ……のんびりしてる余裕はないはずなんすけどねぇ」

 

 ああ。こんな莫大な結界展開。どう考えても冥界政府だって分かるはずだ。

 

 アグレアスとの通信なんてすぐに繋げられなきゃおかしい。それができなくなっちまった以上、大挙して悪魔の軍勢が押し寄せてくるはず。

 

 電撃作戦や奇襲ってのは時間との勝負なんだぞ? なんで未だに攻撃が始まらねえ。

 

 なんか嫌な予感がしやがる。俺達はとにかくシンポジウムの会場に突入しようとして―

 

『ぴーんぽーんぱーんぽーん』

 

 そんな間延びした音に、俺達は弾かれるように空を見上げる。

 

 そこには、花畑の映像が映し出されていた。

 

 ついでに悪魔文字が浮かんでいる。

 

 ……しばらくお待ちください、だぁ?

 

「これ、現場指揮官絶対リムヴァンかリゼヴィムだろ」

 

「だろうね。実に腹立たしい限りだよ……っ!」

 

 俺のぼやきにヴァーリは歯ぎしりしながら同意する。

 

 センスがもう完全にあの二人だ。いろんな意味で頭いかれてるとしか思えねえってのが、あれだな。

 

『……え? もう始まってる? ちょっと待ってちょっと待って。おじさん今から弁当食べるところなんだけど?』

 

『じゃあ僕が食べるからLは進めといて……え、僕も出なきゃダメ? そんなー!』

 

 しかもコントからスタートしやがった。

 

 殺意が、殺意が滾々とあふれてくる。人の神経を逆なですることにおいてあいつ等のコンビアタックは本当にシャレにならねえなオイ。

 

 そして画面が切り替わり、そこにはポーズをとったリムヴァンとリゼヴィムの姿が。

 

『リゼヴィムおじさんとリムヴァンお兄さんの―』

 

『リッリッチャンネルー!』

 

 思わず画面にマスドライバースティンガーを叩き込んだ俺は悪くない。

 

 誰がどう見たって神経逆なでする目的な挑発なのは分かるが、それにしたって限度ってもんがある。

 

 切れていい。これは切れていいはずだ。いいよな?

 

 そしてそんな俺の行動をスルーして、リムヴァンは眼鏡をかけると意味もなくくいっと動かした。

 

『はいはーい! そんなわけで僕達は今、アウロスという街を巻き込んでアグレアスを結界で包み込んでまーす!』

 

『素敵アイテムせい☆はいで邪龍さん達を強化して、超広範囲の時間加速結界を張らせてもらったよん! はい、結界と時間干渉を行ってくれた、ラードゥン先生とアジ・ダハーカ先生に拍手!!』

 

 そう言いながらリゼヴィムが手を広げる先には、樹木でできたドラゴンみたいな奴と、蜜首のドラゴンが現れていた。

 

 ……面倒極まりねえ。敵も精鋭を遠慮なく投入したってか。

 

 そして俺らが警戒心を跳ね上げたタイミングを呼んだのか、リムヴァンは画面越しにアグレアスを映し出すと、そこに指を突き付ける。

 

『今回の目的は大きく分けて2つ。アウロスで会合とかやってる魔法使いさん達。そしてそのついでにアグレアスさ』

 

 ……チッ! 情報は本当に漏れてやがったか。

 

 しかもアグレアス? 確かにあそこは貴重な遺跡もあるらしいが、なんで同時に!!

 

『今から三時間後、攻撃を仕掛けさせてもらうよー。ま、抵抗しなければ積極的な殺害行為は控えてあげるよん?』

 

『俺ら国際組織だからねー。……まぁ、対クリフォト(俺ら)用のD×Dってのがいるらしいから、絶対妨害してくるだろうけどねぇ』

 

 そこも当然知っているってわけかい。

 

 その上であえてこのタイミングで仕掛けてきたってわけか。

 

 ……いいぜ。その挑発、乗ってやるよ!!

 

 俺が睨みを聞かせるのと同じタイミングで、リムヴァンとリゼヴィムは不敵な笑みを浮かべる。

 

『『防げるものなら防いでご覧?』』

 

「……上等だ、クソ野郎」

 

 なめ腐りやがってあの野郎ども。

 

 こうなったら、意地でもぎゃふんといわせてやるから覚えとけよ!!

 

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