ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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 とりあえずヴァルキリーへんは書き切りました。今はファニーエンジェル編を書くべく、原作を読み返しているところですね。


 前に感想返信などで書いたと思いますが、ファニーエンジェル編はニエとリセスの決着の時でもあります。

 なにせ原作からして「復讐」がテーマの話ですからね。このあたりでリセスとニエを決着させておかないと、後々書きづらくなるとことでもありますし。

 あ、この調子だと六章は100話超えないかもしれないですね。それでも50話は確実に超えますけど。


第六章 38

 

 その後、会合を行っている魔法使い達を連れて、俺達はアウロス学園に移動した。

 

 アウロスの避難場所としてはアウロス学園が選ばれたわけで、そこに避難誘導をしている形だ。

 

 それにしたってメインターゲットである魔法使い達まで連れてくるのは不安になるかもしれねえが、これには訳がある。

 

 ……クリフォトの連中は聖杯とアジ・ダハーカの組み合わせで、結界の外に出ることは現状不可能。

 

 いつの間に細工までしてたのか、アウロスで会合を行っていた魔法使いに至っては魔法の殆どを使えないようにされていた。

 

 たぶんイグドラゴッホの力だろうな。それで禁術を倍加させたといった感じだろう。

 

 イッセーで解呪を倍加させるという案もあったが、まず間違いなくカウンターが用意されているだろうからと却下。

 

 そこで提案されたのが、とんでもない提案だった。

 

 ギリギリで封印されなかった魔法を組み合わせて、まったく新しい転送魔法を作り出すって話だ。その力で脱出を図るのが今回の作戦だ。

 

 今回参加している魔法使いの大半が名うてだからこそできる離れ業だ。流石に全く新しい魔法なら、アジ・ダハーカでもすぐには妨害できないだろうという判断だとよ。

 

 ま、そういうことなら時間稼ぎをするほかねえわな。

 

 アグレアスの方はアガレスの次期当主であるシーグヴァイラ・アガレスが指揮権を握り、サイラオーグさんとディハウザー・ベリアルがメインで迎撃を行う体制をとっているとのこと。

 

 もっとも、ヴィクターはヴィクターで聖十字架の使い手が参加しているらしく、周囲を紫炎で包まれている。

の使い手が参加しているらしく、周囲を紫炎で包まれている。

 

 悪魔なら、上級であろうと触れた時点でアウト。俺達でも突破は困難だろうな。

 

 ……マジで厄介なことになってきやがったぜ。

 

「こんなことならあえて目立ってでも大規模な護衛団を用意してもらうべきだったわね」

 

「そうっスね。ま、結果論っすから気にしない方がいいかもっすけど」

 

 既に戦闘準備を終えながら、姐さんとペトはそう言って話し合う。

 

 既に時間はギリギリ。いつ戦闘が始まるか分からない状態だ。

 

 だからウォーニングアップも終え、俺達は校外に出るべく廊下を歩いている。

 

 その視界に、壁一面に張られた子供達の絵が映った。

 

 ……この体験入学の絵がほとんどだ。

 

 ……この学園は、文字通り誰でも入れる学園だ。

 

 冥界ではそんな学校は数少ない。ましてや、魔力が乏しい子供の入れる学校なんてないって言ってもいいそうだとよ。

 

 俺も勉学という概念すら知らねえ時期があったから、ここがどれだけ大事なところなのかがよくわかる。

 

 ……ここは、絶対に守らねえといけないところだ。

 

「守るぜ、2人とも」

 

「ええ」

 

「もちろんっす」

 

 二人とも同じ気持ちなのか、すぐに頷いてくれた。

 

 きっとこの学園は、ここに通うことになる子供悪魔達にとっての輝きになるんだろうな。

 

 英雄として輝き足らんとする俺が、輝きとなるこの学園を破壊されるのを見過ごすわけにはいかねえな。

 

 ……クリフォトの連中は、一人残らず刺し殺す。それ位の本気でやらせてもらうぜ。

 

 覚悟しやがれ、クリフォト。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして校庭で本格的に俺達はヴィクターの軍勢を視認する。

 

 ……ツェペシュの城下町とは桁が違うレベルの邪龍の群れが出てきてやがる。

 

 おいおいマジかよ。どんだけ大量生産しやがった。

 

 そこまでしてまでどうにかしたいほど、トライヘキサの存在はヴィクターにとっての生命線ってわけか。ま、グレートレッドを仮想敵としてんのならグレートレッドと同格の化け物が必要なわけだから、当然っちゃぁ当然か。

 

 お嬢達に無理を言って、避難し損ねた者がいないかなどの手伝いを申し出た親御さん達もビビってるな。まあ、ろくな戦闘経験もねえ連中じゃあ当然っちゃぁ当然か。

 

「ヒロイくん、リセスさん。あなた達は二人で行動してもらいます。……今回の作戦では、あなた達をカウンター用のオフェンスとして運用させてもらいます」

 

 と、指揮官としてアウロス学園で指示を行う予定の会長が俺達にそう言ってくる。

 

 今回、俺達はツーマンセルで行動するが、戦力バランスを割と考慮していた。

 

 しかし俺と姐さんだけはあえてコンビ。神滅具持ち二人掛かりという組み合わせ的に考えてみれば、チート以外の何物でもねえ。

 

 そしてそれは、敵の幹部クラスに対する迎撃を主眼に置いているからだ。

 

 俺達は比較的アウロス学園に近いところで打ち漏らしをメインで担当し、そして幹部クラスと他の味方が接敵したら、俺達が迎撃担当として向かう。

 

 ペトは単独で会長の護衛兼撃ち漏らしを狙撃で駆除。まあ、狙撃ってのは支援担当だからな。狙撃手を前線に投入するってのも、冷静に考えりゃあれだ、アレ。ペトの射程距離から見ても当然だろうな。

 

「ふっふっふ。後詰は任せるっすよ。しっかりきっかり狙い撃ってやるっす」

 

「ふふふ。狙撃に関してならあなたほど信頼できる子はいないわ。安心できるわね」

 

 不敵な笑みを浮かべるペトに、お嬢が安堵の表情を浮かべる。

 

 そしてすぐに気を張り詰め直すと、まっすぐに邪龍の群れを見つめた。

 

「それじゃあ、そろそろ戦闘を―」

 

 その時、魔方陣が俺達の目の前に展開する。

 

 なんだ? 見たことがない魔方陣だな。

 

 そして魔方陣は立体映像を展開。

 

 そこに映し出されたのは一人の女だ。ゴスロリを着た、なんか三白眼の女。

 

「……久しぶりだな、ヴァルプルガ」

 

『あらぁ、白龍皇に覚えてもらえるなんて、嬉しいわねん』

 

 ヴァーリが敵意を込めながら、その女の名前を呼び、女もにっこり微笑みながらそれに答える。

 

 ヴァルプルガってのか、この女。

 

 で、誰だ?

 

「ヴァーリ。こいつは?」

 

「オズのメンバーだった奴だ。聖十字架の今の持ち主だよ」

 

 へえ。こいつが。

 

 ……前から思ってたんだが、神器システムはバグりすぎだろ。

 

 聖槍の曹操は百歩譲ってともかくだ。だけど吸血鬼のヴァレリーに聖杯が宿るとかあれだろ、アレ。

 

 しかも目の前の女。俺の経験則が告げてやがる。

 

 ……サイコパス一歩手前の下衆だ。間違いなく笑顔で人を殺せる類だな、こりゃ。

 

『リゼヴィムのおじさまの命令で、邪龍の皆さんと一緒に燃え萌えしに来ましたの。燃やし買いがあるので、わたくしに萌えてくださると嬉しいですわね』

 

 耳障りな声でしゃべってくれるぜ。しかも悪意を隠しゃしねえ。

 

 ったく。この姉ちゃん確実にあれだな。

 

 人殺しの類を楽しんでやれる奴だ。ぶっ殺した方が人類にとって得だろ。

 

『もうじき戦闘開始なのですが、皆さん準備はよろしいのかしらん?』

 

 軽く殺意を沸かせるきゃぴきゃぴ声だな。

 

 俺も含めて、全員睨み付けちまったよ。

 

 そしてヴァルプルガは平然としてやがる。すごくわざとらしく身をすくめる辺り挑発巧いなこの姉ちゃん。

 

 ああ、楽しんでるのがよく分かる。下衆特有の反応だな、オイ。

 

『怖いですわ~。悪魔の皆さん檄おこですし、楽しくなりそうですわねぇ』

 

 そりゃどうも。

 

 ……安心しな。英雄に討たれるっていう下衆の栄光を与えてやるよ。

 

 俺がそう思ってると、ヴァルプルガは俺達をきょろきょろと見渡す。

 

『……ロスヴァイセさんってどなたかしらぁ?』

 

 あん?

 

 何でロスヴァイセさんを探してんだ?

 

「私ですが、なにか?」

 

 ロスヴァイセさんもわざわざ名乗り出なくてもいいと思うんすけど。

 

 まあ、それはともかくなんでだろうかねぇ?

 

『ユーグリッドさんから、あなただけは無事に連れてくるように言われてるのん。あんなイケメンくんに気に入られるなんて羨ましわねん』

 

 そこ迄か。そこ迄ロスヴァイセさんに惚れこんでるのか。

 

 確かにロスヴァイセさん器量はあるし美人だけど、残念美人の類なんだけどな。

 

 ……うかつに連れ込んだら後悔するぞ、ユーグリット。

 

 俺がそんな失礼なことを考えてるとは露知らず、ロスヴァイセさんはしっかりと首を横に振った。

 

「行きません。……戦ってでもお断りさせていただきます」

 

 その言葉に、ヴァルプルガは醜悪な笑みを浮かべる。

 

『当然よねん♪ では、良いバトルをしましょうねん』

 

 スカートのすそを上げて一礼をし、そしてヴァルプルガの映像は消えていった。

 

「あの女、あれよね。殺す相手の顔を見て喜ぶタイプ」

 

「同感だ。あの手の手合いの思考はよく知っているよ」

 

 嫌そうな顔をした姐さんとゼノヴィアの言葉を切っ掛けに、ラシアが肩をすくめてジェルジオを掲げる。

 

「まあいいわ。邪龍の群れを龍殺しで屠れないようじゃ片手落ち。……ヴァーリ、手伝いなさい」

 

「普通、監視役が手伝うんじゃないかい? ……まあいい。リゼヴィムが出てくるまでは付き合うとしよう」

 

 うっわぁ、やる気満々。

 

 元ヴィクター組が一番やる気満々なのってどうよ。お前ら一応古巣相手なんだから躊躇しろよ。

 

「……とにかくみんな気を付けて。特にあのヴァルプルガという女。間違いなく弱者を蹂躙して悦に浸るタイプよ。父兄の方達は見つからないように注意して頂戴」

 

 お嬢の言葉に、親御さん達は勢い良く頷いた。

 

 結構なプレッシャーだからな。ビビって逃げ出さなねえだけ根性あるわな。

 

 んじゃまあ、ここは最強の神滅具の保有者である俺も何か言うか。

 

 輝きとして、英雄として、ここで何か言わねえようじゃ格好がつかねえ。

 

「……んじゃまあ、命がけで気合を入れようじゃねえか。此処は絶対に守らなきゃならねえ場所だからな」

 

 ここは、アウロス学園は、冥界の子供達の輝きだ。

 

 それが曇ることなんて、絶対にあっちゃならねえな。

 

「意地でも守り切るぜ、行くぜ野郎ども!!」

 

「女もいるわよ。自分の自慢(英雄)を何だと思っているのかしら?」

 

 姐さん茶化さない!!

 

 せっかく俺が開戦の狼煙を上げようってのに、何で邪魔すんの姐さん!!

 

「此処は学園の設立者様が檄を飛ばすところでしょう? さあソーナ、一言どうぞ」

 

 しかも無茶振りしたよ、姐さん。

 

「……では、一つだけ命令を」

 

 おお、乗ったよ会長。

 

 あれか。72柱の次期当主ともなれば、即興演説の一つはできないといけねえのか。

 

 俺が感心してる中、会長は俺達全員はもちろん、父兄達を見渡して告げる。

 

「この学園に一点の汚点もつけてはなりません。……誰一人として犠牲にならず、守り切りましょう」

 

 ―いいこと言いますなぁ、会長。

 

 んじゃ、俺らも気合入れて生き残るとしましょうか!!

 

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