ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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激戦継続。

さて、今回の勝敗は―


第六章 40

 振るわれるグラム・レプリカの攻撃をかわしながら、俺は後方から放たれる魔法攻撃を魔剣の壁を作って防ぐ。

 

 そして反撃として耐え切った魔剣を磁力加速で吹っ飛ばしながら、鋭くグルズとかいうやつを睨み付ける。

 

「……てめえ! いつの間にここまで潜入してきやがった!!」

 

 リヒーティーカーツェーンの連中の目的はいたってシンプル。

 

 神々の黄昏を放棄した、アースガルズに対する復讐だ。

 

 それが何でこんなところに出張ってきやがる。ここはアースガルズの影響度低いぞ!!

 

「知れたこと!! アースガルズに協力する勢力は皆敵よ!! ましてや―」

 

 一瞬たりとも目を離しちゃいなかった。敵の中で一番強敵なんだから、当然っちゃぁ当然だ。

 

 だが、気づけば間合いの内側に入り込まれる寸前だった。

 

「―敵の強化を見過ごすなど、するほど愚かではないわぁ!!」

 

 ギリギリで聖槍で防ぐが、こりゃ強敵だ。

 

 姐さんが仕留め損ねたのも分かるってもんだ。こいつ、かなりできる。

 

「所詮は死した神をいまだ崇める者共の狗か。狼には届かん!!」

 

 連続攻撃を素早く放ちながら、グルズはそう吐き捨てる。

 

 チッ! 価値観の違う連中との対話ってのは本当にキツイ。

 

 それも、戦場で死ぬのが一番の名誉っていう質の悪い連中だ。そんな連中と平和的な解決ってのがまず無理だっつの。

 

 平和になっても戦力を投げ捨てたらいけねえな。そう痛感するぜ、こいつら見てると!!

 

 だが舐めんなよ先輩(エインヘリヤル)

 

 後輩()は、あんたらとは違う英雄(輝き)だ!!

 

「悪いんだがよ―」

 

 振るわれるグラム・レプリカを聖槍で受け止めて、俺は、一気に懐へと入り込む。

 

 そして、日本の短い魔剣を生成して一気に切りかかる。

 

 戦場で果てることそこ本懐。その果てにある神々の黄昏で戦うことこそが本望。そういう連中が、リヒーティーカーツェーンとなって意地でも神々の黄昏を引き起こそうとしている。

 

 だが、それは英雄が照らすべき人達にとってしてみれや輝きじゃねえ。

 

 なら、輝き足る俺がすることは何だ?

 

 決まってる。

 

「―あんた等とは目指す英雄の形が違うんだよ!!」

 

 懐に飛び込むと同時に、全力で魔剣を電磁加速。

 

 腕の骨が外れそうになるが構わねえ。変則的マスドライバースティンガーを俺は叩き込む。

 

 その瞬間、俺は一瞬だけだがグルズの姿を見失った。

 

 ……気づけば、グルズに向けられていたはずの視線はガラス球に向いていた。

 

 ミスディレクションか! 黒〇のバス〇!?

 

 こ、小技もできるのかコイツ!!

 

「ならば死ぬがよい!!」

 

 そして気づいた時には、完璧なタイミングでグラム・レプリカが振るわれる。

 

 槍王の型は間に合わない。勢い余って体の勢いも止められない。

 

 ……やべ、コレ、俺死んだ―

 

「―いいえ、まだよ」

 

 その瞬間、そのグルズの腕を姐さんが掴み取った。

 

 って待って? あの速度の斬撃を、握っている手を掴み取って対処する!?

 

 姐さん、いつの間にそんな荒業を!?

 

「……意外と使えるわね、コレ。ヒロイも慣れたら簡単にできるようになるわよ?」

 

 そういう姐さんの体からは、バチバチと静電気が放たれている。

 

 ま、まさか姐さん。俺が練習していた生体電流強化による安全版槍王の型を発動させたのか!!

 

 い、いつの間に。

 

「ちぃ! しかしまだ我らは全滅したわけでは―」

 

「ええそうね。だから集団戦闘の攻略法の一つを実践させてもらうわ」

 

 集団戦の攻略法。

 

 大きく分けて三つあるな。

 

 一つは弱い奴から確実につぶしていく。これが一番確実に数を潰せる。加えて敵が倒されるというのはある意味で一番効果的な精神ダメージだ。

 

 二つ目は場所を変えて囲まれないようにする。狭い路地裏とかに駆け込めば、周囲を囲まれることもない。走りまくって足の速い奴が突出するのを待つという方法もあるな。

 

 そして三つめは―

 

「最強格を瞬時に倒して、敵の士気を徹底的にくじくというやつよ」

 

 ニヤリと、姐さんが笑った。

 

 それに対して、グルズの額に青筋が浮かぶ。

 

 まあ確かに。レプリカとは言えグラムの保有者を相手にそんなこと言ってのけるとか、怖いもの知らずか腕に自信がある奴か、それともただの馬鹿か。

 

 ものすごく馬鹿にされたと感じたんだろうな。相当イラついてるぞ、アレ。

 

「たかが遺伝子調整体如きにてこずる貴様が、真の英雄(エインヘリヤル)であるこの―」

 

 そう言い放つその瞬間。

 

 一瞬で、姐さんは攻撃を叩き込んだ。

 

 厳密にいえば、しゃべっている最中に用意していた、鉄製の杭を遠慮なく顔面に叩き込んだ。

 

 そして叩き込まれた杭は、グルズの顔面を文字通り吹き飛ばして、勢いよく紫炎にぶつかって蒸発する。

 

 うっわぁ、血しぶき俺の顔にかかった。っていうか口に入ったし。これ脳みそか?

 

「……たかがエインヘリヤル如きが、最強のグラム使いたる彼を馬鹿にしないで。……彼は初代シグルズに勝るとも劣らない剣士よ」

 

 そう吐き捨てると、姐さんは鋭い視線を周りに向けた。

 

「……彼より強い者じゃないと自負してるのなら、失せなさい」

 

 その言葉に、然しリヒーティーカーツェーンはビビリはしても逃げなかった。

 

「あれほどの英雄との戦いの果ての死。これほどの名誉はそうはない!」

 

「行くぞ! グルズ隊長に続け!!」

 

 チッ。そういう発想になるのかよ。

 

 戦闘狂を育む土壌だねぇ、オイ。オーディン神も滅茶苦茶な方針は勘弁してくれよな、オイ。

 

「どうする姐さん。これ、増援にはいけそうにないぜ?」

 

「なら仕方ないわね。……ここで敵の精鋭を叩き潰すわ」

 

 ま、そうなるよなぁ。

 

 いや、マジで死ぬなよ、皆!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方その頃、ヴァーリとラシアは二人掛かりで苦戦するという状況に追い込まれていた。

 

 はっきり言おう。旧魔王派は小物が多い組織である。

 

 実力に見合わないプライドが肥大化している 組織であり、安易なドーピングで率直の行動。その結果としてヴィクター内部での地位すら低下している。

 

 その幹部の中では、カテレアは比較的ましな部類ではあった。

 

 だが、それでも根幹的には小物な部類であることには変わりない。そういう意味では、やはり旧魔王派の一員である。

 

 故にヴァーリは、本心から確実に勝てると思っていた。

 

 と、いうより負けるのは心底いやであった。

 

 どこから情報を入手したのか、カテレアはよりにもよって偽物の白龍皇の力で自分に挑もうとしている。

 

 心底誇りを汚された気分だ。ある意味触れるのも攻撃するのも嫌だった。

 

 だが、それ以上に今は絶望すら覚える。

 

「……こんなものですか。ユーグリットの気持ちが少しはわかりますね」

 

 あきれ果てるカテレアの足元に倒れ伏しながら、ヴァーリは屈辱で憤死しかけていた。

 

 手も足も出ないというわけではない。だが、相手の攻撃が通用する状況で、こちらの攻撃が速攻で回復するのは、こちらにとって大きな痛手だった。

 

 不死鳥の灯火による回復能力が、こちらの攻撃を事実上無効化させてくるのがかなりきつい。この差が致命的になり、こうして敗北同然の状態となっている。

 

 何よりも腹立たしいのは、それが決定的な差になっていることだ。それさえ除けば、両者に決定的な差がない。

 

 そう、()()()()のだ。

 

 偽物の白龍皇を使う、魔王として片手落ちの相手に、真なるルシファーの末裔である真なる白龍皇である自分が大差をつけることができない。

 

 この事実にこそ、ヴァーリは憤死しかけていた。

 

「……どういう、ことだ」

 

「もう一度言うだけです。……この程度だと」

 

 カテレアは、ため息をつきながらヴァーリを冷たく見下ろす。

 

 その目には、明らかな侮蔑の視線が込められていた。

 

「所詮あなたは白龍皇という蜥蜴に頼っていただけという話。その条件で慢心すれば、真なるレヴィアタンの末裔にしてリムヴァン様の配下たる私に勝機があるのは当然のこと」

 

 その違和感だらけの言葉をさも当然に言い放ちながら、カテレアは素早くラシアの攻撃をかわす。

 

 イグドラグヴィバーの圧倒的なスペックを利用した加速力による間合いの離脱。

 

 それに対して素早くカテレアからヴァーリをかばえる位置に立ちながら、ラシアは舌打ちする。

 

「……何してるの? さっさと極覇龍を使いなさい」

 

「俺に、偽物ごときに白龍皇の極みを使えと?」

 

 軽く殺意を覚える言葉をぶつけられるが、それ以上にラシアの方が殺意をぶつけてきた。

 

「偽物ごときに追い詰められているくせにほざかないで。下らないプライドで屈辱にまみれた死を望むっていうなら、私はあなたを見捨てるわよ?」

 

 その言葉に、ヴァーリは歯噛みする。

 

 現実問題、自分はカテレアに圧倒されている。

 

 ラシアはあくまで監視役であり、そもそも自分の人生を狂わせる要因の一つであるヴァーリにそこまで情けを駆ける気はないだろう。本当に見捨てることを算段に入れているはずだ。

 

 そして、極覇龍抜きで今のカテレアを倒すことは不可能に近い。

 

 それほどまでに決定的な差が今のカテレアと自分にはある。不死鳥の灯火による不死の力は決定的だった。そして、それが決定的な差になるほど今の自分とカテレアに差はないのだ。

 

 今まさに、自分は二つの選択肢を突き付けられている。

 

 偽物ごときに本気を出さずに殺されるという、屈辱の死。偽物ごときに真なる白龍皇の本領を発揮するところにまで追い詰められたというプライドの完全崩壊。

 

 どっちに転んでもヴァーリにとってしてみれば最悪の選択だ。

 

 その事実にヴァーリが屈辱を覚えていたその時、カテレアは何かに気づいたのか後退する。

 

「……どういうつもり?」

 

「いえ、どうもグルズとグレンデルが倒されたようなので。……いったん仕切り治した方がいいでしょう」

 

 問いかけるラシアにそう平然と答えながら、カテレアは後退する。

 

 単純に考えて情けを駆けられたといってもいい。その事実に、ヴァーリははらわたが煮えくり返る。

 

「……このままでは済まさんぞ、カテレア……っ」

 

 この屈辱、なんとしても勝利することで見削がなければならない。

 

 ヴァーリは再戦の際には必ず勝利することを誓い、決意をみなぎらせた。

 

 

 

 

 

 

 

Side Out

 




大体一勝一敗。

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