ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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第六章 42

 

 放たれるオーラの密度は、明らかに二天龍の覇龍に匹敵する。

 

 それだけの密度のオーラを身に纏い、鎧の形状を変更させたカテレアはサイラオーグさんに詰め寄った。

 

 その速度、まさに目にもとまらぬ速さ。

 

 速度特化の俺ですら、かろうじて目で追うのが限界のレベル。姐さんですら対応しきれていない。

 

 嘘だろオイ。いくらなんでもデッドコピーが、覇龍まで再現できるわけが―

 

「隙ありですよ」

 

 その狼狽は全員に伝染しており、そしてそれを逃すカテレアでもなく―

 

「何処にある?」

 

 ―ただ一人だけ、サイラオーグさんだけはそうしていなかった。

 

 龍王の獅子の鎧なら、反応さえ間に合えば防御はできる。そしてその攻撃力なら覇龍に至った二天龍が相手でも太刀打ちできるはずだ。

 

 つってもそれは反応できればの話。

 

 このイレギュラー極まりない状況下で、それができたと。

 

「なんだ……それは……っ」

 

 ヴァーリなんていまだに棒立ちだよ。覇龍まで再現されて挙句に制御までされてるから、自尊心というか自負が砕け散りまくってるよ。

 

「驚いている場合ではないぞ、ヴァーリ・ルシファー」

 

 サイラオーグさんは超高速での攻防を繰り広げながら、然し声を飛ばす。

 

「極覇龍という前代未聞の領域に到達しているお前に偽物で挑むのだ。覇龍ぐらいは再現できなくては片手落ちという者だろう」

 

「なるほど、非才ゆえに慢心はしていないようですね。見習うべきでしょうか?」

 

 そしていったん距離を取って魔力砲撃での削りに徹し始めたカテレアは、ヴァーリを嘲笑った。

 

「何を驚いているのです? あなたもこれが白龍皇の光翼のデッドコピーなのはわかっているでしょう?」

 

 そしてその言葉と共に、ヴァーリに痛烈な皮肉を叩きつける。

 

 確かにデッドコピーってのは紛い物。本物に比べれば性能が落ちてて当然だ。

 

 だが―

 

「すなわち後発品なのですよ? それも、技術力が格段に発達した最先端の後発品です」

 

 ―そう、それは技術が発展してから作られた代物だ。

 

 コストパフォーマンスはユーグリットがイグドラゴッホを語ったときのように負けてるだろう。

 

 だが、それ以外なら?

 

 後発で作られたがゆえにこそ、技術の発展の恩恵をもろに受けることができる。ゆえにこそ、暴走のリスク何ていう兵器としての致命的な欠陥、クリアして当然。そしてより安全に高性能に出来なけりゃ話にならない。

 

 コアの性能が直結する性能以外は、超えてこその後発品。そうカテレアは皮肉った。

 

「カビの生えた骨董品の好きにはさせません。アルビオンも、鞍替えするなら今のうちですよ……っと、確か今はいなかったのですね」

 

 こ、このアマ……っ!!

 

「カ、テ、レア……ぁっ」

 

 あ、ヴァーリの奴、マジでぶちぎれてる。

 

 そしてついにそのオーラが、限界を超えたらしい。

 

 そもそも神滅具一つで作った結界だ。神滅具が片手が埋まる数あるこの戦場の結界には役者不足だろう。

 

 外の結界にひびが入り、そして粉砕された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アザゼルSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は研究所で、いろいろな研究を行っていた。

 

 主に調べてるのはイグドラシステムについてだ。

 

 あれはいうなれば封印系神器と極めて近い性質を持っている。それも、中身を付け替えやすいという意味じゃあアップグレード版だ。

 

 封印されてるものがものだけに、その性能は準神滅具クラス。それも禁手に至っているようなもんだ。それを速攻で運用できるって時点で、既に禁手すら超えているといってもいい。

 

 リムヴァンの野郎はシャレにならねえな。俺ですらいまだに暴走状態にしなけりゃできねえ疑似禁手をこんな形で再現するとはよ。

 

 そして、その厄介さは別の意味でもやばいってことがよくわかっちまった。

 

「……つーわけで、今から何がやばいのかをとりあえずトップで共有するぜ」

 

『具体的に、何が危険なのですか?』

 

 通信越しにミカエルが本題を促してくるが、ぶっちゃけいいたくねえ。

 

 だってよぉ、コレ、かなり屈辱的だしよぉ。

 

 っていうか、ある意味俺は愚か聖書の神すら超えてねえか? びっくりするにもほどがあるんだけどよ。

 

「ま、単純なこった。イグドラシステムは、封印されているものの性能をほぼダイレクトに運用できてる」

 

 その言葉に、まず真っ先に反応したのはアジュカ・ベルゼブブだった。

 

 流石に技術屋なだけあって、すぐにわかってくれるわけだな。

 

『なるほど。やはり彼の神器研究はそこまで到達しているということか。……文字通り身をもって調べられることが大きいな』

 

『ほぅ? この老いぼれにもわかるように説明してくれんか?』

 

 オーディンの爺さんが促してくるので、俺がさっさと結論を言う羽目になる。

 

 ああ~言いたくねえ。これすっごくプライド傷つくぜ。

 

「簡単にいや、奴らは龍王クラスまでなら覇龍を常時発動させてる状態で動かすことも理論上は可能だ。それも、寿命はもちろんスタミナの消耗もほぼ無しでな」

 

 その言葉に、全員が息をのんだ。

 

 当然だ。龍王クラスの戦闘能力を持つものは、実は結構多い。

 

 しかしそれを封印した神器でも、その最大開放は危険だ。

 

 なにせ覇を出す必要があるからな。出力を維持しようとしたらほぼ確実に高速で寿命を縮めるだろう。

 

 ヴァーリは魔力のバカでかさを利用して消耗をカバーしてるが、そりゃヴァーリが化け物なだけだ。普通は無理だっての。

 

 それを、イグドラシステムはやろうと思えば普通に使うことができる。

 

 安定性や継戦能力においては、既に聖書の神が作り出した神器を超えてやがる。これがどれだけすごいことか、この場にいる連中はよくわかってる。

 

 ……しかもだ。

 

「外部観測によるデータだが、どうもあれはアップグレードや強化装備の余地がある。……つまり、拡張性が非常に高い」

 

 それを利用すれば、イグドラフォースの連中は完璧に近い形で封印された存在のポテンシャルを発揮することができるだろう。

 

 それだけじゃねえ。こっちのスパイの調べ上げた情報を基にすれば―

 

「止めに最悪な情報をくれてやる。……外部デバイスの流出したデータには、封印存在にエネルギーを過剰摂取させることで、限界突破させることもできる」

 

『……それは、まずいな』

 

 アジュカが速攻で危険性に気づいてくれた。こういう研究者気質の天才は、すぐにわかってくれるから助かるぜ。

 

 っていうか次はお前が言ってくれ。俺としてもそれぐらいしてくれねえと困る。

 

『つまり、コアを使い捨てにするのならイグドラゴッホなどは二天龍の覇に匹敵する出力を出すことも可能というわけか』

 

 その言葉に、もうトップ陣営の半分以上が絶句する。

 

 ああ、これに気づいた時は俺も頭抱えたぜ。

 

 たいていのジェルカートリッジはコアに使う魔獣が希少なので、使うことはほぼないだろう。使い捨てにするには性能が高すぎる。

 

 だが、ちょっと強い邪龍をもとから使い捨てにするイグドラゴッホは違う。コストパフォーマンスはこっちも最悪に近いだろうが、それでも代用が効く。それを最大限に生かせるだろう。

 

 このブースト形態。もとからこっちが本命だな。

 

『ならば、こちらもアレを解禁することを視野に入れるべきなのかもしれない。……アジュカ、考えておいてくれ』

 

『できればしたくないが……。ここで出し惜しみをして敗けてしまえば悩むこともできなくなるか……』

 

 サーゼクスの言葉に、アジュカが額に手を当てながらため息をついた。

 

 サーゼクスも涼しげな顔なんてしちゃいねえ。見るからにひどい頭痛に陥っていますって顔だ。イケメンが台無しなぐらいしかめっ面になってやがる。……いや、これでもイケメンだな。これが真のイケメンか。

 

 つーかなんだ? なんか対抗策があるのかよ。

 

『サーゼクス? 何かあるのでしたらすぐにでも伝えてくれませんか? こちらとしても情報は共有したいのですが』

 

『ああ。上層部の腐敗を証明することになるので嘆かわしいのだが、こうなれば()()()を使うことも視野に入れねばならないだろうからね』

 

 ミカエルに苦渋の表情で答えるサーゼクスの言葉に、俺たちの中にはピンとくる連中もいた。

 

 もとより悪魔の駒のシステム的に、あるだろうといわれていたものが思い浮かぶ。

 

 そして、それが上層部の腐敗っていうことは……。

 

 そしてサーゼクスが口を開こうとしたその時、ドアが勢いよく開いた。

 

「アザゼル様!!」

 

『魔王様! 火急の事態ゆえに会議中失礼します!!』

 

 

 勢いよく通信に割り込む悪魔たちが、明らかに焦り顔で声を上げた。

 

『数分前より通信不良だったアグレアス周辺で、戦闘が勃発しております!!』

 

「敵の主力は邪龍……クリフォトの介入と思われます!!」

 

 その言葉に、真っ先に顔色を変えたのはアジュカだった。

 

『まずいな。全員、動かせる戦力は速攻で動かしてくれ。俺もすぐに向かう』

 

「何だよアジュカ。確かにヤベえが、それでもあそこにはイッセー達がいるぜ?」

 

 確かにちょっとびっくりだが、それでも最悪じゃねえ。

 

 なにせあそこにはイッセー・ヴァーリ・リセス・ヒロイ・サイラオーグという神滅具持ちがゴロゴロいるからな。この時点で並の戦力じゃあ返り討ちだ。

 

 まあ、リゼヴィムがいるなら話は変わるだろう。しかしそこも大丈夫だ。なにせ今アグレアスには皇帝(エンペラー)がいる。冥界が用意できる最強格の戦力だ。リゼヴィムでもそう簡単には突破できねえだろう。

 

 緊急事態だがパニックを起こさなくても大丈夫だと思うんだが。

 

『いや、万が一あそこを押さえられれば、今言おうとした対策は不可能になる』

 

 なんだ?

 

 俺たちの視線を受けて、アジュカは言いにくそうにしていたがそれでも口を開いた。

 

『現状、悪魔の駒の開発にはアグレアスにある遺跡が必要不可欠だ。あれがなければ対策を生産することすら不可能になる』

 

 ああ、そりゃまずいな。

 

 転生天使はまだいいが、転生悪魔制度が使えなくなるのはさすがにまずい。悪魔の社会が混乱状態になるのは目に見えてやがる。

 

 そして、悪魔の駒の生産施設が重要になるってことは。つまりその切り札ってのも想定できた。

 

 やっぱり、あるんだな、あの駒は……っ!!

 

 そして腐敗ってことは使われてるってことでもある。それも、下手すりゃトップランカーの中にもゴロゴロといるわけだ。

 

 おいリアスにソーナにサイラオーグ。お前らの進む道は、ホントにいろいろと別の意味で険しいことになってやがるな。

 

 気合入れて精進しな。そして、いつか乗り越えて見せろ。

 

 そのためにも、俺たちが来るまでしのぎ切れよ。

 

 D×Dの戦力なら、すぐにでも動かせるからよ!!

 




兵器としてのイグドラグウィバーが、異能としてのディバイン・デイヴァイディングを圧倒する。人類の歴史が技術の発展と共にある以上、人類の異能が技術の発展に苦戦するのは道理なのかもしれません。
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