ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ 作:グレン×グレン
前にも書きましたが、この章でリセスとニエをめぐる因縁が決着します。
どのような結果になるのかはきちんと見ていただきたいのですが、それはともかく、この調子ならエタらずにリムヴァンとの最終決戦まで書けそうです。
皆さんのご声援のおかげでもあります。本当にありがとうございます!!
明け方、俺は目を覚ました。
ふと視線を向けると、そこには布団にくるまりながらも、しかし裸で眠っている姐さんとペトの姿。
ああ、この光景も結構慣れてきたな。
最近はこうして一緒になって眠っていることも多い。週に一回はこうしてるな。
それだけ、姐さんやペトにとって俺が近くに居ていい存在になったってことなんだろうな。嬉しい話だぜ。
なんか安心感に包まれて、そのまま布団にくるまっていると、姐さんの寝顔が目に入る。
……なんだろうな。今迄よりも、なんていうか柔らかくなった気がする。
どう受け取ればいいんだろうな。……突っかかっていたものが、取れたって感じだ。
正直にいやぁ、此処の生活楽しいからな。イッセー達のラブコメも、傍から見てると面白いしよ。
ぶっちゃけちまうと悪いが、教会にいた時よりも人生恵まれてるって思うぜ。なんていうか、こう……充実?
こういうのを聖書の神様が取り締まってたっていうんなら、俺は天国に行く資格は欠片もねえなぁ。
まあ、地獄に落ちるってのもあれなんだが。ほれ、現実の地獄みたいなところで住んでて、なんで今更地獄に行かなきゃならねえんだよ。
ってこたぁあれか、煉獄か辺獄辺りがいい感じかねぇ。ホントならそっから天国に行くんだろうが、全く想像がつかねえ。
ま、徳がねえってことなんだろうな。今の俺にゃぁ向いてねえ。
……だけど、姐さんにはいいとこ行ってほしいなって思う。
リセス・イドアル。俺に光を教えてくれた人。
リセス・イドアル。俺を人にしてくれた人。
リセス・イドアル。俺を
俺は、彼女が報われてほしいって心の底から願ってる。
なあ、神様。あんたがまだ力を持ってるっていうんならさ。
……姐さんに、ちょっとぐらい加護を与えてやっちゃぁくれねえか?
んなこと思いながら、俺は学校で復習してた。
なんたって勉強は予習と復習が大事だ。予習をしてりゃぁ授業はだいぶ理解できる。復習してりゃぁ、更にそれを忘れねえ。
そういう積み重ねが頭をよくするってもんだ。知識が入ってくるってのは、なかなか面白いもんだと俺は思う。
あれだな。勉強がいやだとか言うやつは、恵まれてるって自覚持てやって話だな。俺は恵まれてるって自覚してっから、そういうのには頑張らなきゃって思うぜ。
「ヒロイ。お前ほんっと頭の出来が違うよな」
と、反目でイッセーが愚痴ってきた。
見れば松田と元浜もジト目を向けてくる。期末の結果があれだったからか、成績優秀な俺を妬んでるみたいだな。
ったく。だったら俺を参考に、毎日の予習復習を欠かさず行えってんだ。それだけでもだいぶ変わるぞ、いやマジで。
「……つーかイッセー。お前年末は休みが取れないのか?」
「やっぱお前、ヒロイと同じ関係者だろ?」
「……え゛!?」
イッセー。もう薄々勘付かれてるから。
冷静に考えればお前の家に関係者がホームステイしまくりだから。どう考えてもおかしいからな。
「まあ、そんなことは良いんだよ。たまには一緒にエロDVD見ようじゃねえか」
と、松田は特に気にせず久しぶりに男同士のバカ騒ぎをしようとする。
だがスマン。それは当分無理だ。
「悪い。俺、男同士のエロDVDは当分勘弁」
イッセーは頭痛を感じたのか、額に手を当てると俯いた。
ああ、そりゃそうだ。
ちょっと前、ヴァーリが力を手にするためにエロDVDを観賞しに来た。
例によってアザゼル先生がそそのかしたらしい。ラシアの疲れ切った顔がやけに印象に残った。
……姐さんがいっそのことヴァーリの童貞を食べようと画策してたが、しかしそれは失敗したわけだが。
なんてったって、エロDVD見てても全く興奮してなかったからな。いかに姐さんの手練手管が優秀だろうと、勃たなきゃ意味ねえ。不可能だ。
わかるか? アンアンあえいでいる女優の映像見ながら、隣でイッセーに「何処をどう楽しめばいいんだ?」なんて真顔で聞いてくるアホの言葉聞いた俺のこの無情観。対応してるイッセーが特にかわいそうだと思ったね。
「なあ、松田に元浜。いい歳こいた野郎がエロDVD見ながらエロDVDの楽しみ方をマジで聞いてくるとか、想像できるか?」
「「阿保か」」
「んなあほなことに巻き込まれたんだよイッセーは。それも、いろいろと因縁ある野郎からな」
俺はそう2人に伝える。
届け、この無情。そしてイッセーに対する同情に代われ。あと俺にも同情しろ。
ほんと、当分あのDVDおかずに使えねえよ。見たとたんにあの時の光景思い出すからよ。色々とキツイっつの。
「屈辱だわ。私が、あんな状況下で誰の精も吸えなかったなんて!!」
「同感っス。ヴァーリめ、青少年なら人並みに性欲を持つッス!!」
少し離れたところで、姐さんとペトが歯噛みしているのが見える。
本当にあの
そんなことを思い出しながら、俺は天界を歩いていた。
天界だ、天界。天国。
「……まさか、私達が天国に行けるとは思わなかったわね」
「まあ、見学っスからねぇ」
関心するやら呆れるやらの姐さんに、ペトが苦笑する。
ああ、俺達は今、天界に来ている。
天使の輪っかの形をした特別パスを使ってではあるけど、悪魔や堕天使でも天界に行けるようになってた。
つってもまあ、俺たちが対ヴィクターの特殊部隊だということを考えると、素直に喜べねえな。
……だってこれ、万が一のヴィクターの天界襲撃を考慮してるはずだぜ? その辺も考え無けりゃぁ、信徒より先に悪魔や堕天使にパスが発行されるわけがねえ。
「信徒よりも悪魔優先ってのは、信徒がキレたりしねえのかねぇ」
そっちが怖いんだが、俺ぁよぉ。
俺みたいな追放された不良信徒や、姐さんのようなビッチ。挙句の果てにイッセーなんて変態+悪魔だ。イラついたりしねえだろうか。
いくらクリスマスでのプレゼント配布の件もあるたぁいえ、ちょっと厚遇しすぎじゃねえか?
そんなことを思ってたが、そこにシスター・グリゼルダが苦笑を浮かべていた。
「その件ですが、特例で信徒の一部も天界の見学がなされています」
お、そりゃそうか。
ヴィクターが聖書の神の死をばらしたことでイラついてるだろうからな。ガス抜きの機会は必要だよな。
ちょっとぐらい見学させてもらったって、罰は当たらねえだろ。
「実を言うと、今回の見学は大尽総理の提案もあって行われています」
「あの総理が? 何を一体」
姐さんがそう言うのも当然だ。
宗教関係にゃ疎い日本の総理大臣が何を言ったんだ?
「そろそろストレスが限界に達するかもしれないので、特に不満が溜まっている者達にガス抜きの機会を与えるべきだ……と」
と、少々頭を抱えながらシスター・グリゼルダが告げる。
ああ、総理よく分かってるな。
確かに、人間ってのは小さいところも色々あるからな。ガス抜き必要だ、うん。
ただでさえヴィクターの所為で聖書の神の死という大前提の崩壊を知っちまってるんだ。そこに悪魔や吸血鬼との和平までされちまったら、いい加減納得できない連中も増えるだろ。
そう言うガス抜きは必要だよな。俺は理想だけで生きてねえからよく分かるぜ。
「まあ、人間鬱憤は溜まるものね。聖人君子ばかりじゃないんだから、ガス抜きする機会は必要よね」
「貴女はガス抜きをしすぎです。色欲は七つの大罪の一つですよ」
うんうんと頷く姐さんに、シスター・グリゼルダがぴしゃりとたしなめた。
……俺は視線を逸らしてノーコメントを貫く。ああ、破戒信徒にゃ耳が痛い話だからな。
ツーわけで視線を逸らすと―
「……いいところね」
「うんうん。こういうところに行けるといいね」
そんなことを言っている、悪魔祓いの恰好をした女性達がいた。
ああ、あれがガス抜きの人達ってわけか。
他にも悪魔祓いが何人も見学している。どうやら俺達は出くわした感じみたいだな。
「あれが例の?」
「はい。第一弾である今回は、特に和平に不満がある、悪魔祓いから選ばれています」
姐さんにそう答えながら、シスター・グリゼルダは複雑な表情を浮かべる。
「……プルガトリオ機関の者たちが中心なのは、一部の信徒たちからすると別の意味で業腹ものでしょうが」
確か、暗部組織の一つだったな。
まあ、暗部なら正統派英雄の集まりのイッセー達とは関わらねえか。気にするだけあれだな。
俺はそう思い直すと、そのまますれ違った。
まさか、マジで関わる羽目になるだなんて、この時は思っちゃいなかったわけだ。
自作品の設定や神器などは積極的に共有するスタイル。設定の省力化とでもいえばいいのでしょうか。