ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ 作:グレン×グレン
それでも今迄よりもかかわっている巻数が多いですし、今迄の章では一番話が多くなりますけどね。
で、戻ってきたら戻ってきたで、今度はあれな展開が待っていた。
具体的にてっとり早く言おうか。今俺らは、ラブホの部屋としか思えねえ部屋にいる。
しかも、これ、天界製である。
「どうかなイリナちゃんにイッセーくん!! これが天界が技術の粋をもって開発した、二人の為の部屋だよ!!」
そう自慢げに語るのは、イリナの親父の紫藤トウジさん。
因みに教会のとある施設の局長をしているとかなんとか。腕利きの悪魔祓いとして活動していた時期もあったらしい。
確かに、現役復帰も少しトレーニングをすればできそうだな。流石はイリナの親父さんだぜ。
で、俺が何であれな展開だとか言ったなんだとかいうと……。
この部屋、特殊なドアノブをセットすれば異形の技術ですぐに繋がる様になっている。
で、この部屋の目的なんだが……。
悪魔と天使が子作りする為の部屋らしい。ここで致せば天使は堕天しないで済むんだとか。
画期的かつ今後の天使の為になる技術だけど!! どっかツッコミどころが大きすぎて突っ込み切れねえ!!
天界っつーか三大勢力、イッセーのことどんだけ重要人物として見てんだよ。
いや、確かに二天龍の片割れだぜ? 三大勢力の戦争に割って入って色々迷惑かけて大損害を出したあの二天龍を味方につけられてるわけだ。そりゃぁ厚遇もするだろうよ。
だけどよ、何かが根本的におかしくねえか、オイ。
「……あのすいません。この何処でもラブホテル。量産の予定があるなら私にもいただけません?」
姐さんも敬語すんなやこんなことで!!
「うぅうううううう!!!! パパの馬鹿!! ミカエル様もなんでパパに持ってこさせるのよぉおおおおお!!!」
イリナなんて顔真っ赤にして部屋の隅でうずくまってるし。
ツーか根本的な問題なんだが、どう考えてもこれ他の連中が何かしらちょっかいかけてこねえか?
「ヒロイ。ペトも欲しいんすけどアザゼル先生に模倣してもらうのが一番手っ取り早いっすかね?」
「知らねえよ」
あれ? 俺とイッセーが引いてるのがおかしな気分になってきたぞ? おかしいのは俺達なのか?
「まあそれは良いでしょう。それでトウジさん。これからのご予定は?」
「そうだね。子供達の水入らずな関係を邪魔するわけにもいかないし、ちょっと久しぶりにこの街を巡ってみたいかな?」
「なら私が護衛しましょう。アザゼルも呼びますので、歓楽街で一杯やりませんか?」
姐さん、ドアノブをアザゼルに解析させようとしてるな?
「いやぁ、こんなおっぱいの大きいお姉さんにお酌してもらえるなんて夢のようだ」
「いえいえ。できればドアノブを話のタネにしながら一杯やりましょう」
やっぱりだぁああああ!!!
そんなこんなで、今夜俺はペトと二人きりという展開だった。
え、色事? もちろんしてるけど?
「いや、ヒロイを独占するってのも珍しい展開っすね」
「俺は姐さんがトウジさんとことしてないかが心配だぜ」
姐さん、ドアノブに興味があるからって手段は選べよな。
いざとなったらアザゼルが流石にストップ掛けてくれるとは思うけどよ。いや、かけてくれるよな?
しっかしまぁ、親御さんか。
「そういや、イリナってなんでバチカンに連れてこられたんだろうな」
「そういやそうっすね」
ふと気になるが、その辺が気になる。
後天的な聖剣保有者はいくらでも見繕えるだろう。ある程度は人を選ぶ必要があるみたいだが、態々こんな極東から引っ張り込む必要があったのか?
ペトも首を傾げてたが、やがて考えても無駄と思ったんか、ベッドサイドに置いてたスナック菓子に手を伸ばす。
「……食いすぎだぞ。太っても知らねえぞ?」
「ペトを舐めないでほしいっす。さっきまで運動してた分のカロリーを補充するだけっスよ」
んなこと言いながらバリボリスナック菓子を食べて、ペトはぽつりと呟いた。
「話変わるけど、ニエのこととかどうするっすか?」
ホントに話変わったな。
だけどまあ、確かに考えとかねえといけねえわな。
ニエ・シャガイヒ。姐さんの幼馴染にして、姐さんが文字通り死ぬほど追い込んでしまった男。
魔獣創造を宿して復活して、姐さんに復讐する為にヴィクターについている野郎だ。
問題は、これ実際姐さん側にも多大な問題がある事なんだよなぁ。
「姐さんがどうするかってのもあれだよな」
「そうなんすよねぇ。ぶっちゃけ、お姉様ってニエに殺されるのはそれはそれで構わないって思ってる節があるっすから」
はぁ、と、俺達はため息をついた。
ああ、そこが問題なんだよなぁ。
姐さんは、俺達に胸を張れるのならニエに殺されても構わないと来てやがる。
いや、俺達としては姐さんには死んでほしくねえんだけどな。マジで勘弁してほしい。
そりゃニエは完璧な被害者だけどよ。姐さんだって被害者だろ。
加害者の側面はあるにゃぁある。だけど、同時に被害者でもあるんだよなぁ。
となると、俺達姐さんの側からしてみりゃ、姐さんが殺されるのは流石にきついっていうかなんて言うか。
「でも、お姉様はニエとの決着は自分でつけたがるだろうッスし……」
「それを邪魔するのも野暮っつーかなんつーか……」
俺とペトは同時に頭を抱えてため息をつく。
ああもう! マジでめんどくせえ展開だな、オイ!!
「あーもうめんどくさいっす!! ヒロイ、憂さ晴らしに第二ラウンドするッス!!」
「いやもうとっくの昔に第二ラウンド超えてんだろ。何ラウンド目だよ俺体力の限界なんだけど」
姐さん、早く帰ってきてくれ!!
いや、姐さん帰ってきたらさらにバトルからやっぱ朝帰りでよろしく。
Other Side
「くしゅん! ……噂でもされてるのかしら?」
バーでくしゃみをしながら、リセスは首を傾げた。
花粉症とは無縁のはずだし、体調管理は気を付けているから風邪の可能性もないのだが。ここは掃除も行き届いているから埃が原因でもない。
「おやおやどうしたのか? 噂かい?」
「確かに、こいつそういうのには事欠かねえだろうからなぁ」
と、出来上がっている馬鹿二人はとりあえずスルーし、リセスはふと窓から空を見る。
そういえば、こんな綺麗な星空を見たのは何時ぶりだろうか。
かつてのリセスが思い出す空は、かつて破滅するまでの空か、そのあとの気分を反映した曇り空ぐらいしか覚えにない。
本当に最近なのだ。こんなに空が綺麗だと感じるようになったのは。
それはきっと、ペトやヒロイ達が掛け替えのないモノだからだ。イッセー達との生活が、自分にとって大切な何かを取り戻させてくれたからだ。
だからだろうか。心のどこかで「もういいか」という気持ちになるのは。
そろそろ、決着をつける時なのかもしれない。
「……おい、リセス」
「なによ、酔っ払い」
そんな気分に水を差されて、リセスはジト目をアザゼルに向ける。
それを平然と受け流しながら、アザゼルは勢いよく酒を消費していた。
つまみのナッツやチーズも勢いよく消費されている。こういうバーとかいう場所は、もっと味わってのみところな気がするのだが。
居酒屋に場所を移すべきかとリセスは考え―
「死に急ぐのだけはやめとけよ」
―その言葉に、リセスは頷く事が出来なかった。