ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ 作:グレン×グレン
俺は高速で駆け抜けながら、相手の攻撃を捌きつつ反撃を試みる。
んの野郎。中々できるじゃねえか。
「どうしたどうしたぁ! しょせんその程度かぁ、聖書の教えなんてのはぁ!!」
ヤコブの野郎、言ってくれるじゃねえか。ってかうぜぇ。
できる限りとっとと片づけたいとこなんだがな。やけになって焦ると隙になって致命傷だな、うん。
仕方ねえ。ちょっと本気出すか、こりゃ。
「遠慮なく潰すぜ。まずは5パーセントからだ!!」
俺は遠慮なく生体電流を強化して、動きを向上させて仕掛けることにする。
確かにこいつは厄介だが、それでもイグドラフォースに比べりゃはるかにましだ。
ここで一気に叩き潰して、さっさとご退場願うのみだっての!!
一気に素早くなった俺の動きに、ヤコブは戸惑う。
この隙は逃さねえ!!
「終わりだ、クソ野郎!!」
俺は素早く構えを取ると、それをフェイントに魔剣を足から生やして蹴り上げる。
これでいけ―
「―舐めんな、クソ信徒!!」
チッ! 腕の健を切る程度が限界だったか!
だが、これで片手は封じた。
あとはこのまま押し切れば―
「だったらこっちもやってやるぜ!」
言うが早いか、ヤコブの奴はバックステップで後方に下がりながら小瓶を取り出す。
そして俺が接近するより早くそれを飲み干した。
……なんだ? 何を飲んだ?
そう思った瞬間、ヤコブの動きが格段に良くなる。
思わず回避が合に合わず、腕が割かれた。
チッ! ドーピングか!?
「はっはぁ!! アステカの秘薬の力はどうだ、ガキぃ!!」
チッ! なんか明らかにやばそうなもの摂取しやがって!
だが、一気に動きが変わったな。神器の禁手に匹敵するブースト具合じゃねえか。
「オラオラオラァ! このまま死にやがれ!!」
遠慮なくマクアフィテルを振り回すヤコブ相手に、俺はとりあえず魔剣を大量に射出する。
そしてそれをあっさりと躱し、ヤコブは自分の間合いに俺を捉えた。
薙ぎ払うように振るわれるマクアフィテル。それを俺はホンダブレードで受け止める。
半分ぐらい砕けたが、かろうじて受け止めた。
そして俺は磁力操作で砕けた破片を操作。噛み合わせて相手の動きを封じる。
よし、詰め将棋は完了したな。
「取ったぜヒャッハー野郎」
「あぁん? クソの信徒共は武器を一本しか持ってねえのか? あほか」
そう吐き捨てるなり、ヤコブは石の短剣を構えると振りかぶる。
「勝つのは俺だぁあああああ!!」
……阿保が。詰んだのはお前だ。
予備があるならさっさと武器を捨てればよかったんだ。馬鹿野郎が。
そう内心で吐き捨てると同時に磁力操作。
奴の真後ろにあるさっきぶっ放した魔剣を引き寄せ、そして突き刺した。
「なぁああああにぃいいいい!?」
「そして隙だらけだ、馬鹿が」
躊躇なく、俺はその隙に構えを取る。
「槍王の型―」
どいつもこいつも何千年も前の恨みを、産まれてもないくせにやりやがって。
いい迷惑なんだよ、そんなもの。
「―箒星!!」
渾身の一撃を叩き込み、俺はとりあえずの邪魔者を叩き潰した。
とりあえず邪魔者を叩き潰して、俺は速攻で姐さんのもとに向かう。
ああ、なんとなくだが姐さんはニエと戦っているんじゃねえかって思う。
邪魔をするのかどうかはその時の姐さんの対応次第だ。姐さんが未だに迷っているっていうなら、流石にそのタイミングで死なれちゃ困る。だからニエの邪魔をする。
だけど、姐さんが
その時は、俺は見届けるだけだ。輝く英雄の物語の一つの結末を、俺はまっすぐに見据えよう。心に刻んですべてを覚えよう。
俺は姐さんが輝いている様に見惚れて、英雄を目指した。その原風景が維持されてるなら、野暮なマネはしたくない。
狂ってるかな。共感されねえかな。イッセー辺りにゃ色々言われそうだ。いや、ペト以外には何か言われそうだな。
だけどまあ、そういう性分だから仕方がねえ。
だから姐さん。輝いててくれ。俺の
弱音を吐きたいときは俺が聞いてやる。一人じゃ立てないぐらい辛いなら、俺が支えてやる。
だから、せめて立たなきゃいけない時ぐらいは立ったまま、そして輝いていてほしい。
そう思っていたら、何時の間にか周囲が暗くなっていた。
そして、なんか黒い水が下に満ちていた。
なんだこれ? 明らかに触れたらいけないような感じだが―
「あ、おい聖槍使い!! それに触れんなよぉい!!」
と、そこには筋斗雲に乗っている美候がいた。
そしてその肩に乗っかる形でラシアが乗っかっていた。
……何してんだ?
「仕方ないでしょ。私は飛べないんだから」
俺が聞くよりも早く、ラシアはそっぽを向いてそう答えた。
ああ、そういやお前ただの人間だし魔法の心得もなかったな。俺みたいな反則一歩手前の飛行手段も持ってないし、そりゃ無理だ。
「っていうか、これは一体何なんだよ」
明らかにやばそうなものが天界を覆ってるのは、三大勢力のエージェントとして見過ごせねえんだがよ。
俺のその質問に答えたのは、美候でもラシアでもなかった。
「そいつは、アポプスが操ってる原初の水ってやつだ」
「ヤバイ! ヤバイ!」
「超猛毒!!」
上から聞こえてくる声に上を向けば、そこにいるのはなんか邪悪なキングギドラ。
……確かアジ・ダハーカだったか。
チッ! 邪龍共が雁首揃えて暴れやがって。仮にも元悪魔祓いとして見過ごせねえな。
「てめえら!! こんなところにまで魔の手を伸ばして、ただで済むとは思ってねえだろうな!?」
聖槍を突き付けて睨みを利かせるが、アジ・ダハーカは楽しそうに笑うだけだ。
んの野郎。龍王クラスは間違いなくあるたぁ踏んでたが、こりゃ天龍でもサシでやり合えるレベルか?
ヴァーリでも極覇龍必須のレベルっぽいな。こりゃ面倒だ。
相手の余裕っぷりに俺が辟易してると、アジ・ダハーカは面白そうな表情を浮かべる。
「お前が噂の聖槍使いだな? いっちょ俺と喧嘩してくれよ」
「ケンカ! ケンカ!」
「大勝負!!」
……その言葉に、俺はカチンときた。
言うに事欠いて喧嘩ときやがった。この野郎、ただバトルがしたいだけか?
その為に、天国で安らかに過ごしている者達や、天使達を襲っているってか?
何の大義も正義もなく、ただ暴れたいだけだってか?
………ふざけんな。
俺の頭の中が沸騰しかけた瞬間、俺達に迫りくる影があった。
量産型の邪龍達だ。中にはグレンデルに似た姿の邪龍もある。デッドコピーの量産型か?
流石にこの数は面倒だと思ったその時―
「……オイコラ」
鋭い視線と共に、アジ・ダハーカの殺意がそいつらに叩き付けられた。
「人がせっかく喧嘩しようって時に、邪魔してんじゃねえぞぉおおおお!!」
そして、味方のはずの邪龍たちを、アジ・ダハーカのブレスが吹き飛ばす。
……こいつ、味方を遠慮なく―
「……ったくどいつもこいつも、喧嘩ってのが何なのか分かってねえ。そう思わねえか、坊主」
なるほど。よく分かった。
「……さっきから黙って聞いてりゃ、喧嘩喧嘩喧嘩喧嘩うるせえぞ、三首蜥蜴」
俺は、今までにないぐらいむかついている。怒っている。ブちぎれている
「……あ? 今なんて言った?」
「害獣って言ったんだよ。分かり易く言い直してくれてありがとうございますって言えよ、あ?」
殺意が満々になるが、こっちはこっちで同じぐらい怒り狂ってるから安心しやがれ。
お互いに真正面から睨み合う形になるが、俺は遠慮なく槍を突き付けなおす。
「これだけの堅気の連中巻き込んで喧嘩したいだぁ? ザケんな屑が! てめえらドラゴンはそんなのばっかりだな!!」
ったくだ。
ヴァーリにしろグレンデルにしろ、そしてこいつにしろかつてに二天龍にしろだ。ドラゴンってのはどいつもこいつもこんなのばっかりか。
「真っ当に生きてる連中を巻き込んで、思うがままに喧嘩することがお前らの誇りだ? そんなもんは誇りじゃなくて埃っていうんだよ。この我儘だけの害獣共が」
ああ、よく分かった。
こいつらはあれだ。マジで害獣だ。
駆除するか管理下に置くかしねえと、世の中を真っ当に生きている連中に害しか巻き散らかさねえ。
そういやイッセーも覗きの常習犯な変態野郎だったな。ファーブニルもパンツを何かにつけて要求してくる、ど変態だ。まともなドラゴンの方が数少ねぇじゃねえか。タンニーンさんとかヴリトラぐらいか?
ホントに碌なのがいねえ。そしてこいつはその中でもトップクラスに害悪だ。
よし、殺そう。
「此処で滅びろ、蜥蜴と蛇が。俺は
「……言うじゃねえか。人間」
ああ、それでいい。
殺意を通り越して邪魔なものに向ける怒りが向けられるが、それでいい。
いいか、覚えとけ蜥蜴野郎。
てめえらみたいな連中に、人間さまがすることはたった一つだ。
「今からするのは喧嘩じゃねえ。ただの害獣駆除だ。よぉく覚えて地獄に落ちやがれ、クソ野郎!!」
お前は、ここで、俺が潰す!!
これ、あくまで個人的な意見なんですけど……。
ぶっちゃけ、邪龍共よりリゼヴィムの方が感情移入できるの、自分だけですかね?
いや、数千年間何も楽しくない状況下で、初めてすごい歓心を引いたっていうリゼヴィムの来歴は、その所業などを無視して考えれば理解できなくないんですが、邪龍たちに関してはアジ・ダハーカやアポプスも含めて、基本がチンピラとしか思えない。
いや、個人的なプライドや流儀があるのは良いんですが、その行動原理が根本的に好めない。あれならまだシャルバの方が共感持てるんですよ。
まあ、それを言ったらヴァーリやクロウ・クルワッハも割とあれですが。ぶっちゃけヴァーリは初期においてはリゼヴィムのことそんなに悪く言えないと思う。
なので、この作品は結構そいつらが割を食うと思います。アンチするつもりはないので見せ場はきちんと作りますが、原作よりは不遇な感じなるのでそのあたりご了承ください。