ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

229 / 324
あまり話は進展せず、バトル中心の展開な天界です。


第六章 56

 イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『イッセー! そっちは大丈夫?』

 

 リアスからの通信を聴きながら、俺は結構一方的にボコボコにされてる。

 

 当たるはずの攻撃は当たらないし、躱せるはずの攻撃が体のどこかに必ず当たる。もう何が何だか分からねえ。

 

 強引に突破して接近戦を仕掛けようにも、ジェームズの奴は距離を保って攻撃してくるから、全然間合いに近づかねえ。

 

 それどころか、白龍皇の妖精達で反射攻撃をしたいのに、タイミングが全然合わない。

 

 なんだこれ。どういうことだよ!?

 

「リアス! こっちも今イグドラフォースと戦ってる!! ……そっちは?」

 

『ラードゥンは何とか封印で来たわ! 直ぐに向かうから持ち堪えて!』

 

 分かった頑張る!!

 

 よしドライグ! 気合入れて持ち堪えるぞ!!

 

『分かっているが、敵の種が分からなければ意味がないぞ、相棒』

 

 確かにドライグの言う通りだ。

 

 さっきからジェームズの奴に有利な展開にばかりなってやがる。なんていうか、中途半端な確率の出来事が全部ジェームズの有利な形で起きてる気がする。

 

 いったい何なんだ? ジェームズの奴も神器を移植してるのは分かるけど、何を移植した?

 

「……イッセー! 大体読めたぞ!!」

 

「ゼノヴィア? 具体的には!?」

 

 ゼノヴィアが気づいた!? こいつ、脳筋に見えて意外と頭の回転が速いからなぁ。

 

 で、一体何がどうなってこんだけ追い込まれてるんだ、俺達!!

 

 ゼノヴィアはエクス・デュランダルを突き付けると、ジェームズを睨む。

 

「お前が移植しているのは、究極の羯磨(テロス・カルマ)だな?」

 

 究極の羯磨って、確かリムヴァンが元々持ってたっていう神滅具だっけ?

 

 確か、あり得ない可能性を無理やり発生させる神滅具だったよな。リムヴァンはその亜種禁手で平行世界移動能力を手に入れたとか。

 

「……敵にそれをばらす奴がいるか?」

 

 ジェームズはそう言い捨てるけど、ゼノヴィアは鼻で笑った。

 

「沈黙が長いぞ?」

 

 そして、ゼノヴィアはいきなりエクス・デュランダルにオーラを注ぎ込む。

 

 え? 種は分かったけど、どうするつもりなんだよゼノヴィア。

 

「ならば対処方法は簡単だ。……絶対に躱せない広範囲攻撃をお前に当てればいい。どうあがいても100%を変えることはできないだろう?」

 

「解決方法が強引だな」

 

 あ、ジェームズがドンビキしてる。

 

 だ、だけど確かにその通りだ! 絶対に当たるなら確実にあの神滅具を無効化できる。

 

 そういう意味だと俺の赤龍帝の籠手と同じだよな。ちゃんと本人が努力して鍛えないと、実戦でまともに使ってもあまり意味がない神滅具だ。

 

 意外と神滅具って使いづらいよなぁ。そういう意味だと、ヒロイの黄昏の聖槍も似たようなもんか?

 

「イッセー! フルチャージでこの辺り丸ごと吹き飛ばすから、それまでジェームズを押さえてくれ!」

 

「お、おう!!」

 

 なんかそれ、俺が巻き込まれて死にそうなんだけど!?

 

『安心しろ相棒。最高速度なら真女王の方が上だ。前もって攻撃タイミングを教えてもらえれば安全圏に退避してからでも奴に攻撃を放てる』

 

 ドライグさん? それって結構難しいと思うんだけど!?

 

 いや、そんなこと言ってる場合じゃねえ。

 

 此処を突破しなけりゃ、イリナ達が大変なんだ。突破しなくちゃいけない。

 

 だったらやってやるしかねえよなぁ!!

 

「いくぜ、ジェームズぅうううう!!!」

 

「威勢が良くても技量が無ければな!」

 

 んのやろう! ポンポンこっちの攻撃を躱してんじゃねえ!!

 

 なめんなよ! だったらこっちにだって考えってもんがある!!

 

「いくぜ、ドラゴンショット乱れ撃ち!!」

 

 俺はドラゴンショットを広範囲に乱れ撃つ。

 

 そして、それをジェームズはひらりと躱した。

 

「一発一発の命中率が低いなら、余計に躱し易いんだがな」

 

 あきれ果てるジェームズだけど、俺だってそこまで馬鹿じゃねえよ。

 

 ああ、もう行けるぜ、ジェームズ。

 

 その瞬間、ドラゴンショットの攻撃が当たった場所が誘爆して大爆発が起きた。

 

 真後ろで爆発した場所が見事に当たって、ジェームズは動きを崩す。

 

 やっぱりな。ジェームズの野郎は意図的に命中率に干渉してるんだ。自動で操作してるわけじゃない。

 

 あいつが認識してないところからの攻撃なら、アイツの可能性操作は通用しない!

 

「チッ! 味なまねを―」

 

「捕まえたぜ、ジェームズ!!」

 

 一瞬見せた隙を見逃さずに、俺はジェームズに組み付いた。

 

 そしてそのまま強引にトルクで引きずり回して、そこらじゅうの壁に叩き付ける!!

 

 単純な性能なら、龍王クラスのイグドラヨルムじゃ、天龍を封印している真女王の方が有利のはずだ。頑丈差ならこっちが上のはず。

 

 相打ち上等の攻撃なら、こっちの方が有利!!

 

「馬鹿かお前は!!」

 

「馬鹿で結構!! どうせバカなら貫き通すだけさ!!」

 

 引きはがそうとするジェームズを、俺は組み付いて無理やり引きはがさせない。

 

「っていうかてめえ! なんでヴィクターと組んでる!!」

 

「言う必要があるか!!」

 

 至近距離からミサイルを発射されて、誘導攻撃を可能性操作で全部当てられるけど、とりあえず我慢!!

 

 根性が取り柄の俺が、我慢比べでそう簡単に負けてたまるかよ!!

 

「何か理由があるなら、それさえどうにかすりゃ降参してくれるかと思ったんだよ!!」

 

「敵相手に情け深いな!!」

 

 悪かったな!

 

 ディオドラやシャルバみたいなクソ野郎じゃなくて、本当にどうしようもない理由があるなら、平和的解決が図れると思いついただけだよ。

 

 甘いと思うかもしれないし、俺の大事なもんに手を出すならぶっとばすのに遠慮はしないけど、これが本当に戦争なら―

 

「……安心しろ、何もない」

 

 ―何?

 

「何もないさ。俺には人体実験を諌める様な親もいなければ、絶対に叶えたい夢なんかも持っちゃいない」

 

 静かにそういうジェームズは、心底羨ましそうに俺に嫉妬の視線を向ける。

 

 その目を見て、俺はなんとなく分かっちまった。

 

 ああ、こいつ本当に何もないんだ。

 

「……俺がヴィクターにいるのは、ヴィクターの前身組織に拾われて、そこで神器適正を発揮されたからだ。利用だろうと何だろうと、求められるってのはいいもんだな」

 

 マジかよ。自分が利用されてるって分かってて、それでも参加するのか?

 

 何もないのか。本当に何もないのか。

 

 利用されてもいいから何かしたいとかいった夢や野望どころか、復讐心もないってのか?

 

 そんな何もない奴が、今夢を叶える為に全力で鍛え続けている俺やヒロイと互角に渡り合えるってのか?

 

「いいもんだな。そんな俺が歴代でも異例の二天龍と互角に戦えるとか」

 

 そう得意げに嗤うと、ジェームズは全力で俺を引きはがそうとする。

 

「誰に理解されなくてもいい。下らねえ意地だって言いたきゃ言ってろ!! でもなぁ……っ!!」

 

 やべえ、今ので隙ができて、引きはがされる!?

 

「それでも、てめえらみたいな化物とやり合えるってだけで、俺は十分なんだよ!!」

 

 そして、ジェームズは俺を引きはがすと、顔面に銃口を突き付ける。

 

「くたばれ、赤龍帝!!」

 

 そして、銃口から荷電粒子が漏れ出し―

 

「いや、くたばるのはお前の方だ」

 

 そしてその真横に、ゼノヴィアが回り込んでいた。

 

 更に同時に、大量の金属板が飛んでくると、ジェームズの逃げ道を塞ぐ。

 

『出血大サービス。なんとおパンツ一つでこの大放出』

 

「ゼノヴィアさぁああああん!! お願いしまぁあああす!!」

 

 アーシア。またパンツを差し出してファーブニルを動かしたのか。

 

 そうさせないといけない不甲斐ない男で御免。でもありがとう!!

 

「人の夫に手を出さないでもらおうか。そういう手合いは私のデュランダル砲が吹き飛ばす!!」

 

「しまった! これでは可能性操作でも―」

 

 ああ、確かにこれは無理だ。

 

 絶対躱せない状況じゃあ、どんな可能性を操作しても攻撃は躱せない。

 

 そして、ジェームズは聖なるオーラに包まれた。

 

 ……ちょっとオーラが俺にも当たって、痛かったのは内緒だぜ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Side Out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は全力で後悔しながら、でも全力で大暴れしていた。

 

「次々次々次ぃ!!」

 

 今までにない高出力で、俺は禁呪で作り出された龍やらが遺骨やら獅子やらを吹っ飛ばす。

 

 ついでに大量のガウスキャノンをぶっ放す。もちろん弾丸代わりの魔剣は、気合と根性で龍殺しオンリー!!

 

 そして、俺はアジ・ダハーカを追い込んでいた。

 

「んのやろう!! やるじゃねえか!!」

 

「手ごわい、手ごわい!」

 

「思わぬ強敵! でもむかつく!!」

 

 そうかい。褒められた気がして悪くねえな!!

 

 どうやら聖槍の中の聖書の神の遺志も、ただでさえ大嫌いなドラゴンの更に質の悪い奴が天界で大暴れしてる事実にマジギレらしい。今までにないぐらい絶好調だ。

 

 その強引な出力で、俺は強引に押し切りを狙ってみた。

 

 図体がでかいのは近接戦闘には有利だが、それにも限度がある。

 

 俺は全身に魔剣を展開しながら聖槍を短く持ち、とにかく接近戦を試みる。

 

 もちろん敵もさるもの。全力で接近戦だけは避けて遠距離攻撃で削る方向にシフトしてる。

 

 だが、この調子なら動きは見切れる。

 

 単純な戦闘能力なら、おそらく極覇龍状態のヴァーリを超える。D×Dでも一対一で太刀打ちできる手合いはごく僅かだろう。初代孫悟空ぐらいか?

 

 俺でも勝算は低いはずだ。十回やれば九回負ける。いや、百回やったら95回は負けるか?

 

 そんだけのバケモンだ。流石邪龍最強格ってわけか。強化したのか元からそれ位なのかは分からねえが、確かに強敵だな。下手したら全盛期の二天龍ともまともにやり合えるんじゃねえか?

 

 だが、この一回は俺が勝つ。

 

 一生懸命立派に生きて、死後安らかに過ごしている奴らを、こいつらは喧嘩がしたいだなんて理由で引っ掻き回してやがる。

 

 ああ、聖書の神の遺志がこれまでにないぐらい力を貸してくれるのも分かる気がするぜ。

 

 俺は輝き(英雄)を目指している。英雄っていうのは、人の心を照らす輝きだと思っている。

 

 つまり、あれだ。如何に血濡れであるとはいえ、人々にプラスの存在であってこそだ。誰か照らせるからこそ英雄ってもんだ。

 

 俺はそれを目指している。たくさんのとは言わない。最優先は姐さんだ。それでも、人の心を照らすという前提の元、そういう存在であろうと頑張っている。

 

 そりゃまあ? 俺は姐さんの英雄であること最優先で、今も姐さんが俺の英雄であるなら死ぬことになってもそれを優先したいぜ? イッセーと揉めるかもしれねえぜ?

 

 だけどなぁ、これでも人様の迷惑になることを避ける配慮はしてんだよ。そうじゃねえなら信仰心もろくにねえのに、教会の悪魔祓いに所属したりしてねえよ。勝手気ままに独裁政権相手のレジスタンスとかに身を投じてるっての。

 

 あれだ。現代に生きる英雄として、罪なき人々に害をなす邪悪を滅ぼすのが理想だ。世の為人の為、せめてどっかの勢力の人々の為、普通の人々が心を曇らせたりしないよう、正義とは言わなくても善側に立っていたい。いや、どちらかといえばでいいから。

 

 そして目の前にいるのは、己の欲望のままに自由気ままに行動し、その過程として誰が傷つこうとかまわない、我儘の極み。

 

 自覚はしてるかもしれねえが、自重も自制もしちゃいねえ。典型的なチンピラのノリだ。ヒャッハー系だ。

 

 ……こういう野郎はしっかり首輪をつけるか、排除するかしねえといけねえだろう。完全に人々にとってマイナスだ。

 

 典型的な英雄に倒される悪役のパターンだ。しかも大願とかそういうのねえから、大ボス張れる器じゃねえ。

 

 自分の欲求だけ考えて、最低限の自制も自重もしない。最低限の線引きというか、誰かに合わせる配慮が全くない。

 

 なんつーか、自分を高みにあげたいという気概が全くない。それでいて、身の程を知るというか身の丈を知るというか、なんていやいいのか、分をわきまえるということをしない。

 

 勝手気ままで、邪悪なままだ。

 

 こいつらに比べれば、まだシャルバの方が理解できる。あいつらは一応の大義名分を持ってたからな。常人には理解できねえが。

 

 よし、殺そう。

 

 力を持っているなら、相手より上なら、どんな相手にでも何をしてもいい。そういう獣の理論で動いている。

 

 ただ弱者を踏みにじる暴力。災害のようなものだ。そして質の悪いことに、そこには悪意がある。邪悪のままに、大義もなく、堅気を巻き込む意図的な災害だ。

 

 ヴィクター経済連合にもいろんな奴がいる。旧魔王派のように、ノイエラグナロクのように、アルケイデスのようにアステカのように、離反したガールヴィランのように、何かしらの大義名分があり、中には一種の正義もある。

 

 だけどこいつには何もない。自分達の中の正義も善もなく、本当に己の欲求のまま生きて、制御しようという気がない。意図的に迫りくる理不尽ってやつだ。

 

 仮にも俺が英雄を名乗るなら、人々の輝きであろうとする気持ちが少しでもあるなら。

 

 コイツを、野放しに、していいわけがねえ。

 

 そしてこいつに殺されて文句を言う権利はない。

 

 自由気ままに暴れて他者を苦しめることを制御しないなら、こっちの都合で叩き潰されようがそれは自己責任だ。他者への配慮をしない奴が、他者に配慮される資格はない。

 

 こいつは文句を言う権利を自分から放棄したんだ。相手を尊重しない輩に、尊重される権利はない。

 

 俺は、はっきりとアジ・ダハーカに態度で示してやる。

 

 しっかりと中指を立てて、勢いよく舌を出す。

 

 ああ、よく見ろこの野郎。

 

「自分の都合だけで行動するっていうなら、こっちはこっちの都合でてめえを駆除しても何の文句もないよな、オイ」

 

「いいぜ? できるもんならやってみやがれ」

 

「してみろ、してみろ!!」

 

「できるもんなら!!」

 

 言質はとった。なら殺す。

 

 他人に配慮をしなかったお前に、自身を尊重される資格はねえ。

 

 さっきも言ったが害獣駆除だ。勝率一パーセントだろうと、その一パーセントをここでつかみ取る!!

 




 ジェームズは根本的に「何もない」キャラです。例えていうなら、リセスに出会わなかったヒロイとでもいいましょうか。いや、ヒロイよりははるかに待遇いいけど。

 ある意味で何もないからこそ何かあることを欲し、そして何もないからこそ強化改造をうけれるという強みがある。そういう「なにかある」大抵の主人公に対するアンチテーゼキャラですね。







 そしてヒロイは怒りの力と割と切れてる聖書の神の遺志のサポートを受けて善戦。

 なんていうか、勇気と無謀が違うように、慎重と臆病が違うように、自由と横暴も違う物なんですよね。

 自由ってのは柵の範囲内でしか存在せず、策を無視したり壊すようならそれはただの横暴。何事も物には限度がある。それがいやなら法も何もない野生の世界で世捨て人のように暮らすしかない。ルールを守らないものに、ルールに守られる権利はないのだから。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。