ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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第一章 10 

 

「B-2スピリットだと!? 何の冗談だそりゃ!!」

 

 真っ先に、アザゼルが大声を上げた。

 

 それもさっきまでの余裕の表情じゃない。明らかに焦りが見える。

 

「びぃつぅすぴりっと?」

 

 なんだそりゃと言いたげな顔でイッセーが繰り返す。

 

 関係者の多くもよくわかってないようだが、しかしすぐに小猫ちゃんが手を上げた。

 

「B-2スピリットはステルス爆撃機です。部長達も映画で見たことがあると思います」

 

 ああ、どっかで聞いたことがあると思ったらそれか。

 

「ステルスか。それなら日本の自衛隊が気づかなくてもおかしくねえな。なにせステルスだもんな」

 

「はっはっはぁ! そんなこと言ってる場合じゃねえだろうが馬鹿野郎が!!」

 

 俺が感心してると、アザゼルが大声で怒鳴る。

 

「B-2はアメリカの虎の子だぞ!! 作んのも維持すんのもアメリカ位じゃなきゃできないぐらい金かかるのが、この人間世界じゃ大して意味のねえ地方都市の上を飛んでるって意味が分かんねえのか!?」

 

 いや、確かにちょっとは警戒してるぜ?

 

 だけどよ、三大勢力の実力者が作った結界が、バンカーバスター程度でやられるわけねえだろ?

 

「言っとくが威力の問題じゃねえ。そんな事よりもっとヤベえ問題があるんだよ」

 

「と、言いますと?」

 

 木場が聞き返す中、アザゼルは冷や汗すら流していた。

 

「つまりだ。……アメリカ合衆国の、其れも相当のレベルの奴が俺達三大勢力をピンポイントに攻撃する気でもなけりゃ、あんなのが動くわけがねえ」

 

 ……あー。確かにその通りだ。

 

 三大勢力がどっかの神話体系が、態々そんなもん運用するわけねえもんな。

 

 つまり、アメリカが三大勢力に牙をむいたってわけか。

 

「……あ、アメリカが敵ってことですか!? なんで? アメリカって基本聖書の教えを信仰してますよね!?」

 

「んなこと俺らがわかるわけねえだろ!! くそ、本気でアメリカと事を構えたら、下手したら人間世界にシャレにならない被害が発生するぞ!?」

 

「すぐにでもバチカンから合衆国に問い合わせます。いくらなんでもこれは看過できません」

 

 アザゼルもミカエル様も割と本気で焦ってる中、さらに事態は変化する。

 

「皆様方。B-2スピリットがウェポンベイを開放。小さな結晶体のようなものが結界上部に向けて降下中です」

 

 その言葉とともに、今度は上から大きな音が響き渡り、さらに振動迄響いた。

 

 今度は何だよ!?

 

「サーゼクス様!!」

 

 グレイフィアさんも、なんかさらに顔色が変わって焦り始めてる。

 

「どうしたのグレイフィアちゃん!」

 

「結晶が突如人間サイズの魔獣へと変貌。更に結界を透過して駒王学園の敷地内に侵入しました。数は千を超えます!!」

 

 おいおいマジかよ!?

 

 外を見れば、確かに人間サイズの魔獣がポンポン現れて、両手から光弾を連射して飛んでいる三大勢力の護衛部隊を攻撃してる。しかも背中からもう一対腕をはやしてるのでマジで光弾の嵐だ。

 

 護衛部隊は反撃しようとしてもできない状況で、障壁を展開して防ぐしかできない状態。

 

 そして、さらに上から降下してきた魔獣は背中の腕の代わりに翼を生やしてその護衛部隊を後ろから強襲する。

 

 おい、これってマジでやばくねえか!?

 

「単純な戦闘能力は下級の連中に毛が生えた程度だが、この数は流石にヤベえな」

 

 アザゼルも警戒心を強くして、攻撃を叩きこむが、数が多すぎてなかなか減らない。

 

 と、思ったら今度は霧みたいなものが出てきて、さらにその魔獣がポンポンと姿を現してきた。

 

 出てくるのは一度に数十体程度だけど、これじゃあ焼け石に水じゃねえかよ!!

 

「これほどの数を投入してくるとは……!」

 

「しかも見たことのない魔獣だ。文献でも出てないと思うけれど……」

 

 ゼノヴィアと木場が驚く中、アザゼルはその様子を見て舌打ちした。

 

絶霧(ディメンション・ロスト)魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)か!! なんでこんな地方都市に上位神滅具が揃って出てくんだよ!?」

 

 絶叫すら上げたアザエルは、即座に後ろに振り向いた。

 

「ヴァーリ、リセス!! 今すぐ地面の連中をぶっ潰してこい。建物の被害はこっちで防ぐし直す!!」

 

「いいね。退屈していたんだ」

 

「同感ね。悲劇を終わらせるこの会談を台無しにする者から和平会談を死守するなんて、英雄らしい戦いだわ」

 

 二人同時に不敵に笑い、同時に飛び出す。

 

「暴れなさい、煌天雷獄(ゼニス・テンペスト)!」

 

「やるぞアルビオン、禁手化(バランス・ブレイク)

 

 その瞬間、ものすごい勢いの破壊の嵐が巻き起こった。

 

 姐さんは文字通り嵐を巻き起こし、魔獣達を空にかちあげる。

 

 そして空中で自由が利かない魔獣達を、ヴァーリが波動弾で一気に撃ち落とした。

 

 魔獣達は攻撃を二人に集中させるけど、姐さんは光力の幕を作って軽々と防ぎ、ヴァーリはヴァーリで意にも介してない。

 

 やっべえ。流石歴戦の神滅具使いだ。マジ強ぇ!!

 

「あ、あれが二天龍の真の力ってやつなのかよ!」

 

『まだまだあんなもんじゃないさ。あれぐらいなら、相棒も禁手になればすぐできるようになる』

 

「まだ、代償なしじゃ禁手にはなれないけどな……」

 

 ドライグがフォローするけど、フォローの仕方を間違えていイッセーはさらに落ち込んでる。

 

 とはいえ、これなら何とかなるか?

 

 と、思ったその時―

 

「……なるほど、どうやら俺が出るしかないようだ」

 

 その言葉とともに、炎の槍がヴァーリに襲い掛かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チッ」

 

 ヴァーリは舌打ちすると、その攻撃を避けた。

 

 そう、避けたんだ。

 

 さっきまでの魔獣の攻撃を全く気にもしてなかったヴァーリが、攻撃を真剣に回避したんだ。

 

 あのヴァーリがだ。さっきまで魔獣の攻撃を完全に気にしてもいなかったヴァーリが、攻撃を避けた。

 

 そして、その攻撃は矢継ぎ早に表れる。

 

 周囲を取り囲む霧の中から、ヴァーリを狙ってポンポンポンポン大量にぶっ放される。

 

 それをヴァーリは素早くかわすけど、何発が当たって鎧にヒビが入った。

 

 マジかよ。そんなに威力があるのか、アレ。

 

「なるほど、流石は神滅具の使い手だと言っておこうか。なら、これでどうだ?」

 

 と、ヴァーリは両手に魔方陣を生み出すと、部長が俺と協力して放ったような規模の砲撃をぶっ放す。

 

 そして、その攻撃が霧を吹っ飛ばした。

 

 そこにいるのは、眼鏡をかけたローブを着た男だ。

 歳は俺と同じか少し上ぐらいか? なんかやばい雰囲気を纏っていて、怖いな。

 

 と、さらにヴァーリはさっきと同じぐらいの砲撃を叩き込んだ。

 

 って嘘だろ!? 俺と部長がさんざん頑張って練り上げた砲撃を、連射すんのかよ!?

 

 その攻撃はその男を吹き飛ばそうとして、しかし吹き飛ばされない。

 

 男が手をかざすとさらに大量に霧が出て、その砲撃を防ぎ切ったからだ。

 

「……流石にできるな。こちらより格下とはいえ、流石は白龍皇といったところか」

 

「そっちこそ、流石は上位神滅具なだけはあるな」

 

 ヴァーリと男は不敵に笑う。

 

 あの、何通じ合ってるの!

 

 そして、次の瞬間には戦いが再開した。

 

 うぉおおおおおおお!!! なんか、すごいとしか言えねえ!!

 

「チッ。絶霧の使い手は魔法に関してもスペシャリストってことか。まだ若いのによくやるぜ」

 

 アザゼルがそういうと、俺とギャスパーに腕輪のようなものを投げて寄越す。

 

「赤龍帝とハーフヴァンパイアはそいつを付けとけ。特にハーフヴァンパイアは必ず付けろ。それで暴走を制御できる」

 

「は、はい!!」

 

 アザゼルにギャスパーはそう答えるけど、俺は一応制御できるんだけど。

 

「いや、俺はどうしてだよ」

 

「いざという時はそいつを使えば禁手の代償を肩代わりしてくれるんだよ。神滅具が六つも集まってるんだ。お前も疑似的に禁手になるぐらいしねえと死ぬぞ」

 

 マジか! 俺、あんな戦いをすることが前提か!

 

 しかも禁手の代償を肩代わりしてくれるのかよ! 堕天使の技術ってホントに進んでんな!

 

 俺が感心していると、アザゼルは光の槍をヴァーリとやり合ってる魔法使いに放つ。

 

 で、でけえ! あんなの当たったら一発でお陀仏だ!

 

 でもその魔法使いはあっさりと霧で防ぎやがった。あっちもすげえ!!

 

「これはこれは。かのアザゼル総督の一撃を味わえるとは、英雄冥利に尽きる」

 

「そいつはどうも。……禍の団(カオス・ブリゲード)の神滅具使いさん」

 

 挑発交じりの会話が飛び交うけど、今、なんて言った?

 

「カオス・ブリゲード?」

 

「いったいなんですか、それは」

 

 サーゼクス様とミカエルさんの質問を受けて、アザゼルはため息をついた。

 

神の子を見張る者(ウチ)から技術を持ち出して暴走した阿呆を追っている最中に、そいつを含めた三大勢力のはぐれ者や神器保有者達が寄り合い所帯になってる事を掴んだ。その組織の名が、禍の団だ」

 

 マジか、そんなやばそうな組織が誕生してたのかよ!!

 

「ああ。英雄派のゲオルクと言う者だ。お見知りおきを、総督」

 

 ゲオルクとか言ってるその男は、不敵な笑みを浮かべると霧を広げる。

 

「何か質問があるかな? 一つぐらいなら応えてもいいんだが……」

 

「んじゃ、確認したいことがある」

 

 アザゼルは、今までにない真剣な表情を浮かべてゲオルクを見据える。

 

「禍の団のトップが無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)というのは本当か?」

 

 う、うろぼろすどらごん? なんだそりゃ?

 

 俺は全然こっちのこと知らないからわからないけど、とりあえずすごそうなのはわかった。

 

『おいおいマジかよ。まさかあいつが出てくるとはな』

 

 ドライグ、知ってるのか?

 

『この場の会談に出席するような奴ならほぼ知ってるさ。周りを見てみな、相棒』

 

 ドライグに言われて周りを見てみれば、殆どみんな絶句してた。

 

 ギャスパーに至っては、もう立ったまま気絶してるんじゃないかってぐらい顔を青ざめさせている。

 

 そ、そんなにすごい奴だってのかよ。

 

 しかもサーゼクス様やセラフォルー様、ミカエルさん迄顔色が悪くなったり表情がひきつってるところを見ると、この場にいる人達でも勝ち目がないぐらいの化け物だってのか?

 

 俺が何とかやばいことだけは理解すると、同時に魔方陣が現れて声が聞こえる。

 

『ええ、その通り。オーフィスこそが我ら禍の団(カオス・ブリゲード)のトップです』

 

 その言葉に、魔王様達が一斉に顔色を変える。

 

「―いかん!!」

 

「皆伏せて!!」

 

 二人の声が飛ぶと同じタイミングで、大爆発が起きた。

 

 な、ななな、なんだこりゃぁあああああ!!!

 




本作では、英雄派はガンガンしょっぱなから話にかかわっていくスタイルをとっております。

というのも、いろいろあって曹操たちの考え方に変化が起こっているからです。

……そのせいで、被害の規模などがシャレにならないレベルに高まっているのですがね。
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