ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

233 / 324
一方そのころ、ヒロイはというと―


第六章 60 

 

 俺は、何とかギリギリで踏みとどまっていた。

 

 糞野郎が。これが伝説の邪龍でも最強クラスの野郎ってことかよ。

 

 龍王クラスを凌駕してやがる。下手しなくても、極覇龍状態のヴァーリを超えてやがるぞ。

 

「むかつく野郎だが、どうやらここまでのようだな、ガキ」

 

「終わり! 終わり!」

 

「風前の灯!!」

 

 アジ・ダハーカも割と傷つけられていたが、図体がでかい事もあって、致命傷には遠いって感じだな。

 

 畜生が。最強の神滅具を使ってこれとか、嫌になるぜ。

 

 いい加減足もがくがくで、いつ原初の水とかいうのに落ちても不思議じゃねえ。それぐらい、俺は自分でも立ってるのが不思議なぐらいだった。

 

 だけどよ。それでも、まだ戦ってやる。

 

 ……この糞我儘野郎なんかに、心まで屈してたまるかよ!

 

「どうした、蜥蜴ぇ。俺はまだ生きてるぜ?」

 

「……ほんとにむかつかせてくれる野郎だな、オイ」

 

 相当むかついているのか、アジ・ダハーカは舌打ちまでしてきやがる。

 

 んの野郎が。舌打ちしたいのは俺の方だっての。

 

「まあいい。むかつくがここまで激しく戦えたのは久しぶりだ。最後に俺の得意技を見せてやるよ」

 

 そう言い放つと、蜥蜴野郎は魔方陣を展開した。

 

 素直に喰らってたまるか。俺は全力で防御態勢を取り―

 

 瞬間、天国を見た。

 

 凱旋パレードの目玉として、ボロボロになりながらも勝利を掴んで、そして俺を見て目を輝かせる子供達の姿を目に焼き付ける。

 

 それはまさに天国だ。輝きという英雄であろうとする俺にとって、子供達が俺を見て目を輝かせるなんて展開は夢以外の何物でもねえ。

 

 そう、そして姐さんもシシーリアもペトもいて―

 

「……ふざけんなよ、この蜥蜴が!!」

 

―その全てに腹を立てて、俺は全力でその幻覚を切り捨てる。

 

 瞬間、俺の意識は激痛と一緒に現実に戻る。

 

 本当に殺意が湧きまくる。

 

 この野郎。俺の誓いを何だと思ってやがる。

 

 んな安い願いじゃないんだよ。俺の輝き(英雄)を目指す想いってのは!!

 

 命の一つぐらいかけてるんだよ。それぐらいしても届かないって自覚してるんだよ。それでも、それでも願ってるんだよ、狂おしいほどに!!

 

 それをこんなちゃちな幻覚で叶えようだ?

 

 しかも姐さんやシシーリアまで出しやがって。

 

 ふざけてやがる。許せねえ。

 

 ああ、本当に痛いほど理解できた。俺はこいつとは理解し合えない。相容れない。不倶戴天の怨敵だ。

 

「ぶち殺す! 絶対殺す!! どうせ何度も蘇るんだから一度ぐらい殺してもいいだろ、あぁ!?」

 

「……まさか一瞬で破るとは思わなかったぜ。いや、流石に悪か―」

 

「詫びても遅い今すぐ死ねやぁ!!」

 

 文字通り限界突破の死力を尽くして、俺はアジ・ダハーカに飛び掛かる。

 

 生体電流強化を意地で一割にまで引き上げ、連続攻撃を叩き込んだ。

 

 ああ、謝っても絶対許さん。

 

 安い幻覚で姐さんを汚しやがって。シシーリア迄汚しやがって。

 

 殺す。ぶち殺す。全殺しだ。

 

 今俺は、コイツを絶対殺すと決心した。

 

「槍王の型ぁああああああ!!!」

 

 クリスマスは病院のベッドで構わねえ。いや、大晦日と正月も差し出してやる。

 

 だから聖書の神の遺志よ、あんたのお膝下で暴れまくるこの糞蜥蜴をぶち殺す力を俺にもってこい!!

 

「っていうかさっさと力貸しやがれ聖四文字ぃいいいいい!!!」

 

 今までにないぐらい、かつてないほど俺は聖書の神の遺志に力を求める。

 

 ああ、今迄は加減してた。信仰心が緩いというか無いに等しい俺が、聖槍を使う事に遠慮があった事もある。それ位には俺は良識というか常識をわきまえてるし、宗教ってものを理解しているつもりだ。

 

 だがもう知ったことか。こうなりゃ曹操と同じ領域に至ることすらいとわねえ。

 

 ホント今すぐ力を寄越せ。多少の代償は覚悟する。

 

 っていうか、あんたのお膝下でふざけた理由の乱暴狼藉を働くこの外道を、さっさと俺にぶち殺させろ!!

 

流星(ながれぼし)! 箒星(ほうきぼし)! 崩星(くずれぼし)!!」

 

 文字通り今までの領域超えた、三連続槍王の型を、三つの首に勢い良く叩き込む。

 

 そして、これで止めだ三つ首蜥蜴!!

 

覇輝(トゥルース・イデア)覇輝(トゥルースイデア)覇輝(トゥルース・イデア)覇輝(トゥルース・イデア)覇輝(トゥルース・イデア)ぁあああああああああっっっ!!!」

 

 俺の心からの全力要求に、聖書の神の遺志も重い腰を上げたらしい。

 

 槍から今までにないほどのオーラが発生。この出力、ロンギヌス・スマッシャー級。

 

 ハイ止めの一撃ぃいいいいいいいいい!!!

 

 辞世の句なんて読ませねえ! 文句は復活してから言いやがれぇえええええええ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その圧倒的な力の奔流に、アポプスとヴァーリは目を見張った。

 

『これは、アジ・ダハーカを圧倒しただと!?』

 

「まさか、ヒロイ・カッシウスがここまでやるとは……っ」

 

 圧倒的すぎる力の奔流は、覇輝によるものだろう。

 

 しかもかなりの怒りの念が込められている。どうやらアジ・ダハーカはヒロイ・カッシウスの逆鱗に触れたらしい。

 

「触れてはならぬところに触れては、龍でなくとも逆鱗に触れられたが如き力を発揮するということか……っ」

 

 相当怒り狂っているのが、この距離からでも分かる。

 

 ヒロイ・カッシウスは今までにないほどの怒り狂っている。下手をすれば、極覇龍状態のヴァーリを圧倒しかねない程にだ。

 

 強い感情は神器の性能を引き出す。そういう意味では、ヒロイはこれまでになく神器の性能を引き出せる状態になっていたのだろう。出来れば闘いたかったとアポプスもヴァーリもそう思う。

 

 そして、この戦いにも引導が渡される。

 

「……どうやら、ニエはこっちに来ていないみたいね」

 

 その言葉と共に、新たな戦士が戦場に参入する。

 

 そして、その戦士は躊躇なく原初の水に舞い降りると、着水してそのまま立つ。

 

 その光景に、アポプスは目を見張った。

 

 直撃させれば天龍すら害せると自負する原初ノ水に、その戦士は遠慮なく触れて何の影響も受けていないのだから。

 

『なんと!? ……貴殿は一体―』

 

 そう言いかけたアポプスの顔面に、冷水が叩き付けられる。

 

「どういうつもりか知らないけれど、流石にこれは見逃せないわね」

 

 不敵な笑みを浮かべ、激痛をやせ我慢で押し殺し、そして結果的に彼女は進化して帰ってきた。

 

「さあ、ヒロイ・カッシウス(私の英雄)が男を見せたんだもの。ここは彼の自慢(英雄)として、気合と入れないとね」

 

 その姿は、まさしく勇士。

 

 傷だらけで満身創痍でありながらも、しかし決して吹けば飛ぶような雑魚ではない。

 

 そして、その心は致命的なまでに恥辱に震えている。

 

 満身創痍で意識朦朧とはいえ、言ってはならない言葉を言ってしまったと思っている。

 

 それが己を救ったとは言え、しかしそれを彼の目の前で言うことは恥じるべきだと心が言っている。

 

 だが、例えそれだけの生き恥をさらしたとしても―

 

「さあ、ヒロイ・カッシウスが活躍したのなら、私もそれだけの活躍をしないといけないから―」

 

 ―彼の英雄(自慢)は、彼の輝き(英雄)でなければならない。

 

「覚悟しなさい。三目の蛇如きが、好き勝手にできるほど神滅具使いの名は安くないのよ」

 

 リセス・イドアル。ここに汚名返上戦突入。

 

 ヒロイ・カッシウスに並び立ち前を往くものとして、生き恥を注ぐべく戦いを開始した。

 




ヒロイ、怒りの連続攻撃でアジ・ダハーカを撃破。許す気がないので謝罪の言葉なんて言わせません。

幻覚で最高の展開を見せられたことが、逆に自分の夢と輝きを汚された気になりキレて火事場の馬鹿力を発揮しました。

そしてリセスも意地で戦線復帰。

精神的には言ってはならない言葉を行ってしまったので絶不調。肉体的にも瀕死の重傷なのでこれまた絶不調。

ですが、バッドコンディション程度で成果を出せない程度では、英雄の英雄になどなれないので。気合と根性、意地と気合で、無理やり成果をだしに戻ってまいりました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。