ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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……どうもヒロイの決断に関して不満が大きいのが残念ですね。

自分に信仰心がろくにないことを自覚しているヒロイとしては、自発的な覇輝の使用を極力避けるのが最低限の礼儀と踏んでいて、今回ブチギレにブチギレて我慢の限界を取パした形です。

……なんていうか、アザゼル杯編はヒロイとリセスではなく新しい主人公を作った方がいいような気がしてきましたね。どっちにしても二人の英雄になる物語はアザゼル杯編に突入する前に決着するので、そのほうがきれいにまとまりそうな気がしてきました。


第六章 六十一 龍鬼の魔獣

 

 イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 ニエは俺達の目の前で、大量のでかいドーインジャーを作り出す。

 

 そしてそのドーインジャーは散開して、瓦礫を掴んでは勢いよく投げつけた。

 

「いくらあなたでも、神器の影響を受けてない物理攻撃は無効化できないでしょう!!」

 

 なるほど! あれなら確かに効果がありそうだ!

 

 神器そのものや神器の加護を受けた力を無効化するリゼヴィムでも、神器が投げつけただけの瓦礫なら、普通にダメージが入るはずだ!!

 

 その手があったか!

 

「はっはっは! 坊や、そんなゆっくりとした玉じゃ当たらないよ?」

 

 それをリゼヴィムは好々爺の表情を浮かべて回避する。

 

 あ、あの野郎回避してんじゃねえよ!! いや、敵の攻撃は躱すもんだけどさ!!

 

 そう思った瞬間、瓦礫が爆発した。

 

 大量の瓦礫が破片になって、リゼヴィムに襲い掛かる。

 

 そして、その光景をみたニエは平然と言い切った。

 

「さすがにもう一手組み込まないと、貴方に傷一つつけれません。それ位はわかります」

 

 ああ、そういや爆発する魔獣を用意してたっけ。

 

 そして、爆発で加速した物体もただのものだから、リゼヴィムの神器無効化能力を無視できる。

 

 こ、この人なんだかんだでセンスある気がするんだけど!?

 

「……ふむ」

 

 そして、その瓦礫の嵐を前にリゼヴィムは一つ頷くと―

 

「……さすがに貴殿を舐めていたようだ。謝罪しよう」

 

 そう今までとは違う口調でしゃべりだしながら、背中から翼をはやして瓦礫を弾き飛ばす。

 

 なんだ? 様子が違う。

 

 まさか、リゼヴィムの奴、本気を出したのか!?

 

「謝罪しよう。私は貴殿らを見誤っていた」

 

 なんか大物っぽい声だしながら、リゼヴィムは不敵な笑みを浮かべる。

 

 そして、俺たちに視線を向け―

 

「貴殿を我が恩人の大敵とみなし、全力を見せよう」

 

 そして、一瞬で姿が消えた。

 

 どこだ!? いったいどこに―

 

 俺がリゼヴィムを探そうとした瞬間、側頭部に衝撃が走る。

 

 そして、俺は勢い良く殴り飛ばされた。

 

「イッセーさん!?」

 

「させんよ」

 

 アーシアの回復オーラが俺に飛ぶけど、それをリゼヴィムは魔力砲撃で吹き飛ばした。

 

 くそ! 放つ攻撃にも神器無効化能力は働くのかよ!!

 

「チッ! ここにきてマジモードとか、さすがに―」

 

「最低限の敬意というものだよ」

 

 ニエが飛び退るよりも早くリゼヴィムは接近して、その顔面をつかむ。

 

 そして魔獣変成が解除されたニエを、そのまま俺に投げつけた。

 

「え、えええちょっとぉおおおお!?」

 

「さ、再禁手化(バランス・ブレイク)―」

 

 激突したぁああああ!?

 

 しかも禁手化を再開されてたからマジでいたい!?

 

 そして気づいたらもうリゼヴィムは真正面に!!

 

「喰らうがいい、ルシファーウイングダンス!!」

 

 いやこれ、やっぱり根っこはいつものふざけてる方なんじゃ―

 

 そう思っている間に三十回は攻撃を喰らった。

 

 いってぇええええ!!! 鎧が一瞬で溶けるからマジでいてぇ!!

 

 ニエもニエで全身を切り刻まれる。

 

「くぅ……ぁあああああああ!?」

 

 激痛に絶叫するニエは、それでも魔獣を動かして瓦礫で反撃しようとする。

 

 だけど、それより早くリゼヴィムの魔力砲撃が魔獣を打ち抜いた。

 

「……神器だよりでは私には勝てんよ。神滅具といえど二つ程度では処理限界を突破できんしな」

 

 クソッタレ!! ニエが裏切ったとしてもどうにかなるから二個も持たせ……二個!?

 

 俺は新しい情報に驚くけど、そんな暇もなくケリが飛んでくる。

 

 とっさに腕を龍化させて防御するけど、それでも追いつき切れずに骨にひびが入った。

 

「さて、遊びすぎを反省したところだ。……とどめと行こうか―」

 

「イッセーさん!!」

 

 その瞬間、回復のオーラが俺に届く。

 

 アーシアも、まだあきらめてないのか。

 

 そしてファーブニルも召喚されてアーシアをかばっている。これなら攻撃は何とかなるか?

 

 そうだよな。だったら俺も―

 

「……ああ、言い忘れていたのだが―」

 

 そしてリゼヴィムは指を動かし―

 

「―君の警戒は怠れないな」

 

 ―その嘲笑と一緒に、アーシアは後ろから貫かれた。

 

「……アーシアぁあああああ!!」

 

 俺が絶叫するその隙をついて、リゼヴィムは一瞬で俺に接近する。

 

「嘆く意味はない。嘆くのなら、そも前線に連れ出すべきではないのだから」

 

 その瞬間、リゼヴィムの拳が俺の鳩尾にめり込んだ。

 

 ……こいつ、強い……っ。

 

 崩れ落ちる俺を見下ろして、リゼヴィムはやれやれと首をすくめる。

 

「言っただろう? 神器だよりでは私は倒せん。貴殿らのように神器が無ければ只人に毛が生えた者では勝てんよ。……だが」

 

 そして俺たちに一瞥もくれず、リゼヴィムは微笑みながらファーブニルに視線を向け―

 

『……許さない』

 

 その瞬間、ファーブニルの突進を受け止め、威力を殺すために全力で後退した。

 

 そしてその瞬間、ファーブニルはリゼヴィムの真後ろに転移する。

 

 あいつがため込んだっていう宝物の力か! 短距離っつっても一瞬で空間転移とかすごい!

 

 だけど、リゼヴィムは翼の一つでファーブニルの突進を横から叩いて機動をそらすと、カウンターで魔力砲撃を叩き込む。

 

 一瞬で百を超える数の魔力が叩き込まれ、ファーブニルの全身が血まみれになった。

 

「言っておくが、今の私は貴殿らを舐めていない。龍王の逆鱗に触れたのだ、相応の礼節を持って対応しよう」

 

『……殺す』

 

 そして、一瞬で禁手が解除された俺では目で追えないほどの速度の攻防が始まった。

 

 や、やばい。マジで目にも止まらない!!

 

 これが、魔王の末裔と龍王の一角のガチバトルかよ……っ

 

 俺は思いっきり呆然になる。っていうか、今のファーブニルなら俺が紅の鎧になっても圧倒できるんじゃねえか!?

 

 これが、龍の逆鱗。これが、ファーブニルの本気なのか。

 

『相棒。何を呆けている!!』

 

 その俺の耳に、ドライグの叱咤が飛んでくる。

 

『あの娘はお前の愛する者の一人だろう? それを傷つけられて、ファーブニルに任せるなどなんて様だ!!』

 

 ……っ。

 

 そうだ。アーシアは俺のことをずっと愛してくれてたんだ。

 

 俺もそれに応えるってもう決めてる。だったら、やることはたった一つだ。

 

「手を貸すよ、赤龍帝」

 

 そして、ニエも傷を魔獣化で修復して立ち上がった。

 

 その目は、かろうじてだけどリゼヴィムを捉えて、そして離さない。

 

「……正直に言えば、今でもリセスにもプリスにも怒ってる」

 

 そっか。今でもまだ許せないか。

 

 だけど、それでも殺さないって決めてくれたんだな。

 

「ありがとな」

 

「礼は良いよ。それよりも―」

 

 そしてニエは、ダメージを回復させているアーシアを見て、もう一度俺に視線を向けた。

 

「大事な何かを汚された怒りは分かるだろう? なら、今ならできるはずだ」

 

 ……マジか。いや、確かに今ならできると思うけど、マジか。

 

 いや。確かにそれならそっちがいいか。うん。それ位の奇跡も許されるだろ。ここは神の奇跡の本場だしな。

 

「……力貸すから力貸せよ、ニエ・シャガイヒ!!」

 

「力を借りるから力を借すよ、赤龍帝!!」

 

 俺達は、その言葉と共に手を合わせる。

 

 そして、俺は今一瞬だけの共感に全力を込めて、譲渡の力を流し込む。

 

 そして、ニエはそれをちゃんと受け取った。

 

「我が英雄とは、我にとっての敵対者なり!!」

 

 渾身の力と共に、ニエは祝詞を紡ぐ。

 

「されどそれでも立ち上がり、進み続けてきたことを我も認めよう」

 

 今での二人に怒っていて、だけどどこかでぶつけるのを我慢している。

 

 それはそれですごいって思うからこそ、俺も力を貸そうって思った。

 

 だからニエ。今だけでいいから力を貸してくれ!

 

「我、赤き龍の怒りと響き、赤き龍に怒りの具現を教えよう!!」

 

 その瞬間、魔獣と化したニエに赤い鱗が大量に浮かぶ。

 

「赤龍帝の戦車の譲渡、龍鬼の魔獣(ドラゴンオーガ・ビースト)。……リゼヴィムさん、恩は(あだ)で返させてもらいます!!」

 

 その瞬間、俺達は一気に突進する。

 

 それを見て、リゼヴィムは何かに気づいた。

 

「神滅具を三つ合わせるか! 流石にそれなら、我もまた本腰を入れた防御を入れるほかない!!」

 

 一瞬で魔力障壁を何百もはり、そしてそれが一つの結界になる。

 

 あの密度、神器無効化能力と合わせりゃ、ロンギヌス・スマッシャーも防ぎ切りそうだな。

 

 だけど、殴るだけなら問題ねえ!!

 

「透過、起動!!」

 

 ニエの拳が魔力障壁を突き抜け、そしてリゼヴィムを掴む。

 

「む? これは……こちらの処理容量の突破ではない!?」

 

 一瞬だけ驚くリゼヴィムに、俺は一歩を踏み込んだ。

 

 その油断が命取りだ!!

 

「喰らえ、この糞ジジイ!!」

 

 俺は渾身の力を込めて、リゼヴィムに拳を叩き込む。

 

 リゼヴィムは嫌な予感を覚えたのか、それを手で受け止め―

 

『Penetrate!!』

 

 その音声と共に、俺の拳はリゼヴィムの手を弾き飛ばした。

 

「……これは! 我が神器無効化能力を無効化している?」

 

 いや、違うぜリゼヴィム。

 

 かき消したんじゃない。すり抜けたんだ!!

 

「これが、龍鬼の魔獣の能力。赤龍帝の力を魔獣変成で再現する力」

 

「―そして、これが反射の対になる赤龍帝の能力、透過だ!!」

 

 俺とニエの拳が同時に放たれ、リゼヴィムは両手を交差してそれを受け止める。

 

 だけど、二天龍の拳を同時に受け切れるわけもなく、勢いよくリゼヴィムは弾き飛ばされた。

 

「我が恩人ですら知らぬ領域か! 聖書の神はよくもまあ、これほどの力を残しておいたもの―」

 

『―うるさい』

 

 そして、感心するその隙が致命的だ。

 

 ……とどめはくれてやる。

 

 やっちまえ、ファーブニル!!

 

『アーシアたんを傷つけたやつ、許さない!!』

 

 勢いよく振るわれたファーブニルの尾が、リゼヴィムを地面に叩き付けた!

 

 

 

 

 

 

 

 

 Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 黒い原初の水が龍のように飛び、リセス・イドアルに襲い掛かる。

 

 アポプスはこのイレギュラーに対して、割と嫌な気分になっていた。故に遠慮は微塵もない。

 

『龍の決闘に水を差した者よ。滅びるがいい』

 

 その言葉は断罪の言葉。

 

 神や魔王すら意にも介さぬ、孤高にして強大な龍としての自負ゆえに放たれる言葉。

 

 それに対して、リセスは睨みを利かせて言葉を紡ぐ。

 

「ほざきなさい、狼藉者。……死者が安らぐこの地に、喧嘩屋の居場所はないと知りなさい」

 

 その瞬間、原初の水が動きを止める。

 

 その要因は極めて単純。よく見れば、アポプスもすぐに気づいただろう。

 

 リセスは煌天雷獄の使い手。煌天雷獄は属性支配の力を持つ。そして、リセスは属性支配に優れた特性を発揮する。

 

 極めて単純かつ簡潔に言おう。

 

 リセスは足下の原初の水を介して、原初の水を支配し始めていた。

 

『……なんと! 人間が我が原初の水を操るとは―』

 

「たかが蛇如きがよく言うわ」

 

 アポプスの言葉を遮る、リセスは両手を構える。

 

 放たれるのは、対物理における歴代煌天雷獄最高効率の奥義。

 

 矛盾許容による熱相転移。極低温と超高熱の合わせ技。

 

「人間を舐めてもらっては困るわ。そして、死した人間の安息の地に、邪悪なるものの居場所はない!!」

 

 そして、リセスは全力をもって跳びかかる。

 

 この一撃は、直撃すれば主神クラスですら一撃で戦闘不能にできるものだ。

 

 それこそが、神や魔王すら倒しうる神滅具。これこそが、その神滅具における第二位の位階。これこそが、その神滅具における一つの究極。

 

『なるほど、これは喰らえんな』

 

 ―そして、それを素直に認める程度には、アポプスは聡明かつ賢明だった。

 

 故にカウンターで莫大な火球を口から放つ。同時に、原初の水の支配を奪還し、周囲を包み込むように放った。

 

 全方位からの圧殺と、一点特化の最大火力。その双方の合わせ技を、リセスは回避できるのだろうか。

 

 不可能だ。物理的に回避する隙が無いこの攻撃を、今迄のリセスでは防げない。

 

 なによりリセスのこの一撃は、単純出力ではなくその特異性によって敵を破砕する技だ。単純火力では火球すら防げず、包囲する原初の水を突破するにも時間がかかる。

 

 ゆえに、今迄のリセスでは防げない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう、()()の、リセスでは。

 

 

 

 

 

 

 

 

「私はね、本当に馬鹿なのよ」

 

 静かに、そうリセスは自虐し自嘲し自戒する。

 

 そうだ。忘れるなリセス・イドアル。

 

 冷静に考えればすぐに分かり、そしてそれだけはしてはならないと考えた。

 

 その結果が、此処まで状況をややこしくした一因だ。

 

 そしてその解決の一手こそ、自分にとっては地でしかない行動なのだ。目覚めて事情を把握した時点で、そうとしか思えない。

 

 そう。リセス・イドアルは何処まで行っても愚か者であり―

 

「―そして、そんな私を英雄(輝き)だと言ってくれた子がいる」

 

 だからこそ、リセスはここで負けることなどありえない。

 

 自分を輝き(英雄)だといってくれた自慢(英雄)が、勝って見せたのだ。

 

 並び立て、そして、前に出ろ。

 

 リセス・イドアルという英雄は、ヒロイ・カッシウスという英雄の前を歩け。

 

 兵藤一誠のような1等星のような英雄でなくていい。それでも、救い上げたヒロイとペトの2人だけは照らせる6等星のような英雄ではい続けろ。

 

 その決意が、リセス・イドアルを新生させる。

 

「―禁手化(バランス・ブレイク)!!」

 

 その瞬間、リセスは一瞬だがこの世界から姿を消した。

 

 放たれた攻撃は空を切り、そして空中でお互いを攻撃して大爆発を起こす。

 

 その爆発の光を背に、リセスはアポプスの眼前に姿を現した。

 

『これはいった―』

 

「ディストピアアンドユートピア!!」

 

 その瞬間、アポプスは驚愕を言い切ることなく全身を粉砕された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 Side Out

 




 ニエをここでイッセーと共闘させて、信頼の譲渡を使わせるのは信頼の譲渡のアイディアが出てからすぐに決定していたことです。能力に関しても大体すぐにまとまりました。決して唐突な思い付きではないので、その辺についてははっきり言っておきます。

 一方リセスの新禁手は、なんとか最近になって組み立てられたものです。なかなかリセスの禁手のアイディアが浮かばなくって。
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