ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ 作:グレン×グレン
撒いていけるところは撒いていきますぜ?
さて、驚きの情報を公開しよう。それも三つ。
一つ。オカルト研究部の部長及び副部長の引継ぎ。
まあ、これに関しちゃ三学期だし当然っちゃぁ当然だ。
で、その部長と副部長。意外な人選と納得な人選がお嬢によってなされた。
部長はアーシア。副部長は木場だ。
まさかアーシアとは思わなかった。お嬢曰く、「今までにないオカ研にしてくれると思った」からなんだがな。
ま、部活の部長ぐらいならこれぐらいの茶目っ気は赦されるだろ。別に本格的に発表会して賞を取ったりとかするわけじゃねえ、半分お遊びの部活なんだからよ。
そして木場はそういうのに向いてそうだからな、これはいい感じだろ。
ちなみに副部長である朱乃さんが兼任していたお茶係は、レイヴェルになった。
……一応フェニックス家本家のお嬢様なんだが、いいんだろうか?
「かまいませんわ。部活動ぐらいでとやかく言うような両親は持っておりませんし、何より楽しいですもの」
レイヴェルや。なんで俺の心を読む。
まあそれは良い。で、二つ目だ。
こっちはもっと驚くだろう。
次期生徒会長にゼノヴィアが立候補した。これは驚き以外の何物でもねえ。
……心配だ。アイツ基本天然だから、現生徒会長のソーナ会長のような執政は期待できねえ。何かやらかす、絶対やらかす。
心配だぁ。
そんな俺の心配の感情がこもった視線も気にせず、ゼノヴィアは部室で選挙を狙っての準備をしている。
「うん。やっぱりこれは「アンドレ!」とか言った方がいいんじゃないか?」
「そうねー。ゼノヴィアっちなら確かにそういうの言ってもネタで流されるだろうし、「ふざけんな!」ってツッコミが出てくることはないわね」
と、大ボケをかますゼノヴィアに燃料を透過する桐生をみて、俺はため息をついた。
そう、桐生だ。
三番目。桐生がいつの間にかゼノヴィアのお得意様になっていた。
何でも12月にたまたま悪魔召喚をしたらしい。俺が寝込んでいるころには、とっくの昔にお得意様になってたって話だ。
聞いてねえよ。桐生も一言言えよ。
まあ、これも日常そのものは平和な証かねぇ。
そして、そんな平和にひびが入ったのは、その日の夜だ。
「集まってくれて助かった。で、今日はちょっと微妙な知らせがある」
と、アザゼル先生が俺たちを呼び出して緊急連絡だ。
……やっぱあれか。俺に接触してきた姉ちゃんか。
「で、総理は一体何したんすか?」
俺が頭抱えながら聞いてみると、その肩に手が置かれた。
ああ、同情してくれてありがとよ。
そんな感謝の視線を向けてみれば―
「悪かったな兄ちゃん。まだあの時は未定でよ」
などといってからからと笑う、総理大臣がいた。
い、いつの間に入ってきやがった!?
みれば全員結構本気で驚いてる。イッセーなんぞ驚きのあまり椅子から落ちた。
このオッサン、神出鬼没過ぎる。フットワークが軽いとかいうレベルじゃねえぞ!!
「相変わらず凄腕だな。神器込みなら人間でも最強クラスなんじゃねえか?」
「まあな。たまたま仕事が開いたんで、詫びもかねて直接説明しようと思ってよ」
と、アザゼル先生と和やかに会話してんじゃねえよ。
「そ、そそそ総理? で、なんなんですか、その説明って」
イッセーが気を取り直して尋ねると、総理はすぐに気が付いて振り返った。
で、軽く一枚の資料を配ってくれた。
なになに……?
自衛隊と悪魔祓いによる合同軍事演習。
「あの、総理大臣? これはどういうことですか?」
お嬢が半ばぽかんとして聞いてくる。
悪魔祓いと、自衛隊が、軍事演習か。
ま、これそのものは驚くほどじゃねえかもしれねえな。
「なるほど。確かに表の軍隊と裏の戦闘組織の連携は必要ですね」
ソーナ会長がそう納得する。
だよな。
今後は表と裏が協調するのはほぼ確実なんだ。なにせ、もう重要な部分は公開されてるんだから、連携を取って活動するってのもありだろ。
こと自衛隊は異能関係を積極的に取り込んでいる組織だ。そのレベルは、ある意味でヴィクターの構成国家の軍隊を超えているといってもいい。
つっても、それになんで俺らが集まって会話するほどのことが?
「それについて何だが、日本政府から直々にグレモリー眷属とシトリー眷属に依頼したいことがあってよ」
ん? 何ですかい総理。
いや、それになんで俺やイリナが? っていうか、デュリオまでいるのはマジでなんで?
「はいはーい。総理さん、それって俺たちも聞いてていいんすか?」
ほら、デュリオも疑問に思ったのか聞いてきたし。
で、それを受けて総理はうなづいた。
「ああ、それについても説明するが、その前に言うことがある」
なんですかい?
「……悪魔祓いを中心とした一部の信徒は、ストレスが限界に達してるってわかってるか?」
……っ。
確かに。
俺に態々接触する連中まで出てるしな。いろいろと迷走というか、暴走寸前になってるのはなんとなくわかる。
俺たちがちょっと背筋を伸ばしたのがわかったのか、アザゼル先生も頷いた。
「これまで千年以上にらみ合ってきた三大勢力。その和平ってだけで青天の霹靂だってのに、さらに他の神話や吸血鬼に妖怪と、敵対して当然の連中ともすぐさま和平。……そもそも前提である聖書の神まで死んでるってこともあり、信徒の連中はいい加減ついていけなくなってるってわけだ」
たしかになぁ。
「ま、やらなきゃまずいってわけでもあったんだが、その辺のフォローが足りてねえのはいただけねえ。俺も嫌な予感がしたんでセラフのお偉いさんにアドバイスしてたんだが、ちょっと遅すぎたみてぇでな」
総理もそう言って肩をすくめる。
んでもって、アザゼル先生にも半目を向ける。
「俗物や凡人にゃ、その辺の急展開はついていけねえってわけだよ。賢者の歯車だけで動かそうとするから、こういうところで軋みが出るってわかってるかい?」
「耳が痛いな。まぁ、俺らの場合は上と下で極端に分かれてるってのが一番ひどい理由なんだがよ」
確かに、結構綺麗に問題児と優等生が分かれてるよな。
そういう意味じゃ、悪魔祓いのような普通レベルが少ない気はする。ちょっと対処が遅れるのも無理はねえか?
「確かにな。……悪魔祓いの大半は、かつて家族や友を悪魔や吸血鬼に殺されたものだ」
ゼノヴィアは、それに理解があるのか少し頷いた。
イリナもまた、ちょっと納得したのかしょぼんとしてる。
「自分の仕事や望み。……生きがいを奪われたにも等しいのかもしれないわね」
ああ。そう言われるとマジで納得する。
英雄目指している身としては、それを完全に妨害されたらかなり腹が立つだろうしな。
今の悪魔祓いの連中は、まさにそういうわけだ。
こんなもん「それが正しいからそうしなさい」で終わられても納得できねえよな。そりゃそうだ。
俺らが少し納得の表情になったところを見計らって、総理は再び合同軍事演習の資料を持つ。
「そこでだ。ガス抜きもかねてこの軍事演習をすることになった。かなり纏めてるからよく見てみな」
そう言われて、俺たちは軍事演習の資料を見る。
システムはどっちかというと模擬戦だな。それも、レーティングゲームのシステムまで使ったものだ。
確かにレーティングゲームのシステムを使えば、マジバトルに限りなく近い模擬戦ができる。死者が出てくる確率も大幅に抑えられるしな。
で、これを俺らに見せるってことは―
「単刀直入に言う。この模擬戦にあんたらも参加してほしい。御使いの連中にゃぁセラフから連絡が来るだろうが、俺から先に伝えとこうと思ってな」
総理の言葉に、少し戦慄が走る。
「そう言うことですか」
会長が、全てを理解したのか息を吐いた。
「……軍事演習はあくまで数の差を補うための名目。本来の目的は、全ての始まりであるコカビエル襲撃に関与している私達を悪魔祓い《彼等》にぶつけることで、一気にガスを抜くことですか」
「ああ。さすがにこれ以上は爆発しそうなんでな、ならいっそのことこっちで爆発のタイミングを誘導させるってのが狙いだ」
総理、ホント凄いこと考えるな。
つまりあれか。悪魔祓いの数は圧倒的に多いから、自衛隊員でその数の差を埋めるのがこの軍事演習か。
で、その真の目的は軍事演習にかこつけて俺らを悪魔祓いにぶつけさせること。
確かに、俺らがコカビエルと戦ったのが和平成立のきっかけだ。不満がたまってる悪魔祓いからしてみりゃ、思うところはあるんだろう。
なんか、体のいい当て馬されてるようでちょっと気に食わねえが……。ま、確かにガス抜きの相手としちゃぴったりか。
「……理解はしてくれたみてえだな。なら、話をつづけるぜ?」
と、総理がさらに話を進めてくる。
こりゃ、ちょっとばかし楽しいイベントですますわけにはいかねえようだな、オイ。
大尽総理がうごき、悪魔祓いのクーデターは未然に回避。
まあ、これに関しては三大勢力の不手際もありますからね。三大勢力の運動会に悪魔祓いを参加させなかったのは不手際でしょう。……して必ずどうにかなるかとまでは言いませんが。
実をいうと個人的にはヴァルキリー編移行の四章そのものがD×Dでは少し苦手だったり。
なんていうか、D×Dのノリじゃないっていう気がするんですよ。無理に冥界の問題とカを盛り込んでる気がして、なんていうかD×Dのテンションじゃないっていうか。