ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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そんなこんなで演習準備中。

つっても下見をするのはD×Dだけではないわけで……。



第六章 66 我ながらガキくせぇ……byヒロイ

 

 何て心配に思いながらも、とりあえず下見は終了した。

 

「とりあえず、演習開始後に真っ先に悪魔祓いが向かいそうなポイントは二つほど絞り込めたわね」

 

 と、お嬢がまとめて立ち上がったその時だ。

 

「……ほほう。貴殿らはD×Dの者たちか」

 

 その声に、俺は過剰に反応してしまった。

 

 とっさに聖槍すら出して振り向いて、さすがに失敗した。

 

 そのせいで、声を放った人の周りにいる悪魔祓いたちに警戒心を植え付けちまったな、こりゃ。

 

「……貴様、猊下に無礼な」

 

「聖槍使いの面汚しらしい反応だな」

 

「あれが、頭の痛くなる奇跡か」

 

 やべえ。取り巻きの悪魔祓いたちがマジギレだよ。

 

 これ、演習前に一戦することになるんじゃねえか?

 

 俺が不安になっている間に、その件の爺さんが両手を上げて、その悪魔祓いたちを押さえてくれた。

 

「よい。この者にはいい感情を抱かれてないのでな」

 

 そうして悪魔祓いたちを諫めると、その爺さんはお嬢に微笑を向けた。

 

「お初にお目にかかる、リアス・グレモリー嬢。私は司祭枢機卿のヴァスコ・ストラーダだ」

 

 その言葉に、かなりのメンツが目を見開いた。

 

 そりゃそうだ。下見の段階で出くわす可能性はあったが、まさかいきなり話題に出てきた超大物が出てくるだなんて思わねえよな。

 

 それにこの爺さん、ガタイが良すぎるからな。

 

 首から下だけ見て80越えのジジイだなんて言われても、誰も分からねえだろ。それ位には体が鍛えこまれてやがる。

 

 お嬢たちもそんな感じで、驚いていた。

 

「……あなたがヴァスコ・ストラーダ?」

 

「いかにも。私が、そこの戦士ゼノヴィアの前任のデュランダル使い、ヴァスコ・ストラーダだ」

 

 お嬢が思わずもう一度聞くのも無理はねえ。

 

 87のジジイが、プロレスラーも真っ青な体してるんだからな。腕なんてイッセーの胴に近い太さだしよ。

 

 でまあ、その爺さんが一体なんでこんなところに?

 

「……猊下、総理の入れ知恵ですかい?」

 

「その通りだとも、戦士ヒロイ。総理から「今行けばグレモリー眷属を直に見れる」と言われたのでね、こうして見に来たのだ」

 

 あのオッサン。マジ勘弁してくれよな、オイ。

 

 俺がため息をついていると、ストラーダ猊下の視線が俺に向けられる。

 

「戦士ヒロイ。……まだ英雄になりたいかね?」

 

 ストレートに聞いてきやがったな。

 

 まあ、真正面からダメ出しした身としちゃ、俺がまだ目指しているかどうかについては思うところがあるんだろうよ。

 

 そして、そんなもんは決まっている。

 

「笑わせないでくれ、猊下。……すでに俺はシシーリア・ディアラクやペト・レスィーヴ、そしてリセス・イドアルの輝き(英雄)だ。そして、その上を目指し続けているともさ」

 

 はっきり言ってやった。

 

 ああそうだ。俺は姐さんたちの輝き(英雄)だ。その事実になんのずれも存在しねえ。

 

 誰が何と言おうと、俺は彼女たちの英雄だ。

 

 まっすぐに見返してやると、ストラーダ猊下は少し苦笑した。

 

「……ふむ。道を曲げずに確かに形にした以上、周りがとやかく言ったところで意味はないか」

 

 そりゃどうも。

 

 ま、言いたいことはわかるがな。そうじゃないんだよ俺たちにとって英雄ってのは。

 

 ……あんたにとって俺が英雄じゃなかろうと、そんなもんは関係ない。

 

 リセス・イドアルは俺の心を照らした。俺はそんなリセス・イドアル達を照らすことができた。この時点で、俺は英雄にはなれている。

 

 それで話は終わってる。あんたと俺とでは英雄の定義が違う。

 

「がむしゃらにぶつかるんじゃなく、どうすればなれるか考え続けてきたからこそなれた英雄だ。あろうとするんじゃなくてなろうとしたからこその結果だ。……なろうとしたことのないあんたに文句は言わせねえ。これが、俺の英雄だ」

 

 心底心からはっきり言うと、俺はそのまま踵を返す。

 

 周りの悪魔祓いの睨みがそろそろ限界近いんでな。やばくなる前に逃げさせてもらう。

 

 これ以上俺からあの人に言うことはねえ。それでも俺を英雄と思わねえなら、もう勝手にしてろってんだ。俺も勝手にする。

 

 ガキ臭いのはわかっちゃいるが、それでもこれは、譲れねえ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ひ、ヒロイの奴なんか怒ってなかったか?

 

 俺が戸惑っていると、ストラーダ猊下の近くにいた悪魔祓いが歯ぎしりをした。

 

 奥歯をかみしめて、ヒロイが去っていったほうを睨み付けている。

 

「あんな男に、並行世界のとはいえ聖槍が宿るなどと……っ」

 

「同感だ。リムヴァン・フェニックスめ! ふざけたことをしてくれる」

 

「猊下に対して無礼千万、演習の時は遠慮はせんぞ」

 

 うっわぁ、すっげえいら立ってる。

 

 しかもその勢いで、俺たちにまで敵意が向けられてる気がするんだけど。

 

 いや、元から敵意満々な視線を向けてたけどさ。さっきよりもなんていうか、鋭くなってないか?

 

「落ち着くのだ、戦士たちよ」

 

 と、そこでストラーダ猊下が右手を上げてなだめる。

 

 こ、このおじいさんは、特に俺たちに敵意は向けてないから安心できそうだ。話が分かる人なのかな?

 

「……彼はまだ、その道を進むということか」

 

 ん? この人もこの人で、ヒロイに対して思うところがあるんだろうか。

 

 と、爺さんは息を吐いて気持ちを切り替えると、俺に視線を向けた。

 

「貴殿が赤龍帝ボーイか」

 

「あ、はい。兵藤一誠っす」

 

 なんだなんだ? 俺に興味津々?

 

 いや、マジで勘弁してほしい。ヴァーリとか野郎に熱視線をもらうのはやめてくれってんだ。ここに爺さん迄集まったら雄度がいろんな意味ですげえ。

 

 集まるのは女の子だけで結構です! きゃっきゃうふふな展開さえあれば、俺は文句とか言ったりしないから!!

 

「……冥界の英雄、おっぱいドラゴン。一つ聞きたいが、君は英雄を目指したことがあるかね?」

 

 と、猊下はそんなことを聞いてくる。

 

 ん? この人も英雄に対して一家言ある口か?

 

 ヒロイもリセスさんも曹操も、「英雄」にこだわりがある感じだよな。っていうか、そういうの本当に多いな。

 

 でも、ぶっちゃけ俺にはよくわからねえからなぁ。

 

「いや、俺はハーレム王目指してます!! あとは仲間たちとの平和な日常ぐらいです!!」

 

 とりあえず正直に答えてみるぜ! こういうのはうそつかないのが一番だよな!!

 

 後ろの悪魔祓いの人たちは半目であきれたり侮蔑の視線を向けてきたのが残念だ。

 

 やっぱりエロエロなのは、教義的にアウトですか? 煩悩だらけなのは清貧を尊ぶ教義的に駄目ですか! すいません!!

 

 でも、ストラーダ猊下は微笑むと俺の肩に手を置いた。

 

 ……一応警戒はしてたんだけど、

 

「それでいい。そうであったからこそ、君は英雄と呼ばれるようになったのだろう」

 

「そ、そうです……か?」

 

 なんかよくわからんけど、褒められたんだよな?

 

 ただ、いい加減修羅場を潜り抜けて自信がついてただけあって、こうも簡単に触れられるとちょっとショックだなぁ。

 

 そんでもって、猊下は悲しそうな視線をヒロイが去っていった方向に向ける。

 

「……いい経験になると思うのだが、それでもなお道を曲げないというのか」

 

 な、なんかヒロイに対して思うところがあるのか? ヒロイも結構猊下のことを意識してたっぽいけど……。

 

 英雄を目指すことうんぬん言ってたけど、なんかあるんだろうか。

 

「猊下、ヒロイと個別に認識があるのですか?」

 

 と、ゼノヴィアも同じ疑問を持ってたのか、おずおずと尋ねた。

 

 おお、ゼノヴィアのこんなところなかなか見ないぞ。珍しいな。

 

「うむ。以前に「英雄になるにはどうすればいいか」と聞かれたことがあってな。その時の目が印象に残っていたのだよ」

 

 そ、そうなのか。

 

 確かにヒロイ。本気で英雄を目指しているからな。

 

 この人、悪魔祓いの中じゃ英雄扱いされてるみたいだしな。参考意見でももらおうとか、思ってたのか?

 

 で、それが原因でなんで険悪な視線を向けられるように。

 

「私は、自分が英雄と褒めたたえられているのは自覚している。だが、自分が英雄などとは思っていない」

 

 あ、それはなんとなくわかるかも。

 

 俺も冥界の英雄とかいわれてるけど、別に英雄だなんて思ってないしな。なろうとしたわけじゃないし。

 

 夢をかなえるためにがむしゃらに突っ走ってたら、いつの間にか英雄扱いされてるんだよなぁ。

 

「……ゆえに私は彼らのために英雄であろうとしている。ただそれだけだ」

 

 なるほど。この人確かにかっこいいや。

 

 英雄って呼ばれてるのが何となく理解できる。それぐらい、信徒達にはかっこよく映ってるんだろうな。

 

「英雄とは、目指す者やなるものではなく誰かに認められるものだ。自ら英雄を名乗るなど愚かなことだと言ったのだが……」

 

「別にいいじゃない」

 

 気づかわし気なことを言う猊下に、リセスさんが口を開いた。

 

 気づけば、リセスさんもなんだが不機嫌な表情を浮かべている。

 

「ストラーダ猊下だったかしら? 誰かに認められて英雄になるのなら、それこそヒロイはすでに英雄だわ」

 

「ほう?」

 

 猊下からの視線をまっすぐに受け止めて、リセスさんは胸を張った。

 

 そこには、自分の宝物を誇る気持ちがあった。そして、宝物を馬鹿にされた人のイラつきがあった。

 

「彼は私やペトの英雄。そして、シシーリアの英雄よ。だから何の問題もなく英雄を名乗っていいはずだわ」

 

 そう言うと、リセスさんは得意げな笑みを浮かべる。

 

「それは、彼が英雄を目指し続けてきたからこその結果だと思うけれど?」

 

 リセスさん……。

 

「リセスって、ヒロイのこと大好きよね」

 

「それはもう。私の英雄ですから」

 

 リアスの微妙に茶化すような物言いに、リセスさんは動じることなくはっきりと言い切った。

 

 すげえ、胸すら張ってるよ。

 

「お、俺もリアスのこと大好きだから!! めちゃ大好きだから!!」

 

 なんか対抗心が芽生えたので、とりあえずそう言っとく。

 

 うん。俺もリアスのことが大好きだから!! めちゃ大好きだから! 心の底から愛してるから!!

 

 あ、リアスが顔真っ赤にした!!

 

「イッセー。そういうのはもうちょっと空気を読んで―」

 

 ごめんなさい! なんか対抗したくなって、つい我慢できなくなっちゃって!!

 

 でも、俺もリアスのことが大好きなんだ。リセスさんがヒロイのこと大好きなぐらいには大好きで、愛してるんだ。いや、それ以上だって言いたくなるぐらいなんだ。

 

 だから届けこの想い!!

 

 と、そこでゼノヴィアが少し怒った表情で立ち上がった。

 

 あ、ちょっと空気読まなさ過ぎたか?

 

 そういえば周りの悪魔祓いの表情も、俺見て険しくなってる気がする。信徒的に、枢機卿をないがしろにするのはあれか?

 

 マジごめんなさい!!

 

「リアス前部長!! 前部長ばかりずるいぞ!! 私もイッセーに愛していると言われたい!!」

 

「え? そっち?」

 

 木場が俺のツッコミを代弁してくれたよ。

 

 いや、ゼノヴィアちょっと待て。お前枢機卿を前に信仰心厚いのにそれはどうなんだ!?

 

 しかしゼノヴィアだけにとどまらないのがこの展開だった。

 

「はぅうう!! リアスお姉様ばっかりずるいです!」

 

「まったくだわリアスさん!! 信徒の前なんだから、ここは転生天使のなかでもミカエル様のAである私こそが言われるべきなのよ!!」

 

 アーシアとイリナまで参戦してきた!?

 

 いやいや、そこの教会トリオ!! 枢機卿の前だよ!? もうちょっと自重しよう!?

 

「あらあら。これは私たちも負けてられませんわ」

 

「こ、この状況下でも取り合いが発生するなんて……!」

 

「……いや、さすがに空気を読むべきかと」

 

 と、思い思いに朱乃さんやレイヴェルや小猫ちゃんも言ってくる。

 

 っていうか小猫ちゃん。目で俺に文句言ってるのがよくわかるんだけど?

 

 なんかグダグダな展開になってきたなこれ。悪魔祓いの人たち、怒ってないだろうか。

 

「はっはっは! なるほど、これもまた和平の成果ということか」

 

 あ、よかった。

 

 猊下は特に不満に思ってないみたいだ。本当によかった。

 

 でも、周りの悪魔祓いの人たちは、イリナにまで敵視の視線を向ける。

 

「悪魔に愛をささやくか」

 

「転生とは言え、天使ともあろうお方が……」

 

 ……やっぱり、根深い不信の感情がこもってるな。

 

 いきなりの和平についていけない人たち……か。

 

 俺は聖書の教えを信仰しているわけじゃない。っていうか、日本人らしい無宗教な感じだ。だから、そういうのはよくわかんねえ。

 

 だけど、やっぱり平和が一番だと思うんだけどなぁ。

 

 ……まあ、俺もリゼヴィム達と仲良くしなさいとか言われたらさすがにいやだけどさ。でも、リアスたちは別にリゼヴィムみたいな糞野郎じゃないんだしいいと思うんだけど。

 

 いや、上役たちは結構あれな人も多いからな。その辺もあるのか?

 

 なんて考えていると、猊下の視線がゼノヴィアにもう一度移った。

 

「戦士ゼノヴィア。デュランダルはうまく扱えているかね?」

 

 やっぱり、ゼノヴィアはヒロイとは別の意味で気にかけてるな。

 

 やっぱり前任のデュランダル使いとしては、思うところがあるって感じか?

 

「……それは、演習でお見せしたいと思います」

 

「それでこそだ。デュランダルは言葉よりまず行動で示すべきだろう」

 

 ゼノヴィアの答えにうんうんとうなづきながら、猊下は手を放すと悪魔祓いたちを連れて去っていく。

 

「では、演習で相まみえるとしよう」

 

 ………。

 

 あれが、司祭枢機卿、ヴァスコ・ストラーダ猊下か。

 

 なんつーか、すげえ人だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Side Out

 




 ヒロイとしても大人げないのはわかっていますが、しかしどうしてもモヤッとするのもまた事実な感じですね。

 そしてそんなヒロイをみて、そんな奴に聖槍が宿っていることにイラつく悪魔祓い。微妙に悪循環です。
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