ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ   作:グレン×グレン

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第一章 11 二つの聖槍

 

 ……爆発が起きるが、奇跡的にも全員無事だった。

 

 危ねぇなオイ。間違いなく今ので俺達の半分以上をぶち殺す気だったぞ、オイ。

 

 そんな攻撃を喰らって、人間である俺、ヒロイまで完全に無事だったのは、各勢力の首脳陣が一斉に防御障壁を張っていたからだ。

 

 とっさに張ったものとはいえ、協力しなければいけなかったとか、どんだけだよ。

 

 俺がちょっと戦慄していると、まだ輝いている魔方陣から一人の美女が姿を現す。

 

「ごきげんよう、偽りの魔王とそれに与する愚かな天の使い達。私のことは覚えていますか?」

 

「……カテレア、やはり君達も動いていたか」

 

 その女性に、サーゼクス様が苦虫を噛み潰したかのような表情を浮かべる。

 

 カテレア、カテレア……ねえ。確かどっかで聞いたことがあるような気がするんだが、どこでだ?

 

 俺の疑問に答えるように、ミカエル様が警戒心を強めて口を開く。

 

「先代レヴィアタンの末裔、カテレア・レヴィアタン。和平成立を真っ先に妨害するのはあなた方旧魔王派だと思っていましたが、やはり来ましたか」

 

 思い出した!

 

 先代四大魔王の血を継ぐ者を筆頭とする旧魔王派。

 

 先代魔王が滅びた後も徹底抗戦を主張して、現四大魔王達に追放されたとかいう、あの旧魔王派の代表の一人か。

 

 確かに、徹底抗戦を謳っていた奴らなら、和平なんぞ認めるわけがねぇわな。

 

「わかっているとは思いますが、あえて言いましょう。我々旧魔王派はその殆どが禍の団への参加を決定しました」

 

 その言葉に、俺達は全員警戒心を強める。

 

「……カテレアちゃん! なんでこんなことを!?」

 

 セラフォルー様の悲し気な声に、カテレアは忌々し気に顔をゆがめる。

 

「貴女に言われたくありませんね、セラフォルー。この私からレヴィアタンの座を奪っておきながらよくもぬけぬけと……!」

 

 かなりイラついた状態にカテレアだが、状況が有利とみたのかすぐに冷静さを取り戻す。

 

 状況は自分に有利だとわかってやがる奴の表情だ。

 

 んの野郎。神滅具が四つもいるってのに余裕綽々じゃねえか。

 

「ここになって新旧魔王の確執が爆発したってわけか。ま、動くとしたらここしかないわけだがな」

 

「すまない。こんなことが起きないよう、目を光らせていたつもりだったのだが……」

 

 サーゼクス様。アザゼルは茶化しているだけだと思うんでスルーでいいっす。

 

 てか、余裕だなアザゼル! 状況わかってんのか!?

 

「カテレア・レヴィアタン。オーフィスに下ったというのですか?」

 

「その通りですミカエル。オーフィスによってもたらされる力を使い、私達は世界を変革します」

 

 ミカエル様の言葉を肯定したカテレアは、得意げな笑みを浮かべる。

 

「とはいえ、あくまでオーフィスは我らが新世界の象徴ですが。システムそのものは私達が構築します」

 

 スケールでかいな、オイ!!

 

 なに、こいつら世界征服でもする気なの!? 馬鹿なの!?

 

 ってかオーフィスとか世界最強らしいじゃん! そんなの敵のバックについてるとか、かなりやばくねぇかよオイ!!

 

 俺達が、そのちょっとシャレにならないやばさに程度はともかく戦慄したその時だった。

 

「……くっくくく」

 

 アザゼルが、腹を抱えて笑いをかみ殺していた。

 

 いや、これ声がでかいから挑発でそうしてんだろう。

 

 もちろんカテレアも聞こえているから、一気に不機嫌な表情を浮かべる。

 

「何がおかしいのですか、アザゼル」

 

「いや、だってお前さんよぉ。さっきからテレビ番組で真っ先にくたばる悪の幹部が吐くセリフだぜ?」

 

 その言葉に、カテレアの頬がひきつった。

 

「いや、しっかしそういうやつに限って最初の難関らしく結構強いから困るんだよなぁ。……どうせ、オーフィスから何か貰ってんだろ?」

 

「ええ、彼には力を貰いました。この力をもって私達は冥界を変革する」

 

「だからそれが真っ先にくたばる連中の定番だってんだよ、馬ぁ鹿」

 

 カテレアの宣言をそう茶化すと、アザゼルは一歩前に出た。

 

「サーゼクスにセラフォルー。こいつは俺がもらう。いいな」

 

 つやのある黒い翼を広げて、アザゼルは臨戦態勢に入る。

 

 それをみて、サーゼクス様は視線をカテレアに戻した。

 

「………下るつもりはないのか、カテレア」

 

 正真正銘の最後通告。返答次第で戦闘が勃発する。

 

 そして、その返答は俺でもわかるぐらいわかりきっていた。

 

「あなたは良い魔王でした。ですが最高ではありません。私達は新たな魔王として君臨させてもらいます」

 

「そうか。……残念だ」

 

 その言葉を合図に、二人は壁を吹っ飛ばして戦闘を開始した。

 

「堕ちた天使の総督よ! 我らが新世界の礎となりなさい!!」

 

「かかってこいや終末の怪物の末裔! いっちょハルマゲドンとしゃれこもうや!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺の目の前で、とんでもない超絶バトルが繰り広げられている。

 

 コカビエルとコカビエルが戦ったらああなるんだろうなってレベルの激しい戦いだ。流石各勢力のトップ同士の激突。

 

 ぶっちゃけ、近くにいたら余波で俺死にそう。

 

「……リアス、いや、皆」

 

 その戦いを見守りながら、サーゼクス様がお嬢を含めた俺たちに告げる。

 

「私達は人間達に被害を生ませない為にも結界を維持しなくてはならない。そして護衛部隊は地上の対空砲火と空の攻撃を同時に凌ぐので手いっぱいだ。誰かが数を減らす必要があるが、白龍皇は絶霧が抑えている」

 

 その言葉に視線を逸らすと、既にヴァーリとゲオルクの戦いはヒートアップしていた。

 

 霧に紛れてあらゆるところに転移しながら、霧を利用してあらゆるところから魔法を叩き込むゲオルク。

 

 その攻撃を時に半減して時に弾き飛ばして迎撃しながら、反撃の砲撃を放つヴァーリ。

 

 こっちもこっちで超絶バトルだ。どこもかしこも俺より格上が多すぎだろ。

 

 で、今は姐さんが一人で魔獣の相手をしてるが、流石に数が多すぎる。

 

「リセスくんのサポートを頼む。おそらく敵も追加が来るはずだ」

 

「魔王様の勅命とあれば、断る理由はありませんわ」

 

 お嬢は真剣な表情で頷くと、後ろを振り向き俺達に檄を飛ばす。

 

「私の可愛い下僕達! 三大勢力の会談を妨害した狼藉の報いを味合わせるわよ!」

 

『はい、部長!!』

 

 一斉に返事を知るイッセー達を見て、俺も聖槍を構える。

 

「んじゃ、俺も仕事をきちんとするしかないわな」

 

「同感ですね。私達も私達にできる事をしなくてはいけません」

 

「了解です、会長」

 

 ソーナ会長と椿姫副会長も戦闘態勢に入る。

 

「サポートタイプのギャスパー君とアーシアちゃんは任せてねん」

 

「何とか通信の復旧も試みます。皆さん、どうか凌いでください」

 

 セラフォルー様とミカエル様の言葉に頷き、俺達は覚悟を決める。

 

 そして、俺達は一斉に駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「姐さん! 無事か!」

 

「ヒロイ? あなたも来たの?」

 

 かすり傷一つなく戦闘をこなしている姐さんに駆け寄り、俺は聖槍を構える。

 

 魔獣達は姐さんが起こした竜巻に吹き飛ばされるが、しかしそれでも数が圧倒的に多い上に、いい加減学習したのか近づいてこない。

 

 これは俺も接近して戦闘した方がいいかね。

 

「流石に疲れただろ? 一回アーシアのところに行って休憩しとけよ。こっちは俺が何とかする」

 

「大丈夫よ。この程度でやられるほどやわじゃないわ」

 

 くぅーっ! 震えること言ってくれるぜ!! 流石は俺の英雄だな、オイ!

 

 いかんいかん。今は戦闘中だから気を引き締めねえと。

 

「ここは大丈夫だから、あなたは他の方面を頼むわ。これでも期待してるのよ?」

 

「OK姐さん! 期待に応えて見せるぜ俺は!!」

 

 気合入る声援までくれるとは最高だな。よっしゃ、俺も頑張るぜ!!

 

 そしてとにかく敵の集まっているところに駆け出そうとした時だった。

 

「……いや、その必要はないさ」

 

 声が、後ろから聞こえてきた。

 

 俺と姐さんは同時に振り返り、得物を突き付ける。

 

「誰かしら? まあ、予想はできてるけど」

 

「どうせ敵だろ? 遠慮なくぶっ飛ばしてやろうぜ?」

 

 この状況下で俺達に突っかかってくる奴は敵でいいだろ。

 

 どちらにしたって、遠慮何てしてる必要はないんだからな。

 

 その対応に、目の前にいる奴は苦笑を浮かべる。

 

「やれやれ。流石に神滅具の使い手なだけあって勇ましいことだ」

 

 目の前に立っているのは一人の青年。

 

 イッセーより少し年上程度のその男は、学生服のような服に、さらに中国に民族衣装を腰につけていた。

 

「初めまして、リセス・イドアルにヒロイ・カッシウス。俺は禍の団の英雄派を率いている、曹操というものだ」

 

 その曹操とか名乗った男は、笑みを浮かべると楽しそうな表情を浮かべた。

 

「神滅具の偽りの使い手二人よ。どうか、俺が今どこまでできるかの試金石となってくれ」

 

「……偽りぃ? おい、俺にしろ姐さんにしろ、正真正銘神滅具の使い手だぜ?」

 

「デュリオとかいうのが煌天雷獄(ゼニス・テンペスト)を持っているのと何か関係があるのかしら? それなら、聞き出しておいた方がよさそうね」

 

 俺と姐さんはいつでも仕掛けられるように腰を落としながら、曹操を警戒する。

 

 よくわからねえことを言っているのは確かだが、わかることもある。

 

 こいつは、おそらく俺達よりもテロ勃発前に発覚した煌天雷獄のダブリについて詳しい。

 

「あなたは、私に神器を売った男の知り合いか何か?」

 

「肯定しよう。だが、それ以上を知りたいのなら手合わせをしてもらう」

 

 なるほどわかりやすい。

 

「つまりぶっ倒せば吐くってことか!!」

 

 俺は遠慮なく聖槍を構えて接近する。

 

 何だろうが、どっちにしたって敵だってことには変わらねえんだ。

 

 だったらさっさとケリをつける!! 奴に何かさせる隙は与えねえ!!

 

 俺の突進を見て、曹操はにやりと笑う。

 

「手札を出させることなく倒す算段か。だが―」

 

 曹操は一瞬だけ手元を光らせると、俺の聖槍を受け止める。

 

 ―いや、ちょっと待て。

 

「―偽りの使い手である君に後れを取るほど、真の使い手は甘くないさ」

 

 なんで、嘘だろ?

 

 なんで、奴の手元に―

 

「―黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)が、二つ?」

 

「―その通り。さあ、奇跡の共演を始めようか」

 

 ―聖槍があるんだよ!?

 




ついに邂逅、二人の聖槍使い。

次の話では、この話の最も重要な人物が登場します!!
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