ハイスクールD×D英雄譚 ロンギヌス・イレギュラーズ 作:グレン×グレン
そして深夜。俺たちは演習場として用意された特別空間に転移。自衛隊と合流した。
そして作戦会議を行うことになる。
「……悪魔祓いたちは一個大隊規模に分かれ、それぞれ進軍する用意をしているようだ」
と、自衛官たちが説明してくれた。
そして、今回後方で待機する予定のアザゼル先生が指を口元にあてて考え込む。
「……ストラーダとクリスタリディは何処だ?」
「ハッ! それぞれ両翼の大隊にいるようです」
なんか、情報筒抜けすぎやしねえか?
悪魔祓いの情報管理能力はどうなってんのか。というより、勝つ気あんのか?
俺たちが疑問に思っていると、アザゼル先生は何かに納得したのかうんうんとうなづいた。
「大体は読めた。そういうことか」
「どういうこと?」
お嬢が尋ねると、先生はフィールドに視線を向ける。
その向こうに、悪魔祓いたちが戦闘準備を整えているということだな、うん。
「今回の演習は、悪魔祓いたちの不満をぶつけることが目的だ。だが、今回参加している連中が全員不満だらけってことでもねえんだろう」
ふむふむ。
俺たちが無言で先を促して、アザゼル先生は続ける。
「二人は目印だ。不満を持っている連中はここにいますよーって伝えてんのさ」
ああ、そういうことか。
不満を持っている連中の場所をあえて伝えることで、グレモリー眷属とかをあえて呼ぼうって魂胆か。納得したぜ。
となると、ここは―
「グレモリー眷属とヒロイ君たち、シトリー眷属と御使いで分けるのがいいでしょうね」
会長はそう判断した。
まあ、眷属が眷属できっかり分かれてるんだ。だったら二手に分かれるときは眷属で別れるのが手っ取り早いし、連携もとりやすいってもんだ。
なんだが―
「リアス前部長。もしよろしければ、僕をクリスタリディ猊下のいる方面に分けてもらえませんか?」
と、木場がそう言いだした。
ん? なんだなんだ?
俺たちが怪訝な表情を浮かべていると、木場は真剣な表情を浮かべてまっすぐ顔を上げる。
その目には、何かしら緊張感のある空気が漂っていた。
「クリスタリディ猊下と、ストラーダ猊下はそれぞれエクスカリバーとデュランダルのレプリカを天界より下賜されていると聞きます」
ああ、そういやそういう情報が前もって伝えられてたな。
エクス・デュランダル生成の副産物。エクスカリバーとデュランダルのレプリカ。それを、今代における最強の使い手である両猊下が預かるのは、不思議でも何でもない。
性能そのものはオリジナルの五分の一程度だが、オリジナルの性能をまだまだ引き出している最中のゼノヴィアと比較すれば、性能だけでいい勝負できるってレベル何じゃねえかとは思う。
そういや、木場はエクスカリバーに固執していた時期があったな。バルパーのクソッタレが原因で。
……まさか、ぶり返したか?
「祐斗? あなたまさか―」
「大丈夫です。復讐心で戦うわけじゃありません」
木場はお嬢にそう言うと、まっすぐな熱意のこもった視線を向ける。
「闘わせてください。僕は、エクスカリバーの真の使い手を相手にエクスカリバーを超えてみたいと思いました。……これは、挑戦です」
なんか危なっかしいが、まあレーティングゲームのシステムでやってるわけだしな。
ま、いいんじゃねえか?
「俺は賛同しますぜ。どうせする必要性の薄い喧嘩を向こうの都合ですることになったんだし」
だったら、こっちの都合で喧嘩売る程度のわがままは許してほしいところだな。
だから俺は賛成。いい機会だし、鬱憤の一つぐらい晴らさせてやりたいところだな。
ま、木場も流石にグラムを抜くほど阿保じゃねえだろ。……阿保じゃねえよな?
「やらせてあげてもよろしいのでは?」
さらに、いつの間にか入り込んでいたヴァーリチームの一人であるアーサーまで言ってきた。
ふむ。こいつ意外と自己主張が薄いから、美候と違って性根が見えないんだが。何考えてる?
アーサーは笑みを浮かべて、木場に顔を向ける。
「剣士のこだわりは、剣士にしか癒せませんよ。ねえ、木場祐斗くん?」
アーサーの言葉に木場は答えねえが、しかしなんか通じ合ってるな。
っていうかアーサーもなんで入り込んだ? いったい何を考えてやがる?
そう思っていたら、アーサーは胸に手を添えてさらに続けた。
「代わりといっては何ですが、私がヴァスコ・ストラーダとの戦いに参加いたししましょう。実をいうと、最強のデュランダル使いと称されるご老体の力に興味がありましたから」
ああ、なるほど。
流石戦闘狂のヴァーリ率いるチームメンバー。こいつも結構強敵との仕合に滾るタイプってことだな。
っていうか、そっちに繋げるために木場に賛成票を投じやがったな? まあ、無理やり割り込んでないだけ今までの自由人っぷりから大分マシになってる感じではあるんだが。
とにもかくにも、まあこういう死ににくい戦いで鬱憤晴らしとかはした方がいいだろ。なんかぶり返してるなら、発散したいのは当然だしな。
というわけでどうっすかお嬢?
俺は、そんな意見を込めてお嬢を見つめる。
そしてお嬢は少しの間考えると、息を吐いて会長の視線を向けた。
「……ソーナ。よろしくお願いするわ」
「いいの、リアス?」
会長が確認するが、お嬢は再び頷いた。
「ええ。眷属の願いをかなえるのも主の務め。特に今回は殺し合いでも試合でもないのだから、かまわないでしょう」
そういうと、お嬢は木場に近づいて、その肩に手を置いた。
「いい、祐斗。―今度こそ、決着をつけてきなさい」
「はい、部長」
さて、後はこっちか。
「……一応言っておくが、今回の件でヴィクターが介入してくる可能性はある」
と、アザゼル先生がそう言った。
ヴィクターの連中。今回の件でも介入してくるのか?
「というより、前から何かしらの煽りを入れてたみたいでな。おそらく向こうにも内通者がいるはずだ。……本来なら悪魔祓いたちをそそのかしてクーデターを起こそうって腹だろうな」
なるほど。それが総理の機転によってこういう形になったと。
そういう意味じゃあ、ヴィクターにとってもいいことじゃねえな。
クーデターで混乱状態になったところをついて暗躍するつもりが、模擬戦という比較的平和な展開になっちまったんだから。
だからこそ、情報を入手したら仕掛けてくるってか。
「あくまで可能性だし、こっちもその対策はとっている。だが、万が一の可能性は考慮しておいてくれ」
了解、先生。つまりガチバトルの可能性もあるってことか。
まあいいさ。……その時は、数に物を言わせて返り討ちにしてやるだけだ。
来るなら来やがれヴィクター。その時は徹底的に歓迎してやるぜ。
そして、俺たちはフィールドに降り立つと即座に行動を開始。
どうせこっちがボコり合いをするのが本当の目的なんだから、遠慮なく殴りに突っ込んでいく。
この辺、脳筋重視のグレモリー眷属だよな。ま、今回は殴り合いすることが目的なんだから、そういう意味じゃああってるわけだ。
「アーサー。まずは俺にストラーダ猊下とやり合わせてくれねえか?」
「これは困りましたね。……そんなに彼と闘いたいのですか?」
そりゃもう。できることなら一対一でどっちかが倒れるまでやり合いたいところだ。
一度でいいからガチバトルがしたかった。そして、できれば勝ちたい。
ぶっちゃけ、今の段階でも勝てるとは思えねえ。
あの爺さん、恐ろしいことに今でも下位の神クラスなら圧倒しかねない化け物だからな。
だけど、この好機は逃せねえ。
……一撃でもいいから、今迄ため込んできたものを叩きつけたい。
英雄になりたいからなろうとすることは、断じて間違いなんかじゃなかった。そうなりたいと進んできたからこそ、救えたものがあった。だからこそ、俺は輝いていると叩きつけたい。
ああ、ぶっちゃけホントにうずうずしてる。
ほんと、できることならマジモンのデュランダルを渡してから戦いたいぐらいだ。
それ位じゃなけりゃ、本領発揮にゃ程遠いだろうしな、マジで。
ああ、だからマジで―
「皆! そろそろ相手の勢力圏内に入るわよ!」
その言葉を聞いた時―
「先手必勝!!」
俺は、飛び蹴りを喰らって思いっきり吹っ飛ばされた。
この野郎! いきなりなにしやがんだ、コラ!!
俺は即座に反撃を叩き込もうとするが、しかしそれよりも早く組み付かれる。
みれば、そこにいるのは年始に出くわした姉ちゃんだった。
「邪魔すんな! 俺はマジバトルしたい奴と戦うチャンスが―」
「あの方はまだ出てこないわよ! 敬老精神を持ちなさいっての!!」
くそ! こんなところでそんなこと言うか!?
確かに全盛期は過ぎてっだろうから、多少は消耗した方がハンデは少ないような気もするけどよ……。
と、思っていたら今度は一気に空に引っ張り上げられる。
な、なんだ!? 飛行能力追加系統の神器か何かか!?
と思って上を見ると、そこには炎を翼を広げた女の子がいた。
いや待て、こいつ……悪魔だ!?
そういや、プルガトリオ機関のこの姉ちゃんが、いい悪魔がいることは同僚で知ってるとか言ってやがったが―
「マジでいたのか!?」
「そう。私が悪魔の信徒、フィーニクス・プルガトリオ!!」
そう言って掌を焼けさせながら取り出した十字架は、炎に包み込まれる意匠だった。
マジでプルガトリオだ。マジモンのプルガトリオだ。
プルガトリオ機関、構成員のバリエーションが豊かすぎだろ!!
「なんで悪魔が当時から教会に!?」
「逆逆。悪魔だからプルガトリオ機関にしか入れなかったんだよねー!」
あ、そうか。さすがに普通の信徒として悪魔が教会に入れるわけがねえか。
なるほどー。そういう連中をプルガトリオ機関に入れて、悪魔の能力を有効活用しようってことか。
……懐が広いと取るべきか、手段を択ばないと受け取るべきか。
「って待て! おろせー!!」
「させるわけがないでしょうが!!」
無理やり引きはがそうにも、さっきの姉ちゃんに組み付かれて動けない。
そんな! 待ってくれ! ヴァスコ・ストラーダがそこにいるんだ!!
一撃でいいから叩き込ませてくれ! イヤホンとそれだけあれば俺だいぶすっきりするから!!
「待ってくれぇえええええええ!!!!」
何て絶叫しても戻れるわけがなし。
俺は、勢い良く引き離されてそのまま遠くに飛ばされていった。
哀れヒロイ。ストラーダ猊下との戦闘叶わず。
ですがヒロイもあきらめません。意地があります。チャンスを逃す気もありません。